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綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

キリル・ペトレンコ指揮『Be Philオーケストラ演奏会』を聴く

【日時】2023.11.26.(日)19:00~

【会場】サントリーホール大ホール

【管弦楽】Be Philオーケストラ

【指揮】キリル・ペトレンコ、(ラファエル・ヘーガー※)
【独奏】樫本大進(Vn.)
    ルートヴィヒ・クヴァント(Vc.)
【曲目】

①ブラームス『ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 イ短調 Op. 102』(指揮※)

 

(曲について)

 ブラームスの作曲した最後の管弦楽作品である。優れた独奏者でなければ演奏効果の上がらない難曲である。その後ブラームスはピアノ曲や歌曲、室内楽曲の作曲に専念。

本作はブラームスの以前の協奏曲(ピアノ協奏曲第2番ヴァイオリン協奏曲)が下地となっているほか、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトフルートとハープのための協奏曲ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン三重協奏曲、そしてバロック音楽時代における合奏協奏曲といった先例の影響が指摘されている

 

②プロコフィエフ『ロメオとジュリエット』

組曲第1番 Op.64bis(1936年)、

組曲第2番 Op.64ter (1936年)

より抜粋

 

(曲について)

Ⅰ.「ロメオとジュリエット」第1組曲 op.64bis(1936年)

作曲者の気力が漲っている。しかし耳につくメロディーはなくて、親しみやすさもほどほどであるため、評価の仕方に困るところがる。7曲の組曲はバレエ音楽の大家らしい充実ぶりではある。無機的な前衛派が大衆に分かりやすいながらも内容を膨らまして書いた努力の結実がバレエ音楽の作曲家として知名度を獲得するのに結びついたのが伝わってくる。6曲目はかなり感動的。


Ⅱ.ロメオとジュリエット」第2組曲 op.64ter(1936年)

第一組曲とはだいぶ雰囲気が違う。小ぶりで親しみやすく心が温まるような感じで、まるでグリーグの音楽のよう。第1組曲は壮大さに力点を置いた力作というのがよく分かる。どちらが好きかは好みによるだろうか。個人的には第2組曲は刺激不足であり後半は飽きてくる。しかし、1曲目が有名な曲であり、まさに掴みはOKである。これが大きいのだが、そのあとはリカバリーしないまま期待はずれで最後まで続くが、最後の曲でようやく面白くなる。

 

<参考>これら以外に第3組曲も有り、以下の様です。

「ロメオとジュリエット」第3組曲 op.101(1944年)

 最後のジュリエットの死は感動する爛熟した美の沼にはまるようだ。他の曲も演奏がよいせいか、強く情感に訴えたり、響きや音使いが適度に新奇な面白さがあるなど、見所が多くある曲に聞こえる。3曲目のジュリエットの曲もかなりのもの。作曲年代から残り物を集めた組曲かと予想されたが、思ったよりよい響きを有している。

 

Be Phil オーケストラについて(主催者)
   About the Be Phil Orchestra

 <Be yourself – Be music – Be Phil>


ベルリン・フィルとキリル・ペトレンコによる国際的なコミュニティ・プロジェクト
「Be Phil オーケストラ」。
キリル・ペトレンコ、ラファエル・ヘーガー、樫本大進、ルートヴィヒ・クヴァントらも参加、選ばれし日本のアマチュア音楽家たちによる一夜限りの夢のコンサート開催決定!

この11月、首席指揮者キリル・ペトレンコとともに初めて日本を訪れるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団は、アジア・ツアーの一環として、世代を超えた特別なアウトリーチ・プロジェクトを始動いたします。

そのプロジェクトとは、<Be yourself - Be music - Be Phil>をモットーにした「Be Phil オーケストラ」。
キリル・ペトレンコ指揮のもと、日本のアマチュア音楽家がベルリン・フィルのメンバーと共にコンサートを行うというユニークな機会が提供されます。ベルリン・フィルは長年にわたり、特に社会的に困難な時代において、音楽が持つ人と人とを結びつける力を信じてきました。当楽団と世界中のファン・コミュニティを結びつけるのは、クラシック音楽への愛です。「Be Phil オーケストラ」のプロジェクトを通じて、ベルリン・フィルのメンバーが、現地の人々と音楽的にも個人的にも直接出会う機会となります。リハーサルの過程と本番のコンサートという共通の目標は、オーケストラのメンバー一人ひとりが重要であり、共に協力することでしか成し得ません。「Be Phil オーケストラ」のプロジェクトにより、今後数年間の演奏旅行で、音楽愛好家との目に見える継続的なネットワークが形成されることになるでしょう。日本がそのスタートとなります。

