今日11月22日(金)は、二十四節気の小雪(しょうせつ)です。歴書によれば小 雪は、旧暦十月亥の月の中気で、新暦十一月二十二日ごろにあたります。まだ市街には本格的な 降雪はないものの、遠い山嶺の頂には白銀の雪が眺められ、冬の到来を目前に感じさせられます。
❝冬はつとめて 雪の降りたるはいふべきにもあらず 霜のいとしろきも、ま たさらでも いと寒きに 火などいそぎおこして 炭もてわたるも いとつきづきし。昼になりてぬるくゆるびもていけば 火桶の火も白き灰がちになりて わろし❞
現代の日常生活では、炭をおこすことはほとんど無くなり、火櫃も見かけません。丸い瀬戸物の火鉢は記憶に留めている場合があるかも知れませんが、火櫃とは何??これは「米櫃(こめびつ)」から類推出来ると思うのですが、木製の火鉢で、幼い頃の実家には、それが有りました。「長火鉢」と呼んでいたと思います。
父親がキセルの先にきざみ煙草を詰め、鉄瓶が懸かっている火窪の炭火にそれを付けて、キセルの口を吸うと煙草に火が着くのです。そしてスパスパ吸っている姿が瞼に浮かびます。(まるで江戸時代みたい??)
清少納言の枕草子には、幾つかの版があって、岩波書では底本を、岩瀬文庫蔵、柳原紀光自筆本に依っていますが、[318段]の次に、『一本』と謂われる版の[1段]から[29段]を補遺的に掲載しています。その『一本』の[20段]に
❝火桶は赤色 あおいろ 白きに作繪もよし❞
とあり、赤色は柿右衛門の様な赤絵磁器、あおいろ白きは、青磁や白磁で、作絵はその上に絵柄を載せている磁器のことでしょう。その頃の定子の宮廷では、焼き物(瀬戸物)の火鉢を使っていたのではなかろうかと推察されます。