HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

都響961回定演/準メルクル(指揮)+五明カレン(Vn.)を聴く


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【日時】2022.10.23.(月)19:00~

【会場】東京文化会館

【管弦楽】東京都交響楽団

【指揮】準・メルクル

 
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〈Profile〉

準・メルクル(Jun Markl,)は、ドイツの指揮者(1959年2月11日 ~)は、ドイツの指揮者。ドイツ人の父と日本人の母との間に、ミュンヘンで生まれる。ハノーファー音楽院でヴァイオリン、ピアノ、指揮を学び、セルジュ・チェリビダッケに師事した。1991年にザールラント州立劇場の音楽総監督に就任。1994年から2000年までマンハイム国民劇場音楽総監督に就任。1993年、「トスカ」を指揮してウィーン国立歌劇場に初登場した。1999年2月、「イル・トロヴァトーレ」を指揮してメトロポリタン歌劇場に初登場した。2000年にはウィーン国立歌劇場日本公演にて、レハール「メリー・ウィドウ」を指揮した。
近年では、ロイヤル・オペラ・ハウス、ウィーン国立歌劇場、バイエルン国立歌劇場、ゼンパー・オーパー、サンフランシスコ歌劇場等でオペラ指揮者として活躍をしている。

オーケストラの指揮にも積極的であり、2005年にリヨン国立管弦楽団の音楽監督、2007年9月から中部ドイツ放送交響楽団(ライプツィヒ)の首席指揮者を務めた。このほか、北ドイツ放送交響楽団、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、パリ管弦楽団、ボストン交響楽団、シカゴ交響楽団、クリーヴランド管弦楽団、水戸室内管弦楽団等にも客演している。

【独奏】五明カレン(ヴァイオリン) 

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 〈Profile〉

 五明カレンは1982年東京生まれで2歳の時にモントリオールに移住。5歳でヴァイオリンをはじめ、わずか9歳でカナダ音楽コンクールで第1位受賞した才華です。その後、名教師ドロシー・ディレイに師事しジュリアード音楽院で学び研鑽を積む。またインディアナ大学ジェイコブス音楽院、ニュー イングランド音楽院のプレカレッジおよびカレッジ部門にも通い、そこでアーティスト ディプロマを取得して卒業しました。彼女の師匠には、マウリシオ・フクス、ドロシー・ディレイ、ドナルド・ワイラースタイン、チェリストのハインリッヒ・シフがいる。

 現在アメリカを拠点にソリストとして活躍。日本ではル・ポン国際音楽祭2019にも出演しています。2013年11月にNHKスペシャル「至高のバイオリン ストラディバリウスの謎」でイタリアのクレモナを訪れ、ヴァイオリン史上最高の名器ストラディヴァリウスの秘密に迫るドキュメンタリーに出演し、名器「オーロラ」の音色を名曲に乗せて披露したことでその名が知られている。

 

 

 

【曲目】

①細川俊夫『オーケストラのための≪渦≫』

②プロコフィエフ『ヴァイオリン協奏曲第1番ニ長調Op.19』

③ムソルグスキー『組曲≪展覧会の絵≫』

 

【演奏の模様】

①細川俊夫『渦』

細川さんは1955年10月23日、広島生まれ。1976年から10年間ドイツ留学。ベルリン芸術大学でユン・イサンに、フライブルク音楽大学でクラウス・フーバーに作曲を師事。ヨーロッパと日本を中心に、作曲活動を展開。日本を代表する作曲家として、欧米の主要なオーケストラ、音楽祭、オペラ劇場等から次々と委嘱を受け、国際的に高い評価を得ています。細川さんの作品は、今年6月に「葵トリオ」がサントリーホールで彼の『トリオ』という曲を演奏したのを配信で聴きました。その時は微弱な音、奇妙な音の連続等独創性を感じました。今回の曲は2019年に準メルクルの還暦祝いに捧げられたもので、翌年には、尾高賞を受賞した作品です。聴いていて、明石の大渦の様な海の渦を表現したものと思いました。 プログラムノートによれば、作曲者はもともと雅楽の笙に興味を持っていて、その吐く吸うを繰返えして出る音に、波の波動やらせん状の音の渦巻きを連想していて、そうした感情をオーケストラで表現したものと思われます。オケ規模は、二管編成弦楽五部12型(12-12-10-8-6)の対向配置。ハープ2台、チェレスタ1台の他様々な打楽器群が、舞台狭しと並んでいました。冒頭は不思議な波の音の表現でしょうか、かすかなVn.のトレモロからスタート、管・打も加わり不思議な音をうねる様に立てています。小さい音は次第に大きくなり、大太鼓、Tub.が鳴らされ、Timp.も参加、❝さか巻く波を乗り越えて❞という演歌の雰囲気そっくりな情景を思い出しながら聴いていました。鉄琴などの高音パーカッションの音が面白い。観客席には二か所にバンダの金管が配置され、2階左翼席にHrn.Trmp. 三階右翼席にTrmp.Trmb.、舞台の金管に呼応して音を立てていました。

