HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

『 MUZAジルベスタ・コンサート2021』

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【日 時】2021年12月31日(大晦日・金) 15:00~

【管弦楽】東京交響楽団

【指 揮】秋山和慶

【出 演】牛田智大(Pf)吉村妃鞠(Vn)
                  佐藤晴真(Vc)
【曲 目】

①ショパン『ポロネーズ第6番 変イ長調』(牛田)
②ショパン『アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 作品22(管弦楽版)(牛田)
③チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35(吉村)
④ドヴォルザーク『チェロ協奏曲 ロ短調 作品10 (佐藤)

 

【出演者略歴】

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【演奏の模様】

 牛田さんは、今年のショパンコンクールに挑戦しましたが、残念ながらファイナルまで残れませんでした。報道によれば、本人はミスがあったことに言及したそうですが、最初のステージからオヤ?と気になったことは、YAMAHAピアノを使っていたことです。随分勇気あるなと思いながら見ていました。勿論コンクール出場者は複数のピアノから自分の弾きやすい機種を選ぶことが出来る訳でしょうが、多くの挑戦者はSTEINWAYを使っていました。コンクールの審査員もほとんどはショパンコンクール経験者が多いのでしょうけれど、YAMAHAを使って弾いた審査員は果たしてどれだけいたのでしょう?明らかにスタンウェイとヤマハでは響きが違いますし、同じ曲を同じ様に弾いても印象はかなり異なって来るでしょう。ホントに国産ピアノで大丈夫なのかな?若し入賞したら日本人ピアニストだけでなくMAID IN JAPAN機種の画期的成果となるだろうと思っていました(過去にはYAMAHAで優勝した外国人も出ましたが)。でも結果はやはりいいものでは有りませんでした。というか期待していたよりもかなり悪い結果でした。勝負事は時の運もあるでしょうから、一概にあれこれ言うことは意味が無いかも知れません。でも残念という思いはファンの自分にも今でも残ります。

 牛田さんは。世界的にも評価が高い「浜松国際ピアノコンクール」で二位を獲得し。十分その後の演奏活動をする自信はついたと思います。しかし彼はそこで立ち止まらず、更なる高みを目指してショパンコンクールに一次試験免除で書類審査のみで、エントリーしたのでした。その挑戦心には脱帽です。高く評価したい。世界的コンクールに入賞すると、他のコンクールに出るのはリスクが高いので、避ける気持ちが働いても仕方ありません。出ないピアニストもいます。でも『人生いつでもどこでも挑戦』のスポーツマンシップに繋がる精神は、音楽でも貴重なことだと思います。牛田さん、まだ20歳前半なのだからもう一回挑戦できる筈です。フレー!フレー!うしだ!

 さて演奏の様子は、①『英雄ポロネーズ』は僅かに気になるところを除けばほとんど完璧。十分立派な英雄像が浮かび上がる演奏でした。

 次の②『~華麗大ポロネーズ』も強弱・伸縮自在に充分表情豊かな素晴らしい演奏でしたが、もう少し迫力が欲しい気がしました。この曲はこの10月にキーシンが弾いたのを聴きました。その時の感触が残っているのですけれど、綺麗な真珠を転がす様な感覚と共に、兎に角すごい風圧を座席まで感じました。迫力が違います。ここでふと思い出したのが反田さんがテレビで語っていたこと。コンクールに向けて、筋トレと食事で筋肉をつけ、その後脂肪質を増やしたと言っていました。要するに体力、筋力改造です。牛田さんの姿・形を拝見するとやや華奢な感じを受けます。勿論鍵盤を弾く手の指は比較的大きめに見えますし、打鍵も十分強いものと推測します。しかし聴衆に伝わる旋律の強さはもっともっと体全体から腕→手→指と伝達し、さらには音波で伝播するのですから、体幹は重要です。オピッツの演奏はがっしりした体格から太い指にエネルギーが行き渡っている感じがしましたし、映像で見るグールドは一見背が低く華奢の様ですが骨太だと思いました。まーこんな取り留めない妄想を抱きながら聴いていた訳です。

 ここでもう一つ特記しておきたいのは、秋山さんの指揮です。独奏者のことを十分把握して、演奏し易い様に管弦演奏を制御していたことです。さすが指揮の大家だと思いました。これは次のヴァイオリンコンチェルトの時もそうでした。