すでに今年7~9月にかけて、オーケストラのに参加するアマチュア音楽家約100名を募集。ベルリン・フィルのメンバーによる選考を経て選ばれた精鋭たちは、首席指揮者キリル・ペトレンコの指揮による「プロコフィエフ:『ロメオとジュリエット』組曲(抜粋)」と、ベルリン・フィルの打楽器奏者ラファエル・ヘーガーが指揮する「ブラームス:ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲」を演奏するため、11月にはリハーサルに臨みます。ブラームスのソリストには、ベルリン・フィル第1コンサートマスターの樫本大進と、第1ソロ・チェリストのルートヴィヒ・クヴァントが参加。そして、両作品のリハーサルでは、ラファエル・ヘーガーを始めとするベルリン・フィルのメンバーが指導する予定です。こうしたリハーサルを経て、11月26日(日)サントリーホールでの一夜限りの夢のコンサートが実現します

選ばれし日本のアマチュア音楽家たちとキリル・ペトレンコ、ラファエル・ヘーガー、樫本大進、ルートヴィヒ・クヴァントらが共演する一夜限りの夢のコンサートにご期待ください。

 

【演奏の模様】

①ブラームス『ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 イ短調 Op. 102』

今日のサントリーホールもホワイエは人でごった返し、ホール内は満員御礼(主催者の話だとP席を数席当日券で販売したとのこと、P席でも全て同じ価格六千円、)特に若者や学生、音楽学徒と思しき人が目立ちました。舞台に登壇した奏者も若い人が多いのですが、各パートにはベテラン風の年配者も二三人(応援奏者?)見掛けました。

【楽器編成】 独奏ヴァイオリン(樫本大進)、独奏チェロ(ルートヴィッヒ・クヴァント)

管楽器フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2

金管楽器:ホルン4、トランペット2

二管編成(上記通り)弦楽五部16型(16-14-14-10-8)

その他:ティンパニ

指揮者はベルリンフィルのパーカッション奏者、ラファエル・ヘーガーです。

全三楽章構成

第一楽章 Allegro

第二楽章Andante

第三楽章Vivace non toroppo  

 大進さんとクヴァントさんの掛け合いは、同じ釜の飯の同僚ならではの互いの癖、息使いまで熟知していると思われる程、息のあったものでした。勿論お二方ともテクニック、表現力は万全、かなり高度な技を有すると思われるこの難曲も何なく弾きこなしていました。

①-1
 オケのテーマ奏スタートに続き、Vcが重音でソロを奏で始めました。音の変化が安定した深い良い調べ。ソロVcが強いPizzicatoをはじくと管弦が鳴り始め、木管の合いの手が入り、続いてソロVnが演奏し始めました。そのままソロVnとソロVcが二重奏を奏でます。あくまでもVnが主導、いかにもブラームスらしい旋律です。続いて弦楽アンサンブルと管楽のフルオーケストラが鳴り響き、ソロは暫し一休止です。管弦のテーマ奏、アンサンブルは思っていたより素人臭は微塵だに感じず、揃ったいい音です。再度Vc⇒Vnの順にソロが入りました。ソロとオケが交互に自己主張する場面が目立つ楽章で、将に二重協奏に相応しい。オケがソロと併奏する時は、マイストロは、時折ソリストの方を向き、オケを抑制気味に導いていました。長い楽章で、20分程も演奏していました。  Vnの音質は、熟達した音です。高音部のppなどとても綺麗な繊細な音が出ていて、低音部の重音は荒削りの処も有りますが、かえってそれがブラームスの力強さを表現するのに適した演奏になったと思います。

