場面は変わってキービヒ家のそばの岸辺です。ここで演出は映像で、ライン河が上流から真直ぐに岸辺の方に流れ下りやや右方向に湾曲している風景を映している。第一幕では岸壁からこの岸辺に到達したジークフリートは下流から遡ってきて上陸した筈なので、やや違和感を感じました。岸壁には複数の祭壇やら祭祀するための建物が見えます。一人うたたねしながら待つハーゲンに夢の中で、アルベリッヒ(ハーゲンの父?)が、ジークリフトへの復讐をささやきそそのかします。アルベリッヒ役の志村文彦の弱い歌声が何とも不気味な雰囲気を醸し出している。最もイントロのオケのも暗い調べで今後の不吉を暗示していました。ジークリフトが上陸し、ハーゲンがグートルーネを呼出し、ジークとグートルのやり取りの歌い合う場面、グートル役の安藤赴美子はそれにしても日本人としてジークに見劣りしない歌い振りで、様々な疑問をジークに問いただす歌声はジークを愛し始めている雰囲気を良く出していました。グンターに手を引かれながら現れたブリュンはうなだれたまま、グートルとジークが結婚すると分かると、苦痛の声を張り上げて、以後最後まで泣き叫ぶが如き大声で、張り裂けんばかりに歌っていた。ミュターの声は益々張りが出て大きく響き、これらの場面に相応しい雰囲気を作り出していました。それにしてもジークの行いはびっくりするほどの裏切りですね。先ずグートルに一目ぼれしたのも、その後ブリュンにグンターを娶せる陰謀に加担したことも裏切りそのものです。間もなく第三幕開始です。