MUZAランチタイムコンサート 7月
珠玉のオペラ
~東京交響楽団首席奏者が贈る華やかな40分~
ランチタイムコンサート2025-26シーズン

【日時】2025.7.15(火) 12:10~
【会場】ミューザ川崎シンフォニホール
【出演】
・フルート:竹山 愛(東京交響楽団首席フルート奏者)

<Profile>
東京藝術大学を卒業、東京藝術大学大学院修士課程修了。学内にて安宅賞、アカンサス音楽賞、三菱地所賞を受賞。ロームミュージックファンデーションの助成を得てミュンヘン音楽演劇大学Zertifikatsstudium Meisterklasseを修了。
第79回日本音楽コンクール第1位(併せて岩谷賞)。第26回日本管打楽器コンクール第1位。第8回神戸国際フルートコンクール第3位など受賞歴多数。ソロアルバム「Plays Paris」「GATE」をリリースし、レコード芸術誌において共に準特選盤・特選盤に選出された。ソリストとして東京フィルハーモニー交響楽団、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、神戸市室内合奏団などのオーケストラと共演。
NHK-FM名曲リサイタル、NHK-FMリサイタル・ノヴァ、NHKニューイヤーオペラ、ららら♪クラシック、木曽音楽祭、毎日ゾリステンリサイタルシリーズ、横浜国際音楽祭、芸劇ブランチコンサートシリーズ、MAROワールド等に出演している。
これまでに糸井正博、三上明子、金昌国、神田寛明、斎藤和志、木ノ脇道元、寺本義明、P.ブークリーの各氏に師事。
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団首席フルート奏者を経て、現在東京交響楽団首席奏者。
・オーボエ:荒 絵理子(東京交響楽団首席オーボエ奏者)

<Profile>
2004年東京音楽大学卒業。2002年第19回日本管打楽器コンクール第4位受賞。2004年ヤマハ新人演奏会出演。同年、第73回日本音楽コンクールにて、審査員満場一致で第1位受賞、併せて岩谷(聴衆)賞、E.ナカミチ賞受賞、NHK-FMリサイタルなどのラジオ出演や、N響メンバーと室内楽コンサート、三枝成彰プロデュースのコンサート、JTアートホール、トッパンホール、水戸芸術館企画のソロや室内楽コンサートなど、数多くのコンサートに出演している。ソリストとして新日本フィルハーモニー交響楽団、ニューフィル千葉、セントラル愛知、東京交響楽団等と共演。
2002~2007年 小澤征爾音楽塾オペラプロジェクトⅢ~Ⅷに参加 2005~2006年 NHK交響楽団アカデミー生 東京音楽大学在学中から現在まで、水戸室内管弦楽団、サイトウキネンフィスティバル松本、東京のオペラの森の他、ドイツバッハゾリスデン、NHK交響楽団など、全国の数多くのオーケストラに参加している。これまでに、オーボエを似鳥健彦、和久井仁、小林裕、広田智之、宮本文昭の各氏に師事。2009年4月より東京交響楽団首席オーボエ奏者。
ピアノ:高橋優介

上野学園高等学校を経て同大学音楽学部音楽学科演奏家コース、同大学専攻科で研鑽を積んだピアニスト。第10回東京音楽コンクールピアノ部門で18歳にして第1位及び聴衆賞を受賞し、注目を集めた。現在、ピアノソロはもちろん、アンサンブル奏者としても活躍している
【曲⽬】
①ドゥメルスマン&ベルテルミ「ウィリアム・テル」の主題による華麗なる二重奏曲(Demersseman & Berthélemy: Duo Brilliant "Guillaume Tell")
(曲について)
イタリア初期ロマン派の人気作曲家ジョアキーノ・ ロッシーニ (1792~1868) 最後のオペラ 『ウィリアム・テル』 (1829年初演)のアリアや序曲等の旋律が連なる技巧的な1曲で、原曲ではイングリッシュ・ホルンにフルートが絡む「牧歌」が中盤に、「スイス軍の行進」が終盤に登場する。今回は、フルートとオーボエによる。
