HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

フェスタ・サマー・ミューザ(F.S.M.)/オープニング・コンサート

~ノット音楽監督ラスト・シーズン!~

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【日時】2025.7.26.(土)15:00〜

【会場】ミューザ川崎シンフォニーホール

【管弦楽】東京管弦楽団
【指揮】ジョナサン・ノット(東京交響楽団 音楽監督)

 ~ノットの❝言葉のない指環❞プレトーク14:20〜

【曲目】
①ワーグナー:歌劇『ローエングリン』から 第1幕への前奏曲

(曲について)

    リヒャルト・ワーグナー (1813~1883)の『ローエングリン』は、中世の聖杯騎士の伝説にもとづくオペラ。物語の舞台は10世紀初めのアントウェルペン。ブラベント公国の公女エルザは、世継ぎの弟殺しの嫌疑をかけられる。聖杯の騎士ローニングリンは自らの素性を隠して現れ、エルザを救う。ふたりは結婚するが、エルザは禁を破って騎士の素性を尋ねてしまい、ローエングリンは聖杯城へと去る。

    第1幕への前奏曲はしばしば単独でも演奏される、緑なヴァイオリンが、天から降りてきた天使たちによって聖杯が運ばれる様子を表す。聖杯が輝かしい光を放ち、人々が歓喜する。天使たちは聖杯の守護を託し、天へと帰る。


②ベートーヴェン:交響曲第8番 ヘ長調 op. 93

(曲について)

    ベートーヴェン (1770~1827)の最後から2番目の交響曲となったのが、1812年に書きあげられた交響曲第8番。楽器編成も曲の長さもコンパクトで、作品の性格は軽妙で機敏、そしてユーモラス。もっとも、1814年の初では倍管編成による特大オーケストラで演奏されたと伝えられるから、当時のオーストラの運用は案外とフレキシブル。

 


③ワーグナー(マゼール編):言葉のない『指環』(『ニーベルングの指環』管弦楽曲集)

(曲について)

    オペラを歌劇場だけの音楽に留めるのは、あまりにもったいない。そこで、序曲や間奏曲、有名なアリアなどを抜き出して、コンサートで演奏することがよく行われる。

    ワーグナーの楽劇は音楽に切れ目がほとんどなく、このような抜粋には適していない。それでもワーグナーをコンサートでとりあげたい、それも最大の作品である四部作『ニーベルングの指環」を演奏できないものか。そんな願いから生まれたのが、名指揮者ロリン・マゼール (1930~2014)の編曲、「言葉の無い《指輪》」。 1987年、ベルリン・フィルから編曲の委嘱をロリン・マゼールが受け、取り組んで完成したものです。

 

【演奏の模様】

    本演奏(15:00〜)前にロビーで、「ファンファーレ」演奏がある筈だなと思って、通常より30分位早く家を出たのですが、ミューザに着いたら、エスカレーターの前の通路に、多くの観客が並んでいました。

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エスカレーターは一時停止、通路は進行止め、階上のロビーには、既に「ファンファーレ演奏」を待つ観客が溢れる程集まっているためとのアナウンスがありまし た。 暫く(5〜10分?)待つと、上の方から金管群によるファンファーレが鳴り出しました。毎年聴いている演奏音です。でもノット指揮の金管奏者の演奏の模様は見れなかったのです。でもそれは配信で見る事が出来るという事だったので、家に帰ってから早速見てみました。


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【プレトーク】

 音楽監督最後のF.S.M.となる今夏の夏祭りには、多くの観客が集まり、チケット完売、監督本人がプレトークで、ワーグナーの大作『ニーベルンゲンの指輪』四部作の抜粋管弦楽曲集について話すというのですから、その意気込みと力の入れ様が感じられます。英語(通訳付き)で行われました。大意は次の通りです。

❝ワーグナーとベートーヴェンは、知性と心とを併せもつ素晴らしい音楽です。ベートーヴェン自身は交響曲第8番を第7番よりも良い作品だと考えていましたが、私もまったく同感です。ウィットに富む作品で、 私にとっては驚くほどに興味を惹かれる作品なのです。

私はこれまで「ニーベルングの指環」の全作を3 度指揮してきましたが、このオーケストラ・ヴァージョンは実によくできています。ロリン・マゼールの編曲は、非常に賢明なやりかたで素材を結びつけており、 原曲の順にオペラ全体のストーリーを辿っていくことができます。

ベートーヴェンの音楽もそうですが、ワーグナーのオペラのなかでも「指環」は殊に人間的な作品です。巨人やこびとは出てきますが、物語のすべては私たちの誰にでも起こり得ることです。富への強い欲求、 権力の渇望、愛への狂おしい憧れ、カップルどうしの喧嘩、結婚とは、長きにわたる関係とはなにか・・・・・・。

