5月5日は、雑節の一つ『端午の節句』です。と同時に『立夏』でもあります。昨年のこの日は、立夏を中心に書いたので、今回は、節句を中心に記します。この「端午」の「端」は、「初め」の意味で、「月の始めの午(ウマ)の日」を指す言葉でしたが、午(ウマ・ゴ)の読みのゴと五の読みが同じであることから、いつしか五月五日を指す様になった模様です。歴書によれば、
❝端午の節句は五月五日の節句で 別名「 菖蒲の節句」とも称し、昔から邪気を除くために菖蒲を軒にさしたり、菖蒲湯に入ったりする慣例があり、また男児のいる家では五月人形を飾り、鯉のぼりを立てるなどして出世を祝います。現在、五月五日は「こどもの日」として国民の祝日になっています。
端午の節句の起こりは遠く中国の古代にさかのぼります。うま 〈端〉は初めの意を示し、〈午〉はウマを示し、月のはじめの午の日をさします。中国ではこの日を忌み嫌い、邪気を祓う行事を行いました。五月五日になったのは三世紀ごろといわれていますが、これがわが国にも伝わり、幾多の変遷を経て今日に至っているわけです。❞ とあります。
菖蒲と端午の節句の関係は、今でも我が国で珍しくなく見られる風習で、我が家でも家内が前日にスーパーで菖蒲を買って来て、五月五日には菖蒲風呂に供します。うちの男子は自分のみで、自分は子供ではないのですが、小さかった頃から毎年欠かさず「菖蒲湯」に入れて、家内や亡き母に感謝の気持ちでいます。風呂に入った時、菖蒲(特に根元の赤い部分)の匂いを嗅ぐと、何かスッキリした香りがします。この香りは天然由来のテルペンと言う類いの成分らしい。その他アザロンやオイゲノールと言う精油成分が含まれている様です。血行促進、疲労回復の効能がある模様。又柏餅も食しますが、蓬を入れた柏餅も香りがいいですね。こうした香りに関しては清少納言が、枕草子第39段で、❝節(せち)は五月にしく月はなし。菖蒲・蓬などのかをりあひたる、いみじゅうをかし。~(略)~御節供まゐり、わかき人々菖蒲のさしぐしさし、物忌つけなどして、さまざまの唐衣・かざみなどに、をかしき折枝ども、ながき根にむら濃の組して結びつけたるなど、めずらしういふべきことならねど、いとおかし。❞ と記しています。蓬餅も香りがいいですね。
更に清少納言は第230段で、❝五月の菖蒲の秋冬過ぐるまであるが、いみじうしらみ枯れてあやしきを、ひき折りあげたるに、そのをりの香の残りてかかへたる、いみじうをかし。❞と、残り香もいい匂い、といった風に記しているのには驚きでした。普通枯れた植物の香りはしないというのが常識だと思っていたから。
また上記した中国ではこの日を忌み嫌いの例としては、「鶏鳴狗盗」で有名な中国戦国時代の斉の国の宰相、孟嘗君の誕生日は五月五日だったため、父親の命令で赤子の時、小さな籐製の籠に入れられて川に流されたのでした。結果的には助けられて育ったのですが。
(追記)本記録の太字斜線部 は、後で考えたら誤りと気が付きました。月桂樹の葉は枯れてもいい香りがするので、家の上さんなど肉料理によく使うし、安眠の為として、枯らしたラベンダー入りの枕を使ったり、その他、各種香辛料は殆どみな枯れています。
最近聴いた「カルメン」でも、ドン・ホセは、カルメンから貰った花を、留置中ずっと身に付けていて、枯れてしまってもいい匂いだったと言っていました。