今や世界の注目の的のマケラが、昨日4月22日(土)に、ベルリンフィル・デヴューを飾り、交響曲二曲を披露しました。その様子がベルリンフィル・デジタルコンサートホールでライヴ配信されたので鑑賞しました。
情熱、先見性、力強さ。フィンランド人指揮者のクラウス・マケラはその若さにもかかわらず、すでに多くのメディアから称賛され国際的な注目を集める存在です。今回のベルリン・フィルデヴューでは、二人の作曲家の交響曲からそれぞれ6番が選ばれました。ショスタコーヴィチとチャイコフスキーです。前者によると、彼は「第6」の中で「春、喜び、若さ」といった雰囲気を伝えようと考えていたといいます。
一方、後者、チャイコフスキーは《悲愴》で切ない哀愁を表現しています。
【日時】2023.4.23.(日)02:00~
【会場】ベルリンフィル・コンサートホール
【管弦楽】ベルリンフィルハーモニー管弦楽団
【指揮】クラウス・マケラ
【曲目】
①ショスタコーヴィッチ『交響曲第6番ロ短調Op.54』
(曲について)
交響曲第5番ニ短調を作曲し、その名誉を回復したショスタコーヴィチが1939年に書いた叙情的な作品である。前作とこの作品との関係は、しばしばベートーヴェンの「運命」」と「田園」との関係に似ている。ただ、ベートーヴェンの「田園」は標題的であるのに対して、この作品には標題のようなものはない。1939年11月、ムラヴィンスキー指揮、レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団の演奏で、当地で初演された。
②チャイコフスキー『交響曲第6番ロ短調Op.74<悲愴>』
【演奏の模様】
①ショスタコ6番
第1楽章Largo
第2楽章Allegro
第3楽章Presto
マケラの指揮は来日時の都響、パリ管弦を振った際も同様でしたが、タクトを振る仕草は何かスマートな颯爽としたものとはかけ離れた、見た目にはぎこちなささえ感じられるものです。ところがその管弦楽誘導はどこのオケでも持ち味を十二分に引き出している見事なものでした。体、腕、手だけでなく、力を籠める箇所では、頭を縦に強く振ってシグナルを出していた。
第一楽章の冒頭から分厚い低音アンサンブルが響き、それに高音アンサンの音が重畳されて滔々とした流れを生み出し、その後の神秘性、幻想的な演奏を示唆する美しくも怪しい雰囲気を醸し出していました。
特にFl.のtwo topが吹く調べは、パンの笛とも違った不思議な神秘的な物で不気味ささえ感じました。でもそれは嫌な響きでなく、自分等初めて聴いた時にはその第一声からして、これは好きだと本能的に感じる音楽でした。
第二楽章の管や打の軽快な調べもベルリン・フィルらしい名音の繰り出しといった感じです。Timp.の乱打は迫力十分ですが統制の取れた響き、マケラのコントロールが効いていた。
第三楽章に移った頃から急激に睡魔に襲われ(何せ深夜2時から配信スタートでしたから。)最初は聴く方としても気が張り詰めていたのですが、疲れがどっと出て来ました(若い時の様に徹夜など無理かもしれない)。第三楽章は時々ハット目が覚めるのですが、コックリコックリしながら聴いていたので、いいも悪いも有りません。余り記憶に残っていないのです。
②チャイコ6番
第1楽章Adagio - Allegro non troppo - Andante - Moderato mosso - Andante - Moderato assai - Allegro vivo - Andante come prima - Andante mosso
第2楽章Allegro con grazia
第3楽章Allegro molto vivace
第4楽章Finale. Adagio lamentoso - Andante - Andante non tanto
前曲の後半から眠くて眠くて寝ぼけマナコで聴いていたので、最後の拍手近くまで何を聴いていたのでしょう。途中自分の状態に一度気が付いて配信を聴くのを止めてベッドに入ろうかとも思ったのですが、ライヴ配信だから、マケラだから聴かなくちゃと頭の中で別の叫ぶ声が聞こえ、そのまま椅子に座っていたのです。気が付いた時には終わり近くでした。第一楽章等又終楽章のクライマックスも相当激しい強烈な管弦の響きの箇所ですが、全然記憶に御座いません。こりゃ駄目ですね。このベルリンフィル・デジタルコンサートホールではライヴ配信は月に何回かというたまにやる演奏配信で、そのアーカイヴ配信はすぐには見れなく、主催者が準備に日にちを要する様なのです。前回のライヴ配信は忘れていて、あるオペラでしたが、聴き始めたらすでに終わっていて最後のカーテンコールの場面でした。アーカイヴ配信はその後何日も準備期間ということで配信されませんでした。今日は聴ける状態になっているのでこれを書き終わったら聴こうと思っています。
何れにせよ、今回のマケラらの指揮はベルリンフィルの会場の聴衆の熱狂的な賞賛を浴びていて、楽団員が去ってからも鳴り止まぬカーテンコールにマケラが一人で登壇して応じていたのは、日本での演奏会の時と同じ人気振りでした。
10月下旬のオスロフィルの来日演奏会が楽しみです。ショスタコとR.シュトラウスとシベリウスをやるのですね。