HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

『ダニエル・バレンボイム第1夜/ベートーヴェン最初のソナタ』ピアノリサイタル

今晩(6/3)のピアノリサイタルは、前代未聞のものでした。何とバレンボイムは、予定の曲を一つも演奏しなかったのです。予定演奏曲は、以下の【曲目】の通り、ソナタ1番から4番までの最初のソナタ達だったのです。これは、次のチラシでも大きく謳っている、今回の目玉だったのでした。f:id:hukkats:20210603215618j:image

それが、バレンボイムが登壇しやおら弾き始めたのが、何と30番のソナタだったのです。

 最初耳を疑いました。当然1番だと思っていましたから、頭にある曲とは、異なるメロディが聞こえてきます。自分がどうかしてしまったかと、しばし頭が混乱してしまった。良く聞くと、これは、明日聴きに来る予定の最後から三番目の大曲ではないですか。暫く呆然と曲が頭を素通りする感じで聴いていました。そうしているうちに、バレンボイムの演奏に引き込まれ、その演奏が終わると、拍手をしてしまっている自分がありました。会場からも大きな拍手が沸いている。隣の若いカップルも違う曲だと話しています。彼らと少し話したのは、アンコールとして、30番を最後でなく、最初の疲れていないうちに弾いたのではなかろうか?ということでした。その男性は、「そうでなければぼけたかな?」と言っていた。まさかそんなことは無いでしよう。次から1番を弾くのでしょう。と再登場したバレンボイムに、期待も込めて、大きく拍手しました。ところが、ところがです。

弾き始めた曲は、またまた重そうな如何にも大曲といったものでした。これは、最後から2番目のソナタ31番だと分かった時には、少なからずショックを受けました。予定されていた今日のプログラムは、一体どうなっちゃたの?頭は益々混乱するばかり。そうしているうちに31番の曲も終わってしまい、バレンボイムは、素知らぬ顔で、四方八方に頭を下げ、拍手に手を挙げて応えていました。そして、休憩。急ぎ入口付近の事務局に行って、ことの子細を訊いたのですが、係員も何が何だか分からない様子。後でアナウンスしますとのことでした。急ぎトイレに入り席に戻ったら暫くして「休憩後は、32番のソナタを弾きます。その後でマイストロから説明があります。」との館内放送がありました。

 そして、ベートーヴェンの最後のソナア32番が、演奏されました。一番の大曲です。もう心から聴くという精神状態では、ありませんでした。休憩中に廊下で「これでは、昨日と同じ曲だ。二回も同じ曲ではどうしょうもない」と言っている人もいます。31番が終わった後で、隣席の人は、「明日のチケットを買っているのに、また同じ曲かぁ。」というので、実は自分も明日のチケットは買っているので、「同じ曲を聴きたくない場合は、きっと払い戻ししますよ。」となだめ気味にいったもののそれは、かなり困難でしょう。演奏後、マイクを握ったバレンボイムは、「ついさっきまで、1番~4番をやる予定とは、思っていなかった。休憩中に知った。大変申し訳ない」といった趣旨のことを話しました。

それでも客は帰らず、拍手が続いているので、若しかしたら、アンコールに、1番から4番のどれかを弾くのかな?と少し期待が出たのですが、結局アンコールは無し、そのまま終演となったのでした。本当に、どれだけ申し訳ないと思ったのでしょう?今日は、ホールに行くと、小学生の親子連れや中学生や高校生と覚しき人達もかなり見かけました。

きっとピアノの学徒達で1番などの最初のソナタを学んだ事があり、世界的な大家の弾く最初のソナタ達を聴いてみたいと思ってやって来たのでしょう。最後のソナタ達は確かに素晴らしいものですが、低学年の生徒達にどれだけ届いかは、分かりません。むしろ期待していた曲が演奏されなかったというショックが大きいと思う。教育的観点からも大いに問題あるコンサートでした。そういう自分も一番から四番は、かなりの期待と関心を持って聴きに行ったので、残念でした。明日の最後のソナタ達は、今のところ仕切り直しして聴きに行こうと思っています。

 

【曲 目】

ベートーヴェン(1770-1827)作曲

 ①『ピアノソナタ 1 番  ヘ短調Op.2-1』 (1794)

 

 ② 『ピアノソナタ 2 番 イ 長調Op.2-2』(1795)

         

 ③『ピアノソナタ 3  番    ハ長調Op.2-3 』(1795)

 

 ④『ピアノソナタ 4 番     ホ 短調Op.7』   (1797)