表記の交響楽団の来日公演は、一昨年も昨年も予定されていたものが、新型コロナ感染拡大のため毎年中止になっていました。今年の来日も危ぶまれていましたが、コロナ感染状況が最近になってやっと少しづつ収まりつつあり、4年振りの来日公演が実現したものです。
【日時】2022年10月2日(日) 14:00~
【会場】ミューザ川崎シンフォニーホール
【管弦楽】ロンドン交響楽団
【指揮】サー・サイモン・ラトル
<Profile>
1955年、リヴァプール生まれ。幼い頃からピアノと打楽器を学び、イングリッシュ・ナショナル・ユース管弦楽団では打楽器奏者を務めた。1971年に ロンドン、王立音楽アカデミーに入学し、指揮を学んだ。1974年、ジョン・プレイヤー国際指揮者コンクールに優勝し、ボーンマス交響楽団およびボーンマス・シンフォニエッタの副指揮者に就任した。以後イギリスの主要なオーケストラを指揮し、1977年には、ヤナーチェクの『利口な牝狐の物語』を指揮、グライボーン音楽祭に最年少でデビューした。
20代前半から既にヨーロッパ各地のオーケストラに客演し、様々なオーケストラからの主要ポストの申し出を受けたが、1980年に自国の バーミンガム市交響楽団の首席指揮者に就任した。ラトルの就任当時には決して国内的・国際的知名度が高いとは言えなかったこのオーケストラを、徐々に世界的なオーケストラに育て上げた。1990年には同オーケストラの音楽監督に就任した、同団との来日も数度果たしている。一方、1979年に ロスアンゼルス・フィルハーモニックを指揮してアメリカ・デビューを果たし、1981年から1994年まで同楽団の首席客演指揮者となっていた。1984年、大英帝国勲章コマンダーに叙された。1994年、30代の若さでナイトに叙され、サーの称号を得た。1996年に放送されたテレビ番組『故郷を離れて』では、最も優れた芸術番組に与えられる BAFTA賞を受賞している。1999年、バーミンガム市交響楽団との長年にわたる活動に対して "South Bank Show Awards" の "Outstanding Achievement" が贈られた。
2002年、クラウディオ・アバドの後任として、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者兼芸術監督に就任した。ラトルはベルリン・フィルの若年層の聴衆および音楽人開拓のための活動である「Zukunft@BPhil」に取り組み、その一環として映画『ベルリン・フィルと子どもたち』を制作した。こうした青少年育成活動は高く評価され、2005年にドイツの教育分野で権威ある賞であるシラー賞を受賞、2007年にはテレビ雑誌 "Hörze" から「ゴールデン・カメラ」を授与されている。一方で、古典音楽に対するオーセンティックな演奏に対しても活動の幅を拡げ、古楽の演奏団体であるエイジ・オブ・インライトゥメント管弦楽団に客演している。2004年のBBCプロムスでは、同団と共にワーグナーの『ラインの黄金』を演奏会形式で上演、その後『ニーベルングの指輪』にも取り組んでいる。他方で、2006年頃から、ベルリン・フィルとラトルの間の関係には危機の兆候があると複数の指摘があった。ベルリンでの在任期間が長くなってもラトルが音楽上のやりとりをドイツ語ではなくほとんど英語で行うことで誤解や演奏のマンネリを深めた可能性があると言われる。2012年7月にはロンドン五輪の開会式のでロンドン交響楽団を指揮し、映画『炎のランナー』のテーマ曲を演奏ローワンアトキンソン演じるミスター・ビーンと共演した。
2013年1月11日(日本標準時)、バイエルン放送が、ベルリン・フィルの首席指揮者を2018年をもって退任すると報じた。ベルリン・フィルも1月10日の日付で2018年での任期終了を発表している。その後、ラトルは2018年6月24日のヴァルトビューネコンサートでベルリン・フィルの首席指揮者を退任した。
2013年9月7日、イギリス高級紙『タイムズ』は、2018年にラトルがロンドン交響楽団の首席指揮者に就任するだろうという見通しを記事にした[11]。2015年3月3日、ロンドン交響楽団はラトルが2017年9月に同団の音楽監督に就任する予定と発表した。2017年9月にロンドン交響楽団音楽監督に就任し、2021年末においても現任中である。
2021年1月11日、ラトルが2023/24から5シーズン、バイエルン放送交響楽団・バエルン放送合唱団の首席指揮者を務める予定であることが発表された。
【独奏】オーボエ:ユリアーナ・コッホ (Juliana Koch:ロンドン交響楽団 首席オーボエ奏者)
<Profile>
Juliana Koch is principal oboe of the London Symphony Orchestra (Music Director Sir Simon Rattle) and laureate of the ARD International Music Competition 2017.
