HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

神尾真由子/究極の二大コンチェルトを弾く

華麗なるコンチェルト・シリーズ《第25回》


【日時】2024.8.31.(土)14:00〜

【会場】横浜みなとみらいホール

【管弦楽】神奈川フィルハーモニー管弦楽団

【指揮】横山奏

【曲目】

①メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」(管弦楽のみ)

(曲について) 

フェリックス・メンデルスゾーンが1830年に作曲した演奏会用序曲である。原題は『ヘブリディーズ諸島』(ドイツ語: Die Hebriden)であるが、日本語では通称の『フィンガルの洞窟』の方が多く用いられる。ロ短調の序奏なしのソナタ形式で作曲されている。現在に至るまで、オーケストラの標準的なレパートリーとして盛んに演奏されている。

メンデルスゾーンが初めてイングランドを訪れたのは、20歳の誕生日を祝ってドイツ人貴族の招待にあずかった時だった。イングランド旅行に続いて、メンデルスゾーンはスコットランドに進み、その地で交響曲『スコットランド』を着想する。だがスコットランド旅行中にメンデルスゾーンは、嵐の夜のヘブリディーズ諸島を訪ねてスタファ島に辿り着き、観光客に人気のフィンガルの洞窟で霊感を受けたのである。当時フィンガルの洞窟は35フィートの高さと200フィートの水深があり、玄武岩の色とりどりの石柱からなっていた。メンデルスゾーンはその後直ちに序曲の開始主題を書き下ろし、それを姉ファニーに書き送って次のように書き添えた。「僕がヘブリディーズ諸島にどんなにひどく感銘を受けたか分かってもらえるように、頭に思い浮かんだものを姉さんに届けようと思います」

メンデルスゾーンを嫌っていたリヒャルト・ワーグナーさえもこの作品を「一流の風景画のような作品」として絶賛していた。

作品は1830年12月16日に完成され、当初は『孤島』(独語:Die einsame Insel )と題されていた。しかしながらメンデルスゾーンは後に譜面に手を入れ、1832年6月20日に改訂作業を終えると、『ヘブリディーズ諸島』と改名したのである。にもかかわらず、『フィンガルの洞窟』という通称も使われた。パート譜には『ヘブリディーズ諸島』と題されていたが、総譜には作曲者自身によって『フィンガルの洞窟』と題されていたためである。初演は1832年5月14日にロンドンで行われ、演奏会用序曲『夏の夜の夢』も併せて上演された。

自筆譜はオックスフォード大学ボドリー図書館に保存されている。


②メンデルスゾーン『ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 op.64』

 

《20分の休憩》


③チャイコフスキー『ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.35』

 

【演奏の模様】

 件(くだん)の問題台風は、まだ遠く四国界隈で足踏みしている様子で、関東地方(特に横浜)は、昨日より降雨が弱くなって来た気がします。

 今日は横浜みなとみらいホールで、神尾さんの演奏会がありました。地元のホールにも関わらず、最近演奏会情報が、東京、川崎のホールよりも疎遠になってしまっていて(それには、幾つかの理由があるのですが)、気が付いてチケットを得ようとした時には、時既に遅し、売り切れとなっていたのでした。神尾さんの演奏会は、ここ1年くらいご無沙汰しており、しかも今回は地元のホールで、二つのコンチェルトを同時に聴けるとあって、何とかチケットを得たいと思ったのです。そこでダメ元で、主催者に電話した処、一枚何とかなるということだったので、どんな席でもいいので是非とも、と頼んでやっとゲットしたのでした。

 

①メンデルスゾーン『序曲《フィンガルの洞窟》』

 18世紀初頭前後の欧州の裕福な家庭の子弟は、他国(特に伊、英等)の先進国を訪れて、藝術や学芸の見分を広げ、自分の仕事の肥やしにする風潮が有りました。メンデルスゾーンは招待されて訪英したという事ですが、内心興味深々だったに違いありません。さらに英国からスコットランドに渡り、当時の人気観光地「フィンガルの洞窟」を見学したのです。

Fingal-Cave2 現在に例えれば、イタリアの観光スポット「青の洞窟」を訪問した様なものかな?

 彼はその時受けた感銘を音楽として表現したのでした。彼はその後イタリアも訪問し、「交響曲第4番《イタリア》」も作曲しています(因みに交響曲第3番は《スコットランド》です)。

 神奈フィルの編成は二管、弦楽12型

前半、Va.やVc.の調べに木管が掛け合い速いテンポの比較的穏やかな演奏が続きますが、後半は結構荒ら荒らさも感じる調べも混じり、再度穏やかに戻る10分程度の短い曲でした。その短い中にもメンデルスゾーンの若々しい才能が感じ取れる曲でした。纏まりの有るいい指揮と演奏でした。

 

②メンデルスゾーン『ヴァイオリン協奏曲』

神尾さんの演奏は久し振りに聴きます。昨年の7月サントリーで「エルガーのコンチェルト」を聞いて以来でしょうか。

 今回の演奏は先ずメンデルスゾーン。益々油の乗った切れの良い演奏を堪能させて呉れました。素晴らしいの一言に尽きます。特に第1楽章のカデンツァ部での重音の渋い重み、伸びやかな高音、テンポと言い表現と言い云うこと無しでした。プロ中のプロの表現力の豊かさには舌を巻いてしまいます。

 

③チャイコフスキー『ヴァイオリン協奏曲』

 そして休憩の後はチャイコのコンチェルト。これはもう神尾さんの専売特許の様なものでしょう。これまで神尾さんのこの曲は生で何回か聴いていますが、ますます磨きがかかり深化、進化している感じ。コンクールで優勝してから、何年経つのでしょう?年々その素晴らしい演奏が目に見えて高度なところに上昇しているのを感じます。これは普段のたゆみない努力と研鑽研究の賜物に違いありません。 ヴィルトゥオーソをして進歩させる曲とは、チャイコフスキーは一体どのような深味を持つ曲を作曲したのでしょう?末恐ろしさまで感じてしまう。

 今回は神尾さんの演奏を満喫出来て、やはり聴きに来て良かったと充実した気持ちで帰路につきました。


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尚、神尾さんのアンコール演奏がありました。

《アンコール曲》

パガニーニ『24のカプリ―ス』より

 この曲は、神尾さんのアンコール曲として、おはこ曲と言っても良いかも知れません。変奏曲集の中でも一番難しい曲。兎に角、各種の高度なテクニックを次から次と繰り出し、名人芸の極みといった処でした。