あらゆる情景が私たちの日々にいつだって起こりそうな普遍性をもっています。

マゼールの編曲版ではもちろん、小さなエピソードから大きなオペラ全体を再創造することになりますので、いくらか舞曲の組曲にも近いところがあるでしょう。そして、ベートーヴェンの交響曲第8番の愛すべきところは、全体が工ピソードの連なりで構成されていること。その意味で、これはドイツの作曲家による“組曲の午後”と言ってもよいコンサートです。

そして、「ローエングリン」の前奏曲は際立って美しい音楽ですから、いつかは採り上げたいと思ってきました。私は東京交響楽団との今シーズン全体を再訪の機会と捉えていますし、それはまた様々なものごとをひとつに結ぶための時間なのです。❞

【演奏曲目】

①ワーグナー:歌劇『ローエングリン』から 第1幕への前奏曲

楽器編成:

Fl.(3)、Ob.(3)、Cl.(3)、Fg.(3)、Hrn.(4)、Trmp.(3)、Timp.(3) Tub Timp. Symb.Tri.Tamb.Hrp. 三管編成 弦楽五部16型。常位置に1Vn.その奥にCb. 中央左手にVc. 右手にVa.その前面対抗配置に2Vn.

3年前にヤノフスキのローエングリン(演奏会形式)以来暫く聴いていないので、冒頭の弦楽奏の細い高音の伸びやかな調べを聴いた途端、ワーグナーらしさを思い出し、何か懐かしい気持ちが湧きあがりました。特にこの前奏曲の美しさは群を抜くもので、ノット・東京の繊細でしかも力強い解釈は指揮者から奏者に充分伝授され表現されている風でした。この前奏曲は昔から好評でリストが発表した論文には「虹色の雲に反射する紺碧の波」と激賞しまた『魔の山』で有名な独文学者トーマス・マンは「青と銀で輝く」最もロマンティックな恩寵にあふれた前奏曲であると評しました。

 

②ベートーヴェン:交響曲第8番 ヘ長調 op. 93

〇楽器編成:楽器編成は、Hrn.2、Trmp.1、Trmb.全員とPicc、Cont-Fg、Tub.そしてTimp.以外の打楽器は退場、弦管打が縮小されました。二管編成 Fl.(2)、Ob.(2)、Cl.(2)、Fg.(2)、Hrn.(2)、Trmp.(2)、Timp. 弦楽五部12型。

〇全四楽章構成

第1楽章 Allegro vivace e con brio

第2楽章 Allegretto scherzando

第3楽章 Tempo di Menuetto

第4楽章 Allegro vivace

 この曲はベートーヴェンの交響曲の中で一昔前までは、自分として一番好きな曲でした。(最近は年とともに好みが少し変わり、若干順位が下がりました。)カラヤン指揮のベルリン・フイルの録音をそれこそ擦り減る位何回も何回も聴きました(CD化されてからは摩耗しませんでしたが)。ノット・東響の今回の演奏は、残念ながら自分にとっては満足のいくものでは有りませんでした。全体的に覇気が感じられませんし、左右の高音弦と低音弦のバランスがまったくと言って良い程良くなかった。 またVn.群の演奏も何か元気のない演奏に感じられたのでした。生き生きとした溌剌さが出ていない。美しい高音弦の素晴らしい響アンサンブルがほとんど感じられません。(自分の耳がどうかしていたのかな?)従って残念ながら自分の理解している8番とは大分違うなと思いながら聴いていたのでした。


③ワーグナー(マゼール編):言葉のない『指環』(『ニーベルングの指環』管弦楽曲集)

全体は以下の様に注意深く構成されています。

 1:全体は自然に、切れ目なく続いていくように。物語の筋に沿い、《ラインの黄金》の最初の音に始まり、《神々のたそがれ》の最後の音で終る。
 2:曲のつなぎ目は、和声の面からも、時間配分という面からも不自然にならないように。 曲同士のテンポの対比も、作品全体の長さと釣り合いの取れた状態に。
 3:もとの作品の、「声楽なしで」書かれた音楽はそのほとんどを使う。 歌のある部分で、欠くことのできない重要な旋律は加えるが、その箇所は、歌の旋律が他のオーケストラの楽器で重ねて演奏されていて、聴き手がその歌を「想像できる」部分か、完全に楽器で置き換える部分とする。

 4:すべての音符は、ワーグナー自身が書いたものだけに限る。

 上記のようにオペラの筋書きに沿って、その順番通りに抜き出された各部分は休みなく演奏されるのです。
 こうした要件を満たしてマゼールは以下の管弦楽曲(組曲風)に編曲したのでした。

 