演奏の中程では、まるで何万匹の蜂の来襲かと思わせるような音の発出や、小太鼓から立てられる音を背景に管弦が恰も波に翻弄されて螺旋状に動いている何かの破片が、次第に渦潮の中心に引き込まれて海のモズクと消えていく様を連想出来ました。波と渦潮の表現としては、ドビュッシーの『交響詩<海>』に負けずとも劣らぬ管弦楽による表現だったと思います。演奏後指揮者は、来場していた細川さんを舞台上に上げて讃えていました。確かに将来楽しみな有能な日本人作曲家ですね。

 

②プロコフィエフ(ラヴェル編)『ヴァイオリン協奏曲第1番』

第一楽章アンダンティーノ(ニ長調

第二楽章スケルツォ、ヴィヴァーチッシモ(イ短調

第三楽章モデラート - アンダンテ(ニ長調)

1916年から1917年にかけて作曲されたプロコフィエフ最初のヴァイオリン協奏曲。かなり高度の演奏技術を擁する曲ですが、今日ではプロコフィエフの協奏的作品の中で最も愛好されている作品の一つです。                             例によってオケは独奏者のためのシフトのため、楽器構成の対向配置は崩れ小さくされました。二管編成弦五部10型(10-8-8-5-4)。フルート2(ピッコロ1持ち替え)、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、チューバティンパニ小太鼓タンブリンハープ1台に減。

 演奏した五明さんは美しい優雅な中年に差し掛かっている女性ヴァイオリニストでした。はじめて聴きました。プログラムノートによればこの曲は❝様式的にはスケルツォを中央に置く独自の楽章配置と大胆な調構成、両端楽章の自由な形式、スケルツォにおけるトッカータ的な運動性、モダンで鋭角的な響きの追求、等斬新な試みが様々になされており、若き革命児プロコフィエフの面目躍如たる作品となっている。❞ということです。

 弦の微弱なトレモロに続き、すぐにソロヴァイオリンが入りました。高音中心の旋律が悠々と流れ、Ftが背景音として聞こえます。五明さんの音は、熟練手の紡ぎ出す透き通る糸が、空間を舞い踊るうちに白い薄絹のヴェールになって、演奏者を包み込むような透明な光の反射に煌めくが如き演奏でした。堂々とした熟達した演奏だとすぐ分かります。曲想が変わりFl.の音が少し大きくなって,Pizzicartoで合わせていたソロ演奏者は、かなり速いテンポで低音部をジャガジャガジャガジャガジャガジャガと弓の根元近くで強いボーイングでアップダウンし、重音も交えている弾いている様に思えました。仲々力強い演奏になって来ました。途中入る強いPizzicartoも面白い。

 演奏終了後、会場からの大きな拍手(②の曲の演奏直前には文化会館の座席の8割方埋った様な気がしました)に答えて五明さんはアンコールを弾きました。

≪ソロ・アンコール演奏曲≫

サミュエル・アダムス『ディップ・ティック』

 この曲は、米国の著名な作曲家、ジョン・アダムスの子息、サミュエル(1985年12月生れ)が2020年に作曲したヴァイオリン曲、彼は、もともとコントラバス奏者ですが、2010年頃から作曲も手掛ける様になり、2015年から現在まで、「シカゴ交響楽団から委嘱を受ける二人の作曲家」の一人に選出されています。彼の音楽は、クラシック形式、マイクロサウンド、ノイズ、即興音楽、フィールド レコーディングなど、さまざまな分野での経験を生かしています。

 アンコールのこの曲は、彼の代表的曲の模様で、比較的静かな流れで、不思議な響きを有しています。五明さんにとっては、恐らく知り合いの曲なのでしょう。うねる重音は超高音部に達し、高音のかすかな音でも僅かに響いてくるヴィブラートは、安定感があります。

今日の五明さんの演奏を聴いて、将に円熟したヴィルトーソに向かってまっしぐらのヴァイオリニストの演奏を聴けた満足感が味わえました。

 

