HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

出張サマーフェスタ・ミューザ@しんゆり!

《神奈フィルピアノ協奏曲の饗宴》

神奈フィル+ピアノ協奏曲

一度の公演で3人のソリストを聴ける機会はめったにない。進藤実優、古海行子、横山幸雄の3人のピアニストが、それぞれ異なる作曲家の協奏曲で競演する。進藤と古海は昨年のショパン・コンクールで3次予選進出を果たして話題を呼んだ若手。進藤はチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を、古海はサン=サーンスのピアノ協奏曲第2番を選んだ。あえてショパンではなく、若い才能の次の一歩に注目しようというのがこの日の公演だ。一方、かつて同コンクールで第3位に入賞した実力者、横山はピアノ協奏曲第4番でベートーヴェンの核心に迫る。指揮を務める太田弦はまだ20代ながら、各地の楽団と豊富な共演歴を持つ期待の星。フレッシュな顔ぶれとベテランが一堂に会する。(主催者)

【日時】2022年8月6日(土) 17:00~                                    

【会場】昭和音楽大学テアトロ・ジーリオ・ショウワ
【管弦楽】神奈川フィルハーモニー管弦楽団
【指揮】太田弦
【独奏】ピアノ:横山幸雄*、古海行子★、進藤実優♥
【曲目】
①チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番  ♥

②サン = サーンス :ピアノ協奏曲第2番  ★

③ベートーヴェン  : ピアノ協奏曲第4番  *

【休憩】各演奏の間に15分の休憩

【プロフィール】                                                            

 〇太田 弦

 札幌市出身。幼少時よりピアノチェロ作曲を学ぶ。札幌西高校から東京藝術大学に進学[1]、同大学音楽学部指揮科及び同大学院音楽研究科指揮専攻修士課程を卒業。指揮を尾高忠明高関健、作曲を二橋潤一に師事。 2015年、東京国際音楽コンクール(指揮)で、2位及び聴衆賞を受賞。 2019年4月より2022年3月まで大阪交響楽団正指揮者。

〇横山幸雄

1990年ショパン国際ピアノコンクールにおいて歴代の日本人として最年少入賞を果たし、文化庁芸術選奨文部大臣新人賞など数多の賞を受賞。 ポーランド政府より「ショパン・パスポート」を授与。自ら企画する「入魂のショパン」はギネス世界記録に認定され、2019年には3日間でショパンの全作品を演奏しその記録をDVDとしてリリース。継続的に開催される意欲的な企画は常に高く評価される。パリにてラヴェルの全ピアノ独奏曲演奏会、ポーランドリサイタルツアーなど海外にも活躍の場を広げる。2020年ベートーヴェン生誕250周年に向けてのシリーズ「ベートーヴェン・プラス」の開催や「4大ピアノ協奏曲」の一挙演奏といった意欲的な取り組みは注目を集め、高い評価を確立している。これまでリリースされたCDは、文化庁芸術祭レコード部門優秀賞、国際F.リスト賞レコードグランプリ最優秀賞等栄えある賞を受賞。エリザベト音楽大学客員教授、名古屋芸術大学特別客員教授、パデレフスキ協会会長。

〇古海行子

神奈川県相模原市で生まれ、6才よりピアノを始める。神奈川県立海老名高等学校昭和音楽大学ピアノ演奏家コース卒業。昭和音楽大学大学院音楽研究科修士課程、同附属ピアノアートアカデミー在籍。江口文子に師事。2018年、第4高松国際ピアノコンクールにおいて日本人として初めて優勝。日本はもとより、イタリア、ポーランド、アメリカなど数多くのコンサートに出演。また、日本フィルハーモニー交響楽団をはじめ、オーケストラとも数多く共演。2019年、日本コロムビアOpus OneレーベルよりCDデビュー。

〇進藤実優 

2021年モスクワ音楽院付属中央音楽学校卒業。 4歳よりピアノを始め、ヴァレリー・ピアセツキー、アリエ・ヴァルディの各氏に師事。 またこれまでに杉浦日出夫、二宮裕子、関本昌平の各氏にも指導を受ける。 2019年、北京青少年ショパン国際ピアノコンクール(中国)シニア部門第3位。

 

【演奏の模様】

①チャイコ.コン1(進藤)

