HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

ロッシーニ『オリー伯爵』フローレス主演)/MET LIVE VIEWINGアンコール初日を観る(at 東劇)

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【日時】2025.8.22.(金)14:00〜

【会場】東京都中央区、東劇

【演目】MET.LIVE Viewing『オリー伯爵』全二幕 

【言語】フランス語上演、日本語字幕付

【管弦楽】メトロポリタン歌劇場管弦楽団

【指揮】マウリツィオ ベニーニ

【演出】バートレット シャー

【案内】ルネ フレミング

【主な出演者】

〇ファン・ディエゴ・フローレス:オリー伯爵役

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  〈Profile〉

    ペルー出身のテノール歌手。超高音を得意とし、ロッシーニをはじめとするいわゆる「ベルカントオペラ」の領域において現代最高のテノールともいわれる。

    17歳でリマの音楽院に入学するが、当初はポップスに興味を持っており、20歳頃よりオペラを本格的に学ぶ。プロデビューは1996年ロッシーニフェスティバルであった。その後スカラ座やコヴェント・ガーデンを始め、主要なオペラハウスに次々出演し、得意とする高音で頭角を現す。特にドニゼッティの『連隊の娘』のハイCを9回連続で歌う、テノールにとって至難のトニオ役で名を馳せた。

    レパートリーは、ロッシーニ、ドニゼッティ、ベッリーニなどのベルカント・オペラが中心である。

 

〇ディアナ・ダムラウ:アデル伯爵夫人役

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  〈Profile〉

    ドイツギュンツブルクの生まれ。 ヴュルツブルク音楽大学でカルメン・ハンガヌに師事後、ザルツブルクでハンナ・ルートヴィヒの薫陶を受ける。1995年にヴュルツブルク市立劇場でモーツァルトの《フィガロの結婚》のバルバリーナ役で初舞台を踏み、マンハイム国立劇場やフランクフルト・オペラなどにも出演するようになった。2002年にチェルハのオペラ《シュタインフェルトの巨人》の初演、ミラノ・スカラ座のリッカルド・ムーティ指揮によるアントニオ・サリエリの《見出されたエウローパ》の蘇演にそれぞれ参加する。2003年にはコヴェント・ガーデンのモーツァルトの《魔笛》で夜の女王役、その翌年にはニューヨークのメトロポリタン歌劇場でリヒャルト・シュトラウスの《ナクソス島のアリアドネ》のツェルビネッタ役を演じる。

    2007年よりヴァージン・クラシックスと専属契約を結ぶ。

 

〇ジョイス・ディドナート:オリー伯爵の小姓イゾリエ役

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   〈Profile〉

    ジョイス・ディドナート(旧姓フラハティ、1969年2月13日生まれ)は、アメリカのオペラ歌手、リサイタリストである。コロラトゥーラ・メゾソプラノとして、19世紀ロマン派からヘンデルやモーツァルトの作品まで、幅広いオペラやコンサート作品を演奏してきた。 

ウィチタ州立大学とフィラデルフィアのAVA(アカデミー・オブ・ヴォーカル・アーツ)で学び、サンフランシスコ、ヒューストン、サンタフェのオペラハウスの若手アーティスト向けプログラムで研鑽を重ねた。その後、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場、ディドナートは、1990年代半ばにキャリアを開始し、ヒューストン・グランド・オペラをはじめとするいくつかのオペラ団体の若手アーティスト・プログラムに参加した。それ以来、米国やヨーロッパ各地で仕事を持つようになった。2000 /01年シーズンにはロッシーニの『チェネレントラ』でスカラ座に、 2003年にはヤナーチェクの『ずる賢い小女』で英国ロイヤル・オペラに、2005/06年シーズンにはモーツァルトの『フィガロの結婚』ケルビーノ役でメトロポリタン歌劇場にデビューした。マイケル・ドーハティの『ジャッキーO』(1997年)、マーク・アダモの『若草物語』(1999/2000年)、ジェイク・ヘギーの『グレート・スコット』 (2015年)、ケヴィン・プッツの『めぐりあう時間たち』(2022年)など、いくつかのオペラの世界初演にも出演している。

   デ ィドナートは、2012年、2016年、2020年のグラミー賞最優秀クラシック・ボーカル・ソロ賞をはじめ、数々の賞を受賞している。

    ジョイス・ディドナートは、「神々しい」声(タイムズ紙)と卓越した技術、息を呑まんばかりのステージングで、わずか数年のうちに世界的トップ歌手にまで上り詰めた。
 

【MET.LIVE Viewingアンコールについて】

   過去の上映作品の中から選りすぐりの人気作を一挙に上映するMETライブビューイングアンコール上映が、今年も4都市で開催決定!

    東銀座・東劇では2024-25シーズンの全8作品を含む20作品が鮮やかにスクリーンへ蘇ります!

