HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

クラウス・マケラ指揮『オスロ・フィル来日演奏会』初日

 いよいよ昨年来話題の指揮者、クラウス・マケラが、手兵オスロフィルを引き連れて来日しました。

マケラは、2020年からオスロフィルの首席指揮者に就任、契約は3年から6年間に延長されています。

【日時】2023.10.18.(水)19:00~

【会場】池袋・東京藝術劇場

【管弦楽】オスロフィルハーモニー管弦楽団

【指揮】クラウス・マケラ

〈Profile〉

1996年生まれ、今年27歳。シベリウス・アカデミーでヨルマ・パヌラに指揮を、マルコ・ウルーネン、ティモ・ハンヒネン、ハンヌ・キースキにチェロを学ぶ。チェリストとして数々のオーケストラと共演しつつ、10代の頃から指揮者として国内で頭角を現わした。

2016年には、音楽事務所ハリソン・パロットと契約した。なお、この時にはすでにヘルシンキ ・フィルハーモニー管弦楽団や、タピオラ・シンフォニエッタを指揮した経験があり、さらにチェリストとしてフィンランドの主要オーケストラと共演していた。また、同年にはエーテボリ交響楽団を指揮してスウェーデンデビューを果たしている。

2017年には、MDR交響楽団を指揮してドイツにデビューした。また、のちに首席客演指揮者を務めることになるスウェーデン放送交響楽団にデビューした。さらに、フィンランド国立歌劇場にてモーツァルト作曲の『魔笛』を指揮し、オペラデビューを果たした。

2018年には、サントリーホールで行われた東京都交響楽団のプロムナード・コンサートにて、シベリウス作曲の『レンミンカイネンの帰郷』『交響曲第1番』などを指揮して日本デビューを果たした。また、ミネソタ管弦楽団を指揮して北米デビューを果たすとともに、のちに (2020年) 首席指揮者を務めることになるオスロ・フィルハーモニー管弦楽団にデビューした。なお、同年より、タピオラ・シンフォニエッタのアーティスト・イン・アソシエーション、ならびにスウェーデン放送交響楽団の首席客演指揮者に就任した。

2019年には、バンベルク交響楽団、クリーヴランド管弦楽団[、パリ管弦楽団にデビューした。さらに、ハレ管弦楽団を指揮してイギリスデビューを果たした]。なお、指揮者エサ=ペッカ・サロネンとフィンランド国立歌劇場による『ニーベルングの指輪』のツィクルスにおいてアシスタントを務めた。また、トゥルク音楽祭の芸術監督に就任した。

2020年には、バイエルン放送交響楽団、フランス放送フィルハーモニー管弦楽団へのデビューを果たした。また、同年からオスロ・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者およびアーティスティック・アドバイザーに就任するが、契約が開始される前に、契約期間が3年から7年へと延長された。なお、同じく2020年にはNDRエルプフィルハーモニー管弦楽団[やミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団などにデビューする予定であったが、新型コロナウイルスの影響でキャンセルとなった。

2020年6月、パリ管弦楽団の次期音楽監督に決定した。2020年秋から音楽顧問を務めた上で、2021年の秋に正式着任。

2022年6月、2027年からマケラがロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席指揮者に就任することが発表された。

 

 

【曲目】

①シベリウス『交響曲第2番ニ長調』

(曲について)

 シベリウスはパトロンであるカルペラン男爵からの勧めから、1901年に家族と共にイタリアのラパッロに旅に出ます。
そこでシベリウスは音楽的にも多くのことを学びます。極寒なフィンランドで生活していたシベリウスにとって、イタリア(ラパッロ)は南国のとても過ごしやすい場所でした。
 シベリウスはラパッロを「魔法がかった国」と表現し、彼の筆は快調に進んだと言われています。
その後ローマにも訪れ作曲を続け、イタリアの地で「交響曲第2番」の大部分は作曲されました。これらをフィンランドに帰り完成させたのですが、年末には再び改訂を行なっています。
 初期のシベリウスにはブルックナーのような改訂癖があり、改訂がおこなわれることは珍しくはありませんでした。

