HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

『Wiener Philharmoniker Riccardo Muti Neujahrskonzert (2021)』世界ライヴ放送を観ました  

 昨年11月のウィーンフィル来日演奏を聴いた余韻がまだ残っている1月1日、ニューイアーコンサートが現地学友協会において無観客演奏で実施されました。我が国ではNHKが19時から生放送をしたのでそれを鑑賞しました、感じたことを次に記します。

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ニューイアーコンサート無観客2021

【Programm】

①Franz von Suppè Marsch aus der Operette „Fatinitza”

②Johann Strauß Sohn Schallwellen. Walzer, op. 148

③Niko-Polka, op. 228    

④Josef Strauß Ohne Sorgen. Polka schnell, op. 271

⑤Carl Zeller Grubenlichter. Walzer nach Motiven der Operette „Der Obersteiger“

⑥Carl Millöcker In Saus und Braus. Galopp nach Motiven aus der Operette „Der Probekuß”

— Pause —

①Franz von Suppè Ouvertüre zur Komödie „Dichter und Bauer”

②Karl Komzák Badner Madln. Walzer, op. 257

③Josef Strauß Margherita Polka, op. 244 

④Johann Strauß Vater Venetianer-Galopp, op. 74 

⑤Im Krapfenwald’l. Polka française, op. 336

⑥Neue Melodien-Quadrille, op. 254 nach Motiven aus italienischen Opern 

⑦Kaiser-Walzer, op. 437

⑧Stürmisch in Lieb’ und Tanz. Polka, op. 393 

⑨Johann Strauß Sohn Frühlingsstimmen. Walzer, op. 410 

⑩An der schönen blauen Donau. Walzer, op. 314 

⑪Johann Strauß Vater Radetzky Marsch, op. 228

 

【感じた事】

 今回はスッペの曲がいくつか演奏されました。ムーティの意向だそうです。

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 事前の会見でムーティは次の様に述べています。 

"スッペは自分が半分はイタリア人だと感じていました。今年の演目の一部はイタリアと関係の深い作品が選ばれています、「マルゲリータ・ポルカ」や「ヴェネツィア人のギャロップ」などがそうです。第2部の冒頭に演奏する「詩人と農夫」序曲は、典型的なイタリア・オペラの要素を持った音楽です。そして内容面では、特にメロディはオーストリア的と言えるでしょう。それゆえこの序曲は、時には諍いもあったが、今は非常に友好的な関係にあるイタリアとオーストリアとを結びつける作品ではないでしょうか。イタリアとオーストリアという2つの側面を。まさに友好の証左であり、しばしば政治面での統一よりも、音楽家がヨーロッパ内の国境の垣根を取り払ってグローバル化を推進していた感がある18世紀を思い起こさせてくれます。この時代に、サリエリはウィーンで、ケルビーニはパリで、チマローザはサンクトペテルブルクで、メルカダンテはスペインで活躍していました。音楽にはこうした国や文化の境を超えていく力があります。スッペはオーストリア的なものとイタリア的なものをミックスさせた存在でした。正確に申し上げるとスッペは現在ではクロアチアに属するダルマツィア出身ですが。”

 またニューイアーコンサートにおいては、バレーが非常に重要な役割を演じています今回の殺風景さを緩和する働きをしたと思います。

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 後半の曲で、カッコウの鳴き声が、本物よりも優しく深い森の感じを醸出す音でした。面白い楽器があるものですね。

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カッコウ笛

 終盤の曲で、ティンパニーが猛スピードでダダダダダダダダと長く演奏し、曲を終えるものがありました。何とティンパニーの力強さが感じられたことでしょう。

 以上を指揮したムーティは7回目の出場とのことでした。学友協会の大ホールはいつもながらの花々で飾り付けがされていましたが、観客席はがらんどう、花飾りがむしろ皮肉にさえ感じられます。ウィーンフィルの演奏はいつもと同じなのでしょが、何か殺風景な雰囲気が漂い、空の客席からの獏寂がホール全体のみならずコロナ禍に沈黙する世界全体に広がる様な錯覚に捉われました。11月の来日公演の時の感動に程遠いものでした。

 拍手をするエクストラを事前に世界中から募集し、演奏最後近くに拍手声援の音声が会場に届けられました。やはり臨場感がありました。

 思うに演奏⇒観客の声援⇒演奏⇒拍手喝さい、声援、このボールのやり取りが音楽会に置いて非常に大きな役割をしていることが明らかです。今回のニューイアーコンサートを見て、切実にそれを感じました。音楽は演奏者だけでなくそれを聴く観客との共同作業で魂が入る、創りあげられるものだとつくづく思います。