Since September 2018 she teaches as professor of oboe at the Royal College of Music in London.
For her debut at the Berlin Philharmonie in 2019, Juliana performed the Richard Strauss Oboe concerto together with the Deutsches Symphonie-Orchester Berlin. Other solo engagements include appearances with the Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks at the Philharmonie im Gasteig (Munich), the Münchener Kammerorchester, the Estonian National Symphony Orchestra and the Hungarian National Philharmonic among others.
Juliana is an active chamber musician and has performed at many prestigious festivals around the world, including Musica Viva’s Huntingon Estate Music Festival in Australia, Lucerne Festival, Bachfest Leipzig and Paavo Järvi’s Pärnu Music Festival. She has appeared in recital performances in the Bamberg Konzerthalle, NDR Hannover and Deutschlandfunk Köln.
At the ARD international Music Competition 2017 Juliana won the second prize, audience prize and the Osnabrücker Musikpreis - no first prize was awarded.
After finishing her studies, Juliana first played as principal oboe with the Royal Danish Orchestra at the Royal Danish Opera in Copenhagen and with Filarmonica della Scala at Teatro alla Scala in Milan, before joining the London Symphony Orchestra in 2018.
Juliana has been invited all over the world as guest principal oboe with some of the most renowned orchestras, including the Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks, the Philadelphia Orchestra, the Chamber Orchestra of Europe, and the Los Angeles Philharmonic Orchestra.
She has worked with many of the world’s leading conductors, including Sir Simon Rattle, Bernhard Haitink, Kirill Petrenko, Daniel Barenboim, Riccardo Chailly, Pierre Boulez (+), Yannick Nézet-Séguin, Zubin Mehta, Esa-Pekka Salonen, John Elliot Gardiner and Valery Gergiev.
Juliana has studied with François Leleux in Munich and Fabian Menzel in Frankfurt. Additionally she has worked with Jacques Tys in Paris. In her time in Munich, she also studied Baroque Oboe with Saskia Fikentscher.
