HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

映画『二人のマエストロ』鑑賞


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【日時】2023.9.2.(土)10:10~

【鑑賞館】横浜みなとみらいkino cinema

【作品】原題MAESTRO(S) 仏映画

【監督】ブリュノ・シッシュ

【脚本】ブリュノ・シッシュ

【出演】
イヴァン・アタル、 ピエール・アルディティ、 ミュウ=ミュウ、 キャロリーヌ・アングラーデ、 パスカル・アルビロ、 ニルス・オトナン=ジラール ほか


【配給】ギャガ

 主人公ドニを演じるのは『ぼくの妻はシャルロット・ゲンズブール』で実生活でも夫婦であるシャルロットと共演・監督を果たしたイヴァン・アタル。
ピエール・アルディティやミュウ=ミュウなどフランスを代表する名優たちが家族の葛藤を見事に描き出す。監督は俳優としても活躍するブリュノ・シッシュ。プロデューサーにはアカデミー賞作品賞受賞『コーダ あいのうた』のフィリップ・ルスレらが参加。
数々の名曲が親子の対峙と再起の物語を彩り、世界最高峰〈ミラノ・スカラ座〉の豪華絢爛、大迫力の熱い演奏シーンは必見! 初めて二人が親子として向き合った時、誰も見たことのない驚きのステージが生まれる!

 

【概要(主催者)】

 父と息子は渾身のタクトで自らの音楽を再び輝かせる! 『コーダ あいのうた』製作陣が贈る、ふぞろいな家族の再起の物語。
父が生涯をかけて掴んだオファーは、息子宛の誤報だった—— 父も息子も、パリの華やかなクラシック界で活躍する指揮者の親子。父・フランソワは、輝かしいキャリアを誇る大ベテラン。息子のドニは指揮者として才能を発揮し、今や飛ぶ鳥を落とす勢い。ある日、父へ一本の電話が。それは夢にまで見た世界最高峰〈ミラノ・スカラ座〉の音楽監督就任の依頼だった。しかし、ドニは父の偉業を素直に喜ぶことができないでいた。翌日、ドニにスカラ座の総裁から呼び出しが。なんと父への依頼は、息子への依頼の誤りだった。ドニは父に真実を伝えなければいけない苦渋の選択を迫られる。

 

【感想】

 この映画館はみなとみらい地区にあり、見たい作品がある時は桜木町駅で下車して見ます。ランドマークタワービルを通り抜け、横浜美術館方面に歩くと大きな通りの斜め対面のビルの二階にあるのです。建築会社の木下工務店がやっている模様。一階は本屋さんで、スターバックスコーヒー店が、併設されています。コーヒーを飲みながら、オープンスペースにある本は、読んでいいみたい。

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 通り過ぎた横浜美術館は、何故かズーと開いていません。工事中の模様。それにしても長すぎる気がします。外からは、何も工事を進めている様子は伺えません。内装とか照明工事かな?コロナ禍の最中に横浜みなとみらいホールが何年も改修工事で休館していたことを思い出します。このホールがリニューアルオープンした時には、地元のホールですから期待一杯だったのですが、行ってみてホールの中身は、何処が変わったの?と思われる程以前と同じ様に見えました。挙げくに、階上の手摺にそった落下防止用金網が不評で大顰蹙をかいました。その後は鳴かず飛ばず、公演スケジュールを見ても、聴いてみたい、是非行きたいという魅力的音楽会が余り見当たりません。必然的に足は遠のきます。最近は都内のホールに通い詰めです。ハードを良くしようとしても、ソフトの良さが伴なわなくては、車は進みません。

 ハッキリ言って、頭を余り使っていないのでは?或いは体制が良くないのかな?分かりません。オープン時には、首都圏のホールの先頭に立って活躍してほしいと期待した自分が馬鹿でした。愚痴はこの位にして、話しを戻しますと、横浜美術館は、2024年に再開の予定とのことですから、大いに期待したいと思います。

 美術館前の噴水は、周期的に低く僅かに水を吹き出し、親子連れの小さい子達が、服を着たまま寝ころんだり、水遊びしていました。この暑さが少しでもやわらぐことでしょう。見た目にも涼ろげです。

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 さて映画の方はといいますと、宣伝文を見ると、パリで親子で指揮者をしている話しです。当然父親の方が、キャリアも名声もあるマイストロで、一方息子の方は伸び盛りの若手の指揮者です。息子は最近何らかの賞も受けて、今時めく期待の星の模様。そこにミラノスカラ座から、芸術監督のポストのオファーの電話があったのですが、その対象が親子間違いだったというのが物語の始まりです。

 でもこんな間違いは、現実にはあり得ませんね。電話したスカラ座の女性秘書のミスだというのですが、世界に名だたる一流ホールが、その様な間抜けな秘書を雇う筈がありません。秘書として初歩的基礎が欠けています。様々なフェイク情報が蔓延している昨今、正しい情報伝達には何処でも誰でも、気を使っているのが現実です。こうした現実的ではない前提のストーリーですが、それには目をつぶって先に進むと、息子の指揮者には、奥さんと一人息子、それからヴァイオリン奏者の愛人がいます。父親の指揮者と母親も巻き込んだ物語の展開があるのですが、やや疑問の箇所も散見されました。詳細は省きますが、若い指揮者とその息子との人間関係、老指揮者との人間関係、愛人との人間関係に首をかしげるところ有りでした。でも最後まで見ると、あーそうだったのか、と疑念解消のところもあり、特にラストシーンは驚きでした。予想もしていなかった展開、それを見て、タイトルの真の意味が理解できました。いい結末といい後味の映画でした。

 尚こうした音楽映画では、流れる曲がクリアな音で迫力ある再現をもって聴けるのも大きな魅力の一つです。今回の作品では、

●ベートーヴェン「第九」から第一楽章の一部

●小澤征爾指揮スカラ座演奏/カチーニ『アベ・マリア』より

●モーツァルト『ヴァイオリン協奏曲5番』より

●モーツァルト『フィガロの結婚・序曲』

そしてエンディングに流れたのはシューベルト『セレナーデ』、

仲々しっとりした、物語を締めくくるにはふさわしい選曲だと思いました。