③ムソルグスキー(ラヴェル編)『組曲≪展覧会の絵≫』

次の十曲から成っていますそれぞれ美術館で見た絵に関する情景表現の曲です。プロムナードは散歩くらいの意味。

<第1プロムナード> ①小人(グノーム)

<第2プロムナード>②古城 

<第3プロムナード>③テュイルリーの庭 - 遊びの後の子供たちの口げんか ④ビドロ(牛車)

<第4プロムナード>⑤卵の殻をつけた雛の踊り、⑥サムエル・ゴールデンベルクとシュムイ

<第5プロムナード>⑦リモージュの市場 <⑧カタコンベ - ローマ時代の墓 

<死せる言葉による死者への呼びかけ>⑨鶏の足の上に建つ小屋 -バーバ・ヤガー ⑩キエフの大門

この曲はやはり名曲に値しますね。この曲はちょくちょく聴いていますが、演奏会数が多いという事はそれだけ人気があるという事です。今日の都響の演奏は指揮者ともども相当力が入っていて、キエフの大門の辺りの盛り上がりは凄い物が有りました。興奮しました。昨年の12月にN響が演奏した時にも聴きましたが、それにも負けない力演でした。参考までその時の記録を文末に再掲します。

 

/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////(HUKKATS Hyoro Roc2021-12-10再掲)

『N響第1946回定演at芸劇・池袋』鑑賞

編集

【日時】2021.12.10.(金)19:30~

【会場】東京芸術劇場コンサートホール

【管弦楽】NHK交響楽団コンサートH

【指揮】ガエタノ・デスピノーサ※

【独奏】佐藤晴真(Vc)※

※当初予定の指揮者、ワシーリ・ペトレンコ、チェロ奏者ダニエル・ミュラー・ショットは、上記指揮者及びチェリストに変更

【指揮者Profile】

1978年、イタリア・シチリア島のパレルモ生まれ。地元でヴァイオリンとピアノのほか、作曲と哲学を学び、まずはヴァイオリニストとしてキャリアをスタートし、2003年から2008年までドレスデン国立歌劇場のコンサートマスターを務めた。
指揮者ファビオ・ルイージの薦めで、2008年以降は指揮者としての活動に専念。2012年から2017年までミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団の首席客演指揮者。フィレンツェ五月祭管弦楽団、ローマ聖チェチーリア国立アカデミー管弦楽団、トリノRAI交響楽団などイタリアを中心に数多くの公演に招かれている。
オペラ指揮者としての評価も高く、2010年5月にドレスデン国立歌劇場の《椿姫》でデビューを飾ると、その後はジェノヴァ歌劇場、グラーツ歌劇場、リヨン歌劇場、フェニーチェ劇場などに客演。2019年から2021年においては、ドレスデン国立歌劇場にて《ナブッコ》《フィガロの結婚》《ノルマ》を指揮、今後も、《蝶々夫人》《ランスへの旅》などを指揮する。ドレスデン国立歌劇場とは、ライマンの新作初演を含むラジオ収録のほか、2022年5月には、イェルク・ヘルヒェットの新作初演を含む公演でいよいよコンサート・デビューを飾る。
N響との初共演は2012年4月。今回は2019年3月以来、4度目の共演となる。
 