 この楽章後半に入るとソロVc.が誘因となるソロVn.の独奏が目立ち、高音の速いテンポでオケを背景にしても活躍、Vc.がそれを制するが如くゆっくりした落ち着いた旋律を奏でると、ソロVn.も落ち着きを取り戻して、ゆっくりとメロディを競り上げて一段落した後、オケが、♪ターラタ、ターラタ、ターララッタ、ターラ ターラター♪と単純だけれど人懐っこい旋律を斉奏し、最終部までVn.の高音の甘い調べを中心として展開、ここは大進さんの腕の見せ所でした。とても繊細な音を鳴らしていて良かった。最後はTimp.が拍子を取り、弦楽アンサンブルのPizzicatoをバックにVc.+Vn.の激しい斉奏で終了です。

 以下詳細は割愛しますが、VcとVnソリストは三楽章終了まで東海道中膝栗毛よろしく、息の合った掛け合いを展開し、オーケストラも良く均整の取れたプロ集団顔負けの素晴らしいアンサンブルの合いの手を響かせていました。大進さんとクヴァントさんはさながら夫唱婦随、どちらかと言えば、ソロVn.主導で曲を引っ張って行きました(勿論2楽章のVc.中心の美しい旋律なども有りましたが)。それにしてもブラームスは、そこかしこにブラームスらしい味わい深い旋律(ブラームス節)を散りばめた曲を沢山作ったものですね。ベルリン・フィルの交響曲4番、ウィーンフィルの交響曲1番それからこの二重協奏曲とこのところ立て続けにミシュランの三ツ星料理店で最高級の味を堪能した気分でした。

(参考)

1.オーケストラによる暗く力強い主題で曲は始まります。これは第1主題の断片です。その後,独奏チェロの渋いカデンツァが出てきます。管楽器が第2主題を暗示するフレーズを演奏した後,今度は独奏ヴァイオリンがカデンツァを演奏します。2つの独奏楽器が絡み合い,オクターブで同じメロディを演奏した後,オーケストラによって壮大に第1主題が演奏されます。このように第1主題の呈示の前に長いカデンツァが続くというのは,珍しい形式です。

第2主題は,第1ヴァイオリンと木管で軽快に出てきます。この主題は,ブラームスとヨアヒムが若い時に好んで演奏したヴィオッティの協奏曲からヒントを得たものといわれています(彼らの和解を暗示しているのでしょうか?)。

続いて,独奏楽器による呈示部が続きます。まず,独奏チェロが第1主題を演奏した後,独奏ヴァイオリンが加わって来ます。途中,スケルツォ風の奇妙なリズムの部分が入った後,第2主題がチェロからしみじみと歌われます。その後,ヴァイオリンと一体になって進みます。最初は優美に歌っているのですが,次第に熱を帯びてきます。激しくなってきたところでオーケストラに移っていきます。

展開部では,独奏の2つの楽器が自由奔放に技巧を駆使して活躍します。第1主題を中心に展開が行われ,第2主題はほとんど出てきません。カノン風の部分でクライマックスとなります。独奏ヴァイオリンがおおらかに音階を上っていくように進行した後,第1主題が壮大に再現されます。第2主題は明るいイ長調で出てきます。再度短調に戻り,最後は,第1主題を展開風に扱ったコーダで堂々と結ばれます。

第2主題
ホルンの伸びやかな音で始まり,管楽器が弱音で受けます。続いて,独奏ヴァイオリンとチェロが非常にシンプルな主題をオクターブのユニゾンで演奏します。この辺りには,室内楽的な寂しさが漂います。中間部は,管楽器でのどかに始まります。独奏ヴァイオリンが優美な旋律を演奏し,独奏チェロがこれを受けます。中間部が静かに終わると,最初の部分が再現されます。最後に独奏楽器が声を揃えて下降していって,静かに楽章が結ばれます。


3.ロンド・ソナタ形式です。独奏チェロの演奏する,暗いけれども軽い動きのあるロンド主題で始まります。これを独奏ヴァイオリンが繰り返した後,全管弦楽が演奏します。木管楽器の軽やかな部分の後,両独奏楽器が短いカデンツァを演奏します。続いて独奏チェロが重音で上向していくような第1副主題を演奏します。独奏ヴァイオリンがこれを受けます。フラジオレットの出てくる技巧的な部分の後,ロンド主題がチェロで再現されます。今度は少し変形されています。