③ヴァイオリン協奏曲演奏、吉村さんの弾くこの曲を聴くのは二回目です。今年の夏にテアトロ・ジュリオ・ショウワでの演奏を聴きました。参考までその時の記録を文末に再掲(抜粋)Ⅰしておきます。

 今日の演奏はその時と較べて、ほぼ同じ感想でした。それはそうですね。3~4ヶ月で変わりよう有りませんね、普通。今回の演奏会のチラシにもある様に、❝ライジング・スターたち❞ですからこれからどこまで伸びるか非常に楽しみで期待大です。

③ドボルザーク・Vcコンチェルト

 佐藤さんの演奏は、これまで何回か聴いています。今回と同じ曲の演奏は昨年夏にも聴いており、参考までその時の記録を文末に再掲(抜粋)Ⅱして置きました。

 今回特に思ったことは、佐藤さんの発露する珠玉の音は、マイスキーや堤さんの音質とも異なる、どちらかと言えば渋い(暗い)のですが、チェロの曲にはうってつけ、テクニックも確実だし、バッハなんか弾いたら素晴らしいものかも知れません。      この曲は独奏楽器と管弦楽の対話的やり取りが多い曲で、様々な楽器がソロ的にも重奏的にも活躍するのですが、特にFt管の鳴りが目だって良かったし勿論(大抵の場合)Obの響きは極上、Fgも地味だけれどVc(ソロ)を下支えしていました。後半はコンマスのソロ的伴奏も大活躍、弦楽器は、秋山さんの手にかかると魔法の様に素晴らしく揃ったうねりのアンサンブルとなり、この曲のダイナミックで親しみのある旋律を浮かび上がらせていた。秋山さんは②~③の時と違って、オケを本格的に積極的に引っ張ていました。そして本気の必死のVc独奏と相まって、素晴らしい音空間を醸し出していた演奏でした。大きな拍手が待っていて、3人揃って独奏者が登場すると、更なる大きな拍手が満員(売り切れ御礼、当日券無し)のホールを埋め尽くしました。音楽愛好者への今年最後の大きな贈り物と言っていいでしょう。

(追記)今紅白を見ながら書いていたのですが、新しい人たちの歌は皆同じ様に聴こえます。石川さゆりは今歌っていますが、音楽としての感性がいい。ロック歌手で歌が上手いと思う人もいました。前半の方でショパンコンクールに出た住野隼人さんが伴奏していましたが、紅白の歌手の伴奏ではかわいそう。きちんと音楽番組でピアノ演奏するのを聴いてみたい(生演奏会はこれまでチケットが中々取れませんでした。人気者なのですね。)。テレビ露出度が高いのは、反田さんと小林さんばかり。ショパンコンクールの参加者の報告発表演奏会でもやってくれないかな。

 

 

//////////////hukkats記録再掲(抜粋)Ⅰ////////////////////////////////////////////////////////////////

出張サマー・ミューザ・コンサートⅡ

編集

『神奈フィル All Tchaikovsky 演奏会』 

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 今日の演奏会は、神奈フィルがチャイコフスキーの代表的バレエ音楽を選んでひき、また小学生の吉村さんという子が、何とチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を弾くというオールチャイコフスキープログラムに惹かれて聴きに行きました。会場は、新百合ヶ丘の音楽大学付属大ホール、フェスタサマーミューザの出張扱いです。休日の夕方ということもあって、ミューザ本拠地の繁華街川崎駅周辺よりは、人出は圧倒的に少ない場末駅なので、コロナ感染のリスクは少ない筈とみました。自分としてはワクチン接種済みなので、人からうつされる確率は低いとしても、ウィルスのキャリアとして、他人にコロナ菌を振りまく可能性は無いわけではないので(即ち街で感染者がたまたま近くにいて、菌を振り撒かれ自分の身に付いたまま運び歩き、さらにその菌を他人にバラ撒いてしまう可能性)、感染リスクの高い新規感染者増が大きい処は避けたいのです(本当は、家に巣篭もり生活が出来ればいいのでしょうが、そうとばかりはいきません)。