 

②シベリウス『交響曲第5番変ホ長調』

(曲について)

 この交響曲は1914年の秋には計画されていた。翌年の1915年はシベリウスの生誕50年にあたり、記念行事の中心に祝賀演奏会が行われることになり、その演奏会で初演される交響曲として作曲されたのです。同じ頃に交響曲第6番第7番の楽想も着想されていましたが、記念演奏会という目的が定められたこの作品が優先して作曲されました。この交響曲を作曲中の1915年4月、散歩の途中で近づいてくる春の気配に、この交響曲のインスピレーションを得たことを書き記している。

 この作品の作曲時期は第一次世界大戦と重なっており、国全体が経済的に困窮していました。シベリウス自身も生活のため出版社の要求に応えて歌曲やピアノ曲を作曲せざるをえず、交響曲の作曲ははかどらなくなったのです。彼自身「ともかく現実的な仕事が先だ」と書いています。こうした停滞はあったものの、予定されていた1915年12月8日のコンサートには間に合わせることができました。初演はシベリウス自身の指揮により行われ、大成功を収めたのでした。 

 しかし作曲者は満足しておらず、翌1916年の秋に改訂を行い、初版初演の1年後の誕生日である12月8日トゥルクにおいて自らの指揮で改訂稿の初演を行いました。さらなる改訂を1917年に着手するものの、フィンランド独立宣言前後の政情不安を避け避難するなどして、改訂の筆は進まなかった。第2改訂稿が完成したのは1919年秋になってからで、この年の11月24日ヘルシンキで作曲者自身により演奏されました。結局、この稿が決定稿となり、この作品は最終稿に基づき演奏されるのが通例となったのです。

 

 

 

【演奏の模様】

①シベリウス『交響曲第2番ニ長調』

全四楽章構成。楽器編成は、 二管編成弦楽五部16型(16-14 -14 -8 - 8 )。二管といっても、Fl.やOb. Cl.などは2台だけれども、 Trmb. Trmp.は3台。

 

第一楽章Allegretto 

第二楽章Tempo Andante,ma rubato-Andante Sostenuto

第三楽章Vivacissmo -Lento e suave-Attacca

第四楽章Finale.Allegaro Moderato-Moderato assai -Molto

 

第1楽章

 この最初の調べを何回聴いても連想するのは、やはり針葉樹林に囲まれた森ですね。針葉樹林帯といっても、下木には、背の低い広葉樹も生い茂っています。Vn.アンサンブルが木の葉のざわめきの様な背景音を立てて、木管楽器の調べにホルンが応じます。Hr.はかなり地味に鳴っています。5台でした。

 木管の不協的とも思える不思議な調べは、幻想的何かを暗示するかの様。

 終盤のVn.終盤部の弦楽斉奏の何と力強いことよ。

Fl.中心の木管の合の手旋律では、やはり小鳥たちの飛び回る森林風景を想起します。pizzicato奏では小鳥ばかりでなく、小動物たちの動きも感じます。最終部ではpizzicatoのテンポと出音をクレッシンドし、⇒オケ全奏強奏へと発展⇒テーマの再演で急速に終焉するのでした。

 マケラは昨年、日本での演奏を各地で行ったためなのか、はたまた特に東京藝術劇場では昨年パリ管弦楽団の指揮を経験しているためなのか、今日は大変会場慣れしたパフォーマンスの良さを発揮していた。

 

第2楽章

 冒頭Timp.連打音に触発された様にCb.のpizzicato奏。聞こえない位の弱音で。

一楽章が森の目覚めの全体風景だとしたら、二楽章は森のスポット的描写でしょう?何かが起きる予兆を感じます。旋律表現などのpizzicatoは続き、その上にFg.の低音奏があたかも何物かの登場を告げる様に重畳。そう、例えば深い森の泉のほとりにうずくまる「メリザンドか」?それとも春の祭典的な「乙女達の神秘な集い」か?pizzi.奏はVc.奏に拡散、相変わらずFg.は旋律を並べ、次第に音量を上げてクレッシエンドするとpizzi.奏も急激にテンポを速めHrn.の唸り等で何らかのエヴェント(事件)が発生した表現かの様。例えば前者であれば、利己的で強いゴローの登場とか、後者では生け贄連行・供与儀式とか?