Juliana plays a Marigaux M2 Oboe.
(追記、彼女はハノーバ音楽演劇大学のファビアン・メンツェルに師事したそうです)
【曲目】
①ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」から 前奏曲とイゾルデの愛の死
(曲について)
『トリスタンとイゾルデ』(Tristan und Isolde)は、リヒャルト・ワーグナーが作曲した楽劇。台本も作曲者自身による。
全3幕からなり、1857年から1859年にかけて作曲された。一般に「楽劇 (Musik Drama)」と呼ばれているが、ワーグナー自身は総譜及びピアノ譜に単に「3幕の劇進行 (Handlung)」としている。1865年6月10日、ミュンヘンのバイエルン宮廷歌劇場において、ハンス・フォン・ビューローの指揮で初演された。演奏時間は約3時間55分(第1幕80分、第2幕80分、第3幕75分)。
物語は、ケルトに起源を持つと考えられている古代トリスタン伝説(トリスタンとイゾルデを参照)によっており、直接的にはゴットフリート・フォン・シュトラスブルク(? - 1210年)の叙事詩を土台として用いている。
ワーグナー自身が「あらゆる夢の中で最も麗しい夢への記念碑」(下記#作曲の経緯参照)と述べているように、この作品は愛の究極的な賛美であるとともに、その一方で、感情的な体験を超えて形而上的な救済を見いだそうとするものともなっている。作品全体に浸透した不協和音の解放によって『トリスタンとイゾルデ』は、ヨーロッパ音楽史上の里程標と見なされている。また、この作品の極限的な感情表現は、あらゆる分野にわたって何世代もの芸術家に圧倒的な影響を及ぼすものとなった。
第1幕への前奏曲と第3幕終結部(イゾルデの「愛の死」)は、ワーグナーが全曲の初演に先立って演奏会形式で発表したことにちなみ、現在でも独立して演奏会で演奏される。
②R.シュトラウス:オーボエ協奏曲
この曲は、9月16日にN響の公演で聴きました。デンマークの女流奏者でした。とても綺麗なメロディが多いので、R.シュトラウスらしさを満喫出来ました。参考までその時のhukkats記録を文末に再掲(抜粋)します。曲に関しても参照下さい。
一方今日の独奏者、ユリアーナ・コッホの当該曲の演奏映像が見つかりましたので事前に聴いておきました。バイエルン放送交響楽団の本拠地、ミュンヘンのヘラクレスホールでの演奏です。
これは2017年ミュンヘン国際音楽コンクール・オーボエ部門で女性として初めて1位なしの2位最高位を獲得した時の演奏映像です。仲々音も良く技術も素晴らしく名手とも言える演奏でした。今日その人の演奏を直かに聴けるので大いに楽しみにしていました。(因みに彼女は翌年2018年に、ロンドン交響楽団のラトルからオファーがあり入団契約したのです。)
③エルガー:交響曲第2番 変ホ長調 op.63
(曲について)
この曲は、エドワード・エルガーが1910年から1911年にかけて作曲した交響曲。第3番は未完に終わったため、完成した交響曲としては最後のものとなった。イギリス国王エドワード7世に献呈されることになっていたが、王が1910年5月6日に崩御したため、亡き国王エドワード7世の追悼に捧げられた(Dedicated to the memory of His late Majesty King Edward VII.)。曲自体は追悼よりはエドワード朝(1901年1月22日-1910年5月6日)の叙事詩、回顧といった性格が強いものである。
初演は1911年5月24日、ロンドン音楽祭の一環として、エルガー自身の指揮、クイーンズ・ホール管弦楽団によって行われた。同年11月24日にはシンシナティ交響楽団の定期演奏会においてレオポルド・ストコフスキー指揮によりアメリカ初演が行われた。
【演奏の模様】
①ワーグナー/楽劇『トリスタンとイゾルデから 前奏曲とイゾルデの愛の死』