【チェリストProfile】

川崎市生まれ。4歳からピアノを始め、桐朋女子高等学校(共学)を経て桐朋学園大学を首席卒業。1987年日本音楽コンクール第2位。大学卒業後ミュンヘン国立音楽大学マイスターコースにおいて名匠ゲルハルト・オピッツのもと更なる研鑚を積み、1992年ミュンヘン交響楽団との共演でデビュー、大成功をおさめる。国内では1995年に正式にデビュー。翌1996年にはCDデビューを果たし一躍注目を浴びる存在となる。以来日本を代表するピアニストとして第一線で活躍。これまでDenon ,Philips、Deccaを始めとする数多くのレーベルから30タイトル以上のCD及びDVDを国内外でリリース、その内容はソロ、協奏曲、室内楽と多岐に渡る。
1998〜2008年にかけてフェスティバルホール(大阪)で行った合計20回に及ぶリサイタルシリーズや1999年、ショパン没後150年を記念して全国各地で行った大規模なツアーは驚異的な動員数とともに絶賛を博す。2001年、チョン・ミュンフンの主宰する「セブン・スターズ・ガラ・コンサート」に出演。また2005年にはデビュー10周年を記念してサントリーホールとザ・シンフォニーホール(大阪)でリサイタル、高い評価を受けるなど、着実にキャリアを積み重ね、不動の人気と評価を獲得するに至っている。
また欧米やアジアなど海外においても充実した演奏活動を展開し高い評価と支持を得ており、2006年、ウィーン・ムジークフェライン・ブラームスザールにおいてリサイタル。2010年、プラハの音楽祭“International chamber music festival Euroart Praha”に招かれ、マルティヌー弦楽四重奏団と共演。2016年、ベートーヴェンのピアノ協奏曲「皇帝」でウィーン・ムジークフェライン大ホールにデビュー。また2018年には韓国の光州市立交響楽団の定期演奏会に招かれるなど、国際的な活動にも益々の広がりを見せている。
これまでに数多くの国内外のオーケストラに客演し、ネーメ・ヤルヴィ、トーマス・ザンデルリンク、クリスティアン・マンデアル、外山雄三、広上淳一など多くのマエストロと共演を重ね、その音楽性に厚い信頼が寄せられている。またプロデューサーにギタリストの鈴木大介を迎え、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲を録音、深化した音楽性に高い賞賛が寄せられている。

 

【曲目】

①チャイコフスキー『ロココ風の主題による変奏曲作品33』

 

②ムソルグスキー(ラヴェル編)組曲『展覧会の絵(Tableaux d'une exposition)』

 

【曲目解説】



演奏の模様は以下の通りでした。

①この曲はチェロの独奏曲としては、割りと演奏される機会が多いので、かなり知られた存在と言って良いでしょう。序曲のテーマソングからして聴きやすいいい調べですね。ホルンの合図を契機にVcが鳴り始めます。その音色といい旋律のすてきなこと、これを嫌いという人は少ないでしょう。

管弦編成はチェロソロの音量に合わせて2管編8型(Va6 Vc4 Cb3に縮小)と小さい編成です。

⚪Moderato assai quasi Andante - 主題:  Moderato semplice
⚪第I変奏 Tempo della Thema
⚪第II変奏 Tempo della Thema
⚪第III変奏 Andante ニ短調
⚪第IV変奏 Allegro vivo
⚪第V変奏 Andante grazioso
⚪第VI変奏 Allegro moderato
⚪第VII変奏 Andante sostenuto ハ長調
⚪第VIII変奏、コーダ Allegro moderato, con anima

今回は、第Ⅷ変奏を省略し、順番を途中変え、最後に3から4変奏に移る劇的な変化を持ってきたフィツィンハーゲン版に基づく演奏でした。 

 佐藤さんの独奏は、弾き始めはまずまずの出音で聴き慣れた主題が耳に届いて来ましたが、オケとの掛け合い、カデンツァと進むに連れ、出音も研ぎ澄まされた感があります。弾いているうちに好調になっていったのでしょう。Ftとテーマの掛け合いでは音の返しがVc独特のいい感じが出ていたし、独奏部でのピッツィ、ハーモニック高音、低音部の重音などテクニック的には佐藤さん、流石と思われる演奏でした。

 中盤部では佐藤さんは、たびたび指揮者を振り向き、また指揮者デスピノーサも佐藤さんに目くばせ、首の肯き等で合図を送っていた様です。この40代前半の指揮者は、代役ですが、常任指揮者のルイージの推薦というだけあって、短期間だったと推測されるN響、ソリストとのコラボを良く纏め、オケのダイナミックなアンサンブルをうまく引き出していたと思います。ただ指揮の動きは、見た目は大袈裟でないどころか、非常にシャイな指揮振りでした。そこから指揮者の意図を汲み取り、演奏に反映出来た手腕をN響奏者たちが備えていたのでしょう。

 終盤になればなるほど佐藤さんの演奏は熱が入り、それが出音に反映するのか最初の頃よりまったく別人の演奏、素晴らしい音を立てて最後まで弾き切りました。

尚ソロアンコールがあり、佐藤さん渾身の演奏でした。非常に短い曲(曲名現段階で未発表)ですが、本編演奏より素晴らしくらいでした。余程得意な曲なのでしょう。

(追記) 

アンコール曲名、カザルス編曲『カタルーニャ民謡〈旅の歌〉』

 生放送を録音しておいたのを土曜日に帰宅してから聴きました。生演奏を見聴きするのとは、やはり異ります。ホールで聴くときより、音質が全て悪い(再生装置が原因?)訳ではなく、良く聞こえる時もありました。チェロ独奏の第一変奏の一部など。また現場では気がつかなかった(原因不明確?)ことも分かりました。前半で、オケが慌てたのかどうか、急ぎ足になりテンポのバランスが二カ所で一瞬崩れたこと。チェロに追い付け追い付けとばかり急いでいました。