②ビゼー:歌劇『カルメン』から(Bizet: Opera "Carmen")
②-1 ハバネラ(Habanera)「恋は野の鳥」
②-2ミカエラのアリア 「怖くないと言ったけど(Je dis que rien ne m'épouvante.)」
(曲について)
「カルメン」はフランスの作曲家ビゼーがフランス語で作曲したスペインのセヴィージャを舞台とした、たばこ工場で働いていたジプシーのカルメンに纏わるオペラです。②-1は特に有名な曲ですが、②-2は余り有名でもなく、比較的地味なアリア。カルメンの恋人ホセの以前からの故郷の許嫁ミカエラが、ホセを心配する余り、危険を冒し(怖さを堪えて)ホセに愛に来た時、故郷に帰りましょうと歌うのです。
③ モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ』(Mozart Opera "Don Giovanni")から
③-1お手をどうぞ(Là ci darem la mano)
③-2言わないで、愛しい人(Non mi dir, bell'idol mio)
(曲について)
これは言わずと知れたモーツァルトの喜劇的とも悲劇ともとれる希代のプレーボーイ「ドン・ジョバンニ」の物語の一節の2箇所の旋律奏です。
③-1は第一幕9場で、ドン・ジョヴァンニがツェルリーナを誘惑する場面で歌われます。
「Là ci darem la mano」はイタリア語で「あそこで手を取り合おう」という意味です。この二重唱は、オペラの中でも特に有名なアリアの一つです。
③-2は第23局目のアリアで、ドンナ・アンナによってわれます。「Non mi dir, bell'idol mio(謂わないで、いとしい人よ)」
④ ドップラー:リゴレット幻想曲 op. 38(Doppler: Rigoletto fantasy, op. 38)
(曲について)
アルベルト・フランツ・ドップラーとカール・ドップラーによって作曲された、フルート2重奏とピアノのための作品です。楽譜は、ビロー社から出版されています。この作品は、ヴェルディのオペラ「リゴレット」の旋律を基にした幻想曲で、フルートの技巧を駆使した華やかな演奏が特徴。今回は、フルートとオーボエによる二重奏で演奏されます。
【演奏の模様】
今回は随分早い時間帯の演奏会で、横浜から割りと近いホールですが、朝の結構せわしない時間帯からすぐに出発しないと遅刻の恐れがあるので、少し慌ただしかったです。でも東響の人気の管奏者二名の揃い踏みの演奏会だったので、期待して聴きに行きました。会場に入ると、既に多くの聴衆が集合していました、中心は熟年の女性と男女年配者が多かった。若い人もちらほら、他の演奏者がオフの時間で来ているといった感じ。ホールは、オルガンの前(所謂P席)とステージの左右後背席は禁止席で入れませんが、その他は一階も二階も三階もびっしり入場者で埋まっていました。随分人気があるのだなと思いました。
①ドゥメルスマン&ベルテルミ:「ウィリアム・テル」の主題による華麗なる二重奏曲
Pf.の強く速い序奏でスタートし、Fl.とOb.が同時に入りました。細いかなりの高音を立てています。思っていたよりかなり小さな音。Ob.のソロ⇒Fl.の伴奏⇒Ob.と続き、女性的か細さを感じる演奏でした。次に強い管の斉奏にPf.もかなりの強奏。Pf.は休止し、結構長くFl.とOb.が演奏した後、Pf.も再開、Pf.にFl.が合の手を入れるとOb.にPf.は弱音で応えました。Ob.がいい音を立てていた。Fl.は高い音で、Ob.と同じ旋律を繰り返し、Fl.とOb.がこだまの様に互いに音を立てて、掛け合いました。タウ委でFl.は伴奏的になり、Ob.は落ち着いた旋律奏を響かせて、とてもいい感じでした。終盤、Pf.も入り三者による同旋律の重奏は綺麗に揃っていました。全体としてfl.の竹山さんが今一つ調子が出ない感じでした。少しか弱いかな?