〈東劇上映スケジュール〉8/22〜9/25

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 アンコール上映の初日には、時間帯を別とした三演目が上映されましたが、その中の『オリー伯爵』を観ることにしました。理由は四つ、

①国内では滅多に上映されず、(7年前にNNTT公演で、4年前の藤原歌劇団の公演例は有り)、自分としては、これまで見たことがない。

②世界の一流のベルカント歌手三人が、主要キャストとして出演する。特にフローレスは、これまで何回も来日していて、その公演を堪能してきたが、ここの処若干の不調・衰えを危惧する評判もあるので、彼の最盛期の歌声を確認したかった。

③初日(8/22金)には、他の演奏会に行く予定は入っていなかった。

④東劇でのMETライブビューイング観劇は、暫く行ってなくて、何年か振りになる。その後、劇場に変わりあるか無いかも気になった。

 

 

【粗筋】

    舞台は1200年ごろのフランスの片田舎にあるフォルムティエの城。フォルムティエ伯爵は部下を引き連れて聖地エルサレムへ十字軍として出征、彼の妹で貞淑で慈悲深いアデル伯爵夫人は、話し相手のラゴンド夫人、侍女たちと共に彼らの帰りを待っている。聖地エルサレムに出かけなかった貴族の一人が若き伯爵オリーである。彼は教育係の目を盗み、アデル伯爵夫人に言い寄ろうと、隠者に変装して城門の外に住んでいる。そしてその住処で人々の心の悩みを聞いて助言を与え、そのお礼として果物やワインを受け取っている。

 

第一幕
    オリー伯爵の腹心で、放蕩仲間である騎士ランボーは、隠者の関心を引こうと躍起になって群がってくる村娘たちや農夫たちをさばくのに苦労している。しかつめらしい侍女頭のラゴンド夫人がやってくる。ラゴンドは、十字軍に遠征に参加した兄弟の帰りを今か今かと待ちわびている。ラゴンドは人々の群れが楽しげなのに、自分の女主人アデルが沈んでいるのを見かねて、あの隠者にアデル伯爵夫人の相談にも乗ってもらえたらと考える。

ねぐらから出てきた隠者(オリー伯爵)は、人々を祝福し、全ての人の望みを叶えよう、娘たちには結婚相手を見つけてあげようとかなり怪しげな説教をする。のだが、ラゴンド夫人は隠者(オリー伯爵)に願い事をする人の列に加わる。隠者はラゴンド夫人の懺悔を聴聞し、アデルをはじめ城の夫人たちが、男たちが十字軍遠征に出かけて留守の間、貞節を護ると誓いを立てたということを聞き出す。隠者は彼女の女主人に会うことを承知するが、自分の住まいで娘たちをもてなす事のほうに興味がありそうである。オリー伯爵の若い小姓イゾリエは、アデル伯爵夫人に恋焦がれている。イゾリエは、オリー伯爵の教育係と一緒に登場する。教育係は隠者を不審に思って怪訝そうであるが、イゾリエはここ一週間ほど姿を消している自分の主人の居所を探ろうと説得する(アリア「絶えず気配り」)。村人たちと話をし、仕入れた情報から隠者の素性をオリー伯爵であると見破った教育係は、応援を頼みに行く。他方、隠者が自分の主人が変装していることに気づかず、イゾリエは隠者にすっかり心酔し、自分は伯爵夫人に恋をしており、巡礼の尼僧に変装して城に忍び込むつもりだと打ち明けてしまう(二重唱「さる高貴な生まれの貴婦人が」)。隠者はイゾリエに手を貸すと約束するが、その計画を自分のために利用しようと密かに心に決める。

アデル伯爵夫人がやって来て、沈みがちな気持ちを訴えると(アリア「悲しみの餌食となり」)、隠者は恋こそが貴方の心の癒しだと処方する。この助言にはっとした彼女は、すぐにその気になり、イゾリエに自分の気持ちを打ち明けようと考える。隠者は、あの小姓イゾリエは女たらしのオリー伯爵に仕えているので危険だと忠告する。隠者(オリー伯爵)が伯爵夫人にうまく接近出来かけたとき、教育係が入ってきて隠者の化けの皮をはぐ。アデル伯爵夫人もイゾリエも、彼の正体を知って恐れ戦くと共に自分を恥じる。2日後に十字軍が帰還すると聞いて、オリー伯爵はその到着の前に、もう一度城に侵入しようと計画を立てる(フィナーレ「まさかのこと…ああ、恐ろしいこと、悲痛の極みよ。」)。

 

