一昨日と昨日はエーテボリ交響楽団の4月4日のライヴ配信放送があるのを前に、録画を二曲聴いたのですが、今度は4月1日にマリンスキー劇場で演じられたバレエ『青銅の騎士』の放送(配信マリンスキーTV)を見ました。演奏はゲルギエフ指揮マリンスキー劇場管弦楽団、バレエ、マリンスキー・バレー団。私はバレエの演奏を国内劇場で見たことはないのです。NBSから郵送される様々な海外バレエ団の来日公演案内には見向きもせず、オペラのチケットだけに興味を示しました。今回のライヴ放送(実際は24時間以内に見れる録画)がゲルギエフ指揮だと書いてあったのでそのオケ演奏に興味を持って画面を開いてみたのでした。彼の指揮は、今年11月のウィーンフィル来日演奏で聴く予定にしているので、耳慣らしのつもりでした。ところが画面のバレエ団の踊りを見ていると、その服装はオペラ並みに着飾って、踊りと言うよりオペラと同様に、一つの物語を演じるダンシングプレイ、演舞、演技ですね。もち論その筋道は作家により物語られているのでしょう。見ていて踊りはもちろん奇麗で上手で素晴らしい身のこなしで、あれで歌が歌えたらオペラとバレエをアウフヘーベンした新分野の芸術が切り開かれるのではないかと思われるほど、ストーリー性を帯びたものなのです。これは少しカルチャーショックでした。バレエをこの年になるまで全然理解していませんでした。バレエと言えば白鳥の湖のようなメルヘンティックな夢物語か、オペラの合間に踊られる寸劇性の演出位にしか考えていませんでした。これはひょっとしたらオペラ並みに面白いものなのかな?この物語は一体どういうものなのだろうか?と興味を持ったので、放送を見ながら『青銅の騎士』についていろいろ調べてみました。『青銅の騎士』はレインゴリト・グリエールによるバレエ組曲の音楽で、帝政ロシアの末期を飾る大交響曲『イリヤ・ムロメッツ』、革命以後のソ連を代表するバレエ音楽『赤いけしの花』などで、大作曲家としての地位を揺るぎないものとしたそうです。ただこの『青銅の騎士』が演じられる機会はめったになく非常にレア物の様です。
タイトルの由来は、実際に見たことがないので分かりませんが、ロシアのペテルブルグ元老院広場にある「ピョートル大帝の銅像」からとった名称だそうです。ストーリーは、その銅像に象徴される騎士に、追いかけられる幻想を抱く主人公エフゲニが、恋人パラーシャを洪水で失い、気も狂わんばかりに青銅の騎士に対決しに向かうといった、一種のドン・キホーテ的な人物像なのでしょうか? もちろんバレエですからスマートでイケメンな若手の男性ダンサーと、美人ぞろいの女性バレリーナをそろえて踊っているので、その奇麗で動きの見事なことといった例えようもありません。民衆が集まって集団で踊る場面でも、コサック的なダンスもあれば、サーカース的踊り、動きもあり目が離せません。それぞれ意味するところがあるのですね。オペラと同じです。前もって知っていると、さらに面白さが増すのでしょう。洪水の場面などオペラと同じですね。白い大きな布を風などの力で波立たせ、そこを主人公が泳いで恋人を助けようとするも、船の人々に拾い挙げられるといった演技もありました。そういった訳で、最初はゲルギエフの指揮とオケの演奏を集中して聴く訳だったものが、関心はいつしか舞台の踊りの方に移ってしまっていて、どのようなオーケストラの特徴なのか、ゲルギエフの指揮ぶりがどうだったかも、定かでない結果に終わってしまいました。バレエが癖になったら怖いなー!!どうしましょう。これ以上新しいことに踏み込んだら一日50時間あっても足りません!