 

②ムソグルスキー作曲のこの曲は、後世いろいろな人により編曲されています。今日のオーケストラでは、ムソグルスキーのピアノ曲を管弦楽版に編曲したものが多く演奏されます。以下の構成に沿って演奏されました。

 

 

曲名

原題

拍子

調

 

第1プロムナード

Promenade

5/4, 6/4 - 6/4

変ロ長調

1

小人(グノーム)  

Gnomus

3/4 - 4/4, 3/4 - 3/4

変ホ短調

 

第2プロムナード

[Promenade]

5/4,6/4

変イ長調

2

古城

Il vecchio castello

6/8

嬰ト短調

 

第3プロムナード

[Promenade]

5/4, 6/4 - 4/4

ロ長調

3

チェルリーの庭 - 遊びの後の子供たちの口げんか

Tuileries - Dispute d'enfants après jeux

4/4

ロ長調

4

ビドロ(牛車)

Bydlo

2/4

嬰ト短調

 

第4プロムナード

[Promenade]

5/4, 6/4, 7/4 - 3/4

ニ短調

5

卵の殻をつけた雛の踊り

Балет невылупившихся птенцов

(Ballet des poussins dans leurs coques)

2/4

ヘ長調

6

サムエル・ゴールデンベルクとシュムイレ

Samuel Goldenberg und Schmuÿle

3/4 - 4/4

変ロ短調

 

第5プロムナード

Promenade

5/4, 6/4, 7/4

変ロ長調

7

リモージュの市場

Limoges - Le marché

4/4 - 3/4 - 4/4

変ホ長調

8

 ローマ時代の墓、カタコンベ

Catacombae - Sepulchrum Romanum

3/4

イ短調

 

死せる言葉による死者への呼びかけ

Cum mortuis in lingua mortua

6/4

ロ短調

9

鶏の足の上に建つ小屋 バ-バー・ヤガー

Избушка на курьих ножках - Баба-Яга

(La cabane sur des pattes de poule - Baba-Yaga)

2/4 - 4/4, 2/4 - 2/4

イ短調

10

キエフの大門

Богатырские ворота - в стольном городе во Киеве -

(La grande porte de Kiev)

2/2 - 4/4

変ホ長調

 


オーケストラ構成は上記写真の通り管・打とも様々な楽器が大幅に加わり、弦楽器も増強、かなり大きい編成となりました。

 トランペットの音と共にスタート、管弦の絡み合う、時として大きな音、時として密かなかすかな音、様々に主役を変えて鳴り響く管弦のアンサンブルは、基本的には冒頭の主題に回帰すること多数回、プロムナードの絵は如何なる景色を描いているのか、想像するだに幻想が膨らみ、それをオーケストラの大音響が益々増幅して、最後力強い打楽器、管弦アンサンブルの目くるめく音の饗宴で幕は下りるのでした。

 ここで幕と言ったのは、この音楽は何回聴いても、いつも標題音楽の表す絵画に想像が至り、これはひょっとしてラヴェルがバレエ音楽として使うために編曲したのではなかろうかと勝手な推論が働いてしまうからです。確かにプロムナードの絵画の流れを関係付けた台本があれば、あとは振付はその道の達人をラヴェルは知っている筈ですから、その製作(或いは構想段階)の意図は無かったのでしょうか?創造力のある作家ならば、これらの絵を興味深い物語でつなぐことは決して困難なことではないでしょう。誰かバレエの演奏を過去にやっていないかな?と思って調べて見たら、2018年に ❝ムソルグスキーのピアノ組曲「展覧会の絵」を舞踊化❞という記事が出て来ました。ムソルグスキーを日本舞踊の藤間蘭黄、ガルトマンをバレエ・ダンサーの寺田宜弘が浅草公会堂で踊った公演が2018年に行われた様です。主催は現在でも海外バレエ団の来日公演を支えている『光藍社』の模様。

 最近バレエを音楽理解を深めるためと思って俄かに見に行き始めたのですから、そんな妄想が浮かぶのかも知れません。(因みに明日は東京文化会館で『くるみ割り人形』を見ます。)

 

 尚、今日の演奏会は、NHK FM放送『ベストオヴクラシック』で生放送されました

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