 チャイコフスキーコンクール(現在はロシアーウクライナの戦いの為、世界コンクール連盟から除名中)の三次の課題曲でもあるこの曲を、進藤さんは真面目に弾きました。本当に真面目に。スーパーで見かける「真面目な卵屋さん」「真面目な唐揚げ」と同列の意味では有りません。あれってどこが真面目?と疑問符が付きますね。メーカーが自分で言うのは真面目でない証拠かな?とも。そういう意味でなく鑑賞していてその演奏が奇をてらったり、技術をひけらかす様子は微塵も感じられず、実直な演奏だったと思います。各楽章で見せる右手小指の高音や、左手で右手とクロスさせる跳躍の高音は綺麗に出ていました。ただ長い一楽章の後半ではややだらけて聞こえる音が混じりました。欲を言えば全体的に出音をさらに研ぎ澄ましたものになれば、曲全体が身軽になる様な気もしました。結構重い演奏の印象あり。

 

②サン=サーンス コン2(古海)

 サンサーンスのこの2番のコンチェルトは生では初めて聴きました。古海さんも初めてです。一楽章最初から低音域から中音域にかけて、速くないテンポでソロ的に弾き始め、次第に速度を速めて高音部に至りってその後下降音の階段を下りたり上昇したり、時折見せる左手を右手上にクロスさせる跳躍音は効果的で、さらに効果を上げたのはペダルの使用でした。その後Timp.の拍子打に合わせて一斉にオケが入りました。とてもロマンティックな旋律が流れました。サン=サーンスって何といいのだろう。天才ですね。以前から時々聴く彼の作った曲には天才性を感じていました。以前聴いたヴァイオリン曲の時もそうでした。参考まで文末に二年前のその時の記録を抜粋再掲して置きます。

 古海さんの演奏は、オケとピアノ演奏の間の取り具合もとてもマッチングしていて、登壇した時には若干華奢に見えたのですが、以外と強奏部もしっかりと力強く演奏していたし、表情豊かな演奏でとても良かったと思います。今日の皆さんは、何れの方もショパンコンクールのコンテスタントだったのでしょうから、これまで聴いた反田さんや小林さんも含めて皆さんこんなにも素晴らしい演奏をするのですから、きっと審査員も順位付けには苦慮した事でしょう。僅かな差なのでしょう、きっと。

 2楽章でも終楽章でも、サンサーンスの作曲法に感心したのは、決してオケとPf.とを戦わせない、競奏させず、互いに対話を進める様に一方が語る時は他方は静まりよく聞き、他方が泣き叫ぶ時は、一方は宥め鎮めるが如く進行させるようになっていたことでした。こうしたことから数少ないオケの全強奏の時でも古海さんの音はかき消されず明確に聞き取れ、往々としてある、例えば最近聴いたラフマニノフの2番コンチェルトの最終場面の様なPf.の存在が希薄になることは今回は一度も有りませんでした。

 仲々面白い曲だし、ゴテゴテしていないさっぱりとした曲だし、お洒落な如何にもフランスを感じるコンチェルトでした。古海さんはその表現に成功したと思います。

 

③ベト コン4(横山)

 チョッキ擬きの上着を羽織って気楽風に登場した横山さんは、一呼吸おいて軽く冒頭旋律を一声発しました。この曲は最近、5番のコンチェルトを差し置いて、コンチェルトの中では演奏機会が一番多くなってきた様に思われます。11/14のボストン響の演奏会では、内田光子さんが5番「皇帝」を弾くみたいですけれど(残念ながらその日は都合が悪く別な日のボストンを聴きます)。

この横山さんの演奏は「さすがピアノの先生だ!」と思わすほぼ完璧な演奏でした。もう何百回となく演奏したことがあるのでしょう。目を瞑っても弾ける感じ。表現も立派なのもので、オケにはぴったりというか、むしろオケを引っ張る箇所も散見された。これなら弾き振りも出来るでしょう、きっと。

一言要望事項です。曲を聴き終わっての感動が少ないのです。バックハウス、ケンプ、アラウ、などの過去のヴィルトゥオーソの演奏は録音を聴いただけでも感激する場合が多いのですが何故かな?と考えても分からない。どこがどうのという細部では有りません。多分もっともっと心を込めて弾いて貰ったらどうかな?と思いました。

 

 以上雑駁ですが聴いた感想を記しました。進藤さんと古海さんは横山さんに師事してるのでしょうか? お二人共まだ随分と若いのですから、世界のコンクールにはまだまだ挑戦出来る年齢でしょう。単純に考えて古海さんはサン=サーンスの協奏曲を本選課題曲としている「浜松国際」かな?進藤さんはチャーコフスキーコンクールかな?両方のコンクールともコロナ禍や戦禍の影響で実施可能かどうか不透明ですから、その時は他の実施可能性のあるコンクールに切り替えるのも一手です。いやコンクールに拘らず、演奏活動を積極的に続け、ステージ度胸と腕を磨くのもいいでしょう。しっかりと横山先生の下で学んで、辻井さんの様に腕を磨けばきっと、道は切り開かれますよ。

