昨日の記事にも書きましたが、①ベートーヴェン作曲『ピアノ協奏曲第2番』を、スウェーデン、エーテボリ交響楽団がホームの演奏会ホール(エーテボリ ホール)で演奏した録画を、結構大きな画面のデスクトップパソコンで観たのですが、非常に映像も音声もクリアで、良い意味での「意外」な感じがしたので、さらに今日、同交響楽団による②ベートーヴェン作曲『交響曲第1番』の録画も観ました。何れの録画も「コロナパンデミック」により演奏会が中止となった代わりに、同交響楽団が、“The concerts can be enjoyed for free for anyone on the web or through our app – wherever you are.”ということで、ライヴ配信or録画を無料で公開しているものの様です。この楽団は120年近くの歴史を有するスウェーデンの国立管弦楽団でもあります。また上記ホールは音響が良いことで有名らしく、道理で録音もいい音で聴ける訳です。①の指揮者は、Santtu-Matias Rouvaliという随分と若く見える男性で、なかなか柔軟な身振りと大きな手振りで指揮をしていました。ピアニストはMarie Kodama 。その名とその顔立ちから考え合わせると、日本人の血が混じっている女性の様に見受けられました。軽々と楽々と切れが良い音で弾いていましたが、重量感があまり響いて来ませんでした。使っているピアノのせいかな?スタンウェイかなと思ってピアノが映った時は刻印が書いてないか目を凝らして見ていたのですが、何も書いてありませんでした。白鍵の白さから真新しいピアノだということは分かりますが。指揮者との呼吸もあっていたと思います。
②の指揮は①と同じです。オケは典型的な2管編成、ベートーヴェンの初期の作品はこの規模で演奏されることが多い。この1番のシンフォニーは、昨年の大晦日に小林研一郎さんが『ベートーヴェン交響曲全曲演奏会』を指揮した時、以前にも増してこの曲の良さが心に滲みたので、気に入っていたのです。(文末にその時の記事を再掲しておきます)
この録画は本当にアンサンブルが、弦も管も打が加わった時も一点の濁りもなく響き、スーと気持ちに入って来ました。特に第4楽章の終盤が好きですね。また最後のジャンジャンジャンと終了する処で指揮者はスピードを少し早めながらオケを引っ張って行ったのは、若さが出ていて良かったと思う。見ごたえのある演奏でした。
ところで、コロナ感染者は増える一方ですね。特にここ数日の増加はまさにうなぎ登りです。漫然と同じ様なアナウンスを市民に警告しているだけで良いのでしょうか?
≪再掲≫
『1~9交響曲半日で演奏』小林研一郎ベートーヴェン全曲演奏会
大晦日の2019.12/31(火)東京文化会館で小林研一郎さんがベートーヴェンの交響曲を1番~9番まで全曲を振るというので、聴きに行きました。この演奏会は今年が初めてでは無く、以前から毎年行っているそうですが、確かコバケンさんは80歳近くのご高齢の筈で、この機会に聴いておいた方がいいと思ったからです。もう一つの理由は、これまでベートーヴェンのシンフォニーはちょくちょく機会があり、録音でもよく聞いているのですが、考えてみると聴いている曲は大体同じものが多く、1番とか2番とか4番とかはほとんど聴いていないか、1番などあれっ、どんな曲だっけ?と思い出せない状態だったのです。他の演奏会を聴きに行くのに忙しく、同じ状態がまた次の年も続くのを避けるには、全曲を一気に聴ければそれに越したことはないと考えたからです。でも行くまでには相当の決心をしました。不安の一番はやはり長時間(休憩を挟んで13:00~23:55、約11時間)という長時間の演奏会です。しかも大晦日ですから例年の家の行事を欠席せざるを得ない、しかも横浜在住なので帰宅の交通手段のことも不安でした。また元旦には親戚家族が一家で泊まりに来ることも懸念材料だったのです。それに最近長時間のオペラなど聴きに行くと、情けないことに結構腰が痛くなってシップ薬をはったりして、体力にも少し自信が持てなくなってきていたのでした。うちの上さんの言うことには「これから益々年取ったら行けなくなるから今のうちに行って来たら!」と一喝され、背中を押されたのでした。
でも演奏会を聴き終わって率直な感想は、指揮者の命もかける程の必死(至?)の演奏と比べたら、自分の気持ちの弱さ甘さの何たるや、穴があったら入りたい様な気持ちになりました。というのも演奏会の状況だけでなく、昨日元旦の夜NHKラジオを付けたら「ラジオ深夜便」を放送していて、丁度コバ研さんが新春インタヴューで話をされていたのです。その中で、45年前のブタペスト国際指揮者コンクールに挑戦した時の話として、まず受験資格からして苦労に苦労を重ね、ついに“女神がほほ笑んだ”、優勝できたという話を、決して流麗ではないが、訥々とした語り口で語っていて、その逆境に置かれた時の発想の転換が非常に前向きなのです。仲々真似出来ることではないですが、大変参考になりました。