その後,ちょっと休止が入ります。突如,行進曲風の第2副主題が出てきます。この部分は展開部に当たります。この旋律がオーケストラで演奏された後,クラリネットとファゴットによるのどかな部分になります。この後,経過的な部分が続きます。ffで第2副主題の断片が出てきた後,独奏チェロによってロンド主題が出てきます。ここからが再現部ということになります。第1副主題が出てきた後,テンポを少し落とします。コーダでは,独奏楽器が音を合わせて進んでいきます。ティンパニだけのトレモロが入った後,力強く全曲が結ばれます。

 

②プロコフィエフ『ロメオとジュリエット』

1.組曲第1番 Op.64bis、

2.組曲第2番 Op.64ter

  より抜粋 

時間となって大きな拍手と共にペトレンコが登場、指揮台に上ると長い時間指揮者はあたかも黙とうをささげるかの様に俯き加減で沈黙しました。一分、いやそれ以上かも知れない、会場もしわぶき一つなく、シーンと静まり返っていました。これだけの大聴衆が、全くの沈黙の世界に長く沈んでいる光景は初めて見ました。指揮者は恐らく自分も含めて奏者、聴衆の精神統一をはかっていたのかも知れません。

【楽器編成】フルート2、ピッコロオーボエ2、コーラングレクラリネット2、バス・クラリネットファゴット2、コントラファゴットテナー・サクソフォーントランペット2、コルネットホルン4、トロンボーン3、チューバ、 ティンパニ打楽器(奏者2:グロッケンタンブリントライアングルシンバル大太鼓小太鼓 マラカス)、ハープピアノチェレスタ

二管編成(上記の通り)弦五部16型(16-14-14-10-8)

この組曲には,管弦楽用組曲が3つ,ピアノ独奏用組曲が1つあります。今回のペトレンコ版は、以下に示す第2番組曲から4曲、第1組曲から3曲を選んで演奏されました。

○組曲第1番op.64bis
1.民族舞踏(第2幕第1場,第22曲)
ヴェロナの町の広場の場での生き生きとしたタランテラ風の踊り。

2.情景(第1幕第2場,第3曲街の目覚め)
ヴェロナの町の日曜の朝の活気のある情景をファゴットなどを中心に軽妙に描いています。

3.マドリガル(第1幕第4場,第16曲)
キャピレット家の舞踏会場で,ロメオとジュリエットが出逢う場の音楽。その場に相応しくロマンティックなメロディが溢れるように出てきます。これはロメオを表し,フルートに出てくるメロディはジュリエットを表します。その後,オーボエに出てくるメロディは「ジュリエットの愛の目覚め」の主題です。

4.メヌエット(第1幕第3場,第11曲客人たちの登場)
キャピレット家の外。舞踏会に招かれた客人が着飾って屋敷に入っていく場面の音楽。開宴を示すような演重量感のある音型に続いてきびきびしたメヌエットが続きます。中間部にはコルネット独奏が入ります。

5.仮面舞踏会(第1幕第3場,第12曲仮面)
前曲メヌエットに続く場の音楽。マーキューシオはロメオとベンヴォーリオを誘い,仮面で変奏して宿敵のキャピュレット家に忍び込みます。トライアングル,タンブリン,小太鼓の軽妙なリズムが印象的なプロコフィエフらしい行進曲です。

6.ロメオとジュリエット(第1幕第5場,第19曲バルコニーの情景)
舞踏会の後,バルコニーでロメオとジュリエットが静かに愛を語る場です。ここでもヴァイオリンがロメオで,フルートがジュリエットです。その後,音楽は盛り上がり,「ジュリエットの愛の目覚めの主題」がイングリッシュホルンとチェロで演奏されます。

7.タイボルトの死(第2幕第3場,第34マーキュシオの死~35曲ロメオはマーキュシオの死の報復を誓う)
親友マーキューシオを殺されたロメオがタイボルトに決闘を申し込み殺してしまう場。全曲中特にドラマティックで,よく知られた音楽です。急速なテンポでスリリングに演奏される前半と重々しく演奏される後半の対比が非常に劇的で,すべてのオーケストラ音楽の中でも特に演奏効果の上がる曲です。

