HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

金属弦アイリッシュハープ&ギター・デュオコンサート

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  今日はとてもとても珍しいコンサートを聴いて来ました。 

 金属弦が張られた古様式のアイリッシュハープとクラシックギターによるデュオコンサートです。横浜の洋館、大倉山記念館ホールで開催されました。

〈アイリッシュハープとは?〉
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 この楽器は1000年も前からアイルランドで演奏され、国の紋章にもなりました。

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アイルランド王国紋章

 その響きは「妖精の鐘の音色」と形容されています。    

 19世紀末にはいったん伝統が途絶え、幻の楽器となりましたが、1980年代以降、アン・ヘイマンやビル・テイラー、シボーン・アームストロングらによって復興運動が展開され現代に蘇りました。プログラムは次の通り。

【日時】2021年7月6日(火) 19:30~

【会場】大倉山記念館ホール

【出演】ハープ:寺本圭佑、ギター:山口亮志

【略歴】

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【楽器】金属弦アイリッシュハープ、クラシックギター

尚、寺本さんは自ら上記ハープを製作したそうです。

【曲目】 以下の全13曲でした。

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 アイルランド語で「希望」を意味する「ドーハス」をはじめとするケルトの伝統音楽の他、古代ギリシャの譜面からとられた「ネメシス讃歌」、グリーンスリーヴス、スカボローフェアといった馴染み深い曲も演奏されました。曲目は次の13曲です。

 デュオの他にソロ演奏もありました()

【演奏会場案内】

 今回の会場である「大倉山記念館ホール」は東急東横線大倉山駅から徒歩10分程の山の上の古い会館の中にあります。

 駅を降りると線路沿いのだらだら坂が有り

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そこを登って行くと大倉山公園があります。

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大倉山公園入口

更に上ると階段が見えて来てそこが記念館の登り口でした。 横浜市の有形文化財になっているのですね。 

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 階段を登りきると、記念館が見えてきます。

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大倉山記念館正面

 会館までのアクセス道路に、会館を記念する銘板が埋め込まれていました。

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記念銘板

 ギリシャ・ミケーネ文明の様式に東洋式も交えた建築で、昭和9年に建てられた旨が書いてありました。 

 エントランスの石段を登って建物の中に入るとすぐに木造らしき急な階段がまっすぐ上に伸びていて、階上の突き当りがホールになっていました。

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この方式は欧州の音楽ホールでも見かけます。パリオペラ座は階段が螺旋的方式ですが。階下には図書館までありました。毎月新蔵書を購入している様です。

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 【演奏の模様】

 今日の演奏会は、非日常性の色彩の強い異色の経験でした。いつも聞く楽器の音(又は歌)は、大きくて強度も強く、我々の音感はそれに慣れきっていて、少しでもピアノやヴァイオリンや金管楽器の音、もしくは歌声が小さかったりすると、❝全然聴こえなかった❞等と不満げに思う習慣が付いてしまっています。時にはオーケストラの轟音の中に晒され、ストレスを発散したとばかり ❝あ~良かった。スッキリした❞などと宣う。いつも音楽はこうしたものと疑いもなく音楽会に足を運んでいました(少なくとも私等は)。
 ところが、今日の演奏が始まり数十秒聴いただけで、これは違う、この様な音の世界があったのだと、はっとさせられ、上記の日常性の異常さみたいのを感じてしまったのです。                                 先ず驚いた事には、金属弦と言えども金属特有の振動音でなく、全然金属っぽくないのです。オルゴールとも異なる例え様のない実に柔らかい音を立てています。しかもその音は心静かに聞かないと聞き分けられない程の小さくて微妙な調べです。聴衆も少ないせいか(20人もいたかどうか?)、会場は深い静寂の中で、僅かに鳴り響くハープの調べと、本当にささやかに影の様に寄り添うクラシック・ギターの伴奏を耳で拾う様に聴いている。ハープ奏者は少し首を下方にかしげて小さなハープを膝の上に乗せ、指先をつまびらかに僅かに動かして音を立てている。ギター奏者は自分の音を信じているが如き表情で器用にハープに合わせたさらに小さな音を出している。あーそうか、こういう世界があったのか!と異空間に迷い込んだ様で、一種感動の気持ちになりました。

 

 前半六曲、休憩を挟んで後半七曲が演奏されました。16世紀から18世紀頃に演奏されていたアイルランドのハープ古楽を中心に、スコットランド、英国の曲、そして又ギリシャの古い賛歌、クレタやデルフィ神殿の賛歌、それからアイルランド化したポーランドのマズルカまで種々多様な曲が演奏されました。

 前半の最後の曲は、ギターのソロでした。かなりの腕前とお見受けしました。略歴を拝見すると、イスラエルで生まれ幼少期よりギリシャ、メキシコ、日本、エルサルバドル、米国などの各国で暮らしマイアミ大の音楽院でMaster of Music の資格を取ったという国際人なので、ハーフなのかなと思ったのですが、演奏している表情は純粋な日本人の中年男性の顔でした。                                次の『Feaghan Geleash,Cumha an de-bhean si, Fairy Queen 』三曲はハープのソロでした。 

 全体を通して、ギターも加って演奏された次の曲『Planxty Irwin』と『Fany Power』が、素朴な明るい感じの曲で一番気に入りました。この分野ではかなり有名な曲の様です。この曲はアイルランドの18世紀の盲目のハープ奏者、カロランの作曲で、彼は18歳の頃天然痘で失明したそうです。もともと舞曲がも基となっている様で、軽やかなメロディーは口ずさみたくなるいい曲でした。