HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

「ドレフュス事件」の映画鑑賞

この映画のタイトルは『オフィサー・アンド・スパイ』(原題:J'accuse)です。

 世界史上「ドレフュス事件」として有名な19世紀フランスのスパイ事件に関するもので、ほぼ史実に基づく内容です。

【上映館】横浜kinoみなとみらい館

【上映期間】2022.6/3~6/ ?

【鑑賞日時】2022.6.8.(水)18:00~

【監督】ロマン・ポランスキー
【脚本】ロバート・ハリス/ポランスキー
【原作】ロバート・ハリス『An Officer and a Spy』
【製作】
イーラン・ゴールドマン(フランス語版)
【主な出演者】
ジャン・デュジャルダン
ルイ・ガレル
エマニュエル・セニエ
グレゴリー・ガドゥボワ
【音楽】
アレクサンドル・デスプラ
【撮影】
パヴェル・エデルマン
【編集】
エルヴェ・ド・リューズ

【受賞】第76回ベネチア映画祭 審査員大賞 他

【概要】

 2019年のフランス・イタリアの歴史映画。 監督はロマン・ポランスキー、出演はジャン・デュジャルダンとルイ・ガレルなど。 19世紀末にフランスで起きた冤罪事件ドレフュス事件を基にしたロバート・ハリスの2013年の小説『An Officer and a Spy』を原作としている。

 ドレフュス事件の際、軍の中で対敵情報活動を指揮するジョルジュ・ピカール大佐が、様々な障壁に抗いながら真実を追い求める姿を描く。

 

【感想】

『戦場のピアニスト』でオスカー・監督賞を取ったロマン・ポランスキーが指揮を執り、『アーティスト』で、主演男優賞を取ったジャン・デュジャルダンが主役ピカール大佐役を演じる組合せ、さすが迫真の物語展開です。上層部(将軍、大臣)やスパイ行為をしていながら、他人に罪をきせる軍内部の将校たちや悪人達のもみ消し行為の圧力に抗いながら、ドレフィス事件が冤罪だという真実を証明するため、出来ることに全力を尽くす諜報機関の責任者ピカール大佐、結局は、世論の支えが得られて、冤罪を覆すのです。その切っ掛けとなったのは文学者ゾラを訴追した裁判におけるピカール大佐と軍幹部の証言でした。

ドレヒュス事件

 軍の組織を守るためにと言ってピカールに圧力を掛ける人々は、結局は、自分の利益だけのために悪事に手を染め、最後は、ばれてしまい破綻するパターンです。これは古今東西変わりありませんね。フェイクニュースが重大問題になっている今日、真実(ここでは実際起きた事実の意味)を第一にする人々もいるということは「天網恢々として漏らさず」です。天も捨てたものでないと思いました。我々小さいころから ”嘘つきは泥棒の始まり”と教えられ生きてきた者が推測するに、嘘をつく人の根本には、こころの弱さがあると思うのです。真実を話した後の自分にもたらさせられる不利益が怖い、恥ずかしいと思う弱さが。それが続くと、嘘が自然と口から出る様になり、本物の嘘つきに成長してしまう。「嘘も方便」という言葉も有りますが、これは本当のことを言った結果のいざこざを避けたいという逃げの姿勢でしょう。真実を表明できない自分の弱さがあるのです。勿論こうした例に当てはまらない場合もあるでしょう。例えば、口約束が、自分の意に反してどうしても果たせない場合など。こうした時は、出来るだけ速やかに詫びを入れることです。そのままにし、その類いが何回もあると、”あの人は、嘘つき” ということになってしまう。またフェイクを聞いて言葉通りに受け止めてしまい、本当のことと思って、ネットなどで広めてしまう事も見かけます。真実かフェイクか良く見極める目を持つことが重要。それには、出来るだけ多くの情報を求め、正しく理解する洞察力を養うことです。今回の映画に限らず、権力によりフェイクを真実にみせかける丁々発止のスパイ大作戦は、世界中の国家権力により行われているのかも知れません。最悪の例としては、嘘を、間違ったことを、本当のことだと思い込んでしまう場合です。思い込みはなかなか正すのが難かしい。明らかに誰の目にも本当でないという証拠を示しても、逆にフェイクだろうと反駁されてしまいます。思い込みがひどい場合は、病的なものとして、治療が必要になるケースもあるでしょう。何れにせよ、今日の映画は、嘘が蔓延している現今の世界を考え直して見る切っ掛けとなるかも知れません。