姉妹弟トリオ大勝利、新国・オペラパレスを震撼する!!
⭕タイトルロールのアッソーニ、雷神の活躍、エレクトリック ・ショック!!
⭕妹役ハウゲルド、強靭な歌声で圧倒!!
⭕弟役シリンス実力発揮の迫力!!
⭕藤村・クリムネストラ 獅子奮迅の活躍!!
⭕日本人歌手群(エギスト・工藤、侍女、下僕他、下女達、召使)も尽くした力!!
⭕初演指揮者大野氏のこなれた牽引、東フィル大部隊跳躍跋扈!!
⭕簡素な中にも見易く説得力大の舞台・演出!!
⭕やや影が薄かった合唱陣。
【Introduction(主催者)】
復讐に囚われたエレクトラを待ち受けるものは―R.シュトラウスが彫琢するギリシャ悲劇
血塗られた家系アトレウス家の娘エレクトラが盲目的な復讐の情念に燃え、悲願を果たした末に命を落とす凄惨な復讐劇『エレクトラ』。リヒャルト・シュトラウスはホフマンスタールと組んでオペラ化、ソフォクレスのギリシャ悲劇を題材とするドラマは1幕に凝縮され、オペラ史上最大規模といえる分厚いオーケストラとドラマティックなソプラノに支配された音楽が、緊迫、憎悪、恐怖、歓喜、恍惚といっためまぐるしい感情の起伏を緊迫感の中で雄弁に伝えます。
演出は、その音楽的感性が絶賛され、フランクフルト歌劇場で大野和士指揮により世界初演された『Der Mieter』(アルヌルフ・ヘルマン作曲)でも話題を巻き起こしたヨハネス・エラート。エレクトラはこの役を近年フランクフルトなどで立て続けに歌い、「エレクトラの神髄」とセンセーションを呼んでいるアイレ・アッソーニ。エレクトラと対峙する母クリテムネストラには藤村実穂子、弟オレストにエギルス・シリンスが出演する盤石の顔合わせです。指揮は大野和士芸術監督自らが当たります。
【演目】R.シュトラウス『エレクトラ』全一幕 約1時間45分(途中休憩なし)
【日時】2026.6.29.(月)19:00〜
【会場】NNTTオペラパレス
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
【指揮】大野和士
【合 唱】新国立劇場合唱団
【合唱指揮】冨平恭平
【公演日程】
2026年6月29日(月)19:00
2026年7月 2日(木)14:00
2026年7月 5日(日)14:00
2026年7月 8日(水)14:00
2026年7月12日(日)14:00
【演 出】ヨハネス・エラート
【美 術】ハイケ・シェーレ
【衣 裳】ノエル・ブランパン
【照 明】オラフ・フレーゼ
【映 像】ビビ・アベル
【登場人物】
主要な登場人物
◯エレクトラ(ソプラノ)主人公。アガメムノンの長女。父を暗殺した母とエギストを激しく憎悪し、狂気的な情念で復讐にすべてを捧げています。
◯クリテムネストラ(メゾソプラノ)エレクトラの母であり、ミケーネの女王。情夫のエギストと共謀して前夫アガメムノンを殺害しました。復讐の恐怖から悪夢に苛まれています。
◯クリソテミス(ソプラノ)エレクトラの妹(アガメムノンの次女)。姉とは対照的に復讐には反対しており、普通の女性として結婚し、子供を産んで平穏に暮らすことを望んでいます。
◯オレスト(バリトン)エレクトラの弟(アガメムノンの長男)。幼い頃に他国へ逃れ、死んだと偽って王宮に帰還し、姉エレクトラと再会して父の復讐を果たします。
◯エギスト(テノール)クリテムネストラの情夫で、現在のミケーネ王。クリテムネストラと共にアガメムノンを殺害した張本人であり、最後にオレストによって討たれます。
◯その他の登場人物
・アガメムノン:ミケーネの前国王。物語の開始時点で既に殺害されているため舞台には登場しませんが、すべての登場人物の行動や怨念の動機となる最重要人物です。
・5人の下女・監視の女:王宮でエレクトラを蔑んだり、あるいは同情を寄せたりする存在として冒頭に登場します。
・オレストの養育者、若い召使、老いた召使
【キャスト】

・エレクトラ:アイレ・アッソーニ
(ソプラノ)
〈Profile〉
