HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

小林愛実・横浜リサイタル2026を聴く

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【日時】2026.6.16.14:00〜

【会場】横浜みなとみらいホール

【出演】小林愛実(Pf.)

〈Profile〉

 1995年9月山口県(現)宇部市生まれ。3歳からピアノを始め、7歳でオーケストラと共演。8歳より二宮裕子に師事。

2007年、桐朋学園大学音楽学部附属子供のための音楽教室「仙川教室」に特待生として入室。

2008年から2009年にかけて東京倶楽部特別助成金を受けた。

2011年4月より、桐朋女子高等学校音楽科(男女共学)に全額奨学金特待生として入学。

2013年9月より、米国カーティス音楽院に留学し劉孟捷に師事。

ピティナ・ピアノコンペティションJr.、G級(高校1年生以下)全国決勝大会第1位
2004年 - ショパン国際ピアノコンクールin ASIAアジア大会にて第1位金賞
2005年 - 10歳で全日本学生音楽コンクール全国決勝大会・小学校の部にて第1位
2009年 - アジア太平洋国際ショパンピアノコンクール(韓国)でJr部門優勝
2011年 - 第12回ショパン国際ピアノコンクールin ASIAのコンチェルトC部門において、金賞およびコンチェルト賞
2011年 - 第5回福田靖子賞
2012年 - ジーナ・バッカウアー国際ピアノコンクールのヤングアーティスト部門第3位
2015年 - ショパン国際ピアノコンクールDistinction
2021年 - ショパン国際ピアノコンクール第4位
2022年 - 第19回ベストデビュタント賞(音楽部門)受賞

 

【曲目】

①ショパン『舟歌 嬰へ長調 op.60』

(曲について)

   1846年に作曲されたショパン晩年の傑作の一つで、ヴェネツィアのゴンドラ漕ぎの歌(バルカロール)に由来する穏やかなリズムと、華やかな装飾音が特徴的な楽曲です。ショパンの晩年の最高傑作の一つに数えられる非常に難易度の高い上級者向けの楽曲です。美しい旋律の裏に高度なテクニックと繊細な音楽表現が求められます。

 

②ラヴェル『ボロディン風に』

ラヴェル『シャブリエ風に 』

ラヴェル『クープランの墓 』

(曲について)

     これらの楽曲は、フランスの作曲家モーリス・ラヴェルによって書かれた名作ピアノ曲です。バロック音楽のオマージュや、他の作曲家のスタイルを模倣した洒落たパロディなど、ラヴェルの卓越した技法が光る作品群です。 

 

②-1.ボロディン風に (À la manière de... Borodine)
1913年に作曲されたピアノのためのパスティーシュ(模倣・パロディ)作品。ロシアの作曲家アレクサンドル・ボロディンの作風を真似て、東洋的な響きや美しい旋律が特徴の小品です。 

②-2.シャブリエ風に (À la manière de... Chabrier)
こちらも1913年に作曲されたパスティーシュ。フランスの先輩作曲家エマニュエル・シャブリエの快活で和声の色彩豊かなスタイルを、ラヴェル独自のセンスで再現した楽曲です。 

②-3.クープランの墓 (Le Tombeau de Couperin)
1914年から1917年にかけて作曲された組曲で、ラヴェルのピアノ・ソロにおける最高傑作の一つ。18世紀のフランス音楽の巨匠フランソワ・クープランへのオマージュであり、かつ第一次世界大戦で亡くなった友人たちへ捧げられた追悼組曲でもあります。各曲がバロックの舞曲(フォルラーヌ、リゴドン、メヌエットなど)をモチーフにしており、全6曲で構成されています。後にラヴェル自身によって管弦楽(オーケストラ)版にも編曲されました。

 

〈休憩〉

 

③シューベルト:ピアノ・ソナタ 第20番 イ長調 D959

(曲について)

作曲者最晩年のピアノソナタのひとつであり、ほぼ同時期に書かれた『第19番 ハ短調』(D 958)が暗い情熱、『第21番 変ロ長調』(D 960)が静寂な歌謡風の曲想であるのに対して、本作は暖かで明朗な響きを特徴としている。

3曲まとめて論じた英語版の記事において、創作の過程などが取り上げられている。

 

