【鑑賞日時】2024.5.26.(日)20:00〜(見逃し再配信)
【会場】ベルリンフィル・デジタルコンサートホール
【管弦楽】ベルリンフィルハーモニ―管弦楽団
【指揮】フランソワ=グザヴィエ・ロト
<Profile>
1971年、パリ生まれ。パリ音楽院でアラン・マリオンにフルート、ヤーノシュ・フュルストに指揮法を学んだ。2000年にドナテッラ・フリック国際指揮者コンクールで優勝し、ロンドン交響楽団に2002年まで補助指揮者として在籍して指揮者としての経験を積んだ。またジョン・エリオット・ガーディナーの助手も務めた。
2003年よりレ・シエクルを結成し同楽団の指揮者として活動している[4]。同楽団は、17世紀頃から現代作品までの幅広い作品をレパートリーとしており、演奏会の中で作品の作成年代に合わせてピリオド楽器とモダン楽器を持ち換えて演奏しており、来日公演も行っている。
2011年から2016年までバーデン=バーデン・フライブルクSWR交響楽団の首席指揮者を務め[4]、2015年よりケルン市の音楽総監督 (GMD)とケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団の音楽監督を務めている。
2017年からはロンドン交響楽団の首席客演指揮者も務めている。
2020/21年のシーズンでは音楽監督を務めるケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団の他、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、バイエルン放送交響楽団、ロンドン交響楽団、シュターツカペレ・ベルリンなどで客演予定である。
これまでにベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、バイエルン放送交響楽団、バイエルン国立管弦楽団、バンベルク交響楽団など世界の主要なオーケストラで客演している。
日本においてもNHK交響楽団や東京都交響楽団に客演している。
【曲目】
ブルックナー『交響曲第3番ニ短調』(1873年初稿に基づく)
(曲について)
1873年に初稿(第1稿または1873年稿)が完成した。
初稿執筆の最中の1873年、アントン・ブルックナーはリヒャルト・ワーグナーに面会し、この第3交響曲の初稿(終楽章が未完成の状態の草稿)と、前作交響曲第2番の両方の総譜を見せ、どちらかを献呈したいと申し出た。ワーグナーは第3交響曲の方に興味を示し、献呈を受け入れた。
この初稿により1875年、ヘルベック指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団によって初演が計画されたが、リハーサルでオーケストラが「演奏不可能」と判断し、初演は見送られた。
1876年(交響曲第5番作曲の時期)、ブルックナーはこの曲の大幅改訂を試み、1877年に完成した(第2稿、または1877年稿)。
同じ1877年、ブルックナー自身がウィーン・フィルを指揮して、この曲は初演された。もっともこの初演は、オーケストラ奏者も聴衆もこの曲に理解を示さず、ブルックナーが指揮に不慣れであったことも手伝い、演奏会終了時にほとんど客が残っていなかったという逸話を残している。とはいえ、残っていた数少ない客の中には、曲の初演準備のために2台ピアノへの編曲作業を手伝った、若き日のグスタフ・マーラーもあった。この初演の失敗により、ブルックナーはその後約1年間、作曲活動から遠ざかった。
1878年、この曲が出版されることとなり、それにあわせて一部修正を行った。
1888年、再度この曲は大幅改訂され、1889年に完成した(第3稿、または1889年稿)。交響曲第8番の改訂と同じ時期である。この稿は1890年に、ハンス・リヒター指揮ウィーン・フィルによって初演された。この第3稿での初演は成功を収めた。
【演奏の模様】
ロトと言う指揮者は初めて聴きます。ブルックナー演奏の前に、現代作家の作品の初演が行われたのですが、今回は割愛しました。ただロトは現代音楽の指揮も得意とする模様で、難しいリズムや楽器構成での演奏推移をスムーズに進行していました。
さて今回のブルックナー3番の演奏は、通常のノヴァーク改訂版3稿に依らず、一番最初の初稿に基づき演奏されました。これはロトの信条から発せられた選択の模様。
<楽器編成>木管は二管、金管は三管(Hrn.4)編成弦楽五部14型(14-12-10-8-6)
<全四楽章構成>
第1楽章 適度に、神秘的に
第2楽章アダージョ、荘重に
第3楽章 スケルツォ かなり急速に ニ短調トリオ:同じテンポでイ長調3/4拍子
第4楽章 アレグロ ニ短調~ニ長調2/2拍子 自由なソナタ形式
全体的にロトの進行は柔らかな物腰で、そのくせ抑える処はキチンと的を射る的確な指示を出していました。管弦奏者は、恐らくメンバーがいつもと違う顔ぶれもいて、休み、出番等のシフトを組んで出演していると思われます。例えばコンマスは樫本さんではなく女性のヴィネタ・サレイカ=フォルクナーさん、フルート首席もホルン首席もパユやドールさんは出ていませんでした。もっと若い奏者。Timp.奏者等いつもの奏者よりズート若く、まるで映画俳優の様なイケメンの男性でした。
特に気が付いたことは、ロトの進行振りは非常に滑らかなもので、所謂G.P.(ゲネラルパウゼ)はかなり少なく思える程で、G.P.かな?と思うとほんの一呼吸間(ま)を空けただけで音が繋がり、全休感は皆無。1から3楽章までで、G.P.らしき箇所は、1、2回程度だったでしょうか?でもその時の再開フレーズが、まことに弱音の弦楽アンサンブルだったり、管の微風だったり、Timp.でさえバチのフェルトで鼓面をなでるが如き微音開始なので、全く曲相が転換したことを何得させる休止として不自然さ、曲の途切れた感じは殆ど感じませんでした。
それから管楽器、特に金管(三管編成)の斉奏箇所が多い曲だと思いました。それも何れの楽器でも、見事に一体となりまるで一つの大きな音を出す楽器の如く溶け合った音でした。以下、演奏の模様のイメージとして、抜粋した画像を曲演奏の順に列挙しました。