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綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

スタンダール『イタリア旅日記(1827年版)』精読(遅読)22-5

<ミラノ十一月十二日>の続き④
 スタンダールは、あるご婦人が紹介してくれたヴェネツアの名家出身のコルネール大佐が、愛想の良い青年だけれども既にあらゆる(戦功のあった者に付与される)十字勲章を得ていること、彼を見て、ニーナ夫人がヴェネツアに関して話してくれたことはすべて本当だと信じるに足ることを述べた後、前日カッシーナ・ディ・ポムという、謂わばパリのブローニュの森に相当する様な処へのピクニックに参加したと言っています。そのピクニックに大佐も急遽参加し、彼は綺麗な詩句や楽しい話題を提供してくれて、またヴェネツアの薬剤師が昔のソネットを披露したり、キリストの生誕に関する貴族的な詩を朗読してくれる人もおり、それらを踏まえスタンダールは、次の様に述べています。“ヴォルテールにおける風刺は、過度に機知を働かせる。ヴェネツィアの風刺はもっと官能的である。それはとてもよく知られた観念について限りなく上品に戯れる。”
 イタリアにおけるソネットの歴史は古く、13-14世紀のダンテ、14世紀のペトラルカは有名。ペトラルカのソネットにはリストが作曲し、ピアノや歌曲として演奏されるものも有ります。情熱的で特にピアノ曲はとても甘美な美しいメロディです。
 この日の長い記事の最後に、スタンダールはニーナ・ヴィガノ夫人の桟敷で、ミラノ総督ザウラウ総督に会ったことを次に様に述べています。“大変教養のある人だし、才知のある人ではないかと推測する。僕は彼が貴族の出ではないと思う。そのことがかれに権力を冗談に考えないようにさせている。彼が『コリオラン』(ヴィガノのバレー)について何か言ったことから見て、芸術に対するあの細やかな勘をもっている。それは、ヴォルテールを筆頭に、フランスの文人に決して見られないものだ。”
 ここで、“コリオラン”はかのベートーベン作曲の序曲が有名です。Wikipediaに依れば“The Coriolan Overture Op. 62, is a composition written by Ludwig van Beethoven in 1807 for Heinrich Joseph von Collin's 1804 tragedy Coriolan.”
とあり、劇作家ジョセフ・コリンの書いた悲劇に基づくもので、ついでにコリンとは、“Heinrich Joseph von Collin (1771–1811), Austrian dramatist, was born in Vienna, on 26 December 1771. He received a legal education and entered the Austrian ministry of finance where he found speedy promotion. In 1805 and in 1809, when Austria was under the heel of Napoleon, Collin was entrusted with important political missions. In 1803 he was, together with other members of his family, ennobled, and in 1809 made Hofrat. He died on 28 July 1811 in Vienna. His tragedy Regulus (1801), written in strict classical form, was received with enthusiasm in Vienna, where literary taste, less advanced than that of northern Germany, was still under the ban of French classicism. But in his later dramas, Coriolan (1804), Polyxena (1804), Balboa (1806), and Bianca della Porta (1808), he made some attempt to reconcile the pseudo-classic type of tragedy with that of Shakespeare and the German romanticists.”
 ということです。
スタンダールは序曲でなく、(ヴィガノのバレー)と書いているので、詳細は不明ですが、当時はバレー曲として、ニーナ夫人の夫ヴィガノが作曲したか演出したかした出し物があったのかも知れません。
 
 ところで、今日も又東京の感染者数は衰えを見せません。感染経路不明が半数近くいるとのこと。一方神奈川県でも三十一人に感染者数が急増、そのうちの二十六人がホストクラブ関係というではありませんか。コロナでなくとも例えば、食中毒を発生させた飲食店は営業停止になる訳ですし、同様な恐れのある店は保健所が立ち入り検査し行政指導で必要な処置はこれまでも普通にやってきたことです。食中毒とは比較にならない程危険なコロナ発生に対し、ホストクラブ関係に何故もっと強い行政の手が入れられないのでしょうか?