②ビゼー:歌劇『カルメン』から
「ハバネラ」はカルメンが歌う最も有名な歌と言って良いでしょう。
L’amour est un oiseau rebelle
Que nul ne peut apprivoiser,
Et c’est bien en vain qu’on l’appelle,
S’il lui convient de refuser.
Rien n’y fait, menace ou prière,
L’un parle bien, l’autre se tait;
Et c’est l’autre que je préfère.
Il n’a rien dit, mais il me plaît
L’amour (× 4)
恋は野の鳥
誰にも手なずけられないの
呼んでもムダよ
どうせ断られるのだから
脅されてもお願いされてもどうにもならないわ
おしゃべりと無口なら
私は無口なほうが好き
何も言わなくても、それでいいの
それが恋!恋なの!
それが恋!恋なの!
Fl.に依る四重奏、二重奏等いろいろなヴァージオンに編曲されていますが、今回はFl.とOb.に依る二重奏にPf.伴奏付きです。
演奏前のトークでOb.奏者の荒さんは「選曲に苦労した。ミカエラのアリアはピットでオペラの歌の伴奏を弾いている時も、とても心に滲みるいい曲だと思っていた。」など説明。当初、Pf.の調べにFl.∔Ob.の不安げな調べが重なり、Fl.は低い低音域が太いいい音を立てていました。この辺から竹山さんの調子は上り坂でした。ハバネラの旋律をOb.も低音域で鳴らし、Pf.は高音域で強奏、Fl.はソロで高音の旋律奏、Pf.が合の手を入れていました。
終盤でのFl.とOb.の主旋律の掛け合いがとても良かったです。この辺では竹山さんのFl.演奏も油が載ってきた感が有り、管が良く共鳴していました。
続いてミカエラのアリア 「怖くないと言ったけど」では、三奏者が互いに音を立て(Ob.が主旋律奏でしょうか、確かにいい曲です。)
最終的にFl.とOb.の主旋律の掛け合いがとてもいい感じでした。
③ モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ』から
③-1「お手をどうぞ」では先ずOb.の旋律奏にFl.が伴奏で応じ、次に逆にFl.が旋律奏となってOb.が伴奏、続く変奏部はFl.とOb.が一緒に演奏。
③-2「言わないで、愛しい人」でもFl.の旋律奏とOb.の伴奏とが交互に演奏、非常に雰囲気の有る良い演奏だと思いました。
④ドップラー:リゴレット幻想曲 op. 38
ドップラーには二人の兄弟がおり、Fl.を吹く時は、左右逆であった。といった竹山さんのトークが有りました。もともと二つのFl.のための超絶技巧も含む曲で、楽器の構造が異なるOb.が吹くことは構造上非常な困難性を伴うのが普通なのだけれど、それを荒さんは、(お茶の子さいさい)いとも簡単に吹いてのけたのには驚いたといった話を、竹山さんが一しきりしてから演奏が開始されました。またこの曲の前にピアニストの高橋さんもマイクを握り少し話をしていました。ドップラーの演奏はピアニストとしては弾き易く、クラースラーの曲の伴奏に似ている。等と話した後、やおら弾き始めました。 曲の演奏の方は、Pf.の強打鍵が急速に萎み序奏が弱まった時、Ob.とFl.の斉奏で入りました。両者の息はピッタリ合って来ている掛け合い演奏をします。中には有名な「女心の歌」の旋律なども含み、ゆったりした調べにPf.も合わせていました。Fl.が高音域、Ob.が低音域を演奏、良くハーモナイズされた和声が続きます。最後は軽快なPf.伴奏に駆られてFl.とOb.の斉奏が三者の速い重奏に突き進み、一気に駆け抜けるのでした。
当初予定した時間をオーヴァーして演奏とユーモラスな話をして呉れた二人の女性奏者と男性ピアニストに惜しみない観客の拍手が鳴り響きました。皆いい音楽を聴いたという満足な様子で帰る人々に思われました。
40分の予定時間はとおに過ぎているのに、さらにアンコール演奏もする出血サービスでした。
《アンコール曲》ビゼー/歌劇『カルメン』より<ジプシーの踊り>