第二幕
    伯爵夫人と侍女たちが、おそらくゆあがり後か食後なのかリラックスした雰囲気で、語り合い、変装したオリー伯爵の噂もし、縫い物などで気持ちを静めようとしている。突然嵐になり、城の外から女巡礼の一団(実は尼僧に扮したオリー伯爵とその部下たち)の悲鳴が聞こえてくる(嵐の場面「気高い女城主様、私どもの難儀をご覧ください」)。女巡礼たちは、オリー伯爵に追われているので匿ってほしいと訴える。伯爵夫人は女巡礼たちを中にいれる。女巡礼の一人が、伯爵夫人に直接礼を述べたいと言う。その正体は、変装したオリー伯爵で、アデルと二人きりになったとたん、自分の気持ちを抑えられなくなる(二重唱「ああなんという貴方様の高徳への」)。アデル伯爵夫人はミルクと果物をこの「巡礼」の客人にふるまうよう命じて部屋を出て行く。

城の酒蔵に入ったランボーは、ワインを何本も持ち出してつましい食事を盛り上げる(アリア「この人里はなれた」)。誰かが近づくと、酒盛りの騒ぎはすぐに敬虔な聖歌に変わる。

イゾリエが登場し、十字軍が真夜中に帰ってくると知らせを持ってくる。ラゴンド夫人から、伯爵夫人が城にお泊めしている「徳の高い方々」にもそれを知らせようと言われたイゾリエは、主人オリー伯爵のやり方をすでに心得ており、女巡礼たちが偽者だと見抜く。アデル伯爵夫人に気に入られたい一心で、イゾリエはオリー伯爵に罠を仕掛ける。オリー伯爵がアデル伯爵夫人のもとに不意に忍び込もうとしたとき、イゾリエはアデル伯爵夫人の寝室の明かりを消して、自分が彼女のベールをかぶり、自分は長椅子の上にいるから貴方は後ろに隠れてくださいとアデル伯爵夫人に言う。暗闇と伯爵夫人の声に惑わされて、オリー伯爵はイゾリエに近寄る(三重唱「この暗い夜に乗じて」)。そこへラッパの音が鳴り響き、十字軍の帰還が伝えられる。イゾリエは正体を現わし、アデル伯爵夫人の手を借りながら、打ちのめされたオリー伯爵をこっそり外へと逃がす。

そして十字軍の騎士たちが人々に迎えられ、賛美の歌が歌われる(終曲「栄光あれ、勝利した子らに」)。

 

【感想】

 流石、ベルカントの名手三人の歌唱は、アジリタ、コロラテューラ、早口歌、跳躍音他技術的、技巧的パッセッジを自然体から安定的に発声がなされ、見事なものでした。特に第三幕の主役達の三重唱は。それぞれの思わくを歌い交わし、演技もベッドシーンに至るのですが、面白みこそあれ、嫌らしさは微塵も感じません。これは露骨な演出ではないこと(キスをかわそうとしてもすれ違い、せいぜいイゾリエとオリー伯がアデル夫人のスカートの裾をまくろうとする程度で)、あくまで喜劇役者に徹しようと務めている歌手達の品のいい歌声の賜物でしょう。特にオリー伯を演じたフローレスは、最後まで伯爵であることを隠し、一幕では隠者に変装し、第二幕では、巡礼者のリーダーに変装し(外見だけからすると、変装もあやしい、見破られるのでは?と思う程度の変わり様なのですが)言葉巧みに歌い、また表情もかなり大袈裟と思われる程の演技なので、思わず、グフッと笑いが込み上げ、女性たちもうまく騙されたのも宜なるかなと思わす説得力がありました。スクリーンに映るメトロポリタン歌劇場の観客の笑い声や、歓声・拍手は、盛り上がり場面の度に沸き起こっていましたが、映画鑑賞の東劇の観客は(初日のためか、かなりの入り、30%位の座席は埋まっていた様に見受けたのですが、)冷静なのか、極めて静かに観ていました。笑い声一つ起こりませんでした。ベルカントオペラとしても、アリアの聴きどころが以下に示した様に豊富な作品なので、非常に勉強になりました。

 

・第1幕アリア「絶えず気配り」(教育係)
・二重唱「さる高貴な生まれの貴婦人が」(イゾリエ、オリー伯爵)
・アリア「悲しみの餌食となり」(アデル伯爵夫人)
・フィナーレ「まさかのこと…ああ、恐ろしいこと、悲痛の極みよ。」

・第2幕嵐の場面「気高い女城主様、私どもの難儀をご覧ください」
・二重唱「ああなんという貴方様の高徳への」(オリー伯爵、アデル伯爵夫人)
・アリア「この人里はなれた」(ランボー)
・三重唱「この暗い夜に乗じて」(オリー伯爵、イゾリエ、アデル伯爵夫人)
・終曲「栄光あれ、勝利した子らに。」


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巡礼者に扮したオリー伯爵を信じる

アデル夫人

 


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カーテンコール