HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

サントリーホールC.M.G./葵トリオを聴く

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【日時】2026.6.11.(木) 19:00〜
【会場】サントリーホール ブルーローズ(小ホール)
【出演】ピアノ三重奏:葵トリオ
 ピアノ:秋元孝介
 ヴァイオリン:小川響子
 チェロ:伊東裕
 〈Profile〉

       略

 

【曲目】

①ベートーヴェン『ピアノ三重奏曲第6番 変ホ長調 Op.70-2』

(曲について)

『ピアノ三重奏曲第6番 変ホ長調 Op.70-2』は、1808年に作曲された室内楽の名作です。交響曲第5番や第6番『田園』と同時期に書かれ、明るく穏やかな「変ホ長調」の魅力を存分に楽しめる楽曲として知られています。献呈先はエルデディー伯爵夫人マリー 。 全演奏時間: 約28〜32分 

 

②武満徹『ビトゥイーン・タイズ』

(曲について)

武満徹(1930–1996)が1993年に作曲したピアノ三重奏曲(ピアノ、ヴァイオリン、チェロ)です。 
後期武満の「海」をモチーフにした瑞々しく美しい響きが特徴の室内楽作品。


③ラヴェル『ピアノ三重奏曲』

(曲について)

モーリス・ラヴェルが1914年に作曲した『ピアノ三重奏曲 イ短調』は、近代フランス室内楽の最高峰と評される傑作です。第一次世界大戦の勃発という緊迫した状況下において、わずか5週間という驚異的な速さで書き上げられました。

 

【演奏の模様】

①ベートーヴェン『ピアノ三重奏曲第6番 変ホ長調 Op.70-2』

◯全四楽章構成

初期のウィーン風の軽快さや、深みのある叙情性が交互に現れる構成が魅力です。

第1楽章 Poco sostenuto - Allegro ma non troppo

第2楽章 Allegretto

第3楽章 Menuetto ma grazioso

第4楽章 Finale. Allegro


1.穏やかで神秘的な序奏で始まり、その後リズミカルで軽やかなアレグロへと展開する親しみやすい楽章。

2. 短調(ハ短調)の切ない響きを持つスケルツォ的な緩徐楽章。哀愁を帯びたメロディが印象的です。

3.落ち着いた優雅なテンポのメヌエット。古典的な美しさと力強さが同居しています。

4.生き生きとしたフィナーレ。リズミカルな主題が展開され、祝祭的かつ華やかに締めくくられます

 


②武満徹『ビトゥイーン・タイズ』

作品の概要と特徴は以下の通りです。 

・作曲年: 1993年

・楽器編成: ピアノ、ヴァイオリン、チェロ(ピアノ三重奏)
・演奏時間: 約18分
・委嘱: ベルリン・フェスティヴァル

 

「タイズ」とは何を意味するかについて、詳細をAIで調べると、以下の結果が得られるました。

「タイズ(Tides)」という言葉には、海の「波」だけでなく、季節などの「時間の流れ」といった多義的な意味が込められています。武満自身が「波間(between)を揺れ動きながら音楽が紡ぎ出されていく」と語っているように、3つの楽器が相似形の音型を対比させたり、重ね合わせたりしながら、海のように雄大で神秘的な音楽世界を展開します。

 

 

③ラヴェル『ピアノ三重奏曲』

◯全四楽章構成

第1楽章モデレModéré

第2楽章パントゥムPantoum, 

第3楽章パッサカリアPassacaille, Très large

第4楽章Final, Animé

 

1.バスク地方の民謡を思わせる郷愁を帯びた主題が特徴です。冒頭のピアノの主題は「3+2+3」の変拍子という極めてユニークなリズムで刻まれ、その上に弦楽器のメロディが重なることで、独特の浮遊感と透明感を生み出しています。 

2.「パントゥム」とは四行連詩をなすムラユ語の詩形であり、ある連の2行目と4行目が次の連の1、3行目となるという特徴がある。ラヴェルがこの形式を忠実に再現しようとしたと一般には信じられていないが、ブライアン・ニューボールド(英語版)を始めとする一部では、この表題が文字通りのものであると主張されている。曲は伝統的なスケルツォとトリオによる三部形式に基づく。ピアノが刺激的な主題を奏して始まり、弦楽器が2オクターヴ間隔で奏するなめらかな第二主題が続く。トリオの主題は4/2拍子というまったく違う拍子で書かれ、2つの拍子が共存する。

3.パッサカリアはバロック音楽に起源を持つ、反復される低音の旋律を伴う形式である。この曲の場合は冒頭の8小節がそれに当たり、主題は第2楽章に由来するものである。クライマックスに達した後、静かに曲を終える。

