HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

ヴァイグレ指揮読売響/土曜マチネ演奏会

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【日時】2022.9.24.(土)14.00~

【会場】東京藝術劇場コンサートホール

【管弦楽】読売日本交響楽団

【指揮】セバスティアン・ヴァイグレ   

【独奏】パヴェル・コレスニコフ(Pavel Kolesnikov)ピアノ演奏             f:id:hukkats:20220924203916j:image  

〈Profile〉

 カナダのホーネンス国際コンクールで優勝。ロンドンを拠点とし、BBC響、バーミンガム市響、ロンドン・フィル、ロシア・ナショナル管、トロント響などと共演。ハイペリオン・レーベルからCDをリリースし、高い評価を得ている。2020年のウィーン芸術週間などで、ダンスのアンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケルとJ.S.バッハ「ゴルトベルク変奏曲」で共演し、大きな話題を呼んだ。

 

【曲目】

①グリンカ:歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲

 (曲について)

 このオペラは、1837年から1842年12月にかけて作曲された。

 原作はロシアの詩人アレクサンドル・プーシキンが1820年に最初の物語詩として著した『ルスラーンとリュドミーラ』。これを基にしてヴァレリアン・シルコフ、ネストル・クコリニク、作曲者グリンカら5名が共同で当作品のリブレット(台本)をロシア語にて作成した。当初の構想ではプーシキン自身に台本を執筆してもらうことになっていたが、決闘で受けた傷が原因で亡くなったことから叶わず、やむなく楽曲を先に書き上げ、作曲者グリンカを含む5名が共同して楽曲の旋律に当てはめるなどして後付けで台本を作成するという結果となった。

 本作では、設定場面としてフィンランドや悪魔の城などが用意されているほか、幻想的なバレエ・シーンも盛り込まれていることなどから、メルヘンオペラの一つに数えられている。

 初演は1842年12月9日(ロシア旧暦で11月27日)、サンクトペテルブルクのボリショイ・カーメンヌイ劇場(石の大劇場;現在はサンクトペテルブルク音楽院)に於いてカルル・アリブレヒトの指揮により行われた。

演奏時間は、全曲通しの場合、約3時間10分となっている。序曲のみ単独で演奏する場合、演奏時間は約5分。

 

②ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲 作品43

(曲について)

パガニーニ『24の奇想曲』第24曲の主題提示部分。この主題を用いて当楽曲を作曲した。
主題と24の変奏から成る。一般の変奏曲と異なり、第1変奏のあと、第2変奏の前に主題を置いている。

主題は、パガニーニのヴァイオリン曲『24の奇想曲』第24番「主題と変奏」の「主題」を用いている。すなわち、パガニーニと同じ主題を使って別の変奏を試みているのである。イ短調。

序奏:Allegro vivace イ短調 2/4
主題の部分の動機が3回繰り返される。
・第1変奏:Allegro vivace イ短調 2/4
オーケストラによって主題が間欠的に演奏される。主題:L'istesso tempo イ短調 2/4
ピアノが主題を間欠的に演奏する中、ヴァイオリンが主題を演奏する。第1変奏が主題を間欠的に演奏しているため、この主題が、あたかもこの第1変奏の変奏であるかのように聞こえる

・第2変奏:L'istesso tempo イ短調 2/4
ピアノとオーケストラが役割を交代する。後半になって変奏曲らしい装飾が十分に聞かれるようになる。
・第3変奏:L'istesso tempo イ短調 2/4
オーケストラが細かく動く中、ピアノがゆったりとオブリガードを演奏する。
・第4変奏:Più vivo イ短調 2/4
いくらか急にテンポを増す。動機を2つのパートが素早く掛け合いを行う。
・第5変奏:Tempo precedente イ短調 2/4
歯切れの良いリズムになる。
・第6変奏:L'istesso tempo イ短調 2/4
同一のテンポながら、オーケストラの動きが止まり、ピアノもひとフレーズごとに動きが緩やかになる。                  