【演奏の模様】

①ショパン『舟歌 嬰へ長調 op.60』

    初夏に近いつゆの日、白装束のドレスで登場した小林さんは、挨拶をすますとピアノにむかい、すぐに弾き始めました。左手の伴奏のみから右手の旋律も入り、落ち着いた風情のある調べを繰り出して、如何にも小舟がチャプチャプと波間に揺れている風景が目に浮かぶ様。例えばヴェネェチアの船着き場でしょうか、多くのゴンドラが係留されています。時より波の振動が重なり船が大きく揺れるが如く、小林さんは弱奏から少し強く鍵盤を叩き、また同じトレモロ的音の繰り返しで、小波が表されました。久林さんは、余り指は立てずに寝かしぎみ、柔らかそうな手首と指の関節を駆使して、船の揺動を表わそうとしたショパンの意図を汲み取り、着実に表現しようとしていました。理論的には、最初の左手の波表現に対して、右手表現の調べ、及び中間部での二つの音の語らいの部分などが、バルカローレの歌う舟唄とされますが、ピアノの音を聞いていて、波間の雰囲気は、感じ取られても、船頭の歌の雰囲気までは、正直言って感じ取れませんでした。それでもなお、小林さんの弾くピアノに時折散りばめられた美しい調べは、将に水と流線型の船が醸し出す海辺の幻想的な風景を切り取ったいっぷくの絵画の様な新鮮さが感じ取られたのです。この技術的にも表現的にも、かなり難しい曲を見事弾きこなした小林さんは、流石だと思いました。

 

②-1.ラヴェル『ボロディン風に』

    -2.ラヴェル『シャブリエ風に 』

    -3.『クープランの墓 』

1.2.共に、落ち着きを感じる曲で、ラヴェルの洒脱な調べとともに、ショパン風味も感じる小林さんの演奏でした。ラヴェルは何れも様式を、ボロディン風、シャブリエ風に作曲した様なのですが、詳細は、分かりません。

3.は、それ単独で有名な曲です。

第1曲プレリュード、第2曲フーガ、

第3曲フォルラーヌ、第4曲リゴドン

第5曲メヌエット、第6曲トッカータ

からなる組曲で、第1次世界大戦で、戦死した仲間達へのオマージュだそうです。戦死者への追悼の曲と言っても戦後日本の特に、若い人達は、戦死自体は、観念的に分かるかも知れませんが、実感としては、分からないと思いきや、小林さんは、気持ちを籠めた何れの曲も澄み切った静かな風情に弾き揚げました。

 

〈20分の休憩〉

 

③シューベルト『 ピアノ・ソナタ 第20番 イ長調 D959』

シューベルトのピアノ・ソナタの中でもTopの人気を争う作品で、死のわずか2ヶ月前、シューベルトが体調をくずしながらも一気に書き上げた3つのピアノ・ソナタの2作目にあたる曲です。10年後の1838年に、ディアベリ社から「シューベルト最後の作品。3つの大ソナタ」として、第19、21番と共に出版され、献呈はシューマンへでした。

     随所に朗々として歌われる主題が散りばめられており、小林さんは、時として非常に美しく、時としてシューベルトは、死期が近づいていることに苛立っているかの様な激しい表現で一見危うくアンバランスとも言えるこの作品を、バランス良く表現していました。このバランス感覚が、小林さんの魅力の一つなのかも知れない。

◯全4楽章構成

第1楽章Allegro

第2楽章Andanteno 

第3楽章Scherzo, Allegro vivache

第4楽章Rondo Allegretto

演奏時間は40分前後。長大であるため、同じくイ長調で書かれた優美な『第13番 イ長調』(作品120, D 664)に対し、こちらは「イ長調の大ソナタ」と通称される。また本作は、初期の『第4番 イ短調』(作品164, D 537)の楽章を引用するなど創意も多く、特に終楽章は平明。

 

(参考)

第1楽章.アレグロ、イ長調、4/4拍子。ソナタ形式。

力強い和音と躍動感のある付点リズムで堂々と始まる。展開部は素朴な第2主題を素材として、急き込むような切迫感のある展開をみせる。

2楽章  アンダンティーノ、嬰ヘ短調、3/8拍子。三部形式。中間に幻想的な激しい展開がある。第2部の経過的な激しいパッセージを、バルカローレの主題から成る緩やかな部分が挟み込んでいる。

3楽章  スケルツォ。アレグロ・ヴィヴァーチェ、イ長調、3/4拍子。スタッカートのリズムが活きた刺激的な響きを有する。

4楽章第4番の第2楽章からの引用主題を活用したアレグレットのロンドソナタ形式(A - B - A - 展開部 - A - B - A - コーダ)。ロンド。アレグレット、イ長調、4/4拍子。ロンド・ソナタ形式。非常に親しみやすい冒頭主題は、シューベルト自身のピアノ・ソナタ第4番の緩徐楽章から転用されたもの。ロンドではあるが、エピソードの挿入よりも、むしろこの主題を中心的に提示することに主眼が置かれている。

    最後はプレストにテンポを上げて華麗に終結するのです。

 

    演奏が済むと大ホールの7〜8割方を埋めた観衆からは、大きな拍手喝采、歓声が飛び交いました。カーテンコールの後、アンコール演奏がありました。

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《アンコール曲》

1.シューマン:子供の情景より「トロイメライ」

2.シューマン/リスト編:献呈

3.ショパン:ノクターン嬰ハ短調(遺作)

  

    何れも人口に膾炙した名曲ばかりで、小林さんの一流の演奏は、流石と思われるものでした。

    演奏会終了後、サイン会があるというアナウンスが有りましたが、用事があったので、帰宅を急ぎました。