演奏会形式オペラ『カルメン』&『魔笛』
【日時】2025.5.4.(日)13:00~(前半鑑賞)
【会場】横浜市開港記念会館ホール
大正6年に竣工した、横浜開港記念会館。愛称はジャック
開港記念会館ホール
【管弦楽・主催】(室内楽)横浜フェスティバルオーケストラ(Ⅰ)
オペラ工房アヴァンテイ(共催、Ⅱ)
シェーナー・クライス・フィルハーモニー管弦楽団(共催、Ⅲ)
コーラスアンサンブルIRIS(共催、Ⅳ)
【指揮】益田雄真(Ⅲ 所属)
【演目】
①ビゼー『カルメン』
全四幕抜粋(言語、仏語)
②モーツァルト『魔笛』
全二幕抜粋(言語、独語)
【出演者】配布プログラムより転記
①カルメン
〇カルメン:中川美智子
<Profile>
東京芸術大学声楽科卒業。東京芸術大学卒業生演奏会、メンデルスゾーン 「三つのモテット」、ペルゴレージ「スターバトマーテル」のアルトンロ、 オペラでは、ジャンニ・スキッキ(ツィータ)、仮面舞踏会(ウルリカ)、 ノルマ(クロティルデ)、こうもり(イーダ、オルロフスキー)、イル・トロヴァトーレ(アズチェーナ)、フィガロの結婚 (ケルビーノ)、ファルスタッフ(クイックリー)、ヘンゼルとグレーテル ヘンゼルとグレーテル(ゲルトルート)、泥棒とオールドミス(ミス・トッド)等に出演。八尋恵美子、須賀靖和、伊藤亘行、 伊原直子、ギゼラ・アウルマン、植村憲市の各氏に師事。
「ファム・ファタル (運命を左右する女)」というイメージにとらわれず、 自分に正直でブレずに生きる一人の人間としてのカルメンを演じたいと思います」
〇ドン・ホセ:狩野 武
<Profile>
武蔵野音楽大学音楽学部声楽学科卒業。藤原歌劇団正団員。相模原シテ・ オペラ副代表。主な出演オペラは、「オテッロ」オテッロ、「カルメン」ドン・ホセ、 「椿姫」アルフレード、「蝶々夫人」ピンカートン、「ドン・カルロ」ドン・カルロ、「カヴァレリアルスティカーナ」 トゥリッドゥ、「サンドリヨン(シンデレラ)」プリンスシャルマン、「こうもり」 アイゼンシュタイン、 等数多くのオペラで主役級の役を演じている。また、日本・フィリピン合作オペラ「高山右近」で細川忠興役を演じ、フィリピン大使夫人主催晩餐会でも歌う。ヴィンチェンツォペッロ。カルロガイファ各氏に師事。
「カルメン、楽しんでください」
〇ミカエラ:天水初音
<Profile>
二期会オペラ研修所修了。「魔笛」夜の女王、バミーナ、「フィガロの結婚」スザンナ、「トスカ」タイトルロール、「外套」 ジョルジェッタ、「リゴレット」ジルダ、「愛の妙薬」アディーナ、「メリー・ウィドゥ」ハンナ、 他多数出演。バロック 「アンサンブルシャックモワ」 「バッハソサイエティ」ソリスト、レストラン「新橋アルテリーベ」 専属歌手、乳幼児リトミック講師。又、ラジオパーソナリティ、ナレーションを務める (NACK5、べイFM)声楽を菅野宏昭、植村憲市、フランス音楽を村田健司の各氏に師事。 日本の心歌い継ぐ会代表、殉国七士・六十烈士戦歿者慰霊の会会長。近年は、 童謡・唱歌の録音活動、靖國神社奉納演奏に力を注ぐ。二期会会員。
「カルメンと対照的なキャラクターの女性ですが、2重唱、アリアではそれぞれ違った彼女なりの心の強さを表現したいです」
②魔笛
〇パパゲーノ:寺西丈志
<Profile>
富山県出身。国立音楽大学声楽科卒業。二期会オペラ研修所本科修了。久岡昇、若林勉の各氏に師事。「フィガロの結婚」 フィガロ、「ドン・ジョヴァンニ」レポレッロ、「愛の妙薬」ベルコーレ、「椿姫」ドゥフォール男爵、 「リゴレット」スパラフチーレ、「トスカ」スカルビア、「ジャンニ・スキッキ」ジャンニ・スキッキ、「カヴァレリア・ルスティカーナ」 アルフィオ、「道化師」トニオ、「メリー・ウィドウ」 ツェータ男爵等に出演。また 「第九」ソロ、その他各種演奏会に出演。 「楽しく歌おう! 日本の歌」講師。二期会会員。