エストニアのドラマティックソプラノ。エストニア・フィルハーモニー室内合唱団でキャリアをスタートした後、『コジ・ファン・トゥッテ』デスピーナでオペラデビュー。現在は『タンホイザー』ヴェーヌス/エリーザベト、『さまよえるオランダ人』ゼンタ、『トリスタンとイゾルデ』イゾルデ、『アイーダ』タイトルロール、『トゥーランドット』タイトルロール、『エレクトラ』タイトルロールなどドラマティックなレパートリーへ移行。これまでにシエナ歌劇場、ウィーン・カンマーオーパー、ノーヴァヤ・オペラ、ベラルーシ国立歌劇場、ラトヴィア国立歌劇場、リトアニア国立歌劇場、グラーツ歌劇場、レーゲンスブルク歌劇場、ボン歌劇場、ベルリン・ドイツ・オペラなどへ出演。2023年にはフランクフルト歌劇場へ『エレクトラ』タイトルロールでデビューし、バイロイト音楽祭へは『神々の黄昏』グートルーネでデビュー。タリンのブリギッタ音楽祭では『トリスタンとイゾルデ』のイゾルデ、インスブルック・チロル州立劇場、エアフルト歌劇場『エレクトラ』に出演。2024/2025シーズンは、ヴェルサイユ・オペラ、フランクフルト歌劇場で『ワルキューレ』ブリュンヒルデ、『ムツェンスク郡のマクベス夫人』、ザールラント州立劇場『トゥーランドット』タイトルロール、『ジークフリート』『神々の黄昏』ブリュンヒルデに出演。新国立劇場初登場。
・クリソテミス:ヘドヴィグ・ハウゲルド(ソプラノ)
〈Profile〉
ノルウェー音楽アカデミーを卒業後、パリ国立高等音楽院、コペンハーゲンのオペラ・アカデミーで研鑽を積んだ。類まれな声色、力強さ、個性で、キャリアの初期段階から際立った存在感を示している。2023年パリ・オペラ座コンクール第2位、ミルヤム・ヘリン国際声楽コンクールプレス審査員賞、24年ラウリッツ・メルヒオール国際歌唱コンクール第1位。アンネ・ゾフィー・フォン・オッター、ボー・スコウフス、ソイレ・イソコスキ、ランディ・ステーネに師事。ドブルグ財団から研究助成金を授与され、スカーゲン・タレント・アワード2019を受賞した。近年では、ベルゲン・フィルハーモニック・ユース・オーケストラでグリーグの歌曲を歌い、キリル・ペトレンコ指揮ベルゲン・フィルハーモニック管弦楽団『エレクトラ』第4の侍女に出演したほか、メス・メトロポール歌劇場で『サロメ』タイトルロールに出演。ノルウェー国立オペラ『エレクトラ』第5の侍女、トーマス・セナゴー指揮デンマーク王立オペラの『エレクトラ』などにも出演している。デンマーク王立歌劇場では『椿姫』アンニーナ、スウェーデンでは『仮面舞踏会』アメーリアに出演。25年ブレゲンツ音楽祭のリサイタルも好評を博す。25/26シーズンはサンタ・チェチーリア音楽院管弦楽団『ワルキューレ』オルトリンデ、メス歌劇場『エレクトラ』クリソテミスに出演。26/27シーズンは新国立劇場『サロメ』タイトルロールに出演予定。
・オレスト:エギルス・シリンス(バス・バリトン)
〈Profile〉
ラトヴィア出身。ラトヴィア国立歌劇場でデビュー後、ウィーン国立歌劇場にデビュー。ブレゲンツ音楽祭『デーモン』タイトルロールで称賛され、サヴォンリンナ・オペラ・フェスティバル、グラインドボーン音楽祭などの著名音楽祭に出演。ウィーン国立歌劇場、ミラノ・スカラ座、メトロポリタン歌劇場、英国ロイヤルオペラ、ベルリン・ドイツ・オペラ、ベルリン州立歌劇場、リセウ大劇場、テアトロ・レアル、チューリヒ歌劇場、バイエルン州立歌劇場などに定期的に登場。「ニーベルングの指環」ヴォータン/さすらい人、『パルジファル』クリングゾル、アムフォルタス、『トリスタンとイゾルデ』クルヴェナール、『サロメ』ヨハナーン、『エレクトラ』オレスト、『ボリス・ゴドゥノフ』タイトルロール、『オテロ』イアーゴ、『トスカ』スカルピアなどレパートリーは90に及ぶ。最近の出演に、バイロイト音楽祭『ラインの黄金』ヴォータン、ウィーン国立歌劇場『ローエングリン』テルラムント、英国ロイヤルオペラ『フィデリオ』ドン・フェルナンド、デンマーク王立歌劇場『トリスタンとイゾルデ』クルヴェナール、ラトヴィア国立歌劇場『椿姫』ジェルモン、ビルバオ・オペラ『サムソンとデリラ』大祭司、ヴィースバーデン五月音楽祭『エレクトラ』オレスト、ベルリン・ドイツ・オペラ『さまよえるオランダ人』タイトルロールなどがある。新国立劇場では2014年『パルジファル』アムフォルタス、23年『ホフマン物語』悪役四役、24年『トリスタンとイゾルデ』クルヴェナールに出演している。
