HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

「藤岡・新日フィル+神尾(Vn.)」演奏会を聴く

〜すみだクラシックへの扉 〜 

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【日時】2025.11.7.(金)14:00〜

【会場】墨田トリフォニーホール

【管弦楽】新日本フィルハーモニー交響楽団

【指揮】藤岡幸夫

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   〈Profile〉

 1962年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業後、英国王立ノーザン音楽大学指揮科に入学。
渡邉暁雄の最後の愛弟子。また、サー・ゲオルグ・ショルティのアシスタントも務めた。
   主な役職:関西フィルハーモニー管弦楽団:首席指揮者
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団:首席客演指揮者

 

【独奏】神尾真由子(Vn.)

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  〈Profile〉

     4歳の時からヴァイオリンを始め、里屋智佳子、小栗まち絵、工藤千博、蓮江久美子に師事。1997年3月、オーチャードホールで、シャルル・デュトワ指揮スーパーサウンド・オーケストラ[1]とラロの『スペイン交響曲』の第5楽章を共演して10歳でソリストとしてデビューした。2000年、ニューヨークへ留学し、アスペン音楽祭、ジュリアード音楽院プレカレッジでドロシー・ディレイ、川崎雅夫に師事。2001年8月、サントリーから1727年製ストラディヴァリウス[注釈 1]を貸与されて弾き始めた。

2002年4月、日本に戻り、桐朋女子高等学校初の特待生となり、原田幸一郎に師事した。2008年、Sony BMG Masterworksと専属録音契約。アスペンのマネージメントにより演奏活動を行う。また、チューリッヒ音楽院でザハール・ブロンに師事し、研鑽を積んでいる。2009年6月、アスペンによりファンクラブが設立され、2011年に拠点をニューヨークに移した。2012年、約10年使用していた上記のストラディバリウスを返却、米国・ストラディバリ・ソサエティーから1735年製グァルネリ・デル・ジェスの貸与を受け、使用していた。2017年5月からは宗次コレクションから1731年製ストラディヴァリウス“ルビノフ”を貸与。2013年7月8日、ロシア人ピアニストのミロスラフ・クルティシェフと結婚、2015年3月に第1子を出産した。

2019年4月、所属事務所をKAJIMOTOへ移籍し、東京音楽大学教授就任のため拠点を日本へ戻す。

 

【曲目】

①チャイコフスキ:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.35

(曲について)

    1877年、メック夫人から毎年年金を贈られることになったチャイコフスキーは、ジュネーヴ湖畔のクラランに静養に出かけ、ここを拠点に作品の構想や楽想を練ったりイタリアへ足を延ばして風光明媚な南国の風物に親しんだりした。そのおかげで、この時期、創作意欲が旺盛になり、交響曲第4番や歌劇『エフゲニー・オネーギン』などを完成させた。翌1878年4月、友人でヴァイオリニストのイオシフ・コテックが、3年前にパブロ・デ・サラサーテが初演して大成功を収めたエドゥアール・ラロのヴァイオリン協奏曲第2番《スペイン交響曲》ニ短調作品21の譜面を携えてクラランのチャイコフスキーの許を訪ねてきた。チャイコフスキーは早速この『スペイン交響曲』を研究し、その研究の成果物として本作は着想されたようである。コテックのクララン滞在中、わずか11日で本作のスケッチをおこない、その2週間後にはスコアリングが完成した。



②シベリウス:交響詩「フィンランディア」 op.26
 (曲について)

    『フィンランディア』が作曲された1899年当時、フィンランド大公国は帝政ロシアの圧政に苦しめられており、独立運動が起こっていた。シベリウスが作曲した当初の曲名は「フィンランドは目覚める」 (Suomi herää) で 新聞社主催の歴史劇(※)の伴奏音楽を8曲からなる管弦楽組曲とし、その最終曲を改稿して独立させたものであった。フィンランドへの愛国心を沸き起こすとして、帝政ロシア政府がこの曲を演奏禁止処分にしたのは有名な話である。初演は1900年7月2日、ヘルシンキで行われた。

 

新聞社主催の歴史劇(※)
2月宣言(フィンランド語版)の結果、青年フィンランド党(英語版)はロシアの抑圧政策(英語版)に反応して、党の新聞のために1899年11月にヘルシンキで「新聞の日」の祝賀会を計画した。カールロ・ベルグボム(英語版)は6幕物のフィンランド語の歴史劇を作り、シベリウスが伴奏曲を作曲し、エイノ・レイノとヤルマリ・フィンネ(フィンランド語版)が感情的で愛国的な背景を書いた。劇では『カレワラ』の時代からのフィンランドの歴史の様々な段階が描かれた。レイノはフィンランドの民族の覚醒を描いた最終幕「フィンランドは目覚める」にも応えた。シベリウス自身が11月2日にスウェーデン劇場(英語版)で行われた初演でヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団を指揮した。