「食べて飲んで生きる。可愛い子が彼女になってくれたら最高! すごくシンブルだけど大切な芯を持って人生に一生懸命。憧れる生き方です。表現したいというより自分に憑依させてみたい役です。乗り移れパパゲーノ!」
〇タミーナ:坪内清
<Profile>
茅ヶ崎市出身。高校の最初の音楽の授業で教諭から合唱部入部を命じられ、以来46年にわたり合唱歌手として活動。毎年いくつもの合唱団からエキストラとして招聘されているほか、第九やレクイエム、メサイヤなど宗教曲のソロでも活躍している。また10年以上にわたり毎年平塚市でコンサートを開催するなど、郷里での活動にも力を入れている。オペラでの近年の主な役は、「ドンジョヴァンニ」 オッターヴィオ、「集姫」 アルフレード、「魔笛」モノスタトス、「こうもり」アルフレッド、「ルチア」 アルトゥーロ、「リゴレット」 マントヴァ公爵、「ドン・パスクワーレ」 エルネスト、「ファルスタッフ」 医師カイウス、「ジャンニ・スキッキ」ゲラルド、 「チェネレントラ」王子ラミーロなど。やまと国際オペラ協会ソリスト会員。オペラアンサンブル Gemma ★Brillanteメンバー。
「愛と真実を求め、試練を乗り越えて成長する王子です。今日は2曲だけですが、 本当はたくさん出番がありますので、皆さまぜひ7月の本公演にお越しいただき、 タミーノの試練と成長を見届けてください!」
〇夜の女王:臼井志保子
<Profile>
青山学院大学卒業。日本声楽家協会、リリカイタリアーナオペラ研究所、イタ
リアのミラノ音楽院にて研鑽を積む。オペラ出演は数多く、『アイーダ』『椿
姫』 『連隊の娘』『奥様女中』各タイトルロールの他、『ドン・ジョヴァンニ』 ドンナアンナ、ツェルリーナ、『魔笛』夜の女王、『愛の妙薬』 アディーナ、 『ボエーム』ミミ、『リゴレット』ジルダ、『仮面舞踏会』オスカル、『こうもり』アデーレ、『ファルスタッフ』メグ、『湖上の美人』アルビーナ、『修道女アンジェリカ』看護係修道女、『エルミオーネ』 クレオーネ、『メリー・ウィドウ』ヴァランシエンヌ等、様々な役を歌い好評を博している。また、小学校や高齢者施設での体験型コンサートやオペラハイライトを企画・出演し、オペラの楽しさを広める活動も行っている。C.ヴァンニーニ、L、クワンスン、I、デファビアー二各氏に師事。
「復讐の炎を地獄のように心に燃やしてしまう人! 日常では周りにいない強烈なキャラクターですね。モーツァルトの劇的な音楽に乗せて、非日常的なひとときをお届けできたらと思います」
〇パミーナ:藤本恵美子
<Profile>
青山学院大学文学部英米文学科卒業。社会人を経てフェリス女学院大学音楽学部声楽学科卒業、同大学ディプロマコース修了。ウィーン国立音楽大学夏期マスタークラス修了。これまでにオペラ 「愛の妙薬」 アディーナ、「魔笛」バミーナ、 侍女1、「ヘンゼルとグレーテル」グレーテル、「カルメン」 ミカエラ、「ファルスタッフ」 ナンネッタ、「ロミオとジュリエット」 ジュリエット、「ホフマン物語」アントニア、「ファウスト」マルグリート、「サンドリヨン」シンデレラ、 「こうもり」 ロザリンデ、アデーレ、「メリー・ウィドウ」 ヴァランシエンヌ、 ハンナ役等に出演。第九ソプラノソロや各種演奏会にも多数出演。また、仏・ 独・英語の歌唱におけるディクション指導を務める。声楽を工藤博、齊藤京子、 平田典之、田手道子の各氏に、フランス歌曲を立木稠子氏に師事。横浜シティオペラ会員。