 

 尚、神奈フィルの演奏は、規模がそれ程大きくなかったせいもあるのか、低音弦の重みが余り感じられなかった。また立ち上がりの木管の響きも冴えたものではありませんでした。(二楽章後半からはオーケーです)。でもソリストの演奏を良くバックアップ出来ていました。ソロ演奏に対して ❛おれ、おれ❜ と出過ぎた処は一度も有りませんでした。指揮者の静かな太田さんの指揮指導法なのでしょう。

 

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2020-10-10 hukkats記録再掲(抜粋)

『神尾真由子ヴァイオリンリサイタルat ミューザ(2020.10.10.)』を聴いてきました。

 今日(10/10土)も台風の影響で、雨、風が強い日となりました。出来れば家でゆっくりしたい気持ちもありましたが、それ以上に、神尾さんの演奏を聴きたい気持ちの方が強かったのです。恐らく彼女の演奏を聴くのは、今年最後でしょう。伴奏は、田村響さん。

 ここのところ、ヴァイオリン演奏を聴く機会が続き、一昨日は、竹澤恭子さんの演奏を聴いたばかりです。
 神尾さんの演奏はこれまで何回も聴いているのですが、その度にヴァイオリンの音色の素晴らしさに感服しており、また聴きたくなりました。今回の演奏曲目は次の通りで、ほとんどが世間によく知られたものばかりでした。


【曲目】

①ベートーヴェン『ロマンス 第2番 へ長調 op.50』
②ベートーヴェン『ヴァイオリンソナタ第5番「春」 へ長調op.24』
③クライスラー『愛の喜び』
④クライスラー『愛の悲しみ』
⑤クライスラー『美しきロスマリン』
⑥クライスラー『中国の太鼓』
⑦サン=サーンス『ヴァイオリンソナタ第1二短調 op.75』

【演奏会の模様】
 会場に入りホールを見渡したら、観客は隣合って座っています。そう、両隣がいるのです。でも何となく満席感がないので、よくみたら一列は全席埋まっていても、その前後の列が、全部空席になっていました。係の人に聴いたら、”感染症予防のため、座席は一列ごとにしており、全座席の1/2に抑えています”とのことでした。マスク着用時の飛沫実験はどこかの機関で実験かシミュレーションでやったという報道があった様な気がします。確かせき、くしゃみ時にはマスクの隙間から飛沫が漏れて左右上下に拡散するのでしたっけ?とするとやはり市松配置(座席トータル数は同じですね)の座席の方が飛沫を吸い込む確率は低いのではないでしょうか?しかるべき機関で実験かスパコンを使ったヴァーチャル実験をすれば、どちらがどうかということはすぐに結果が分かる筈なのですが。技術大国の日本で科学的根拠に基づかない施策を行うのは危ういですね。ミューザの館内放送では盛んに感染症予防の呼びかけをしていましたが、肝心の処でしり抜けにならない様にしたいものです。

 さて演奏の方ですが、オパールグリーン系の色をした厚手の生地のビスチェドレスを身にまとった神尾さんが登場、白い肌に大変お似合いの装いです。

①の『ロマンス』をかなりスローテンポでスタートした神尾さんは、深くはないが真直ぐな綺麗な音で弾き始めました。田村さんのピアノ伴奏もVnのテンポを誘導するが如く随分ゆっくりとした演奏です。何かいつもの演奏より活気がない感じ。これからエンジンがかかって来るのでしょうか?少しけだるささえ感じられ、この「ロマンス」は互いの愛のすれ違いの状況なのかな?等と妄想してしまいそう。後半のテーマの繰返し部になるとやや元気が出て来ました。力強さも出て来てそのまま終了。この曲は大変素晴らしい曲なのですが、若干短いのが玉に瑕でしょうか。この倍ぐらい長くこのロマンティックなメロディに浸っていたいなー。全体的に透明な音です。神尾さんの音出しは素晴らしい、何か神がかっていますね。

《中略》
最後の⑦のサンサーンスのソナタは初めて聴きましたが、一昨日聴いたブラームスの曲にも負けない位新鮮な響きを有する素晴らしい曲でした。神尾さんの力演もみごと、さすがでした。サンサーンスの本格的曲はそれ程接する機会は少ないので、(勿論神尾さんの演奏の素晴らしさもありましたが、)これを聴いてサンサーンスの天才性を感ずることが出来ました。子供の頃は‘神童’と言われたそうです。しかも随分長寿を全うしたのですね。そして多くの曲を作ったのですね。天才マラソン人生ではモーツアルトを凌ぐかも知れません。今後サンサーンスの曲の演奏会に注目していきたいと思いました。