・第7変奏:Meno mosso, a tempo  mederato イ短調 2/4
いよいよテンポが遅くなり、グレゴリオ聖歌の『レクイエム』の「怒りの日」のテーマをピアノが演奏する。ラフマニノフが生涯にわたってこだわり続けたこのテーマは、この曲にあっては前述のパガニーニの伝説に登場する悪魔を示していると言われる。
・第8変奏:Tempo I イ短調 2/4
最初のテンポに戻り、下から突き上げるようなリズムがあがってくる。
・第9変奏:L'istesso tempo イ短調 2/4
逆付点リズムのような3連符の鋭いリズムで「怒りの日」を変奏する。
・第10変奏:Poco marcato イ短調 4/4
「怒りの日」の変奏。クライマックスで3/4拍子と4/4拍子が交代する変拍子となる。静まって次の変奏を迎える。
・第11変奏:Moderato イ短調 3/4
ヴァイオリンとヴィオラが静かに同音を細かく反復する(トレモロ)中、ピアノが動機を幻想的に繰り返す。後半は拍子を失い、カデンツァ的に演奏される。そのピアノをハープのグリッサンドが飾る。
・第12変奏:Tempo di minuetto ニ短調 3/4
はじめてイ短調以外の調で奏される。「メヌエットのテンポ」とはいうもののあまりメヌエットらしさはない。後半のホルンのオブリガードが印象的。
・第13変奏:Allegro ニ短調 3/4
3拍子に変えられはするものの、主題がヴァイオリンなどにより比較的はっきりと現れる。
・第14変奏:L'istesso tempo ヘ長調 3/4
初めて長調が現れる。主題は鋭く角張って変奏される。
・第15変奏:Più vivo scherzando ヘ長調 3/4
前半はピアノだけで演奏される。ピアニスティック(ピアノ技巧的)な演奏が聞かれる。
・第16変奏:Allegretto 変ロ短調 2/4
一転して陰鬱に動機を繰り返す。
・第17変奏:Allegretto 変ロ短調 4/4(12/8)
ピアノが低音でもぞもぞと動く中、オーケストラが動機のあとの部分を繰り返す。

・第18変奏:Andante cantabile 変ニ長調 3/4
主題は別として、この曲の中で特に有名な部分である。しばしば単独で演奏される。パガニーニの主題の反行形(上下を反対にした形)[註 1]を、最初はピアノが独奏で演奏し、オーケストラが受け継ぐ。
・第19変奏:A tempo vivace イ短調 4/4
最初の調に戻り、夢が覚めたような印象を与える。ピアノがすばしこく上下へ動き回る。手の大きいラフマニノフならではの奇抜な演奏手法である。
・第20変奏:Un poco più vivo イ短調 4/4
ヴァイオリンがもぞもぞも動き回る中、ピアノが歯切れ良く鋭い音を出す。
・第21変奏:Un poco più vivo イ短調 4/4
ピアノが低音を蠢きながらときどきおどかすように高音に現れる。
・第22変奏:Un poco più vivo (Alla breve) イ短調 (4/4)
ピアノが重く鋭く和音を刻む。最後はピアノのカデンツァとなって、動機を繰り返す。
・第23変奏:L'istesso tempo イ短調 2/4
主題が明確に現れた後で、ピアノとオーケストラの掛け合いとなり、最後にはカデンツァ風となる。
・第24変奏:A tempo un poco meno mosso イ短調〜イ長調
ピアノが弱奏ですばやく動き回る。10度を超える難しい跳躍をスケルツァンド風に演奏する。金管楽器が「怒りの日」を短く奏した後、トゥッティ で盛り上がるが、最後はピアノが主題の断片を極めて弱く演奏して曲を閉じる。 

 

③リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」作品35

 (物語について)

 シェエラザードは千夜一夜物語』の登場人物で語り手。後にサーサーン朝ペルシャのシャフリヤール王(Shahryār)の王妃となるのだが、それ以前は毎夜、命がけで王に物語を語った語り部であった。なお、サーサーン朝は実在した国家、2人はこの物語上の架空人物。

シャフリアール 王(شهريارŠahriyār シャフリヤール、「王者」の意味)は彼の一番目の妻の不貞を発見した怒りから、処女と結婚しては翌朝には処刑していた。殺害が続いたとき、大臣の娘のシェヘラザードは王の愚行をやめさせるために、王との結婚を志願した。

   シェヘラザードは自ら王と一晩を共にした。シェヘラザードは王の閨に行くと、最愛の妹ドニアザード(ドゥンヤザード)への別れを告げたいと望んだ。二人はドニアザードがシェヘラザードに夜の間中話し続けるようせがむことを約束していた。王は横になってシェヘラザードの最初の話に聞き入っていた。だがシェヘラザードは夜明けが近づくと話をやめてしまった。王は話を最後までするように頼んだが、シェヘラザードは夜明けが来るのでと口をつぐんだ。そして、慎み深く、「明日お話しするお話は今宵のものより、もっと心躍りましょう」と言うのであった。