1番から9番を聴いてこの日私にとっての一番の収穫は、交響曲第1番がこんなにも素晴らしい曲に聞こえるとは思っても見ませんでした。何でもっともっと聴かなかったのだろう?若い時の聴いた印象が年経た今とはかなり異なり、ずっと忘れていたのかコバ研さんの演奏指揮が素晴らしかったのか、何れにせよこれからはお気に入りの一つに加わりそうです。好みは年齢と共に変わるものだ、ということは知っていました。昔は1番から9番の中で6番が一番好きでした。ところがここ10年来8番が一番好きになったのです。8番は他と比べると全体構成というか建築物に例えれば樹齢百年杉材を使った堂々たるドイツ古民家という風情からは程遠いですが、ドイツ的重苦しさを脱した明るさを感じるのです。これは私だけの印象かも知れません。10年ほど前にウィーン学友協会の音楽会終了後に購入した「GOLDENE KLANGE AUS DEM MUSIKVEREIN」CD 2枚組(8番はウィーンフィル演奏)をたびたび聴いて帰国後もウィーンの街を思い出していたからかも知れない。そういう訳でコバ研さんの8番を聴き終わった時には思わず歓声を上げていた自分でした。
8番と9番の演奏のあい間に、ピアニストの横山さんが、リストがシンフォニー9番の4楽章をピアノ用に編曲した曲を特別演奏するということで、ステージにピアノが運び込まれました。“大変な超絶技巧曲で難しい曲です”という説明があったので、演奏を聴きながら運指を観察していたのですが(鍵盤が良く見える席でした)、全体的に非常に速いテンポの曲なのですが、途中3回程、左手で速いパッセージの指使いをしながら、1オクターブくらい飛んで弾いてはまた戻りそれを繰り返す箇所がありました。でもその他は右手も左手も(ピアニストではないので、その難易度は分かりませんが)非常に大変な超絶技巧という感じは音からも感じられませんでした。演奏後の聴衆の反応はすごかったですよ。
さて最後の9番合唱付きになりました。Soloはソプラノ市原愛、アルト山下牧子、テノールジョン・健・ヌツィオ、バリトン青山貴の各氏。独唱の番が来ると、ソリストたちは次々と立って、大声を張り上げました。まずまずですね。テノールがやや弱かったかな? 合唱は武蔵野合唱団、先月武蔵野音大の定期演奏会で荘厳ミサ曲を聴いた時の合唱団は「武蔵野音大合唱団」でしたが、今回はメンバーが異なるのでしょうね。かなり年配の方の顔も見えましたので。大学合唱団+OB+関係者(または所謂第九を歌う会の如き)混成チームでしょうか?150人くらいはいたでしょう。合唱は別に人数が多いといいとばかりは言えないのですが、ある程度のレベルに達した合唱団員だと多い方が迫力が断然違いますね。合唱の番が回ってきて、最初の合唱は透明度がすんなり耳に届いて来なかったのですが、2回目3回目の繰り返しの大合唱になるとオケとも相まって会館を揺るがす様な素晴らしい響きを轟かせました。終了が零時5分前、アンコールがあるのかと思いましたが、さすがにコバ研さんは疲労困憊のご様子、予定曲終了で「明けましてお目出等御座います」の時刻になり、解散となりました。ところがロビーに出てみると、ものすごい人だかり、全然見えないのですが、何人かの奏者(弦楽奏者数人+若干の管奏者か?)を取り囲んでいる。そうしているうちに‘日本で一番早いNEW YEAR コンサートです’という声がし『青き美しきドナウ』の演奏が始まりました。携帯を高々と掲げている人もいます。群衆で奏者は全然見えないのですが、音楽はまじかで聴こえてくる。携帯を出してカメラモードにしたら、電池残量不足になっていて撮れません。充電器は所持していたのですがカバンの底ですし、しばらく聴いていて、そうだデジカメにビデオ機能があったのだと思い出し、デジカメで録画モードにし高々と掲げて曲の最後まで(曲の後半だけ5分位でしょうか)撮りました。家に帰ってから再生してみると、何分デジカメですから音質は良くないですが、奏者は全然移っていないものの静かに聴く群衆の雰囲気と最後の大拍手歓声はやはりNEW YEAR を感じさせるのに十分なものでした。
今回の演奏会で特記すべきはやはり冒頭にも述べたコバ研さんの迫力及び以外と省力化した指揮スタイルだと思います。
演奏者は曲ごとに次々と入れ替わりがあったのですが、指揮者の他にマロこと篠崎さんが、コンマスとして、全曲演奏していたこともすごいことだと思いました。50歳台といっても60に近い方でしょう。篠崎さんの演奏は、12月初めに「ブラームスVnソナタ全曲演奏会」を聴いたのですが、その時の感じとして、スーと力を抜いて演奏するのが上手な方だなという印象でした。マロさんも省力化した演奏スタイルなのでしょうね、きっと。
オーボエが複数の番号の交響曲で大活躍するのですが、男性の首席奏者でしょうか?素晴らしい音でオーボエのだいご味を感じさせて呉れました。Ft首席の音も良く鳴っていました。
(追雑記)
大みそかには毎年家で必ず年越し蕎麦を食していたので、9番の前の休憩時にそばを食べようと思ったのです。でも2000人もの聴衆が休憩になり夕食をとりに食堂に入る人も多いでしょうから、上野では無理だと思い、電車に乗って神田まで行きました。その界隈で一番有名な「神田藪そば(明治19年創業)」は、年末は休みだということを思い出し、駅近くの蕎麦屋が並ぶ行列もなかったので、そこで急いで注文し食べて、すぐ電車で上野に戻ったら残り時間は30分程ありました。駅中のカフェで一服し少し元気を戻して演奏会場に再入場したのでした。
NEW YEAR コンサートを聴き終わったら零時半近くになっていましたが、運良く京浜東北線が動いていて横浜まで行き、さらに私鉄で待ち時間があったものの家の近くの駅まで帰り着くことが出来ました。2時近くになっていました。あー疲れた!元旦の来客の接客は家内に任せて昼近くまで寝ていました。起きたら皆おせちを囲んで一杯機嫌になっていて、私の方を見てあきれた顔をしていました(僻目かな?)。