今日ニ、三日分のメールを纏めて見ていたのですが、その中にバレーの無料ライヴ配信をするというものが目に入りました。新国立劇場からのメールで『コッペリア」とのことでした。緊急事態宣言のあおりを受け、観客公演が出来なくなった代わりに5/2~5/8まで4回の無観客公演を配信するとのこと。初日は今日14:00からになっていました。その他の用事を急いで済ませ、2時ちょっと前にパソコンの前に座りました。 公演の概要は次の通りです。
【公演】新国立劇場バレエ団
【芸術監督】吉田都
【会場】NNTTオペラパレス
【振付】ローラン・プティ
【音楽】レオ・ドリーブ
【芸術アドヴァイザー/ステージング】ルイジ・ボニーノ
【美術・衣裳】エツィオ・フリジェーリオ
【照明】ジャン=ミッシェル・デジレ
【配役】<スワニルダ>米沢 唯 <フランツ>井澤 駿 <コッペリウス>中島駿野 他
【指揮】冨田実里
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
【制 作】新国立劇場 https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/nbj/
【配役表】各公演配信直前の発表になります
5/2 https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/cop...
5/4 https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/cop...
5/5 https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/cop...
5/8 https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/cop...
『コッペリア』無観客ライブ配信スケジュール
5月4日(火・祝)14:00ライブ配信https://youtu.be/n2nOvlZiUqw
5月5日(水・祝)14:00ライブ配信https://youtu.be/NINBF3WM0lM
5月8日(土) 14:00ライブ配信https://youtu.be/Ga0XAxKqoP4
【概要】
『コッペリア』は、ロマンティック・バレエ最後の作品として注目される作品です。フランス・ロマン派の作曲家レオ・ドリーブにより作曲され、1870年にパリのオペラ座で初演されました。この初演時にスワニルダを演じたのは、イタリアのバレリーナ、ジュゼッピーナ・ボツァッキでした。
彼女は17歳の若さで、即ち初演を踊ったその年に感染症にかかり夭折したそうです。
ロマンティック・バレエとはロマン主義思想に基づくバレエのことで、女性が舞台の中心を占めます。『コッペリア』は人形を主題とし、非現実世界に憧れるというこの作品はまさにロマンティック・バレエの典型といえます。相当な力をかけ作られたこの作品は大成功を収め、その後、各国で有名になりました。『コッペリア』は人形をテーマにしたバレエ作品の中でも最大の影響力を持ち、プティパの作品「くるみ割り人形」や、フォーキンの「ペトルーシュカ」といった、人形がテーマの作品に大きな影響を与えました。
『コッペリア』のストーリーは、ドイツの小説家E.T.A.ホフマンの『砂男(hukkats注)』が基となっていて、陽気で明るい喜劇として描かれています
(hukkats注)
ホフマンの原作は、眠らない子供の目玉を取っていくとされる「砂男」の存在におびえた学生ナタナエルが理性をむしばまれていくという不気味な作品ですが、『コッペリア』ではそんなことは微塵も感じさせない愛くるしい舞台に仕上げられている。
尚、上記「砂男」はオッフェンバックのオペラ『ホフマン物語』にも変貌している。
主な登場人物は、コッペリウスが作ったからくり人形の可愛い少女コッペリア、明るい村娘スワニルダ、そしてその婚約者フランツ。青年フランツは、そのあまりの可愛さに人形コッペリアに恋をしてしまいます。彼と婚約しているスワニルダは、不安になり、友達とともにコッペリアに意地悪を仕掛けます。全3幕で各粗筋は次の通りです。
【粗筋】
【第1幕】
舞台はポーランドのある農村。明るい村娘のスワニルダの向かいの家にはコッぺリウスという陰気で気難しい変わり者の人形職人が住んでいました。その家には、コッペリアという可愛い少女が住んでいて、ベランダで読書をしていました。そんなコッペリアに、村娘スワニルダと婚約している青年フランツが恋をしてしまいます。そんな彼の様子を見てスワニルダは不安になり、コッペリアに嫉妬してフランツと喧嘩してしまいます。恋占いをしても、愛の証は見つからなかった二人は、婚約を解消してしまいます。
