先月の1月1日元旦に,NHKテレビ1チャンネルで13:05分から『スタニスラフ・ブーニン復活への軌跡』というNHK放送が有りました。しかしその時間帯には能登半島での群発地震の予報、警報がなされていて、16:10には最大震度7の大きな揺れが当該地方を襲い、午後19:00からの『ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート』の実況放送も中止になる等、NHKテレビ放送も混沌とした状況でした。挙句に翌日には羽田空港での航空機の衝突大火災事故まで発生して、地震の影響が連鎖災害まで引起し、大きな被害があったというニュースで溢れていました。従って上記ブーニンのテレビ番組は落ち着いて見られなかったので、録画を撮っておき、今回改ためてじっくり見ました。以下に見た内容の記録を画像を交えて記しました。
そもそもブーニンが演奏活動から突如消え去ったのは、怪我と病気によるものだったそうです。それで手術やリハびりやら大変な思いをして、復活に向けた演奏活動にこぎつけた苦節10年の物語でした。
振り返ればあれは、1985年のショパンコンクール。ブーニンは圧倒的演奏で他を制し、第一位に輝きました。
国技館での演奏会開催は、日本のクラシックピアノ史上の語り草になっています。
そして昭和女子大人見講堂でのリサイタルに臨んだのでした。
我が国で今を時めく若手ピアニストの一人、亀井聖矢さんが、ショパンコンクールに向けて、練習状況に対するアドバイスを求めて来たのでした。
ブーニンは全国ツアー演奏会の計画を進め、先ず思い出深い八ヶ岳高原音楽堂からスタートすることにしました。
この風景は滅多に見られません。冬ピアニストの手が悴んでしまわない様に、事前に奥様がカイロを敷き詰めたというのですから凄い!
『冬空に 戦さに向かう 主思いは 藤吉郎か大和撫子』
そのうち鍵盤がスイッチ一つで温まる機構を組み込んだピアノが、発明されるかも知れませんね。でもヒーターを組み込んだのでは、音が狂ってしまうかも知れない
兎に角ブーニンを復活させようとする栄子夫人の執念が凄い!
体の復調がまだ完全でない状態でのツアー演奏会に踏み切ったのは、ある人の訪問を受けたことが大きな切っ掛けでした。
ある人とは、そう,、ブーニンとコンクールで覇を競ったフランス人ピアニスト、ジャン=マルク・ルイサダです。コンクール以降、彼はブーニンの最良の友となった様です。(ショパンコンクールを目指す若手ピアニストでルイサダの指導を仰ぐ人は多いみたいですね。)
八ヶ岳、長岡と演奏ツアーをこなしたブーニンの次の演奏地は関東地方に入り、川口で行われました。
ショパンコンクール後ブーニンは演奏会の他に積極的に慈善活動に励み、多くの人々をピアノ演奏で励ましました。
そして次のツアーはいよいよ東京です。
夫人が「笑顔でね」と言うとブーニンは日本語で剽軽な調子で❝エヘヘヘヘ・・・❞とふざけたのでした。こういう側面があったのかと以外に思うと共にここまで日本化しているんだと栄子夫人の影響力の大きさに感心しました。
思わず涙ぐむ栄子夫人。万感の思いだったのでしょう。
この❝惚れ直した❞と言った時、満顔の満足の表情でした。
❝遅いんです❞と二回も言うのですが、決してたしなめる調子ではなく、こんなにも優しく言う言い方があるのだと感心する程でした。
尚、この番組は、2月17日(土)13時からBSプレミアム4Kで再放送されるそうです。