 今日の会場はオペラも出来る大ホールですけれど5~6割の入りでしょうか。多分緊急事態宣言で上限の全席数の1/2程度のチケット販売だったのでしょう。結構密な座席の処と、ガラガラの粗の処があります。以前だったら、座席の振替表をロビーに張り出して市松模様の座席に変えていたと思うのですが、最近は面倒くさくなったのかそれもやっていませんね。音楽ホールでクラスターがこれまで出ていないと言う人もいますが、PCR検査で陽性になった人の半数以上は感染経路不明である現在、不明者の日時行動を膨大ではありますがデータを取って、ビッグ統計解析すれば、共通項があぶり出される可能性があります。科学的解析がなされないままでは、感染経路不明者が増える一方ですよ。だって考えてみれば、明らかです。あの狭いきつきつのホールに隣り合わせでびっしり長時間座っていて聴いていて、若し感染者がまぎれていたら(その可能性は大です)、飛沫を飛ばしたり、其れを吸ったりするリスクは高い、入口の体温測定では、無症状の感染者は引っかかりません。マスクをしていても、感染者が近くにいてクラスターが発生した例は多くあります。

 これまで自分がコロナにかからなかったのは、運が良かっただけ。少なくともキャリアにはなりたくないですね。昨日アイーダを見た東劇では、市松模様で座席を売っていました。それでも三分の一も観客は入っていませんでしたが。

【日時】2021年8月8日(日) 17:00~

【会場】テアトロ・ジーリオ・ショウワ
【管弦楽】神奈川フィルハーモニー管弦楽団
【指揮】渡邊一正

【独奏】吉村妃鞠 * Violin

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【プロフィール】

2011年生まれ、9歳。2歳半の頃からヴァイオリンを始め、第12回グリュミオー国際コンクール第1位及び特別グランプリ(ベルギー)、第26回ポスタッキーニ国際コンクール第1位及び特別賞(イタリア)、第20回シェルクンチク国際コンクール第1位(ロシア)、第2回コーガン国際コンクール第1位(ベルギー)等、国内外39のコンクールで全て1位。レーピンやヴェンゲーロフらを輩出させた世界的指導者ザハール・ブロン氏は「並外れた才能と信じられないほど高い技術はもちろん、彼女は様々な音色を表情豊かに演奏し、聴衆全てに感動を与えた」と評した。ザルツブルク音楽祭の他、ロシア、スイス、オーストリア、イタリア、ベルギー、ウクライナのコンサートに出演。これまで小林研一郎指揮東京交響楽団、スピヴァコフ指揮ロシア・ナショナル管、モスクワフィル、キエフ国立フィルと共演。2021年は新日本フィル、東フィル、仙台フィル、日本センチュリー響、山響、九響と共演予定。原田幸一郎、小栗まち絵、ザハール・ブロン、植村理葉の各氏に師事。慶應義塾幼稚舎3年生。使用楽器は宗次コレクションより貸与。

【曲目】
《オール・チャイコフスキー・プログラム》
①歌劇「エフゲニー・オネーギン」から ポロネーズ
②ヴァイオリン協奏曲 *
③バレエ音楽「白鳥の湖」から 序奏、ワルツ、4羽の白鳥、チャールダーシュ(ハンガリーの踊り)
④バレエ音楽「眠りの森の美女」から パノラマ、アダージョ
⑤バレエ音楽「くるみ割り人形」から 花のワルツ、パ・ド・ドゥ、タランテラ、金平糖の踊り、コーダ、フィナーレ、アポテオーズ

【演奏の模様】

②ヴァイオリン協奏曲

この音、この演奏が若干小学3年生位の低学年の子どもが繰り出しているとは、驚異的でした。後半は少し疲れたのか若干演奏が弱くなった箇所も散見されましたが、兎にも角にも全楽章を弾きこなした力量には、脱帽です。随分頑張り屋さんなのですね。生まれつきの天分が備わっているのですから、もっともっと美味しいものを沢山食べて体力を付けて、さらに体も気持ちも希望も大きくなって、もちろん腕はどんどんのばして、世界に羽ばたくヴァイオリニストになって下さい。          

    神奈フィルの演奏は、ソリストに寄り添った思いやりが伝わって来る演奏でした。ソリストに引っ張り回されてくたくたになるオーケストラ演奏の場合も往々にしてあり見ていて面白いのですが、今回はそれとは真逆でした。大変良いアンサンブルでした。ただ一つ気になったのは、管弦楽それぞれのアンサンブルは、中等以下の音量の場合は良く鳴っているのですが、大音量でフル稼働する管弦の大咆哮の時の各パートの融合がいまいちかなと思いました。要するに響きが良くなかった。

////////////////hukkats記録再掲(抜粋)Ⅱ//////////////////////////////////////////////////////////////////////////

