『白露』は旧暦八月酉の月の正節で、新暦九月八日ごろです。秋分の前の十五日目にあたります。
白露の意味は❝しらつゆ❞の意味で、いよいよ秋季も本格的に加わり、野草に宿るしらつゆが、秋の趣きをひとしお感じさせます。
❝白露に 風の吹きしく 秋の野は つらむきとめぬ 玉ぞ散りける<後撰集秋308>❞
❝吾屋戸之 暮陰草乃 白露之 消蟹本名 所念鴨(我がやどの 夕蔭草の白露の 消ぬがにもとな 思ほゆるかも)<万葉集五九四>❞
先の歌では、確かに珠の糸が切れて、珠があちこち散らばった様な光景です。後者の歌では、消えかかる露に、恋しい人の消えかかる思いを重ねています。
古来中国(唐、宋、明など)の男女は永遠の愛のしるしとして、数珠に紐糸や金属糸を通した腕輪を互いに取り交わして大事にしていました。止め輪が切れた時は不吉で、縁が切れたという思いが有りました。そうした風習の概念が大陸から日本にも渡来していたのでしょう。
ここ二三日やっと猛暑は収まり、本格的な秋の到来を薄々感じました。台風も関東地方に接近中で、災害さえなければいいですね、乾いた大地は潤い、水ガメのダムの水位は上がり、台風一過一層秋色が強まるでしょう。
でも台風の過ぎ去った後の惨状は凄いものですね。清少納言などは「野分の又の日(岩波文庫版200段)」の前半でその被害状況を述べていますが、結局は「をかし」の世界に興味を移しています。それ程の被害ではなかったのでしょう。これは西暦1000年前後の旧暦八月(新暦九月)の台風来襲の頃という研究者もいます。猛烈な台風の凄さは、何といっても文永の役(1274 年)や弘安の役(1281 年)で元寇の日本襲撃を神風が吹いて救ったという史話は誰でも知っています。しかし台風の一撃で船を沈めることは出来るのかも知れませんが、ミサイルを吹き飛ばすことは出来ないでしょう。
明の洪自誠の著書『菜根譚』の中の引用言の一つに以下の様な句が有ります。
❝露冷黄花 煙迷衰草 悉属旧時 争戦之場 盛衰何常 強弱安在 念此令人心灰(古戦場では露は黄花を冷やし、煙雨が枯れ草の上にある 盛衰は常ならず、強弱は何処にあるのか これを念頭に置くと心は灰の様になる)❞
《追記(8/7 19h)》
近くの駅から帰宅の道すがら空を見上げると、空のほとんどには雲がかかっていますが、雨は降っていません。ところが西の空は赤く夕焼け空に染まっていました。こうした夕焼けの時は、通常だと翌日晴れの前兆なのですが、明日は台風が近づくはずです。家に着きベランダから西方向を見ると、既に太陽は沈み暗くなりつつある西空に幾条か赤みがかった光が輝く中に、富士山の黒いシルエットが浮かんで見えました。
明日の天気はいったいどうなるの?
気象庁の予報では関東を直撃して上陸しそうな雲行きです。詳しくは、台風第13号は日本の南を北上して、8日午後には東日本にかなり接近し、上陸するおそれがあります。東日本や東北地方では、台風周辺や台風本体の暖かく湿った空気が流れ込むため、大気の状態が非常に不安定となるでしょう。東日本や東北地方では9日にかけて、雷を伴った非常に激しい雨や激しい雨が降り、大雨となる所があるでしょう。
明日の夜のサントリーホールはどうしようかな?行きは良い良い帰りは怖い!!演奏会が終わった頃はきっとかなりの暴風雨でしょう。電車運行にも影響があるだろうし、電車がストップしたらどうしよう。でも明日の演奏会は3日に聴いた素晴らしいソリストと都響の演奏だし、もう一度聴きたい気持ちが強いのです。エイママヨ!、行ってしまえ!なる様になるさ!