《ラインの黄金》
・かくして、ライン川の〈緑あやなすたそがれ〉が始まる(序奏)
・神々の城への歩み
・ワルハラ城への神々の入城(第2場冒頭。正確には眠りから覚めたウォータンが完成したワルハラ城を妻フリッカと眺める場面)
・地の底へと潜ったこびとたちが鉄を鍛える(第2場から第3場への場面転換音楽)
・雷神ドンナーが槌(つち)を振り下ろし、喉(のど)の渇きを覚えたジークムントが這(は)いつくばりながら、(たまたま)竈(かまど)のそばにいるジークリンデに水を求める
(前半は第4場幕切れ近くの同場面。後半は《ワルキューレ》第1幕の前奏曲後半およびそれに続く同場面より)

《ワルキューレ》
・〈響きの暗号〉のうちに、ジークムントの愛の眼差(まなざ)しを「見る」我ら(前場面より続く)
・ジークムントとジークリンデの逃避行(第1幕幕切れ)
・ウォータンの怒り(第2幕前奏曲と幕切れ)
・ワルキューレ(ブリュンヒルデの妹たち)の騎行(第3幕第1場冒頭)
・ウォータンと、その愛する娘ブリュンヒルデとの別れ、ウォータンの別れと魔の炎の音楽(第3幕第3場後半より幕切れまで)

《ジークフリート》
・ミーメの「怖れ」(第1幕第3場冒頭から前半)
・魔法の剣を鍛えるジークフリート(第1幕第3場幕切れ。正確には鍛えた剣の切れ味をミーメに見せる箇所。ジークフリートの歌唱部分がトロンボーンで加えられている)
・ジークフリート、森をさまよう、森のささやき

・大蛇を退治
・大蛇の嘆き(以上3箇所、第2幕第2場)

《神々のたそがれ》
・ジークフリートとブリュンヒルデの情熱を包む朝焼け(序幕後半)
・ジークフリートのラインの旅(序幕から第1幕への場面転換音楽)
・家臣を招集するハーゲン(第2幕第3場)
・ジークフリートとラインの乙女たち(第3幕第1場)
・ジークフリートの葬送行進曲(第3幕第2場から第3場への場面転換音楽)
・ブリュンヒルデの自己犠牲(第3幕第3場後半から幕切れまで)

 マゼールの才能が遺憾なく発揮された本編曲は、《指環》の総まとめ的な音楽となったのでした。

〇楽器編成:三管編成弦楽五部16型、Timp.は二台、Hrp.四台、Hrn.は八台(うち四人はWagner-Tub.]持ち替え)その他木管も持ち替え在り、金管は、交代で適宣バンダ一位置に移動してバンダ演奏後、定位置に戻っていた。打楽器も多数。

こうして、本来であれば膨大な上演時間がかかる「指輪四部作(hukkats注)」、上演に要する時間は、凡そ『ラインの黄金』(Das Rheingold):2時間40分、『ワルキューレ』(Die Walküre):3時間50分、『ジークフリート』(Siegfried):4時間 『神々の黄昏』(Götterdämmerung):4時間30分、計15時間かかるものを、マゼール編曲では、1時間強で大筋の感触を得られるので、ある程度指輪四部作を理解している場合であれば、非常に有効な要約版として使えるのです。

 「指輪四部作(hukkats注)」

上演に約15時間を要する長大な作品であるので、少なくとも4日間をかけ、新演出を普通1曲しか出せない為、通して演奏することはあまりない。ドイツバイロイト祝祭劇場で毎年行われる音楽祭の際やヨーロッパのAクラスのオペラ・ハウスでは目玉作品として通して上演されることがある。

 但し楽劇のストーリーや歌のアリアなどに詳しくても、オーケストラがピット内で鳴らす音楽の詳細までは通常は詳しくない場合が多いので、今回の編曲版の音楽だけを聴いて、四部作の内のどの作品の第何楽章の誰が登場するケースなのか聴き分けるのは、どこからどこまでその曲が続き、次に切り替わるかも含め(曲想の変化である程度予想出来るとしても、)それをすべて演奏した事のある指揮者でもなければ、正しく把握することは困難でしょう。まして今回の様に初めてマゼール版に接し、予習するにも膨大過ぎて短期間では出来ない場合は、全楽劇(自分としては「新潮オペラCD特別版」という「指輪全曲」を保有しています)とこの曲を何回か繰り返し聞き較べないと深くは理解出来ないと感じました。

 ジョナサン・ノットの最初から最後まで溌剌とした指揮とその求めに忠実に応えたのであろう、東響の演奏者の奮闘ぶりは、最後の聴衆の爆発的反応、拍手喝采歓声を見れば、素晴らしい上出来の演奏に接したという証しを自ずから示していたと思いました。

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