 それが止む前半の終盤では、オケは穏やかな曲相に代わり、その調べを聴いていると、森に逃げ込んだペリザンドの厳しい身の上話を聞いたゴローが宥めて安心させる場面や、儀式を行った祭司たちの祭典の祈りを捧げる場面を妄想してしまいました。

 

第3楽章&4楽章

 のどかでしみじみとした牧歌的雰囲気にオーボエが印象的な演奏をした三楽章、その終盤でのオーボエによる再現される処はとても美しいものが有りました。そしてアッタカ的に入った四楽章では、弦楽器の力強い誘導にトランペットがいさましくに応じるテーマの演奏で開始、これがアンサンブルが上行する一部不協的響きも交えながら盛り上がった後、木管による経過的響きが次第に静かになり、低弦がうごめくような音型で伴奏する中、木管楽器が第2主題を互いに呼び交わして行き再度盛り上がりを見せ全管弦の強奏へと、そしてこれが発展して、金管が鳴り響き絶頂感を演出、終結部ではオーボエ、トランペットやトロンボーンが華やかに主題を応歌して全曲の幕を閉じました。

 この2番の交響曲は、シベリウスの会心の作ではないかと思います。アンサンブルの和声的な動きにも素朴な旋律が何と多く散りばめられているのでしょう。そうしたアンサンブルから抜き出して声楽曲への編曲も可能なのではないでしょうか。

 尚この曲については、今年7月の大野・都響の演奏で聴いているので、参考までその時の記録を、文末に抜粋再掲しておきます。

 

 

《20分の休憩》

 

 

②シベリウス『交響曲第5番』

 全三楽章構成。楽器編成は、基本は①と変化がないのですが、奏者の交代(見た目で明らかなのはTimp.奏者)が若干あり、その他Picc.持ち替えなど。最終的にはタンブリン、鉄琴、シンバル、大太鼓等追加。

第1楽章 Tempo molto moderato - Allegro moderato (ma poco a poco stretto) - Vivace molto - Presto - Più Presto 

第2楽章 Andante mosso, quasi allegretto - Poco a poco stretto - Tranquillo - Poco a poco stretto - Ritenuto al tempo I

第3楽章 Allegro molto - Misterioso - Un pochettino largamente - Largamente assai - Un pochettino stretto 

 同じ作曲家の交響曲であることを伏せて初めてこの曲を聴いたとしたら、シベリウスの細部の構造や節回しがかなり異なっていることに気が付きます。それもその筈、①と②は、10年以上も隔てて作曲されたものですから。管弦楽法の技術は確かに相当複雑な構造をも組み立てる様になり、また2番の様な繰り返し繰り返し出て来るテーマソング、しかも器楽アンサンブルであっても、そこかしこで歌を謳歌しているのとはかなり異なった印象の交響曲となりました。どちらがいいというものではなく、個人的には2番の歌心が好きですが、5番でも例えば、1楽章で木管がかなり旋律を謳う箇所や、終楽章でVn.アンサンブルが速いテンポで鳴らし、それがかなりの高音部に於いて滑らかな調べを奏でるとHrn.が合の手を入れる場面などは、十分旋律的で綺麗な歌を謳歌していました。

 この曲は2番と同様長調なので、短調の様な暗さは少なく、決して抑圧的(特にシベリウスの時代はロシアに支配されていてそのくびきから逃れたい、逆に言うとロシアは手放すまいと抑圧的)な雰囲気は影を潜めていて、北欧の澄み切った空気(その意味では特に冬の季節かも知れません)の抜けるような青い空にひょっとしたら風で舞い上がった粉雪がキラキラと輝く自然の美しさをも妄想できる作品ではないかと聴後感を抱きました。