「夜の女王の娘であるパミーナには実は悩みが多く.......母とその宿敵ザラストロとの対立、そして恋に落ちた王子タミーノは自分と口を利いてくれなくなった!? 悩み多きパミーナの行末を見守ってください!」
〇パパゲーナ:山本澄子
「パパゲーノの相手役となる女の子です。パパパばかりで唇が腫れそうになりました! 仲良く歌いきれるかな?」
【上演の模様】
この演奏会は、様々な理由(子育て、介護、転職etc.)で、プロオケを中断した演奏者やプロオケを断念したり或いはプロに続さなかった演奏者達が、時間の調整をとり、可能な限り多くの練習をして来た管弦楽団(「横浜フェスティバルオーケストラ」)と、プロの歌手から成る「オペラ工房アヴァンティ」、それに合唱を担当する「コーラスアンサンブルIRIS」の三団体合同で、ゴールデンウィークのチャリティ特別演奏会として、演奏会形式オベラの上演がなされました。義援金は、福祉関係に贈られるそうです。
会場は、横浜市開港記念会館ホール、座席数483。その存在は知っていましたが、これまで縁が無く、今回初めて中に入りました。歴史を感じる内装で、大きめの小ホールと言うより、小さめの中ホールと言った方がいいかも知れない。
演目は、広く知られた『カルメン』と『魔笛』です。各オペラから抜粋した場面の歌及び序曲、前奏曲、間奏曲のオケ演奏から成り、『カルメン』が1時間程、30分の休憩を挟み、『魔笛』が2時間程度の演奏会形式ですが、残念なことに都合により、聴けるのは前半のみ、後半の「魔笛」は聴くことが出来ませんでした。各演奏の曲及び歌の歌詞(日本語翻訳)は、文末の【資料】の通りです。(実演は、カルメンはフランス語、魔笛はドイツ語)
①カルメン
〇楽器編成:管楽器(Fl.2 Ob.2 Cl.2 Fg.2 Hrn2. Trmp.) 鍵盤楽器( Pf. Kb.)
二管編成 弦楽五部二型(2-2-2-2-1)
この日の「カルメン」の注目は、ホセ役の狩野武さんでした。狩野さんは立ち上がりこそ、力がやや空回りしましたが、その本格的テノールの本領は幕が進むにつれ発揮され、終了近くでは、見違える様な歌い振りでした。声量も声の強さも安定感も次第に充実して来ましたしフランス語の発音も一番良かった。
タイトルロールの中川美智子さんは、最初の2、ハバネラよりは、4、セギディーリャの方が、慣れて来たのか出来が良かったです。
両者の第一幕の最初のやり取りは、物語の方向を決める、そして最終的には悲劇で終わる切っ掛けとなる重要な場面ですから、二人の歌は切実に響いてこなければなりません。そういう意味では、健闘はしていましたが、道半ばの感は拭えませんでした。
一幕でハバネラを歌ったカルメンは次の場面でホセをからかって(実はホセが一目で気になった存在だったからか)、赤い花をホセ目掛けて投げつけました。歌では、この花は「La fleur de cassie」となっており、日本語では「キンゴウカン=カッシア」という黄色い花で、「赤い花」ではないのです。
ミモザ科の希少な花であるカシアは、強烈で魅惑的な香りを放ちます。現在は「キャッシー」という高級香水として加工されています。 何れにせよ黄色い花なのです。他のカルメン上演でも、度々赤い花を使っているケースを見かけますが、これは恐らく原典に遡らないで、演出効果のみで、赤い花の方が情熱的なカルメンにピッタリだと考える演出家が考え出したことでしょう、きっと。