『8/22読響サマーフェスティバル≪三大協奏曲≫@サントリーホール』

編集

 今日のこの演奏会は、本来カミーユ・トマ(チェロ)とアルセーニ・タラセヴィチ=ニコラーエフ(ピアノ)が出演予定だったものが、、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴う出入国制限のため来日できなくなり、代わりに佐藤晴真(チェロ)、辻井伸行(ピアノ)が出演することになったのです(ピアノの戸澤采紀は予定通り)。今日(2020.8.22.14時~)サントリーホールで聴いて来ました。

 読響の演奏活動も御多分に漏れずコロナの影響を受け、中止となった演奏会が多い様です。特に海外指揮者や演奏家招聘の場合が全滅ですね。それでも読響は7月下旬に『サマーフェスタミューザ』に参加演奏したり、今回はサントリーホールのサマーフェスティバル(2020.8/22~8/30)に参加し、8/19には大成建設の協賛を受けたフェスティバルとしてSchubert. Beethoven. Dvořák の代表的なSymphony を演奏したり(都合が付かず聴けませんでした)、そして今回、ヴァイオリン、チェロ、ピアノの代表的な協奏曲を若手ソリストを揃えて演奏するという意欲的な企画だったので、是非聴きたいと思い出掛けたのでした。
 演奏者と演奏曲目は以下の通りです。

【演奏者】
読売日本交響楽団(指揮=太田弦)
ヴァイオリン=戸澤采紀
チェロ=佐藤晴真
ピアノ=辻井伸行

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【曲目】
①メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64
②ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 作品104
③チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 作品23

【オケ構成】
2管編成、弦楽5部は8型
(演奏曲により、管など若干の変更有)

【演奏の模様】

②チェロの独奏曲は、これまで聴く機会が非常に少なく、バッハのチェロ全集の録音他を持っているのですが、優先順が後回しになってしまって、めったに聴きませんでした。ドボルザークのこの有名な曲も録音で聴いた記憶がありますが、ほとんど忘れていました。部分的にもよく覚えていません、冒頭の部分を除いて。勿論佐藤晴真さんの演奏は今回初めて聴きました。
 佐藤さんは、国際チェロコンクール他で輝かしい成績を収めているのですね。ドイツの大学で研鑽中とのことですから、そのスケールの大きさに期待できます。
 演奏前に若干の金管(トロンボーン3、ホルン2、テューバ1)とパーカッション(トライアングル)1が追加されました。


第1楽章(Alleglo)
 冒頭の有名な主題が、クラリネットの誘いからチューバへと展開弦楽も参加してオケの大合奏に発展、①のメンデルスゾーンの演奏では無かった、オケの響きがホールを満たします。ホルンの音の何と良いことよ、朗々と。指揮者は、①でも同様でしたが、比較的大人しく構えています。さする間に、チェロが奏で始めます。かなり渋い音、しかし重みを感じます。
フルートとの掛け合いも高音と低音の妙がある。この楽章最後までオケのアンサンブルは、堂々とホール一杯にひびきます。チェロも尻上がりに音が研ぎ澄まされ、最後のテーマを弾ききりました。

第2楽章(Adagio ma non troppo)
 クラリネットにオーボエが続き、ファゴットも加わわりました。チェロとクラリネットの掛け合いも切々としていて、いい仕事をしていますね。フルートととの掛けもしかり、木管の活躍ぶりが目立ちます。もちろんそこにはチェロの存在が大きいのですが。チェロは益々登り調子なのか、1楽章より良い。チェロとの掛け合いのオーボエの音も素敵でした。勿論弦楽5部も頑張っています。楽章の最終部、ティンパニーが太鼓にそっと触れる程度の微音に伴なわれたチェロの演奏、重音演奏、あたかもヴァイオリンの如き高音の響き、どれもが素晴らしかった。
アタッカ的にすぐに次章に移行です。
   
第3楽章(Allegro moderato)
 ここでの第一主題も有名ですね。軽快な民族音楽的舞踊音楽が躍動します。指揮者は随分姿勢が良いですね。背筋をピンと伸ばして、手を振っている。チェロも弦楽も力を強く振り絞っています。リズムと音程を取り替え引き換えチェロは変奏を繰り返し、オケがそれにあわせます。この辺りにドヴォルザークの天才性が垣間見られると思いました。
 この演奏はかなりの出来と見られます。演奏後の大きな拍手がそれを物語っています。チェロ独奏者のみならず、読響のメンバーに対する絶大なる(歓声にかわる)拍手が長く続きました。