表記の音楽会では、当初セバスティアン・ヴァイグレ指揮でキリル・ゲルシュタインがピアノソロを弾く予定になっていましたが、二人共来日出来ず、指揮アレホ・ペレス、ピアノ小林愛実に変更となりました。さらに指揮者が変わり、高関 健が振ることになったのです。曲目の変更は無く予定通りでした。(誤) (誤訂正)キリル・ゲルシュタインは、チャイコフスキーのコンチェルト1番を弾く予定でした。従って曲目も変更ありでした
【日時】2021.12.14.(火)19:00~
【会場】サントリーホール
【管弦楽】読売日本交響楽団 【指揮】高関健
【出演】小林愛実(ピアノ)
【Profile】
山口県宇部市出身。 3歳からピアノを始め7歳でオーケストラと共演。8歳より、二宮裕子に師事。 2007年桐朋学園大学音楽学部附属子供のための音楽教室「仙川教室」に特待生として入室。2008年から2009年にかけて東京倶楽部特別助成金を受けた。 2011年4月より、桐朋女子高等学校音楽科(男女共学)に全額奨学金特待生として入学。2013年9月より、米国カーティス音楽院に留学し劉孟捷に師事[1]。 県よりメダル栄光の文化賞を3度にわたって受けた。
2001年 - 2004年、ピティナ・ピアノコンペティションに4年連続で全国決勝大会に出場
2004年 - 8歳の時のピティナ・ピアノコンペティションJr.、G級(高校1年生以下)全国決勝大会第1位
2004年 - ショパン国際ピアノコンクールin ASIAアジア大会にて第1位金賞
2005年 - 10歳で全日本学生音楽コンクール全国決勝大会・小学校の部にて第1位
2009年 - アジア太平洋国際ショパンピアノコンクール(韓国)でJr部門優勝
2011年 - 第12回ショパン国際ピアノコンクールin ASIAのコンチェルトC部門において、金賞およびコンチェルト賞
2011年 - 第5回福田靖子賞
2012年 - ジーナ・バッカウアー国際ピアノコンクールのヤングアーティスト部門第3位[2][3]
2015年 - ショパン国際ピアノコンクールファイナリスト
2021年 - ショパン国際ピアノコンクール第4位
【曲目】
①モーツァルト『オペラ・イドメネオ』序曲
②ショパン:ピアノ協奏曲第1番
③プロコフィエフ『交響曲第5番』
【演奏の模様】
①モーツァルト『オペラ・イドメネオ』序曲
この曲『イドメネオ』(Idomeneo)K.366は、モツァルトが1781年に作曲した三幕構成のイタリア語のオペラ・セリアです。(第三幕のアリア「そよふく風」「オレステスとアイアスの」などは有名です。)序曲としては5分くらいの長さなのですぐに終わってしまいました。オーケストラのこの演奏会で、何故この曲が選曲されたか、少し疑問です。序曲は、唐突に終わってしまいます。尻切れトンボの様に。オペラでは、この後すぐに、トロヤ王女イリアが、自分の不運はいつ終わるのだろうと嘆いて歌うので、違和感なく割りとスムーズに進行するのです。オーケストラ演奏会の単独曲としては、どうなんでしょう?その中身は、モーツァルトの曲だから、それなりの響きと内容は有していますが。
演奏は、高関さんの実直そうな指揮・指導に忠実に読響はフォローしていました。それ程大スケールの曲でないので、管楽器は小単位の2管編成、弦楽五部は10型だったでしょうか。ホルンの演奏の最初の音に違和感が有った箇所が、この曲だけでなく後の曲でもありました。
尚、『イドメネオ』には、「バレエ音楽K.367」という曲が有り、これはオペラの幕間に上演するバレエのために作曲されました。シャコンヌ、パ・スール、パスピエ、ガヴォット、パッサカリアの5曲からなり、現在ではオーケストラのコンサート用の楽曲として演奏されることもある様です。
②ショパン:ピアノ協奏曲第1番
今回見事ショパンコンクール第4位の栄誉に輝いた小林さんは、幼少のみぎりよりその名声が全国に轟く、知る人ぞ知る天才少女だったといわれています。