この時点ではまだ誰もコッペリアがコッぺリウスが作った人形だということを知りません。コッペリウスはある日街へ出かけ、家の鍵を落としてしまいます。その鍵を拾った少女スワニルダと友人たちは、コッぺリウスの家に忍び込み、コッペリアに会いに行こうと企みます。
【第2幕】
コッぺリウスの家に忍び込んでみると、様々な人形があり少女たちは物珍しそうに人形たちを眺めまわします。そしてとうとう、コッペリアも人形だったことに気が付くのです。そこへコッぺリウスが帰ってきてカンカンに怒り、少女たちを追い払います。彼女たちは家の外へ逃げていきましたがその中でスワニルダだけ家の中に残り、カーテンの奥へ身を隠したのです。そこへ事情を知らないフランツがやってきて、コッペリアを一目見ようと窓から忍び込みます。コッペリウスはフランツを見つけまたもやカンカンに怒ります。しかし、コッぺリウスはそこであることを思いつきます。かねてから人形コッペリアに命を吹き込みたいと考えていたコッぺリウスは、酒でフランツを酔わせ、彼が寝ている間に彼の命をコッペリアに吹き込ませようとしたのです。コッペリアを取り出すコッぺリウス。しかしこの時にコッぺリウスが取り出した人形は、コッペリアに変装したスワニルダだったのです。スワニルダはすべてを目撃していたので、コッぺリウスの思惑通りにさせまいと、コッぺリウスをからかいます。その騒ぎで目が覚めたフランツは、自分が好きだったコッペリアがからくり人形であったことに気が付きます。そしてスワニルダに謝罪し、二人は和解します。
【第3幕】
二人は結婚の日を迎えました。そんなお祭りの日は、村全体が祝福モードに包まれました。
コッペリウスは、大切に作った人形をスワニルダに壊され怒っていましたが、スワニルダとフランツは謝り、村長の仲介もあって機嫌を取り戻しました。村人みんな一緒になって二人をお祝いし、「時の踊り」、「曙の踊り」、「祈りの踊り」、「仕事の踊り」、「結婚の踊り」、「戦いの踊り」、「平和の踊り」と祝福が続きます。そんな歓喜が高まる中で舞台の幕が閉じます。
【感想】
現在、コロナ対策を必死に推進する政府や自粛要請を毎日の様に呼びかける都道府県に協力して、連休中は“どうしても”という用件以外は自宅待機状態にしているので、今回のライヴ配信は、渡りに船、干天に慈雨とばかりに、配信画面を食い入る様に観ました。
そして気が付いたことは、会話が無いだけあって、バレーはオペラよりも見て分かる、見て理解しやすいこと、踊り、動作、表情、振る舞いなどまるで無声映画に近い存在かな?ということでした。しかも無声映画よりも踊りが躍動的、美しい、衣装も綺麗、などなどの優れた特徴を有していて、イマジネーション(又は事前情報)が必要な点ではオペラとも軌を一つにしていると思いました。
『コッペリア』は、良く知られたなじみの曲も多く、新国のダンサー(バレリーナ)の踊りも優雅さやダイナミックさや素早さなど、鍛錬された形が素晴らしい踊りとなって結晶していて、子供だけでなく大人も大いに楽しめる内容でした。何と5万件ものアクセスがあったとのことでした。
注目すべき有名な踊りの場面としては
・スコットランド人形の踊り
・コッペリウスへ悪戯をするスワニルダ
・曙の踊りワルツ、特に第一幕で踊られるワルツは有名。テンポの良い3拍子の曲に合わせ淡々と優雅に踊られます。
・マズルカはポーランドの民族舞踊の一つで、足を踏み鳴らし、男女ペアで踊るのが特徴的です。
・チャルダッシュは、ハンガリーの民族衣装。かかとを打ち鳴らすのが特徴的な踊り。テンポがだんだん速くなり観客の気持ちを盛り上げてくれます。
・スコットランド人形の踊り、コッぺリウスの家の中で人形たちがそれぞれの民族舞踊を踊りだす、特徴的な場面です(この場面は明瞭な踊りには見えませんでした)。
・「コッペリア」に扮した スワニルダのヴァリエーションの踊り
・「曙(あけぼの)の踊り」はバレエ曲の中で特に人気の高い曲で、発表会などでもよく踊られています。
・フィナーレの全員登場しての踊りの場面
などです。
色々書いても、‛百聞は(百文)は一見に如かず’です。動画はアップ出来ないので、写真を掲載して記録に留めておきます。
ここで25分の休憩です。
次の幕の開演時間も表示されていました。
場面はコッペリウスの家の中です。