 


③シベリウス:交響曲第5番 変ホ長調 op.82

(曲について)

    この交響曲は1914年の秋には計画されていた。翌年の1915年はシベリウスの生誕50年にあたり、記念行事の中心に祝賀演奏会が行われることになり、その演奏会で初演される交響曲として作曲されたのである。同じ頃に交響曲第6番、第7番の楽想も着想されたが、記念演奏会という目的が定められたこの作品が優先して作曲された。この交響曲を作曲中の1915年4月、散歩の途中で近づいてくる春の気配にこの交響曲のインスピレーションを得たことを書き記している。

この作品の作曲時期は第一次世界大戦と重なっており、国全体が経済的に困窮していた。シベリウス自身も生活のため出版社の要求に応えて歌曲やピアノ曲を作曲せざるをえず、交響曲の作曲ははかどらなくなった。彼自身「ともかく現実的な仕事が先だ」と書いている。こうした停滞はあったものの、予定されていた1915年12月8日のコンサートには間に合わせることができた。初演はシベリウス自身の指揮により行われ、大成功を収めた。

しかし作曲者は満足しておらず、翌1916年の秋に改訂を行い、初版初演の1年後の誕生日である12月8日トゥルクにおいて自らの指揮で改訂稿の初演を行った。さらなる改訂を1917年に着手するが、フィンランド独立宣言前後の政情不安を避け避難するなどして、改訂の筆は進まなかった。第2改訂稿が完成したのは1919年秋になってからで、この年の11月24日ヘルシンキで作曲者自身により演奏された。結局、この稿が決定稿となり、この作品は最終稿に基づき演奏されるのが通例である。

 

【演奏の模様】

 今回の演奏会には神尾さんが出演するし、オーケストラの演奏はシベリウスの曲だというし、トリフォニーホールは少し遠くて不便なので、チケットはたまにしか取らず余り行かないホールなのですが、今回は聴きに行く事にしました。神尾さんの演奏を生で聴いたのは、十五年ほど前に、森アーツセンターギャラリーで開催された「ストラディヴァリウス300年目のキセキ展」という美術館の展示会でのミニコンサートでした。ヴァイオリンの名器が各種(ストバリのみ)展示されている中で、日替わりで展示品を使用した演奏が聴ける趣向でした。観に行った日のこと、展示室を見て回るうちに、別の部屋(後で考えると控室ですね)から、ヴァイオリンの素晴らしい音が漏れ聞こえて来たので、その部屋に近づいて、閉まった扉に聞き耳を立てると、朗々と素晴らしいヴァイオリンの音が漏れ響いて来るのです。どうもミニコンサートの手慣らしをしている様です。結構長く、多分(20分位か?)練習音は響いていて、それを聴いて何か得した様な気がしました。余りにいい調べだったので。それは、神尾真由子さんがミニコンの前に手慣らしていたのでした。ミニコンの時間となって、指定の展示室に入ったら、既に10人位が集まっていました。時間となってすぐに神尾さんが登場、集まっていた十数人(20人はいなかったと思います)が神尾さんを取り囲み、その輪の中で「カルメン幻想曲」を弾き始めたのです。ミニコンというよりも、サロンコンサートの様でした。あたかもモーツァルやベートーヴェン、シューベルトの時代に戻ったかのような錯覚まで覚えました。神尾さんの演奏が余りに見事だったので、演奏終了と共に、自分の口は❝素晴らしい!!❞と思わず大声で叫んでいました。そしてみな大きな拍手の輪で演奏者を賛えたのです。これが神尾さんの生演奏の聴き始めでした。その後機会ある毎に聴きに行っていたのですが、今年何月だったか?ここ数年は、他の演奏会の魅力が相対的に増してきて、神尾さんの演奏は昨年の9月以降、聴きに行ってないことに気が付きました。