この様な分厚い流麗なアンサンブルを滔々と鳴らすオーケストラを直かに聴くのは、しばらく振りです。オケの間近の席だったので、低音弦楽の全奏など腹にズッシリと響き、また金管群が高々と鳴らす轟音には、頭にズシーンとパンチを喰らわせられた様な目眩を覚える思いでした。ここには、オーケストラを「聴く」と言う言葉は相応しくなく、オケを「体感」すると表現した方が相応しいでしょう。楽器群は、けっして広いとは言えないミューザの舞台を埋める、三管編成弦楽五部(14-14-12-10-10)の大型編成。いつも思うのは、日本のオーケストラだと、団員はせきにつくと皆黙り込んで生真面目に真っ直ぐ前を見つめているのが普通なのに対し、海外オケ団員は、隣の団員と喋っている人、楽器をハンカチか何かで拭いているいる人、楽器に弱音器を付けたり外したり、音を立てたりしたり、皆さん大変リラックスしているように見えるのです。リラックスした方がいい演奏が出来ると思いますよ、普通だったら。
冒頭、Vc.→Cl.(Hr.)→Vc.→Ob.→Cl.→
Fl.→Vn.アンサン と次々に音を立て、一点の濁りもない清明な調べが、ゆっくりと流れ次第に大きくなって行きました。この間8挺のCb.のpizzicatoがずっしりと響きアンサンブルに効いている。ここで再確認したことは、名指揮者率いるオーケストラのアンサンブルは、全体が溶け合っていても、パート、パートの個性音は自己消滅しないで、溶け合いの中に確固として存立しているということでした。
演奏終盤では、全管弦楽強奏のうねるアンサンブルが絶頂に達して、恰もイゾルデが、泣き叫ぶ姿が目に浮かぶ幻覚に囚われる程の生々しい響きを感じました。これだけの素晴らしいオーケストラ演奏でワーグナーのオペラが聴けたらいつ死んでもいいと思うかも知れない。もっとも英国のオペラハウスは、ワーグナーはやらないでしょうけれど。
この曲でも、オーボエ音はちょくちょく出て来て、次のR.シュトラウスの曲演奏の期待感が高まりました。
②R.シュトラウス『オーボエ協奏曲』
ここで、楽器編成は、ソロ演奏シフトで、編成が小さくなりました。二管編成弦楽五部(10-8-6-6-2)。
ソリストのコッホさんの演奏は、期待に背かないとてもいい演奏でした。体の上半身を柔軟に動かし、笛の器先を上方に向けたり下げたり、或いは左右方向に向け、恰も下から上、右から左総ての観客に平等に調べを届かせようとしているかのごとし。これを聴いた人は、ハーメルンの魔法の笛に魅せられて、後をついて行きたくなってしまうかも知れません。
時々入るFl.の合いの手は、音も一流、タイミングもいいし、素晴らしい吹き手だということが分かります。ラトルロンドン響の演奏は、ゲルマン系管弦楽と紛う程のR.シュトラウス旋律の表現でした。
圧巻は、第二楽章の甘い美しいコッホさんの調べでした。あたかも、グルックのオペラ『オルフェオとエウリディーチェ』で天上の国で、オルフェオが見た精霊の踊り(オペラではフルートの有名な調べですが)、その場面にこの美しいオーボエの調べをあてても遜色ないと思われる位素晴らしいコッホさんの演奏でした。
第三楽章の力強いカデンツァの演奏も、お見事。
演奏の間、ラトルは、時々ソリストの方を向いて何か物言いたげというより、合図を伝えたい風でしたが、ソロ演奏に没頭するオーボエ奏者は気が付かないのか、全然ふりむきませんでした。
演奏が終わって深々と頭を下げたソリストが、何回か袖と舞台を往き来した後、アンコール演奏がありました。演奏曲は、
ブリテン『オヴィディウスによる6つの変容
(Six Metamorphoses after Ovid 1951年作)から Ⅰ. パン』
旋律的に鳴らしたり、ボツン、ボツンとしずくの様な音を立てたり、変わったしかし面白い短い曲でした。でもコッホさん、長い(30分近い)曲を吹いたばかりで、少し疲れたのでしょうか?冴え冴えとした響きは余り感じられませんでした。
ついでながら、ドイツにはカラヤンのベルリンフィル黄金期にローター・コッホというオーボエの名手がいたそうなのですが、関係があるのかないのか、色々調べても分かりませんでした。
また1800年代後半、ベルリン大学には、有名なノーベル賞細菌学者コッホがいましたが、ドイツでは、「Koch」と言う姓は、珍しくないのでしょうか?
《20分の休憩》の後は、エルガー、楽器編成は、もとの大型に戻りました。
③エルガー『交響曲第2番 変ホ長調 op.63』
非常に複雑な、アンサンブルも入り組んだ曲でした。あの『威風堂々』からは想像できないくらいの込み入ったあらゆる管弦楽法を駆使した将に作り上げられた、巨塔と行った感じ。従って聴いて心地良いとかこれは素晴らしいと感動したとかいう箇所は、自分としては少ない曲でした。勿論部分、部分では、ラトルのコントロールが良く効いた素晴らしい演奏に満ち溢れていましたが、正直言ってこの交響曲を余り好きになれませんでした。でも第二楽章終盤で、Hr. Timp.Fg.Tub.などが鳴って、滔々と響かせる調べや、その後、Timp.がダッダーンと合いの手を入れたあとで、静まり返つたように、極々弱い調べを弦楽主導で響かせた箇所や、また一方、なぜか祝祭的感じがした第四楽章の終盤からの調べは、如何にもエルガーらしい、堂々としたオーケストレーションによる美しい響きが行き渡り、最終場面でのTimp.は、大いにリズムを刻み、Hr.の音も、Cb.の低音も、Vn.の高音旋律も、全体的にいい感じのアンサンブルとなって一体化し、それまでの入り組んだ複雑さと分かり難くさを止揚したような簡潔さには、自分の様な単純人間にとって、ある種心に響く何かを感じました。
