【日時】2024.8.28.(水)深夜
【会場】ベルリンフィル・デジタル・コンサートホール
【管弦楽】ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
【指揮】ダニエル・ハーディング
【曲目】グスタフ・マーラー『花の章』
(曲について)
『花の章』とは
この曲は当初、交響曲第一番《巨人》の第2楽章として構想され、のちに削除されたもので、「花の章(Blumine) 」と呼ばれる。カッセル歌劇場で朗読上演されたシェッフェルの『ゼッキンゲンのラッパ手』のために書かれた、付随音楽が原型とされる。マーラーは作曲当時、カッセルでヨハンナ・リヒターへの失恋を味わい、その後のライプツィヒ時代にはマリオン・ウェーバー(作曲家ウェーバーの孫)と駆け落ちまで考える関係となっていた。「花の章」の音楽は、これらの恋愛感情が影響を与えた作品と考えられている。こうした推定に加えて、上記したように恋愛事件が直接の作曲の動機であったとするなら、この「花の章」こそが、交響曲第1番の最初のきっかけであったということになる。
音楽はアンダンテ アレグレット、ハ長調、三部形式。主部はトランペットの穏やかな旋律にヴァイオリンが甘美に寄り添う。中間部はイ短調となり、木管、とくにオーボエが儚げに歌う。(主部から中間部への移り方は、シューベルトの未完成交響曲第2楽章の、第1主題から第2主題への移り方に類する。)
この楽章は削除後、紛失したと思われていた。しかし、マーラーの弟子であったペリン家に楽譜が所蔵されていたことが第二次世界大戦後に発見され、1967年に単独で復活初演、1968年に出版された。その後、この楽章は単独に演奏されるほか、第3稿全集版の4つの楽章に挿入されて演奏される場合もある。しかし、「花の章」削除後も改訂され続けた全集版にそのままこれを組み込むことは、様式上の不統一の問題があるため、近年では第2稿である「ハンブルク稿」や「ヴァイマル稿」に基づく5楽章版の復活演奏も見られるようになっている。
【演奏の模様】
管弦楽:二管編成弦楽五部12型(12-10-8-6-4)
何故この楽章をマーラーが削除したかは分かりません。むしろ初稿の通り、この「花の章」が入っていた方が、1楽章と3楽章の強く速い両楽章のクッションとなる緩徐章として「花の章」の効果が生きて来ると思うのですが。単独で演奏するには短か過ぎて物足りない感もします。今度全楽章(5楽章)の交響曲(或いは交響詩)を、生演奏で聴いてみたいものです。