【主催者言】
フィナーレ公演のオープニングは、クロンベルク・アカデミーに在籍するユリアス・アザル(ピアノ)と、サントリーホール室内楽アカデミーのカルテット・プリマヴェーラ(弦楽四重奏)による共演で、ドヴォルジャークの名曲、ピアノ五重奏曲第2番第1楽章の溌溂とした演奏でスタートします。続いて、CMA第7期フェローの代表として、ほのカルテット(弦楽四重奏)が登場。ソロや室内楽、オーケストラなどの多方面で活躍する4人が「グラズノフの5つのノヴェレッテ」よりを披露します。そしてCMG2023では様々な場面で登場した2人、日本を代表するハープ奏者の吉野直子と、ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団首席ファゴットのミハエラ・シュパチュコヴァーが、ピアソラの「タンゴの歴史」で、またとない音世界に誘います。前半を締め括るのは、今最も勢いに乗る室内楽グループ葵トリオ(ピアノ三重奏)が、尊敬して止まない元東京クヮルテットの池田菊衛・磯村和英と共演。ショスタコーヴィチ:ピアノ五重奏曲第1~3楽章で、諧謔性と熱狂性を帯びたアンサンブルにご期待ください。
後半の冒頭は、原田幸一郎、毛利伯郎、練木繁夫らも加わった室内楽アカデミー・ファカルティによるシューマンのピアノ五重奏曲より第1・2・4楽章。円熟の演奏で、その熱量と説得力に圧倒されます。そしてクロンベルク・アカデミーを卒業した大江馨・毛利文香や、世界が注目する在校生の弦楽器3名と、ヴァイオリンの渡辺玲子をリーダーに迎えて演奏するのが、メンデルスゾーンの弦楽八重奏曲第3・4楽章。滾々とした音楽の泉が湧き立ちます。そしてフィナーレ公演のクライマックスは、クロンベルク・アカデミーと室内楽アカデミー講師たちによるCMGならではの競演です。世界を舞台に活躍しているミハエラ・マルティン、池田菊衛、今井信子、磯村和英、フランス・ヘルメルソン、堤剛による、ブラームス:弦楽六重奏曲第1番より第2・4楽章は、重厚で抒情性にあふれ、正しく「室内楽中の室内楽」で締め括ります。
有料オンライン(ライブ&リピート)配信あり、公演から1週間の限定で、何度でも繰り返し、お好きな時間にお楽しみいただけます。
【演奏日時】2023.6.18.(日)14:00~
【鑑賞日時】2023.6.13.(火) 6.14(水)的選時
(on line リピート配信)
今回は残念ながらオペラの方を優先したので聴きに行けませんでした。on line でリピート配信があったので、都合のいい時時間を取って聴きました。(LFJ-ラフォルジュルネの時はライヴ配信のみだったので大分聴けない演奏会も有りました)
【出演】
〇サントリーホール室内楽アカデミー選抜フェロー(ヴァイオリン:原田幸一郎/池田菊衛、ヴィオラ:磯村和英 チェロ:堤 剛/毛利伯郎 ピアノ:練木繁夫)
〇カルテット・プリマヴェーラ
〇ほのカルテット(室内楽アカデミー選抜フェロー)
〇クロンベルク・アカデミー(ヴァイオリン:ミハエラ・マルティン/大江 馨/毛利文香、 ヴィオラ:今井信子/ハヤン・パク/サラ・フェランデス、チェロ:フランス・ヘルメルソン/アレクサンダー・ヴァレンベルク、ピアノ:ユリアス・アザル)〇ヴァイオリン:渡辺玲子、
〇ファゴット:ミハエラ・シュパチュコヴァー、
〇ハープ:吉野直子、
〇ピアノ三重奏:葵トリオ
【曲目】
①ドヴォルジャーク『ピアノ五重奏曲第2番イ長調Op.81』より第1楽章
②グズノフ『5つのノヴェレッテOp15』より第二曲<東洋風に>第五曲<ハンガリー風に>
③ビアソラ(ヴェフマネン編)『タンゴの歴史』より第一楽章と第三楽章
④ショスタコーヴィッチッチ『ピアノ五重奏曲ト短調Op57』より第一楽章、第二楽章、第三楽章
《休憩》
⑤シューマン『ピアノ五重奏曲変ホ長調Op.44』より第1, 2, 4 楽章
⑥メンデルスゾーン『弦楽八重奏曲変ホ長調Op.20』より第3, 4楽章
⑦ブラームス『弦楽六重奏曲第1番変ロ長調Op.18』より第2, 4楽章
【曲について】以下プログラムノート参考
【演奏の模様】
①ドヴォルジャーク『ピアノ五重奏曲第2番イ長調Op.81』より第1楽章
演奏は、ユリアス・アザル、カルテット・プリラヴェーラ
ドヴォルジャークの室内楽がこんなに良く聞こえたのは久し振りです。変化もありバランスもいいし、素晴らしいと思いました。全楽章聴いてみたかった。
②グラズノフ『5つのノヴェレッテOp15』より第二曲<東洋風に>第五曲<ハンガリー風に>
演奏は、ほのカルテット。面白いネーミングだと思って演奏者名をみたら、1Vn.に、岸本萌乃加と書いてありました。その名前に因んでネーミングしたと推察します。グラズノフは、ロシア出身ですが、後に欧州へ移住し、外国でも活躍した人。といっても、祖国のソ連はおろそかにしませんでした。自分は、亡命したのではない、と言って。この曲の演奏は、先ず「第二曲、東洋風に」。確かに西洋風ではない調べが繰り出され、次の「第五曲ハンガリー風に」でも、より明確に、非欧州的響きをたてていました。ハンガリー自体は東欧の影響が大きい国で、第一曲とおなじく非西洋的な調べを立てていました。それらは、グラズノフ独自の世界を構築していた。
③ビアソラ(ヴェフマネン編)『タンゴの歴史』より第一楽章と第三楽章
演奏は、吉野直子のハープと、ミハエル・シュバチュコバーのファゴットの組合わせ、という非常にレアな室内楽でした。これまた欧州風調べとはひと味違う南米らしいと言うか、ビアソラらしい、すぐに彼と分かる独自の曲風が、タンゴの調べに乗って繰り広がりました。ファゴットって、何となくユーモラスですね。吉野さんのハープは、良く管楽器を支えていました。
④ショスタコーヴィッチ『ピアノ五重奏曲ト短調Op57』より第一楽章、第二楽章、第三楽章
ショスタコーヴィチは、上記グラズノフが、ショスタコの学生時代に、大変目を掛けてくれた程の天才振りを若い時から発揮していました。ショスタコの室内楽は、あちこちでちょくちょく演奏されますが、けっこう現代音楽の様式を感じます。それでも違和感の殆どない、スムーズに理解出来る響きを持っているのがいい。演奏は、葵トリオに、池田(Vn.)、磯村(Va.)両御大が、加わった謂わばゴールデンコンビだったせいもあり、素晴らしかった。
≪20分の休憩≫