カルメンでもう一人重要な役割を歌うミカエラ、ミカエラ役の天水初音さんは、3、手紙の二重唱 で登場しました。天水さんは、声量は余り無いですが、如何にもミカエラらしい澄んだソプラノの声で歌いました。歌っているうちに調子が上向き、声がかなり伸びる様になりました。二重唱ではミカエラの歌に合の手を入れて歌うホセ、ホセ役狩野さんは、声量は十分なのですが、声質が今一つ。ソロを熱唱した頃から上昇気流に乗った感じで、二重唱ではSop.とTenorの声量バランスが良くなってきました。時々狩野さんは、苦しそうな不安定さを見せましたが、最後高音で歌う二人は声がやや不明瞭に聞こえました。ミカエラはあとの、9、何も恐れることは無い でも再登場しました。Hrn.の調べの後に静かにスタート、ここでのミカエラのソロはオーケストラよりもPf.伴奏で歌った感が強く、高音になると天水さんは強く謳うとやや苦しそう、高音の歌声が、単音に聞こえないのは、歌声が研ぎ澄まされていないからでしょうか。やや絶叫調の高音の発声、無理に発声している様に思いました。雨宮さんのミカエラは、静かな歌の方が声質に向いているとも思いました。11、フィナーレ合唱団が歌う準備をし、カルメンの登場です。合唱団はここまで、第1幕から何回か歌っていますが、舞台上でなく座席左前方に合唱団用の常席が確保されていて、14~15人の合唱団員が座って出番を待っていました。合唱団員は男声4人、女声10人程が立ち上がり舞台に近い左手に少し移動して並び、歌いました。準備が整うと管弦楽は、管に依るテーマ奏に急に割り込む弦楽アンサンブル、不安な雰囲気を盛り上げます。次いでホセも登場、ホセ役狩野さんは、しみじみとした歌唱を披露しました。これは良かった。興奮して時々声を荒げて大声で歌うホセ、安定感も出て来て対するカルメンも大奮闘していました。第一幕の初めと比べると、ホセはすっかり良くなった感じ、実力を発揮していました。(皆さん歌を研鑽された立派な経歴を持っているのですね)
ホセがナイフで刺し、遂に斃れるカルメンの最後の場面は、二人共歌のみならず迫真の演技で盛り上がり十分でした。
久し振りで実演を観た「カルメン」、やはり聴衆を魅了する内容と歌唱と素晴らしい曲達から成っていて、改めてその醍醐味を味わいました。
演奏終了後の写真撮影OK時間もそそくさとカメラを取り、急ぎ会場を後にしたのでした。
②魔笛
〇楽器編成、ほぼ①に同程度か?
〇全2幕構成
《都合により聞けませんでした》
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《配布資料》
1、第1幕への序曲(オケ演奏)
2、ハバネラ
恋は気ままな鳥さ
誰も飼いならすことなんてでき
無駄なことさ呼び寄せようとそいつが嫌がってるときにはね
効きはしないわ 脅しもお願い
【合唱】
恋は気ままな鳥さ・・・
3、手紙の二重唱
【ホセ】
母さんのことを話してくれよ!
【ミカエラ】
私は忠実な伝令として 言付かっってこの手紙を・・・
【ホセ】
手紙!
【ミカエラ】
それから母さんは、このキスを私あげるからお前があの子にあげておくれ
【ホセ】
母さんからのキスだって!
故郷の甘い思い出!
(煙草工場に向けて)
まったく何て悪魔の
餌食に俺はなるところだったか!
母さんにこう伝えてくれないか
俺はミカエラが好きだ、妻にするよ
何て花だったんだ ひどい魔女め
4、セギディーリャ
【カルメン】
セビリアの城壁の近くにさああたしのダチのリリアス・パスティアの店がある
あたしは踊るんだ セギディーリャを
そして飲むのさ マンサーニャを
あたしの心が欲しい?だったらお取りよ!
【ホセ】
黙ってろ! 話しかけるなと言っただろ!
【カルメン】
私はある将校さんのことを考えてんだよ
あたしの将校さんはただの伍長さ
でもそれで十分さ ボヘミアンの女にゃ
【ホセ】
カルメンもしもお前の言う通りにしたら
お前は約束してくれるかい ああ!