そして王は新しい話を望んでシェヘラザードを生かし続け、千と一夜の物語を語り終える頃には二人の間には子が産まれていた。王は自分とシェヘラザードの間に子供が出来たことを喜び、シェヘラザードを殺さないことと、彼女を正妻にすることを誓った。

 

(曲について)

ロシア五人組(バラキエフ、キュイ、ムソルグスキー、ボロディン)と呼ばれる作曲家集団の中でも色彩感あふれる巧みな管弦楽法で知られるリムスキー=コルサコフがこの物語を題材にして作曲したのがこの交響組曲「シェエラザード」です。

前年に『スペイン奇想曲』を作曲した44歳のリムスキー=コルサコフは円熟期を迎えており、本作品でもその手腕を遺憾なく発揮し豪華絢爛な音による絵巻物を描き出しています。次の四曲から構成されています。

第1曲:海とシンドバッドの船

第2曲:カランダール王子の物語

第3曲:若い王子と王女

第4曲:バグダッドの祭り。海。船は青銅の騎士のある岩で難破。終曲

 

【演奏の模様】

①楽器編成は、全曲演奏の場合は、Fl.2、Pic.Hr.4,Timp.Vn.1,Ob.2(E.Hr),
Trp.2 他Vn.2,Cl.2,Trb.3,Va.Fg.2, C.Fg.1 他 Vc.他Cb.その他Hp.Pf.

 序曲のみ単独で演奏する場合には、上記編成からPic.Hp.Pf.そしてティンパニ以外の打楽器を省いた楽器編成により行われるのが普通です。2管編成14型。5分程度

 冒頭から全楽全奏でヴァイグレも最初から張り切っている感じ。この曲はオペラ前奏曲ですがオペラは観たことが有りません。この曲は何処かで聴いたことが有り最初の旋律を聞いてあッ、あれかと記憶は知っていました。オケの全力疾走が競馬競争を見ている様。木管がCl.、Ob、.Fl.と次々にテーマを鳴らしますが、後二者の音が冴えない。

 低音弦の流麗な調べはとてもよく聞こえ、続く高音Vn.による繰り返しも力強いものでした。全体的にこの元気溢れる前奏曲からオペラのどんな一幕に移行するのか見てみたいものです。この曲をバックにバレエを踊るのでしょうか?めったに上演されないのでしょう。きっと。

 

②ラフマニノフ

楽器編成は管が①より幾つか減り、2管編成弦楽五部14型。

かなり前6月にはチケットを買っていた演奏会です。シェエラザードが聴きたかったので。従ってピアノ独奏者が代わったことは演奏会直前まで知りませんでした。来れなくなったピアニストも後任も知らない演奏者なので、別にそれ程期待はしていませんでした。

登壇したピアノ独奏者のコレスニコフはおっとりした学生の様な感じの中背の若者で、ピアノに向かって広げた手は結構大きく見えました。最初はポンポンポンと軽く鍵盤を押し、暫くはオケに対抗出来るのか懸念した位小さな音で弾いていました。それが第三変奏辺りからかかなり力を入れて速いパッセッジでピアノ強打し始めたのです。

七変奏の緩やかな旋律的な箇所はゆったりとオケに合わせていましたが、突然脱兎の如くスピードを上げテーマのこれは半音階ずらして作曲しているのでしょうか?非常に面白い近代的響き(この辺はロシア的では全くなくアメリカ風の響きですね)の第八変奏を相当の荒々しさで弾きその後も、次第に強奏場面を多く見せました。ゆっくりな箇所も結構あって、11変奏では、Vn.のトレモロに合わせ、12変奏ではCl.の調べに合わせ(後にHr.に)てスローに弾いていた。第18変奏はとても有名でキレイな素晴らしい旋律です。変奏というよりも変奏の花群に突然咲いた奇跡の大輪とも言えるかも知れません。色々な分野で利用されている曲ですね。ここは独奏者は体を少し揺すりながらオケともども優美なメロディに酔い痴れて演奏しているかの様でした。

