もうすぐ立春。「春はどこから来るかしら あの山越えて丘越えて 希望の国からくるかしら」おっとこれは失礼、「朝はどこから来るかしら あの空超えて雲超えて 光の国から来るかしら」の間違いでした。そう言えば以前、及川恒平というシンガーソンガーライターが、❛~春はどこから来るかしら 風に吹かれて 来るかしら めぐりめぐる思い出に 歌を忘れた影法師❜ と歌っていましたっけ。
今これを書きながら、外のゴーという春一番の様な強風が吹いている音を聞いています。
この週末のポカポカ陽気に誘われて、大船にあるフラワーセンターに行って来ました。本来でしたら、土曜日の1/30には東京文化会館の『ラ・ボエーム』、その前の土曜日はオペラパレスの『トスカ』、のチケットを買っていたので行きたかったのですが、何れも見送りました。運動がてら出来るだけ徒歩で人込みを避けて青空の下、外に出掛けるのは、音楽欠乏症を少しでも癒そうと思うからです。徒歩と言っても家からフラワーセンターまでは無理です。日が暮れてしまう。花園の中の写真を撮ったりじっくり見る時間が必要です。自分の趣味のために家内に車に乗せてとは言えず、かといって自分で運転するには自信がこの頃無くなりつつある。ペーパードライバー化しています。仕方なく公共交通機関を利用するのですが、出来るだけ空いていそうな乗り物とルート、利用時間の選択を常に考えています。
大船駅からは歩きました。柏尾川沿いの道に歩くと、川面には、水鳥が時々水中にもぐっては餌を取ろうとしていました。
きっと小魚がいるのでしょう。下流に行くと、鯉達が群れていました。
橋の欄干には、カモメでしょうか羽を休めていました。
かなり歩くと聞いていたのですが、それでも数十分だったでしょうか。大きな敷地を囲む柵が見えてきました。何年振りでしょう?前に来た時から10年は経っていると思う。あの時は家内と一緒に来ました。後で確認したらもう少し春らしい季節に行ったらしい。
入口の正面の様子も、何か以前と比べて違って見えます。建物が古くなったのかな?
ふと壁面に書いてある名称を見ると「日比谷花壇大船フラワーセンター」となっています。あれ?以前は「県立フラワーセンター」だった筈です。入口で訊くと、施設は県が保有し、管理が民営化されたそうです。結構広い庭園なので、どこから先にみたら良いか聞いたら、梅の木と椿の木、それから温室がいいとのこと。入り口を入ってすぐの花壇は綺麗にこしらえてありますが、遠くの園内は何か枯れ枯れとした風景です。
花々で造られたオブジェがかわいい。
生垣の柊の種類だと思いますが赤い実がなっているのは初めて見ました。
枝垂れの梅が咲いていました。
「ウンナンオウバイ」と言う木だそうです。
すぐに温室がありました。
サークル状に建てられ、入り口を入って室内を見終わると反対側の出口に出れます。
一歩足を踏み入れば、そこは南国の風景そのものでした。
様々な鉢植えが育てられています。
シクラメンも色々あるのですね。
丑年に因んだ植物もありました。
花が下を向いた「うなずきひめふよう」という木らしい。
温室内の観客は数人程度でした。
「ドンベアー・ワリッキー」という花の様です。見たことが無い花ばかり。
可憐な青白い小さな花が沢山。
「メキシコはなやなぎ」との名札が書いてあります。
もう少し濃い青は「ブリリアント」です。
次のコーナーはブーゲンビリアが咲き誇っていました。
これだけ見事な赤いブーゲンビリアの木は日比谷公園の花やさんでもデパートの「日比谷花壇」でも見たことがない。
白、赤、紫がかったもの、オレンジ色、ほんとうに様々な色がありますね。
これまた見事な紫色の花と立ち姿のブーゲンビリアです。
この白いブーゲンビリアは葉っぱが少し違いますね。
通路両脇に花が広がり酔ってしまいそう。見事なコーナーでした。
次のコーナーのこんな花木も初めて見ます。
「べにまつり」中米産の様です。
「ピロステギアウェヌスタ」という風変わりな花が垂れ下がっていました。色は日本の「ノウゼンカズラ」に似ていると思ったら同じ科目らしい。
バナナの木も有りました。
続いてのコーナーは、様々なパンジーとヴィオラの鉢植えの展示です。
パンジーやヴィオラは身近な花です。家でも花屋さんからよく買って来て飾っています。
どもここでは珍しい花屋さんでは見たこともないものがたくさん有りました。
「フォックスフェイス」という変わったなと形を持つ植物もありました。なす科 の様です。
温室を出ると、外気が冷たくて気持ちがいい。目の前の芝生広場には家族連れが二組、子供と一緒に遊んでいました。
順路に沿って行くと、小さな白いラッパ水仙の様な花が咲いていました。クガイソウと言うそうです。
その先には梅林がありました。
盆栽の様な古木でしょうか、紅白に見えるつぼみが膨らみかけていました。
梅には種類によって和名が付けられているのですね。バラ科とは知りませんでした。
次は「花香美」
やはりまだつぼみが多くこれからですね。
次もつぼみでした。
その他沢山梅の木はあるのですが、ほとんどが硬いつぼみの状態でした。
大船は横浜より暖かく花も早いのかなと思ったら逆でした。内陸部なので寒いのかも知れない。それに今回の梅林は、その西側に背の高い常緑木の並木が植えられていて、西日がほとんどあたらないせいもあるかも知れません。
園内歩道を先にすすむと、立木も草花もほとんど枯れた殺風景な景色が目に入ってきました。かろうじて黄花を付けた、灌木が目に入ります。
「キイジョウロウホトトギス」と書いてありました。
近くに小さな建物があって、中で応募写真展をやっていました。
中から一枚だけ、幻想的な蓮の花の写真ですね。
建物の外には多くの(樹脂製)木桶が並んでいました。
訊いたら蓮の根(レンコン)を越冬させたそうです。何十もの種類があるので、別の処の蓮池には入りきれないとのことでした。
次に向かったのは、バラ園。以前来た時はそれはそれは見事なバラ達がいろいろと早春の日を浴びて咲き誇っていましたが、今回は全然何も咲いていないのです。土の手入れをしていた女性に訊いたところ、今の時期は咲いていないとのことでした。冬でも咲くバラは植えないのですか?と訊いたら、以前からこんなものだと言います。十年位前には咲いていましたよ。と言ったら、“そんなに前からここにいないので”との返答でした。これは何か効率化、利潤優先の民営化の影響があるかも知れないと思った次第です。その人の話では、椿林がこの先にあって、花が咲いているとのことでした。
椿の方へ急ぎました。というのも日が傾いてきていて、早く見終わって駅に行かないと、帰りの乗り物が混んでしまうからです。椿林も結局ほとんど見るべきものは無い状態でした。僅かに、二三輪のピンク椿(「太郎冠者」との名あり)、たくさん落下している椿くらいしかなくて、他の多くの椿の木は全然花が有りませんでした。
余談ですが、椿と似た山茶花との見分け方は、落花の様子で判断します。山茶花は、ハラハラと花びらが落ちるのに対し、椿はまるで断頭台の様に、花ごとボッサ、ボッサと落ちるのです。
いろいろな椿の花が見られることを期待していたのに。どの花が一番「椿姫」に相応しいか決めようと思っていたのに、残念でした。
帰り、出口から園内を出る人も非常に少なくまばらでした。
総じて、今回は広い園内はほとんど見るべきものが無く、かろうじて梅の花が僅かに鑑賞に堪え、温室花を見に来た結果となりました。