3月以降、主だった演奏会は軒並み延期や中止に追い込まれ、かなりの枚数買っていたチケットの払い戻しに時間をとられてしまった。たいていは近くのコンビニ発券なのですが、中には遠くのコンビニや演奏会ホールのチケット売り場発券のものもあり、横浜在住なものですから、東京に足を運ぶのは感染が怖いこともあって、行く機会があるまで、そのままになっている券もありました(郵送方式はややこしく煩わしいのでその手続きに時間を割きたくなかった)。例えばサントリーホール発券チケットや東京文化会館発券チケットなど。ところが、先に述べましたが、活動再開により、今週の今日6/25(木)にサントリーホールで、オルガンコンサートが行われるということが分かりました。払い戻しがてら、それを聴ければラッキーだなと思い、webで申し込んだのです。うちの上さんには、”何も感染者が再び増え始めている東京に、今行かなくともいいのに”と、謂われましたが ”もうストレスも限界、兎に角、生の音を聴きたい”とサントリーホールのコロナ対策や自分も細心の注意をするからと説明して、サントリーホールに出掛けたのでした。
【久振りに見るサントリーホール】
【コロナ対策しっかりの受付】
【ホワイエの営業はすべて無し】
本当に何カ月振りでしょう?生演奏を聴くのは。どんな楽器であれ耳に直かに伝わってくる楽器からの音の感触には、如何なる電子的機器からの音も及ばぬ特別な迫力と楽曲の存在感が有ります。今回はオルガンの演奏です。演奏は徳岡めぐみ さんという方で、当初予定していたハンガリーのオルガニストが来日出来なくなって代わりを務めるそうです。
【懐かしいオルガン】
【観客はまばら】
サントリーホールによれば、今回の観客数は400人程度に絞ったらしく、大ホールは2000席位として計算すると、1/5~1/4位になるので、本当にパラッと間隔を開けて座っている感じ。演奏終了後の退場は、座席のブロック毎に順次退席してロビーが密にならない様、気を配った運営でした。係の人の話では、昨日は、東フィルの演奏会があったらしいのですが、やはり主催者が500人位の観客に絞り、三密を避けて開催したそうです。チケットは買えなかったので、聴きませんでしたが。
今日のオルガン演奏の曲目は、
①J. S. バッハ作曲『幻想曲 ト長調BWV 572 「ピエス・ドルグ」』
②J. S. バッハ作曲『狩りのカンタータ』BWV 208 より「羊は安らかに草を食み」
③リテーズ作曲『大オルガンのための12の作品』より「リート」
④ギルマン作曲『ヘンデルの主題による宗教的行進曲』作品15-2
の四曲でした。
①のバッハのオルガン曲は、約8分、出だしは高く細い音を出す管から、軽妙な調べがほとばしり、1分程続いてその後かなり重厚な音の重なりが主旋律を繰り返す様に響き、終盤で分散和音が次第に速くなりつつ、最後はずっしりと腹に響く音で終えた。
②は、バッハの初期の世俗カンタータで、15曲から成りますが、今回は、第9曲の『羊は安らかに草を食み』のみ(4分程度)。過去によく耳にした聴き慣れた有名な柔らかいメロディが流れ出しました。原曲は、リコーダーと通奏低音に合わせてソプラノが歌いますが、今回のパイプオルガンの演奏では、冒頭、やや速いテンポで尺八の如き枯れた音のパイプが鳴り出し、同じ主題を異なったパイプ群が、何回か繰り返して終了、目を閉じるとイングランド(ドイチュラントでなく)の田舎の羊牧場風景が、瞼に浮かびました。
③の曲は7分程度、比較的低音の小じんまりした音がゆったりと響き、バッハの調べとは異なる何か神秘的な雰囲気も醸し出していた。時々高音が混じり中盤に太いパイプの音が広がったがすぐに最初のかすれた様な音に戻って終わりました。
最後の④は、比較的低い音でスタート、この曲の元となったヘンデルのメサイアからの良く聞くメロディの主題が、高音の分散和音などでいろいろと変奏され、中間付近で一旦静まり返り再び大きな音に返ると最後は轟音を立ててゆっくりと曲を終えました。確かにこのコロナ禍という人類の苦しみを、救済して欲しいという願いに、明るい光を投げかけるが如き、力が沸いてくる様な気分になる曲で、それ行けドンドンの力強い演奏でした(6分程)。
全演奏は30分間と短時間でしたが、曲が終わる度に大きな拍手が起こりました。帰路についた時には晴れ晴れとしたとても嬉しい気分に満たされていた。
持参したうがい薬でうがいし、手洗いは念入りに実行、寄り道せず急ぎ足で駅に向かいました。