・クリテムネストラ:藤村実穂子
・エギスト:工藤和真
・オレストの養育者:斉木健詞
・クリテムネストラの腹心の侍女:中村真紀
・クリテムネストラの裳裾持ちの女:杉山由紀
・若い下僕:糸賀修平
・年老いた下僕:河野鉄平
・監視の女:森谷真理
・第1の下女:金子美香
・第2の下女:谷口睦美
・第3の下女:清水華澄
・第4の下女:髙橋絵理
・第5の下女:田崎尚美
(邦人歌手のProfileは略)
【粗筋】
母クリテムネストラとその情夫エギストに父アガメムノンを殺されたエレクトラは、母と義父エギストに対する憎悪を隠さず、虐待されている。父への思慕と、復讐を果たすであろう弟オレストへの期待を支えに生きるエレクトラを、妹クリソテミスは必死でなだめる。母クリテムネストラは復讐に怯え悪夢に苛まれるが、エレクトラは助けを求める母を拒絶するのだった。オレストの死が伝えられ、エレクトラは絶望して独力で復讐を実行しようとする。しかし実はオレストは生きていた。オレストが母とエギストを油断させるために流した虚偽の知らせだったのだ。姉弟はついに喜びの再会を果たす。そしてオレストの手によってクリテムネストラ、次いでエギストへの復讐が成就される。
【上演の模様】
◯楽器編成:
基本では 三管編成(器種増減有)弦楽五部16型(16-14-14-12-8)も、今回は高音域弦(1Vn.他)より低音域弦Vc.他)に厚みか。
標準では100名以上要。当時のオペラではワーグナーの『ニーベルングの指輪』の108人を凌いでクラリネット8人・トランペット7人を含む最大級の編成であった。
・木管楽器(標準)
ピッコロ1、フルート3(1番、3番はピッコロ持ち替え)、オーボエ2、イングリッシュホルン 1(オーボエ持ち替え)、ヘッケルフォン1、E♭管クラリネット1、B♭管クラリネット4、バセットホルン2、バスクラリネット1、ファゴット3、コントラファゴット1
・金管楽器(標準)
ホルン4、B♭管ワーグナーチューバ 2(ホルン持ち替え)、F管ワーグナーチューバ 2(ホルン持ち替え)、トランペット6、バストランペット1、トロンボーン3、コントラバストロンボーン1、バッスチューバ1
・打楽器(標準)
ティンパニー(2人)、タムタム シンバル、大太鼓、小太鼓、タンブリン、トライアングル、グロッケンシュピール、カスタネット2、 その他 チェレスター、ハープ2
・弦楽五部(標準)
第1ヴァイオリン(8人)、第2ヴァイオリン(8人)、第3ヴァイオリン(8人)、第1ヴィオラ(6人)、第2ヴィオラ(6人)、第3ヴィオラ(6人)、第1チェロ(6人)、第2チェロ(6人)、コントラバス(8人)
超巨大なオーケストラ編成で、金管楽器や打楽器を多用した100人以上の大編成(標準、但しピットの大きさに依存)。今回も詰込まれて窮屈な位のピット。
極限まで不協和音や複雑な和声を使用。
作曲家が指定した人数は116名で当時のオペラでは、ワーグナーの「ニーベルングの指環」の108名を抜いて、クラリネット8人、トランペット7人を含む最大級の編成です。
しかもヴァイオリンとヴィオラは3群、チェロは2群に分けられ、さらに第1ヴィオラは第4ヴァイオリンへの持ち替えを要求される場合も(第2ヴァイオリン奏者が当る場合も)。管楽器ではヘッケルフォーン(「アルプス交響曲」でも登場)などの特殊な楽器を使用する場合も。)
歌手は叫ぶように歌うことを要求され、オーケストラと歌手が壮絶な「音の対決」を繰り広げます。
(1)先ずオケの鳴らすスタートの轟音。(冒頭の巨大な和音ーエレクトラの動機) オペラは、父アガメムノンの名を叫ぶ「エレクトラの動機」で幕を開けるのでした。オーケストラが総動員されるこの強烈で不協的な和音は、物語全体を貫く凄惨な復讐劇を予感させます。
(2)「エレクトラのモノローグ」
物語の序盤、亡き父への思いと復讐の決意を歌い上げる、オペラ前半の最大のハイライトです。分厚いオーケストラをバックに、ソプラノ歌手が圧倒的な声量と表現力で観客を魅了します。