 演奏が終わって、マケラは数秒余韻を確かめタクトを降ろすと、満員の会場からは大きな拍手喝采が沸きおこり、歓声も随分飛んでいました。二回程袖と舞台を往復したマケラは、三回目に何か話しましたが、肉声なので2階の自席までは明瞭に聞こえませんでした。アンコール曲のことを言ったのでしょう。

《アンコール演奏曲》シベリウス『レンミンカイネンの帰郷』

後で調べると、これは『レンミンカイネン組曲』の第4曲で、マケラが2018年の初来日公演(これは聴きに行きませんでした)で都響を指揮した時の演奏曲だということです。かなりテンポの速いせわしない曲で、弦楽と金管の進行過程にタンブリンやシンバル、鉄琴の音などが割り入ってアクセントとなっていました。吹奏楽曲にも編曲されているという事ですから、このかなりの速さは行進曲でなく、かけっこか自転車走のバックグランド曲になるのかも知れません。Timp.がかなりの速さと強さで、強打していました。そうそう追記しますと、本演奏の2番でも5番でもシベリウスはTimp.に相当な役割を割り振っていますね。あれだけ思い切りバチを叩けばストレス解消になるのでは?

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/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////(2023.7.29.Hukkats Roc.抜粋再掲)

 

ミューザ夏祭り/ピアノ(Vol.3)『大野都響/北欧特選曲』演奏会
 

【日時】2023.7.28.(金)19:00~

【会場】ミューザ川崎シンフォニーホール
【管弦楽】東京都管弦楽団
【指揮】大野和士(都響音楽監督)

【独奏】久末 航 (ピアノ)

【曲目】
①ニールセン『狂詩曲風序曲《フェロー諸島への幻想旅行》』

 

②グリーグ『ピアノ協奏曲 イ短調 Op. 16 』

 

③シベリウス『交響曲第2番 ニ長調 Op. 43』

 

 

【演奏の模様】

 

《前半は割愛》

 

《20分の休憩》

 

③シベリウス『交響曲第2番 』

楽器編成
フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット3、トロンボーン3、テューバ、ティンパニ、弦五部

全四楽章構成

第1楽章 Allegretto

第2楽章 Tempo andante, ma rubato - Andante sostenuto

第3楽章 Vivacissimo - Trio. Lento e suave - attacca

第4楽章 Finale. Allegro moderato - Moderato assai - Molto largamente

 今日のお目当てはこの曲です。10月24日、マケラ・オスロフィルがこの曲を弾きます。細部に関しては以下の(参考)に記しました。

  何回聴いてもこの曲の出来具合は上等だと思います。弦楽アンサンブルのややメランコリックな旋律は、決して暗くはなく、むしろお洒落な感じを受ける心地良い、格好いいもの。どの切り口で見てもいい旋律で出来ています。それを都響の優れた弦楽集団は如何無く発揮していたと思います。又弦に合の手を入れる管楽器の使い方もシベリウスの初期の作品では見事なもの、むしろ弦より管を主としているかの様です。二楽章前半の弦楽器のPizzicato 奏に Fg.(2)が随分長い時間、ソロ音で合いの手を鳴らし、続くOb.∔Cl.∔Hrn.の調べが、1Vn.アンサンブルに橋渡しをする箇所、或いは同楽章の最終部で、Timp.が連打すると、金管楽器がそれに応じて両者の応戦となり、(Vc.∔Va.)アンサンにVn.アンサンが加わり、Ob.とFl.の調べの合いの手が響く辺り、さらに続くVn.アンサンの切ない旋律に金管とFg.が合の手、そして金菅とTimp.と弦楽アンサンへと推移する箇所など、弦の響きをPizzicato奏で押さえ、管楽器の見せ場を作ったとしか思えません。大野都響はこの辺りのやり取りの呼吸は流石だと思いました。ただ願わくば最終楽章の最後の盛り上がりで、あの北欧の緑に囲まれたフィトンチッド溢れる澄んだ空気の渦巻きが、もっと体に滲み込んで来るような感覚を味わいたかった気もします。演奏後しばらくは館内はかなりの興奮状態にありました。