 こうした様子で最終24変奏を弾き切ったコレニスコフは、ややはにかんでいる様にして、ヴァイグレの手引きで挨拶しました。

 それにしても第一変奏から二十四変奏までラフマニノフは、ヴァイオリン曲の一テーマをよくもこんなに沢山、ヴァライエティに富んで変奏させたものだと感心したり少し呆れたり。ピアニストの練習曲としても重要な曲でしょう。確かに聴いていて技巧がものすごい箇所も多く、面白く感じるかも知れませんが、ピアノ本来の持ち味を、情緒を十二分に出せる曲ではないと思います。袖と舞台を何回か行ききし、大きな拍手に挨拶したコレスニコフは、やおらピアノに座るとアンコール曲を弾き始めました。

ショパン『ワルツOp.19遺作』

別名では『ワルツイ短調KK.IVb-11遺作』との作品名で呼ばれる曲でした。

 とてもしっとりしたいい演奏でした。本演奏より良かったくらい。

 彼にはこうした曲が似合っているかも知れない。恐らく技術はあってもラフマニノフの2番コンチェルトの演奏は向いていないかも知れません。(聴いていないのであくまで推測に過ぎませんが) 

 

③交響組曲「シェエラザード」

 全4楽章編成。

冒頭、勇壮に演奏されるのは、凶悪な暴君「シャリアール王の主題」です。恐ろしい雰囲気を表現するように、重々しく続いて奏でられるハープの伴奏に乗った美しいヴァイオリンのソロは物語の語り手でもある「シェエラザードの主題」です。

 

第1楽章:海とシンドバッドの船

船乗りシンドバッドが七つの航海の中で不思議な体験をする冒険譚「船乗りシンドバッドの物語」がモチーフとなっています。

「シャリアール王の主題」は弦楽器が奏でる「海の主題」として現れ、ゆったりと大きくうねる波を見事に描写します。

楽曲は「シャリアール王の主題」「シェエラザードの主題」を織り交ぜながら展開されていきます。

木管楽器と弦楽器が細かい音型を刻む様は、海が荒れ、次々と波濤が押し寄せるかのようです。見事なまでの海の情景描写は海軍士官だったリムスキー=コルサコフの実体験からでしょうか。

 

第2楽章:カランダール王子の物語

冒頭、「シェエラザードの主題」をヴァイオリンソロが美しく奏でます。次の物語へ移る「昔々あるところに・・・」と言ったニュアンスの前口上の役割を果たしているのでしょうか。どこかもの悲しい雰囲気でファゴットのソロが奏でるのは「カランダール王子の主題」です。「カランダール王子の物語」の「カランダール」とは托鉢僧のことで王子の名前ではありません。「千夜一夜物語」の中で登場する3人のカランダール(托鉢僧)はいずれも元はとある国の王子で、三者三様の理由でまるで運命に翻弄されるように王子からカランダールとなった不思議な経緯が語られます。哀愁を帯びた「カランダール王子の主題」は旅を続けながら苦行を続けるカランダールの悲哀に満ちた歌なのかも知れません。

 

第3楽章:若い王子と王女

 ロマンティックで甘美な雰囲気に包まれた美しい主題が奏でられる中を、クラリネット、フルートが音階を鮮やかに駆け巡る印象的な楽句が挿入されます。「千夜一夜物語」の中には数多くの王子と王女が登場するので、どの物語がモチーフになっているのかはわかりません。中間部では小太鼓のリズムに乗った可愛らしい雰囲気の舞曲風の曲想に変わり、若い王子と王女が夢の中で仲良く踊っているかのような印象を受けます。楽曲は再び美しい抒情的な旋律に包まれ、「シェエラザードの主題」がヴァイオリンソロで奏でられた後、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲風のカデンツァに乗って冒頭の主題が優雅に奏でられます。この主題はドラマティックに展開した後、最後は木管楽器が「シェヘラザードの主題」の断片のような走句をリレーし、可愛らしく終曲します。

 