終わり良ければ総て良し。それまでの後ろ向きの感情は減殺し、やはり凄い曲だし、エルガーはかなりの巨人だなーと思った次第です。
演奏が終わり、会場一杯に鳴り響く観客の大きな拍手に応えて、最後にラトルはアンコール曲を演奏してくれました。
ディーリアス/歌劇「フェニモアとゲルダ」から 間奏曲
フルートとオーボエのソロが、交互に静かな滔々としたVnアンサンブルと掛け合い、最後にFl. ソロ→Ob.ソロ→Cl.の微音で曲を閉じました。
演奏が終わって、客席に挨拶したラトルは、真っ先に男性Ob.奏者の処に駈け寄り讃えていました。かなりのキャリアの奏者に見えましたが、想像するに、②の協奏曲を吹いたコッホさんは、入団4~5年の謂わば新参奏者にもかかわらず、華々しい独奏者に抜擢されているので、古参のOb.奏者に思いやりをラトルはかけたのだと思います。演奏会が終わって団員が三々五々退場する中、袖に戻ったラトルがまた舞台に現れ、再度同じOb.奏者の処に駈け寄り、何かドリンク缶の様なものを渡していました。随分思いやりのある指揮者に見えました。
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<2022.9.18.hukkats Roc(再掲・抜粋)>
『N響・ルイージ就任記念演奏会』第Ⅱ弾~All R.シュトラウス~
2022年9月Cプログラム 聴きどころ(Program Noteより)
85年という長い生涯を歩んだリヒャルト・シュトラウス(1864~1949)。父親の影響のもとに絶対音楽(器楽曲)を手がけ、やがて交響詩・オペラといった標題音楽の世界へと足を踏み入れたのち、最晩年にふたたび器楽曲の世界へと戻ってきた。短いモティーフから楽曲全体を組み立てる作曲家の技法はどの作品、どの時代にも共通し、職人としての腕の確かさは一貫して衰えることがなかった。若年、壮年、晩年、それぞれの代表作から、シュトラウスならではの作曲技法の冴(さ)えを感じ取れるだろう。(広瀬大介)
【プレコン】
13:15pmよりN響メンバーによる室内楽のミニコンサート(約15分)。
【出演者】
チェロ 辻本 玲
チェロ 市 寛也
チェロ 西山健一(中 実穂 体調不良のため)
チェロ 渡邊方子
【曲目】ジョゼフ・ジョンゲン『4本のチェロのための2つの小品 作品89─〈伝説〉〈踊り〉』
【本演奏】《ルイージ就任記念演奏会Ⅱ》
【日時】2022.9.16.(土)14:00~
【会場】NHKホール
【管弦楽】NHK交響楽団
【指揮】ファビオ・ルイージ
【独奏】エヴァ・スタイナー(Ob.)デンマーク国立交響楽団首席オーボエ奏者
【曲目】
①R. シュトラウス/交響詩「ドン・ファン」作品20
②R. シュトラウス/オーボエ協奏曲 ニ長調
③R. シュトラウス/歌劇「ばらの騎士」組曲
【演奏の模様】
① 割愛
②R. シュトラウス/オーボエ協奏曲 ニ長調
①の時より楽器がかなり減りました。協奏曲シフトです。3→2管編成(Fl.が1減、Hr.が2減、その他の金管が無し、打もなし)弦楽五部
ただでさえ美しい響きを有したシュトラウスの曲に、さらに響きの美しいオーボエを主役とした曲があったとは!しかもプログラムノートによれば、或るオーボエ奏者の作曲依頼を一旦は断った後で思い直して作曲したそうでしから、”天は二物を与えたもう” ですね。「天分とチャンス」とを。このチャンスをシュトラウスが逃していたら、後世の人々は、宝の一つを失う処でした。
この名曲をエヴァ・スタイナーは、確実な技術で丁寧に演奏していました。でも決して派手な処や、はったりは無く、むしろ地味な位実直に吹いていた。概してOb奏者が良く見せる、冴え冴えとした高音は最初から見せず、最終楽章の後半まで取って置いたのでしょう、きっと。最後のカデンツァがとても冴えた演奏で圧巻でした。
オーケストラ演奏会に於ける独奏楽器は、従来だと、ピアノ、ヴァイオリンやチェロのケースが殆どだったと思いますが、最近は、管楽器のソロ演奏が増えて来たような気がします。先日もトロンボーンの独奏を聴いています。明日はトランペットかな?
③ 割愛