 来週からは、ウィーンフィルやらベルリンフィルやら大型演奏会が目白押しで、12月も第九やら何やらで結構忙しいので、このままでは、今年は神尾さんを一度も聴きに行けず終わってしまう恐れがありました。最低1年に一回も行かないのでは、自称❛ファン❜とは言えない、と反省して調べたら、今回の演奏会が見つかったので、チケットを取ろうとしたのです。しかしもう売り切れ寸前でいい席は残っていませんでした。それでも聞かないよりは聴きに行った方がいいと思って、錦糸町まで出掛けたのでした。

 

①チャイコフスキ『ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.35』

◯楽器編成:独奏ヴァイオリン、フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、ティンパニ、二管編成弦楽五部14型(14-12-10-8-6)

◯全三楽章構成

第1楽章 アレグロ・モデラート − モデラート・アッサイ ニ長調

第2楽章 カンツォネッタ アンダンテ ト短調

第3楽章 アレグロ・ヴィヴァチッシモ ニ長調 

 この曲の演奏は、もうこれは神尾さんの専売特許の様なもので、例えれば、真由子流派の家元によるお手本のお点前の様なものでした。年齢を重ねるにつれ、奥ゆかしさと繊細な味が増していき、将に神の領域に足を踏み込むのではと思われる程見事な演奏でした。(蛇足ですが、一か所オヤと思った箇所が有りました。アタッカで入った第3楽章、猛テンポで民族調の主題を弾き進み、ひとしきり弾いた処でオケが、ジャーンと区切りを付けます。神尾さんは高速運転を止め、短い間を置いた後、次に低音域の旋律を深々と重くゆったりと弾き始めたのですが、その低音の出だしの音が一瞬不安定でした(まー弘法も筆の何んとかと言いますから、気にする程の事もないのですが)。最後は一気呵成に事を成し遂げたのでした。

 

<参考>

1.

オーケストラの第1ヴァイオリンが奏でる導入主題の弱奏で始まる序奏部アレグロ・モデラートでは、第1主題の断片が扱われる。やがて独奏ヴァイオリンがゆったりと入り、主部のモデラート・アッサイとなる。悠々とした第1主題は独奏ヴァイオリンによって提示される。この主題を確保しつつクライマックスを迎えた後静かになり、抒情的な第2主題がやはり独奏ヴァイオリンにより提示される。提示部は終始独奏ヴァイオリンの主導で進む。展開部はオーケストラの最強奏による第1主題で始まる。途中から独奏ヴァイオリンが加わりさらに華やかに展開が進み、カデンツァとなる。メンデルスゾーンヴァイオリン協奏曲と同様に展開部の後にカデンツァが置かれており、すべての音が書き込まれている。カデンツァの後再現部となり、オーケストラと独奏ヴァイオリンが第1主題を静かに奏でる。徐々に音楽を広げて行きながら型通りに第2主題を再現する。ここから終結に向け音楽が力と速度を増してゆく中、独奏ヴァイオリンは華やかな技巧で演奏を続け、最後は激しいリズムで楽章を閉じる。

 

2.

管楽器だけによる序奏に続いて独奏ヴァイオリンが愁いに満ちた美しい第1主題を演奏する。第2主題は第1主題に比べるとやや動きのある主題で、やはり独奏ヴァイオリン主体で演奏される。第1主題が回帰してこれを奏でた後、独奏ヴァイオリンは沈黙し、管弦楽が切れ目なく第3楽章へと進む。

3.

第1主題を予告するようなリズムの序奏の後、独奏ヴァイオリンが第1主題を演奏する。この主題はロシアの民族舞曲トレパークに基づくもので、激しいリズムが特徴である。しかし演奏者によって全て演奏されないこともあり、一部省略する録音や演奏もある。やや速度を落とし、少し引きずる感じの第2主題となるがすぐに元の快活さを取り戻す。だが、この後さらにテンポを落とし、ゆるやかな音楽となる。やがて独奏ヴァイオリンが第1主題の断片を演奏し始めると徐々に最初のリズムと快活さを取り戻し、第1主題、第2主題が戻ってくる、最後は第1主題による華やかで熱狂的なフィナーレとなり、全曲を閉じる。

 

 演奏が終わって売り切れ御礼の会場からは、大きな拍手と歓声が沸き起こりました。何回も袖⇔舞台を繰り返し歓呼に応える神尾さん、そのあとで、ソリスト・アンコールが有りました。

《アンコール曲》パガニーニ作曲『24のカプリースOp.1』より第21番

  かなりの超絶技巧を凝らした曲で、ずーと重音演奏が続いていました。神尾さんは重音奏の狭間に速いパッセッジを織り交ぜ楽々と弾いていました。二重以上の重音に聞こえる箇所も有り不思議な感覚の響きでした。(自分の欲を言えば、技巧重点も素晴らしいですが、曲の美しさをもっと感じ取りたかったです。)

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②シベリウス:交響詩「フィンランディア」 op.26

 この演奏の前に指揮者の藤岡さんがマイクを持って、シベリウスの人となりに関して説明しました。

・曲の様に決して地味ではなく、酒好きで贅沢、喧嘩ぱやく、負債破綻者etc.