4. Final, Animé
ヴァイオリンのハーモニクスによるアルペジオ(ラヴェルは『ステファヌ・マラルメの三つの詩』ですでにこの効果を用いている)を背景に、ピアノが5/4拍子による第一主題を奏し出す。第1楽章と同様に変則的な拍子が用いられ、5/4拍子と7/4拍子が交互に現れる。全楽章の中で最も管弦楽的な効果を持ち、3人の奏者の能力を極限まで利用しつくして華麗なコーダで終結する。

 

    以上、前半二曲、後半一曲を聴いて強く思ったことは、2018年ミュンヘン/コンクールで優勝してから8年を経、葵トリオは着実に進化の過程を歩んでいるということでした。

    これ迄このメンバー関係のコンサートは、何回も聴いてきており(例えば、2022年5月「上野deクラシックVol.69  小川響子リサイタル」、「2022年C.M.G.『葵トリオ』」「2023年C.M.G.フィナーレ演奏会」、「2025年3月「リクライニングコンサート」、「2022年C.M.G.『葵トリオ』」他)、小川さんの鳴らすVn.の輝き具合、秋元さんのピアノ音の様子、伊藤さんのVc.の具合などを肌で感じ取って来ましたが、今回のアンサンブルを聴くと、その融合度は、益々タイミングも音量調節にも絶妙感が増して来ており、それが響き具合として、聞く者の心にスンナリと入ってきていました。以前は、秋元さんのピアノ演奏は、(特にフォルテで)やや肩に力がやや入り過ぎの感がありましたが、今回は、全体的に見事な力のコントロールに依り、特にベートーヴェンの曲では、如何にも、ピアニストでもあった作曲者の意図を汲み取ったかの様な、素晴らしい伴奏と合の手を入れ、また独奏でも、素晴らしい音を立てていました。一方伊東さんのチェロの演奏は、特に合の手のソロ部で、その力量を発揮、こんなにいい音を立てていたんだと再認識した次第です。また小川さんは、流石オケのコンミスとして活躍している場数を踏んだ演奏で、トリルの牽引役、推進役を演じていました。

     三者は、各曲とも、卓越したアンサンブルを届けてくれましたが、特にベートーヴェンの曲では、この曲の良い部分を白日のもとに晒し、いかにもベートーヴェンの曲らしさを強く醸し出すのに成功していて、この素晴らしい曲の理解度が増しました気がしました。

     ただ、②の武満徹の曲では、アンサンブルの響きは、三者三様溶け合わない各楽器が独自の輻輳した風景を描いている様な感じの曲でした。たとえば、「タイド(波)」と言っても、海辺でもかなりの波が押しては引く遠浅の処ではなく、奥まった入江でチャプチャプと波が軽く蠢いている幻想が、緩やかなテンポの三者の演奏からは浮かび上がり、しかしそれらの安寧も最初のかなりの強奏により、恰も満潮が押し寄せ、入江の植物、蟹等の小動物がまるで津波に飲み込まれる様に水面下に消え、ただ夕暮れ時に満月が木々(例えばマングローブ)の梢の合間から見え隠れする情景の幻想(いや妄想と言った方が良いかも?)を思い浮かべて聴いていました。弦楽は、ハーモニクス音を立てたり、コル・レーニョ奏、Pizzicato奏を混じえたり、かなり難しそうな曲でした。ピアノの秋元さんも、アンサンブルとしては、合わせ難かったのでは?

③のラヴェルでは、やは彼らしい洒脱な調べの交錯で、独自の雰囲気を有した曲でした。特に印象だったのは、第三楽章。冒頭、秋元さんの極低音域の沈んだゆったりした調べのピアノ演奏で開始、次いで伊東さんがとてもいいチェロの音色の調べで入りました。安定感のある演奏、そしてヴァイオリンの小川さんが同じテーマで参画、三者は次第にかなりの強奏部へと展開、力強いアンサンブルが実演されました。特にヴァイオリンの調べが伸び伸び聞こえました。強奏も良かったし、その後の弱静奏アンサンブルも、チェロのソロ部もまた良かった。しっとりとしたしめやかな感じでした。解説によれば、ここは葬送の場面なんでしょうかね?

曲全体として印象は、演奏はとても良かったのですが、曲の全楽章の構成と意味付けが、解説からは今一つ釈然としないものが残った曲でした。

でも、今回は、トップのベートーヴェンの名曲と言っても過言でない作品の素晴らしいアンサンブル演奏を聴けて、やはりベートーヴェンは格が違うなと再認識しました(自分はベト節が好きと言っている様なものでしょうか?)。

演奏後、満員売り切れの会場席からは、絶大なる拍手・喝采が沸き起こり、舞台⇔袖を何回か行き来した三人は、アンコール演奏を弾き始めました。

《アンコール曲》

L. ブーランジェ『春の朝に』

 

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