(3)「第1場:召使たち」 冒頭のインパクトある不気味なジャーン!というファンファーレはエレクトラの殺された父親、アガメムノンのライトモティーフとなっている。召使はみなエレクトラに敵意を持っているが、ひとりだけはエレクトラに同情的でその者を排除するように皆が退場して行き、第2場となる。
(4)「第2場:エレクトラの独白」 エレクトラ自身に与えられているはっきりとしたライトモティーフがないというのが特徴=音楽的な性格付けがあまりないのがエレクトラの特徴⇒エレクトラは自我を捨てている、復讐のために生きている=自分をすべて犠牲にしている
”エレクトラ和音”:ミとシ(ホ長の真ん中の音を抜いている)の上にレ♭・ファ♭・ラ♭(変ニ長調)をぶつけて同時に鳴らす(=「複調」)ことで強烈な不協和音を出している⇒エレクトラの強い復讐心を表現するための和音として用いられている。
(5)「第3場:エレクトラとクリソテミス(妹)」 穏健派のクリソテミスに与えられている和音は変ホ長調で大変流麗な音楽。
(6)「第4場:エレクトラとクリテムネストラ(母)」 この作品で最も刺激的な聴きどころで当時は最も前衛的な響きだったと思われる場面。悪夢をみるという苦しさをクリテムネストラが訴える場面ではロ短調の主音のシにファ・ラ・ド(へ短調の主和音)をぶつける(同時に鳴らす)という「複調」がここでも使われている。さらにへ短調の和音は半音で上がり下がりする⇒悪夢を見てうなされている様子が巧みに描かれている。間男と結託して父王を殺害した母親を、エレクトラは内心決して許しておらず、二人のやり取りの歌でも次第に不気味な迫力を出し始め、暗やみのなかから一とびにクリテムネストラに近づき、いよいよぴつたりと寄り添い、だんだん薄気味悪い様子を見せるのでした。❝誰の血が流されなければならないと?猟人がかかって来れば血を流すものはあなた御自分の頭ですよ。あの人がずんずん部屋を歩いて行く音もきこえる、寝床の戸張をあける音もきこえる。眠っている犠牲の獣を誰が殺す。猟人はあなたにかかります。お母さまは金切声をあげてと飛び起きるけれど、あの人はもう後ろに廻っている。猟人はあなたをこの館中追い廻す。あなたが右の方へ逃げれば、そこには寝床がある。左の方へ逃げれば、そこには湯が血のように泡立っている。闇と松明とは赤黒い死の網をあなたの頭の上に投げかける。❞
とエレクトラは安眠法を説くどころか、益々不気味な復讐の場面を説くばかりでした。
(7)「第5場:オレスト(弟)の死の報せ」
(8)「第6場:エレクトラとオレストの再会」 第5場、そしてこの第6場で「家族への情愛」を表す音楽に「変イ長調」が使われている。
(9)「第7場:復讐を遂げる」 エレクトラの本懐は弟オレストによって達せられ、エレクトラの踊りの場面となる⇒力強い踊りの音楽(第2場の後半でも演奏される音楽)
人生の目的を達成し、この世に生きている存在理由がなくなったエレクトラは踊りを率いたままその場に倒れ伏してしまう⇒「死んだ」という言葉は出てはこないが、最後のファンファーレが勝利を表す「ハ長調」の和音の合間に、(恐らくは「(エレクトラが)死んだ」ということを表す)「変ホ短調」の主和音が挟まれる。
(10)狂気と恍惚の終結部:
復讐が成就した瞬間、エレクトラは狂喜乱舞し、歓喜のあまり踊り狂いながら息絶えるという衝撃的な結末を迎えます。音楽はオーケストラが強烈なリズムを叩きつけ、凄まじい熱量の中で幕を閉じました。
(11)最後は「ハ長調」の和音が何度も鳴らされたあと、最後は変ホ短調⇒ハ長調の二音の和音で終わる。「エレクトラの死によって全ての復讐が成就した」ということをこの最後のたった二つの音で表していました。



【特記事項】
今回の上演を観・聴きし、期待が膨らむのは、2027年2月予定の新国劇場オペラ『サロメ』です。タイトル ロールを、今回クリソテミスを演じたヘドヴィック・ハウゲルドが歌うらしい。2022年ミューザで聴いた『サロメ(演奏会形式)』のアスミック・グリゴリアンを超える事が出来るかどうか?ドラマティック・ソプラノと言うよりも『へルデン・ソプラノ??』と言いたい程の若さ溢れた強い声質。これは適役かも。