・フィランディアはシベリウスの若い時の出世作、ロシアからまだ独立していない時期の愛国心、特に最終曲は後に合唱曲に編曲、今では第二の国歌とも謂われている。

・第五番シンフォニーは、癌を患ったシベリウスが、治療のお陰で良くなってきたころ作曲、結構暗い苦しい曲相も入っていたがその草稿が紛失(?)、書き直したころには癌から快復、国も完全に独立をはたしたので、第1稿より明るさを取り戻した改訂稿になっている。

1楽章では、最後??、2楽章は、自然の描写、世の不安(??強からず?)

3楽章では風邪の吹き荒れ(Vaに注目) ⇒ 頂点に至る ⇒ 雄大な山々が見えて来る

 更にポップス的メロディが出て来て静まる⇒水やせつなさ??⇒??ffで終わる

(???はマイクなのですが早口で聞き取れず。)

ということを知っていて曲を聴くと良く理解出来るとの話でした。

 

◯楽器編成:フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット3、トロンボーン3、テューバティンパニ(1対)、トライアングル、シンバル大太鼓弦五部.

 

◯曲構成は、2つの序奏を持つ三部形式で、序奏A (アンダンテ・ソステヌート) - 序奏B (アレグロ・モデラート) - A (アレグロ) - B - Aの構成。

 

 おも苦しい雰囲気の冒頭は、フィンランド公国が圧制に苛まれている状況らしく、又それを打ち破ろうとする金管(Trmb.等)のファンファーレが勇ましく立ち上がり、藤岡・新日フィルの金管部門は最後までその勢いが陰ることなく活躍しました。Timp.やシンバル、Tri.の活躍も見逃せません。終盤の滔々とした明るい旋律は、新聞発禁を切っ掛けに怒りを持って立ち上がった新聞人を中心としたフィンランド人民の名誉ある勝利の賛歌だったのでしょう。短い曲ながら多くの意味合いが詰まった将にシベリウスの傑作に違い有りません。堂々としたオーケスト演奏でした。

 

<参考>

序奏A (アンダンテ・ソステヌート) :金管楽器による嬰ヘ短調の重苦しい序奏で幕を開ける。嬰ヘ短調だが、調性ははっきりしない。その後木管による甲高い悲痛と弦楽器・ティンパニの重苦しい響きが交錯する。

序奏B (アレグロ・モデラート) :ハ短調の緊迫したこの部分では、ティンパニのトレモロに乗って金管楽器群がこの曲の核となるリズムを予告し、緊迫感が高まる。そして、この後に入って来るクラッシュシンバルにより闘争のイメージをより一層高まらせる。

A (アレグロ) - B - A:曲調は一転して、変イ長調の快活な主部となる。中間部となるB部は、後に「フィンランディア賛歌 (Finlandia-hymni)」と名づけられた美しい旋律を中心に展開する。快活な主部が再現され、勝利感に満ちた中で曲は幕を閉じる。

 

③シベリウス:交響曲第5番 変ホ長調 op.82

◯楽器編成:Fl.(2) Ob.(2) Cl.(2) Fg.(2) Hrn.(4)Trmp.(3)

Trmb.(3) Timp.弦楽五部

◯全三楽章構成

第1楽章 Tempo molto moderato - Allegro moderato (ma poco a poco stretto) - Vivace molto - Presto - Più Presto (変ホ長調)

第2楽章Andante mosso, quasi allegretto - Poco a poco stretto - Tranquillo - Poco a poco stretto - Ritenuto al tempo I (ト長調)

第3楽章Allegro molto - Misterioso - Un pochettino largamente - Largamente assai - Un pochettino stretto (変ホ長調 )

②の『フィンランディア』の演奏後、Tub.奏者とTri.奏者が退場しました。

特に補充された楽器は有りません。

藤岡さんが指揮台に昇り、指揮を始めると第1楽章先ずHrn.(4)の斉奏で、おおらかな調べが流れ始めました。次いでFl.(2)+Ob.(2)の調べが合の手を入れ、何となく雄大な北欧の氷河の景色を想像してしまいます。