 

(参考)
1,

ニ長調 6/4拍子、ソナタ形式。第1主題は弦楽器の葉ずれのようなざわめきを背景に木管楽器で奏でられる印象的な歌にホルンが応答する。また冒頭では、小節線の位置がシベリウスの初稿の自筆譜と異なっている(これは6/4拍子での強拍と弱拍の事情を加味したからである)。拍子が2/2に変わると幻想風のエレジーを弦楽器が奏でる。その後6/4拍子に戻ってピッツィカートに転じたりしながら盛り上がったところで木管楽器が第2主題を提示する。第2主題の提示は短く、直ぐに冒頭の葉ずれのようなざわめきが弦に戻って提示部を閉じる。
展開部は第2主題で開始され第1主題の動機を基盤に発展する。その頂点で第2主題によるクライマックスが築かれる。すると幻想風のエレジーの旋律が金管でファンファーレ風に演奏される。
ホルンに先導されて第1主題が再現される。再現部は型どおりだが、幻想風のエレジーの旋律は再現されない。第2主題は提示部と比べると大きめに膨らむ。コーダは提示部と同じように序奏の動機を奏でながら遠ざかり、穏やかな和音で曲を閉じる。
演奏時間は9-11分程度。

 

2,

シベリウスがよく使用したA-B-A-B-コーダの構成。冒頭のティンパニの連打に促されてコントラバス、ついでチェロにかけてピッツィカート音型が続いてゆくとファゴットにより提示される第1主題はドン・ジョヴァンニ伝説から着想されたと言われる幻想的なもの。経過句を交えながら高揚して頂点に達してから、金管がコラール風に締めくくる。曲はアンダンテ・ソステヌートに転じて、ヴァイオリンで提示される安らかな第2主題は、フィレンツェでインスピレーションを受けたキリストのイメージといわれている。やがて総休止の後、第1主題が再現される。今度はトランペットとフルートによる応答で、やはり金管で高揚する。続く第2主題の再現はヴィオラとクラリネットにより淋しく奏でられて始まるが、こちらも金管を交えて幻想的に発展する。コーダは木管による不気味なトリルや金管の厳しい響きが印象的で、荘厳のうちにこの楽章を2つのピッツィカートで結ぶ。
演奏時間は12-18分程度。


3,

第2楽章同様のA-B-A-B-コーダの構成。弦の急速な動きからなる荒々しいスケルツォに対してレント・エ・ソアーヴェ(ゆっくり、しなやかに)と指定されたトリオ部分はのどかでしみじみとした牧歌的雰囲気でオーボエによって歌われる。この雰囲気はスケルツォが再帰して荒々しく打ち破られるが、その際に一瞬だけ第4楽章の第1主題の動機も顔を出す。その後再びトリオに戻り、1回目同様に主題がオーボエにより再現される。その応答に独奏チェロに始まる弦楽器が加わり、これが徐々に盛り上がった頂点で第4楽章に休みなく突入する。
演奏時間は6分前後。


4 ,
ニ長調 3/2拍子、ソナタ形式。弦楽器の力強いモチーフにトランペットが勇壮に応える第1主題で開始される。これが壮麗に盛り上がった後、木管による経過句が徐々に静かになり、低弦がうごめくような音型で伴奏する中、木管楽器が第2主題を互いに呼び交わして行く。これが発展して、金管による頂点を作ると、ピッツィカートによる短い小結尾をへて、モデラート・アッサイの展開部へ入る。第1主題のモチーフの変形から始まり第2主題も巻き込みながら次第に高揚してゆき、やはり同様に第1主題の再現に入る。第1主題はほぼ型どおりの再現である。第2主題部は提示部に比べて遥かに長大で大きなクライマックスを形成する。終結部ではオーボエ、トランペットやトロンボーンが朗々と第1主題による讃歌を奏で、全曲の幕を閉じる。