今日10月29日(新暦)は、旧暦九月九日に当たり重陽の節句です。陽は陰陽説で奇数、それに対し偶数は陰で、それぞれ縁起が良い数字、縁起が悪い数字とされます。従って一桁の奇数が重なる日はとても良い日とされ、1月1日、3月3日、5月5日、7月7日、9月9日は古来五節句として、祝われる日になってきました(但し1月1日は、年の初めの特別に貴重な日で、元旦として別格扱いなので節句にカウントせず、代わりに1月7日が「人日の節句」として、五節句に入っています)。
(五節句)
1月7日 人日 七草の節句
3月3日 上巳 桃の節句
5月5日 端午 菖蒲の節句
7月7日 七夕 星まつり
9月9日 重陽 菊の節句
重陽の節句は、丁度菊の花が盛りとなる時期で(新暦9月9日では、菊の時期にはまだ早いのです)、各地で、菊花展が催されます。因みに東京では、毎年(コロナ禍など中止の年有)、本年も日比谷公園で次の様に開催の予定です。
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「第100回東京都観光菊花大会」開催のお知らせ
丹精込めて育てられた菊を見て日本の秋を体感しませんか。
東京都観光菊花大会は、大正4年から開催されている、長い歴史と伝統のある菊花展です。様々な菊花の力作が一堂に会する展示を行いますので、この機会にぜひご来場ください。(東京都)

《開催概要》
【日時】令和7年10月31日(金)〜11月9日(日) 各日10時00分~16時00分
【入場料】無料
【会場】都立日比谷公園内 陳列場
(千代田区日比谷公園1-6)
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重陽の節句には、我が国でも古くから様々な行事がなされ、枕草子十段には、次の記述があります。
❝九月九日は、あかつきがたより雨すこしふりて、菊の露もこちたく、 ちたく、おほひわたる綿などもいたくぬれ、うつしの香ももてはやされて、つとめてはやみにたれど、なほくもりて、ややもせばふりおちぬべくみえたるもをかし。❞
此等の風習は、元々中国の風習が我が国に渡来したもので、現代に残る明(みん)時代の風俗・風習録『東京(とうけい)夢華録』には、次の記述があります。
❝九月の重陽の節句には、都では菊見をする。数種類あって、黄白色でしべが蓮の泡のようなのを万齢菊といい、とき色のを桃花菊といい、白くてほうが薄い代赤色のを木香菊といい、黄色で円いのを金鈴菊といい、純白で大きなのを育客剰といい、菊のない所とてない。酒店ではみな菊の花を飾りつけて洞戸を作る。
市民は多く郊外へ出掛けて、高みに登る。例えば倉王廟・四里橋・愁台・梁王城・硯台・毛駝岡・ 独楽岡などで、それぞれ宴を張る。
一両日前に、それぞれ小麦粉で粉餅を蒸して贈り物にするが、その上には色絹で作った小旗を挿し、 石榴の実や栗の実や銀杏や松の実などの木の実をちりばめる。また小麦粉で獅子と蛮王の形を作って、 それを糕の上に置いたのを獅蛮糕という。
諸禅寺では、それぞれ法要が行われる。とくに開宝寺と仁王寺では獅子会が催され、僧侶たちはみな獅子座の上に坐って法要説法をやるので、ことに盛んな御参りである。 下旬になると、お供え用の着物や靴や席帽や反物を売り出すが、これは十月一日の墓参りに焼いて供えるからである。❞
こうした何百年も前の記録(北宋は960年~1127年)を見ても、当時の都(北宋の首府である東京(とうけい)開封府・・・百万都市と謂われます)が貿易と商業で繫栄し、庶民の暮らしが如何に余裕を楽しみ、豊かな生活を送っていたかが窺え知れます。