失礼ながら最近まで知りませでした。その後小学生になって各地のコンクールでも優秀な成果を上げていた様です。
その活動の場の多くは恐らく関西を中心に活動されていたのかなあとも思います。今度のショパンコンクールで、反田さんとのダブル入賞という快挙の報を聞き、最近慌てて彼らのコンサートのチケットを取り、通いつめています。先だっては、反田さんと小林さんとのデュオリサイタルをききましたが小林さんの印象は何か元気がなくつまらなさそうに弾いている様に見えました。少し気になりました。勿論素晴らしい演奏だったのですが。上記引用の子供の頃の様な喜々として演奏に没頭する姿は見られない、少し心配になりました。その時は反田さんと一緒だったからかな?等と考えたり、是非小林さん一人での演奏も聴いて見なくちゃと思っていたのです。そしたらたまたま、小林さんが読響と共演するという情報がありました。今回は、来日不可能のピアニストの代わりを務めるということです。演奏曲目が、ショパンのコンチェルト1番というコンクール本選演奏曲だと知っては、これを聞き逃すことは出来ません。あらゆる手段を講じてチケットを入手しました。
小林さんの演奏はかいつまんで言うと、第一楽章の演奏がやや弱かったかな?第ニ楽章になると、見違え様に素晴らしかった。その勢いで、第三楽章も一気に弾ききりました。
詳細は、また記録することにしましょう。
ソロアンコール演奏が有りました。
ショパンの『前奏曲 Op.28 第17番 変イ長調』
この曲をこの様に弾けるのだから、何も心配いりません。杞憂でした。今後益々精進されて、大活躍されんことを祈ります。
③プロコフィエフ『交響曲第5番』
楽器編成
Ft.2、Picc.1、Ob. 2、EnHr. 1、Cl 2、E♭Cl 1、 BaCl.1、Fg.2、CnFg.1、Hr. 4、Trp. 3、 Trb.3、 Tub.1、ウッドブロック、タンブリン、トライアングル、小太鼓、シンバル大太鼓、タムタム、Timp、 ハープ、ピアノ、弦楽五部
三管編成です。
曲の構成
〇第1楽章 - Andante変ロ長調 、4分の3拍子。ソナタ形式。
第1主題は4分の3拍子を基本としながらも、実際は変拍子に近い。同時に旋律も様々な楽器に受け継がれていく。第2主題は4分の4拍子で、構成面・音響面ともに第1主題と対比されている。
〇第2楽章 - Allegro marcato ニ短調、4分の4拍子。三部形式。
プロコフィエフの得意な弦楽器のスケルツォ。弦楽器のスタッカートに載って、軽快な主題とリズムが展開される。トリオはニ長調となり、その主部は3分の4拍子でさらに軽快である。回帰したスケルツォでは、はじめに比べ調の変化が激しい。最後はその勢いを保ったまま強奏で終わる。
〇第3楽章 - Adagio ヘ長調、4分の3拍子。ロンド形式。
前楽章とは対照的に抒情的で落ち着いた歌謡的な主題を持つ。主部は広い音域をもった美しい旋律で、長いフレーズの中で様々な楽器に紡がれてゆく。
〇第4楽章 - Allegro giocoso 変ロ長調、2分の2拍子。ロンド形式。
序奏の後、第1楽章の主題を4声のチェロで回想され、生き生きとした主部に入る。中間部では、ブラームスの交響曲第1番終楽章のフーガにも似た展開が行われる。コーダでは、この楽章の3つの主題が展開され、終わり直前に突然各楽器を1人に絞って音量を絞ったのち、一気に盛り上げて変ロのトゥッティで終わる。
兎に角、聞いて見てスリリングな面白い曲でした。高関読響はたびたびエネルギーを爆発、弦楽アンサンはうねり、管・打は飛び跳ね驚喜し迫力満点、聴いてドッキリ終わってスッキリ、これはストレス解消になるぅ~!。
パーカッション奏者が、直方体の木片(ウッドブロック)をしばしば叩いて、木魚に似た音だけれども異なる、何とも風変わりな味のあるアクセントを付けていました。
かくの如き疾風怒涛の嵐にさらされた後、終楽章最後に、各弦楽第一奏者のアンサンブルが静かに響き、心に染み渡る様でした。