第4楽章:バグダッドの祭り。海。船は青銅の騎士のある岩で難破。終曲

 冒頭、緊張感のある「シャリアール王の主題」が奏でられた後、「シェエラザードの主題」がヴァイオリンソロで少し悲劇的な雰囲気も醸し出しながら奏でられます。

「シェエラザード」を描写するヴァイオリンソロは全曲を通して重要な役割をしています。

荒れ狂う海、波にのまれる船、タイトルから想起されるイメージ通りの絵巻物がいよいよ完結します。

 この物語は第2楽章のモチーフとなった3人のカランダールのお話の3番目に語られる物語として登場します。

つまり第2楽章の「カランダール王子の物語」とは、この3番目のカランダールのことを指しているのかも知れません。

カランダール(托鉢僧)がまだ王子だった頃、船旅の途中、嵐に逢い、青銅の騎士のある岩(島)に引き寄せられ難破します。

 王子は「島の頂上にある青銅の騎士を弓矢で撃てば、島は沈むが、銅の男を乗せた船が通りがかり、助けてくれるだろう。」との予言を聞き、その通りにします。しかしアラーの名を唱えてはならないと言う約束を破った王子は再び海に投げ出され、その後カランダール(托鉢僧)として不思議な苦難の旅を続けることになります。そして、そのカランダール(托鉢僧)がようやく辿り着いたのがバグダッドだったのです。
※ちなみに他の2人のカランダールも不思議な旅を経て、バグダッドに辿り着く物語になっています。

 楽曲は2度目のヴァイオリンソロの後、「バグダッドの祭り」が速いテンポで生き生きと描写されます。

祭りの音楽は徐々に高揚し、熱狂していきます。

第3楽章中間部で奏でられた愛らしい舞曲風の音楽が回想された後、音楽はいよいよクライマックスへと向かいます。嵐はどんどん強くなるように音楽は激しくなり、管楽器は常に細かい音符を刻み、シビアなタンギングを要求されます。そして凄まじい嵐の中、「シャリアール王の主題」が堂々と登場し、ついに船は難破してしまいます。嵐が過ぎ去り、静けさを取り戻した後、第1楽章の音楽が回想され、再び「シェエラザードの主題」が美しく奏でられます。楽曲はヴァイオリンソロの美しい響きを余韻に残しながら静かに終曲します。

 上記の様に、作曲は、物語があってその筋道を頭に浮かべながら行われたので、出来た音楽は、全体としてストーリ性が強く部分部分の曲はかなり明確な標題性を有していることを強く感じる曲でした。

 各楽章で特に目に付いたのは、コンマスのヴァイオリンソロ演奏。第一楽章前半の木管群の細い旋律の後のコンマスソロは高音で良く伸びる奇麗な音なのですが、少し金属臭を感じました。むしろ低音域の音色の方が良かった。此の感じは、第二楽章の金管群のファンファーレ的な大きな音を出す直前のコンマスの低音ソロでも同じで、三楽章前半の重音で低い音を出していたところも同様です。最終部で第一楽章のテーマに戻ってソロ演奏した時も同じ感じ、この時最高音が僅かに下がって弾いていませんでしたか。最後高音をかなり長く伸ばしていましたが、生き生きとした響きは感じませんでした。

 第二楽章冒頭のVn.アンサンブルの優雅な調べはとても綺麗でした。先日の都響の1Vn.アンサンブルも揃っていて、一体感が強くとても魅力的に思われました。一般的にどこのオケでもVn.部門は皆さん特にいい腕前だとは思うのですが、アンサンブルとしては差が付く所以で、曲全体の出来不出来に大きく関係すると思います。   又低音弦群、就中Vc.のアンサンブルは良くズッシリ感が出ていました。特に第二楽章のCb.は特に全弦楽アンサンブルの時、ボンボンと全体の重し役を十分果たしていたと思います。

管に関してはFl.は最初それ程冴える音ではないなと思いましたが、後半になってからの出番が続くたびによく鳴って来たと思います。Ob.もそれ程派手な音は出していませんがまずまずだったと思います。第二楽章でのFg.の演奏は地味な音ですが落ち着いたいい演奏でした。それにしてもTub.が入るとバリバリと全楽器全奏の中でも迫力満点ですね。最終楽章でTub.のテーマ演奏など聴きごたえが有りました。逆に打楽器はシンバル、大太鼓、Timp.の大音とは対照的にTri.が小さくともチリンチリンと独特の高音でよく徹る音が目立ちました。いいですね。特に二楽章前半などで。

この曲は普通の交響曲とは違って盛り上がっての終曲でなく、静かにソロ楽器の音で消え去る様にポツンと終わります。嵐の後の静けさに戻る訳でしょう。如何にも詩的終焉。

 この曲は好きな曲で、これを今日は主に目当てで聴きに来たと言っても良い位です。でも前半のピアノソリストのショパンは意外な収穫でした。コレスニコフという人、リサイタルでも開いてショパン中心に演奏して呉れないかな?そしたら聴きに行きたいと思いますが。