第2楽章では,全弦のPizzicato奏が目立った楽章でした。

Vc.のPizzicato奏は重々しくて効果的だったし、弦楽のPizzi奏とFl.(2)の短いタンギング音との掛け合い、終盤でのVn.の高音Pizzi奏に合の手を入れるOb.のソロ音など素晴らしいものでした。

 何と言っても感動したのは、終楽章の終盤で、全楽全奏の藤岡・新日フィルが、あたかも雄大なフィヨルドに囲まれた空間の大空を、大鷲が伸び伸びとゆっくり旋回するかの如き風景を夢想してしまう程、おおらかで堂に入った演奏をして締め括ったという事でした。プログラムノートにはシベリウスは「白鳥の飛奔を実際に見た体験」に基づくことを示唆していますが、ここは白鳥よりも大鷲の雄大な滑空を想像出来る曲相が出来上がったと考えたい。

 フィナーレでジャン・・ジャン・・ジャン・・ジャン・・ジャン・・ジャンと鳴らす処から見て、シベリウスは粘着性の性癖があったのでしょうか?もっと短い終了の方が自分としては好みです。

 すべての演奏が終わると、会場は大きな拍手喝采で満ち溢れました。

特にアンコール演奏は有りませんでした。

〈参考〉

1. ソナタ形式の前半とスケルツォの後半からなる。冒頭、北欧の大きな自然を暗示させる伸びやかなホルンの問いかけに、小動物が応えるかのように木管楽器が応えて第1主題群を形成する。第2主題は「ややフルート風に」と指定された弦のトレモロに乗って木管楽器群で提示される。第2主題が遮られ、高揚して小結尾となった後、提示部は変奏的に反復される。展開部ではホルンの橋渡しを経て弦楽器が第2主題に基づいた半音階的楽句を奏で始め、木管楽器が短く応える。ざわめく弦に乗ってファゴットに受け継がれ、曲は一旦ラルガメンテにテンポを落とし、幻想曲風になった後、高揚して再現部となり、第1主題と続くスケルツォ主題の変形を取り込みながら巧みにアレグロ・モデラートへ入る。スケルツォ主題は木管により演奏される牧歌風のものだが、第1主題も巧みに交わりながら変奏的に発展してゆく。中間主題(事実上のトリオ)はトランペットにより提示される。やがてスケルツォの荒々しい雰囲気が回帰し、曲は終結部に向かって徐々に高揚しクライマックスでプレストのトランペットによる終結主題で晴れやかな頂点を飾り、終止する。演奏時間は12~14.5分程度。

2.変奏曲の形式による緩徐楽章。主題はヴィオラとチェロのピッツィカートにより提示される純朴な歌である。この主題が様々な楽器に引き継がれながら6回変奏されて行く。演奏時間は8~10分程度。

3.A-B-A-B-コーダの構成を持つフィナーレ。弦のトレモロがやがて疾走するような第1主題を低弦部で形成する。やがてホルンが二分音符からなる鐘の響きのようなモチーフでこれに応える。このモチーフは低弦による拡大形と組み合わされる。いかにも田園的な第2主題はフルート、オーボエとチェロによって表情的に歌われる。やがて木管が軽妙に現れて弦のトレモロが合わされ、第1主題の再現に移る。「ミステリオーソ(神秘的に)」と表記され、弱音器をつけた弦楽器のトレモロにより第1主題が再現されてゆく。第2主題は、フルートとクラリネットに回帰し、「ウン・ポケッティーノ・ラルガメンテ(幾分幅広く)」へ移行する。第2主題は弦に受け継がれ、ホルンの二分音符モチーフも加わる。さらに弦が強調され、「ラルガメンテ・アッサイ(十分にたっぷりと)」となり、ホルンにより提示されたモチーフがトランペットで朗々と奏でられた後、休符の目立つ和音の6つの連打によって全曲の幕を閉じる。演奏時間は8~10分程度。

 

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(木管奏者を労う指揮者)

 

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(コンマスの肩を抱える指揮者)

 

 演奏がすべて終了し、クロークに預けた荷物を受け取りにいくと、出口から奥階段下まで、ズラリと観客が並んでいました。サイン会をするみたい。あれ、誰かな?と思って係員に訊くと、神尾さんとのこと、CD購入すればサインして貰えるとのことでした。CD売場を見ると、保有している物がほとんどで、その他は聴きたい曲が無かったので、サイン会の写真を一枚撮って帰路につきました。


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