○組曲第2番op.64ter
1.モンタギュー家とキャピュレット家(第1幕第4場,第7曲大公の宣言+第14曲騎士の踊り)

舞踏会の場での騎士たちによる威圧的で重々しい踊り。バレエ「ロメオとジュリエット」といえば,まずこの曲を思い出すほど,印象的な音楽です。まず最初に,不協和音交じりの強烈な響き(バレエ版第7曲の「大公の宣言」が縮小されたもの)が出てきた後,「騎士の踊り」の部分になります。金管楽器の和音の上に付点音符付きのメロディが上下する音楽です。途中,「反目の主題」と呼ばれる不気味なメロディが金管楽器で演奏されます。中間部では,ジュリエットが入ってきて,パリスと踊ります。フルートを中心とした静かな美しさが非常に印象的です。

2.少女ジュリエット(第1幕第4場,第10曲)
舞踏会を前にした控えの間でのジュリエットの揺れる気持ちを描いた音楽。駆け上がるようなヴァイオリンのキビキビした音形を木管楽器が受けるようなメロディです。その後,憧れに満ちたようなメロディがクラリネットやフルートで演奏されます。

3.僧ローレンス(第2幕第2場,第28曲ローレンス草庵でのロメオ)
僧ローレンスの訪ねてジュリエットとの結婚を願うロメオを描いた音楽。チェロの暖かいメロディを中心に穏やかで人間味のある音楽が続きます。

4.踊り(第2幕第1場,第24曲5組の踊り)
ヴェロナの町の広場で芸人たちがカーニバルを盛り上げるために踊る音楽。小太鼓,ハープ,ピアノなどが刻むリズムの上で,オーボエがスラブ風のメロディを演奏します。

5.別れの前のロメオとジュリエット(第3幕第1場,第39曲ロメオとジュリエットの別れ)
タイボルトを殺したためにマントヴァに追放されることになったロメオがジュリエットに分かれを告げるために寝室を訪れる場での音楽。静かなアダージョで二人の心情を描いた後,次第に音楽は悲壮感を帯び,高潮していきます。

6.アンティーユ諸島からの娘たちの踊り(第3幕第3場,第49曲百合の花を手にした娘たちの踊り)
両親が決めた許婚パリスとジュリエットの偽の結婚式の場の音楽。マラカスやタンブリンのリズムの上にヴィオラなどがメランコリックで優雅な主題を演奏します。

7.ジュリエットの墓の前のロメオ(第4幕エピローグ)
全曲の最後の幕の音楽。マントヴァから駆けつけたロメオは既に亡くなっているジュリエットを抱き上げ,自らの死を決意します。悲痛な主題の後,重々しい歩みに音楽は変わって行きますが,最後はあきらめを示すような明るい和音で静かに結ばれます。

 

 

結果的には以下の7曲が演奏されました。

モンタギュー家とキャピュレット家

②少女ジュリエット

僧ローレンス

④踊り

仮面舞踏会

⑥ロメオとジュリエット

⑦タイボルトの死

 

 これまでのプロのオーケストラの演奏を聴いてきた経験から言っても、大変纏まりの有る素晴らしいアンサンブルをホール一杯に響かせたBe Phil オーケストタの演奏は、国内プロのオーケストラの演奏と比べてもそん色の無い位だったと言えるでしょう。

このオーケストラは、いわば「斎藤記念オーケストラ」のベルリンフィル版、しかも指揮者が関与したペトレンコ版の様な物でしょう。(ただプロの演奏家ではないですが)9月までに選抜されたアマチュア演奏家が、11月に入ってリハーサルをした、と上記主催者の説明文には有りましたが、非常に限られた期間と限られた練習時間で、今回の演奏レヴェルまで統一性と表現性を引き出し、導いたキリル・ペトレンコの力量は並々ならぬものがあると思いましたし、又それに応えたBe Phil.オーケストラの皆さんの演奏レベルも相当なものと思いました。

キリル・ペトレンコ指揮Be Phil オーケストラ