【カルメン】
もちろんさ・・・
あたしは踊るんだ セギディーリャを
そして飲むのさ マンサーニャを
【ホセ】
リリス・パスティアの店か・・・
約束だぞ! カルメン・・・
5、第2幕への前奏曲(オケ演奏)
6、闘牛士の歌
【エスカミーリョ】
君たちの乾杯に私は返礼しよう
軍人の諸君と闘牛士は通じ合うものがある
喜びのために彼らは戦うのだから!
アリーナは満員だ 今日は祭日
アリーナは満員だ 上から下まで
見物客はわれを忘れ
見物客は大騒ぎだ!
さあ!構えろ!ああ!
闘牛士よ構えるんだ !
闘牛士よ愛がお前を待ってるぞ!
【全員】
闘牛士よ構えるんだ !
7、花の歌
【ホセ】
お前が俺に投げたこの花は
刑務所の中でも 俺と一緒だった
枯れて干からびてもこの花はずっと保ってたこの甘い香りを
俺にはただひとつだけの願いがある
お前にまた会うことさ カルメン
カルメン お前を愛してる!
8、第3幕への間奏曲(オケ演奏)
9、何も恐れることはないわ。
【ミカエラ】
私は言いました 何も怖くはないと
心の底では私は死ぬほど怖いのです!
私はあの女とこれから会うのです
彼女は危険で 彼女は美しい
でも 私は怖がってなんていられない
だけど彼は何をしてるの?銃を構えてる
撃つわ
ああ! 私は自分の強さを買いかぶり過ぎていました 神さま!
10、第4幕への間奏曲(オケ演奏)
11、フィナーレ
【カルメン】
あんただね!
【ホセ】
俺だ!
【カルメン】
ダチが警告してくれたよあたしの命が危ないって。
【ホセ】
脅す気はない 頼む
二人で新しい生活を始めよう
【カルメン】
カルメンは言うことなんか聞かない!
自由に生まれて自由に死ぬのさ!
【合唱と群衆】
(闘牛場で)
ビバ!ビバ!すごい闘牛だ!
ビバ!血に染まった砂の上を
【ホセ】
あの歓声を浴びてる男
それがお前の新しい恋人だな!
【カルメン】
そう!だったら殺すがいいわ
でなきゃほっといて通しとくれ!
【ホセ】
(手に短剣を持ち カルメンに襲いかかる) ええい畜生め!
【合唱】
闘牛士よ構えるんだ!
黒い瞳がお前を見つめてるぞ
【ホセ】
俺を逮捕してくれ、そいつを殺したのは!
ああ! カルメン! 俺の愛するカルメン!
《休憩》
Ⅱ魔笛
1、序曲(オケ演奏)
2、私は鳥刺し (パパゲーノ)
ぼくは鳥捕り。
いつでも元気。ハイササホイサ!
国じゅうが、
みんな知ってる、ぼくのこと。
網がほしいよ、若い娘の。
そしたらいっぱい捕るのにな。
どの若い娘も、ぼくのもの。
3、なんと美しい絵姿 (タミーノ)
この絵姿の美しさ、 誰も見たことないほどに! ぼくの目の前、立ったなら!
永遠(とわ)にぞ、きみはぼくのもの。
4、若者よ恐れるな(夜の女王)
怖れないでね、かわいい子!
私は悩みでいっぱいよ。
なぜなら我が子は失われ、
あらゆる幸(さち)が消え去った・・・
あの子を助けに行くのなら、 あなたは、あの子の恩人よ。
5、愛を感じる男たちはやさしい心もそなわっているもの(パミーナ、パパゲーノ)
【パミーナ】
恋は、いたみをやわらげる、
生き物はみな、メロメロよ。
【パパゲーノ】
恋はいのちのスパイスさ、
ものみなすべてを動かすぞ。
6、イシス、オリシスの神よ、願わくば2 人に叡智の心を与えたまえ (ザラストロ)
ああ、イシスとオシリスよ。
知恵のこころを、あの者たちに!
彼らが途中で倒れても、美徳がそのまま
歩み続ければ、それが何よりの報いです。
あなたの住まいに彼らをお迎えください。
7、復讐の心は地獄のように燃え(夜の女王)
ぐつぐつ煮立つ地獄の復讐、
めらめら燃える死と絶望!
ザラストロというヤツに、死の苦しみを味わさねばあんた、あたしの娘じゃないわ。
永遠に勘当、おさらばよ。
母娘の絆もご破算ね、
あやつの息の根、止めなくば!
さあ復讐の女神、母の言うこと聞くのです!
8、この神聖な聖堂では復讐を思う人はいない(ザラストロ、合唱)
この神聖な広間には、
復讐などは縁がない・・・
ここでは敵も赦すのだ。
教えを受け入れない者は、
人間の名に値せぬ。
9、愛の喜びは露と消え (バミーナ)
消え去った・・・・・・・・・恋の幸せ、永久に!
たのしい時は、もう二度と戻らない。
タミーノ、見える?この涙、
あなたのために流すのよ。
10、恋人か女房か (パパゲーノ)
もう、どの娘もオッケーさ、
おお、かわいい子なら、
なお、うれしいよ!
食べて、飲んで、うたえ。
この世は、てんごく
11、フィナーレ(全員)
・試練の四重唱(タミーノ、パミーナ、2 人の武士)
【パミーナ】
あたしのタミーノ! とってもしあわせ!
【タミーノ】
ここにあるのは、恐怖の門・・
危険だ、死ぬぞと、脅迫された。
【パミーナ】
どこに行こうと、ついていくわよ。
・行進曲と二重唱
【パミーナ】
二人は、炎を乗り越えた。
雄々しく、危険に打ち勝った。
(タミーノに)
水からも守って・・・火の時とおなじよ
あなたの音色で守ってね。
【僧侶の合唱】
勝ったぞ、勝った! すてきなカップル!
危険をよくぞ乗り越えた!
イシスの祝福、受けられよ!
来たれ! 寺院へ入場だ!
【パパゲーノ】
「パパゲーナ!パパゲーナ!」
パパゲーナ!パパゲーナ! パパゲーナ!
お嬢ちゃん! カワイ子ちゃん!
よくよく、ぼくは不運な男。
ぼくはしゃべった・・・それが最悪・・・
首くくるこのぼくを哀れと思えば、
今度ばかりは中止するけど!
やっぱり待とう、もう一度。
い〜ち!
に〜い!
「に〜い」も終わったよ・・・・・・・・・!
さ~ん!
だれ一人として、止めやしない!
おやすみなさい、ひどい世の中!
【3人の侍女】
わあ!やめるんだ、パパゲーノ!
【パパゲーノ】
おいで、かわいい女の子!
さあ、パパゲーノ! 振り向いて!
〇「バ、バ、バ」の二重唱 (パパゲーノ、パパゲーナ)
【パパゲーノ・パパゲーナ】
パ・パ・パ・パ・バ・バ・バ、パパゲーナ
【パパゲーノ】
きみってすっかりボクのもの?
【パパゲーナ】
あたしすっかりキミのもの。
・地獄落ちの五重唱(夜の女王、モノスタトス、3人の侍女)
【モノスタトス】
もうすぐ寺院に押し入るぞ。
【3人の侍女・夜の女王】
しっ! しっ! 静かに!
もうすぐ寺院に押し入るわ。
【モノスタトス】
ですが女王よ、約束ですぞ!
娘さまをば、我が妻に。
【夜の女王】
約束したでしょ。そうします。
【全員】
襲ってやろう・・・不意打ちだ。
ニセ信者どもを。夜の女王に捧げます。
この復讐の犠牲(いけにえ)を。
【モノスタトス・夜の女王】
我らの力は、砕かれた。
【ザラストロ】
太陽の陽射しは、夜を追い払い、
偽善者どもが盗み取った権力を滅ぼす。
【全員】
万歳!清められた者は夜を突き抜けた。
オシリス、ほんとにありがとう! イシス
よ、ほんとにありがとう!イシスよ
ほんとにありがとう!強きが勝った。