HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

オペラ速報『大隅イオランタ』快調にとばし、『三宅うぐいす』鳴きまくる!

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 『夜鳴きうぐいす』と『イオランタ』の二つのオペラを前半と後半一日で演ずるダブルビルのオペラが新国立劇場で催行されました。前者はストラビンスキー作曲の三幕構成、後者は、チャイコフスキー作曲の一幕物で、何れもロシア語で上演されました。この二つのレアーなオペラを同時に観られるいい機会だと思い聴きに行きました。

【日時】2021.4.4.14:00~

【会場】NNTTオペラパレス

【指揮】高関健

【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

【合唱指揮】富平恭平

【合唱】新国立劇場合唱団

【芸術監督】大野和士

【演出】ヤニス・コッコス

 

A.夜鳴きうぐいす(約50分)

【管弦楽構成】                                  フルート3、オーボエ2、コーラングレクラリネット3、ファゴット2、コントラファゴットホルン4、トランペット4、トロンボーン3、チューバティンパニシンバルアンティーク・シンバルトライアングル小太鼓大太鼓グロッケンシュピール2、タンブリンタムタムピアノチェレスタギター(任意)、マンドリン弦五部

 

【粗筋】

第一幕 

 夜明け前の海辺で漁師が船に乗って歌う。漁師の楽しみは夜鳴きうぐいすが訪れて歌うことだった。そこへ都から従者・僧侶・料理人らがやってきて夜鳴きうぐいすを探す。最初はさまざまな音を夜鳴きうぐいすとまちがえるが、ようやく本物の夜鳴きうぐいすに出会って、宮廷で歌うようにという皇帝からの招待を伝える。夜鳴きうぐいすは、自分は自然の中で歌う方が好きだが、皇帝の招きならば応じると答える。一行は夜鳴きうぐいすを連れて都へ帰っていく。

第二幕

皇帝のいる陶器の宮殿はお祭り騒ぎで、何千ものたいまつや花が飾られる。皇帝の前で夜鳴きうぐいすは歌い、皇帝は感動して涙を流す。そこへ日本からの3人の使者が到着し、日本の皇帝からの贈り物として機械仕掛けのうぐいすを献上する。機械のうぐいすが歌う間、本物の夜鳴きうぐいすはこっそりと宮殿から去る。皇帝は夜鳴きうぐいすがいなくなったことに気づいて不機嫌になる。舞台の外で、死が近づいていることを漁師は歌う。

第三幕

皇帝は病気が重く、死神が皇帝の冠・剣・旗をつけてベッドの横にすわり、幽霊の合唱が皇帝の善行や悪行を歌う。そこへ夜鳴きうぐいすが帰ってきて歌い、死神から・剣・旗を取り戻す。死神と幽霊は去る。廷臣が皇帝の寝室にやってくるが、皇帝が完全に健康を取り戻したのをみて驚いて平伏する。幕が落ちた後、漁師が再び舞台の外で歌う。

 

【出演】

【夜鳴きうぐいす】ソプラノ 三宅理恵
【料理人】ソプラノ 針生美智子
【漁師】テノール 伊藤達人
【中国の皇帝】バリトン 吉川健一
【侍従】バス ヴィタリ・ユシュマノフ
【僧侶】バス 志村文彦
【死神】ソプラノ 山下牧子
【三人の日本の使者たち】テノール/バス  高橋正尚/濱松孝行/青地英幸

 

《40分の休憩》

 

Bイオランタ(約90分)

【管弦楽構成】
ピッコロ、フルート2、オーボエ2、コーラングレ、クラリネット2(B♭とA)、ファゴット2、ホルン4(F)、トランペット2(B♭とA)、トロンボーン3、テューバ、ティンパニ、ハープ2、弦五部。

【粗筋】

15世紀、南フランスの山あい

【第一幕一場】

王女イオランタは生まれつき目が見えなかった。彼女が王女であると本人に告げた者はいまだおらず、彼女自身もそのことを知らなかった。王の地所内部で閉ざされた美しい庭に住み、ベルトランとマルタの庇護のもと、世界から隔絶されて過ごしていた。付き人は彼女に花を届け、歌を歌う。イオランタは自らの悲しみと、皆が感じ取ることのできる大切なものを見逃してしまう自分のおぼつかない感覚を表現する。父のルネ王は彼女に彼女自身の盲目を悟られてはならない、さもなくば許嫁のロベルト公爵にこのことが知られてしまうと力説する。

【第一幕二場】

王の到着を告げた後、アルメリクはベルトランより注意を促される。イオランタと光のことを話してはならず、彼女の父親が王であると明かしてはならないというのである。王とともに到着したエブン=ハキアは有名なムーア人医師であり、イオランタは回復可能であると述べる。しかし、自分の盲目を知ることを通じ、精神的に備えがなされたときにのみ肉体の治療が有効になるという。エブン=ハキアはモノローグ「2つの世界」を歌い、精神と物質を重ね合わせる神聖な定めのこの世界にあっては、心と身体が相互に依存するのだと説明する。イオランタが知らなかった世界を学んだ後になって万一治療が失敗した場合の不幸を案じ、王は治療を拒否する。

【第一幕三場】

ロベルトが友人のヴォーデモン伯爵と宮殿に到着する。ロベルトはヴォーデモンに対し、マチルダ伯爵令嬢に恋心を抱いてしまったため結婚を避けることを希望していると伝える。彼はアリア「誰を私のマチルダに比べられようか」により愛を歌い上げる。ヴォーデモンはイオランタの秘密の庭の入口に気付いてしまい、侵入者は何人であっても死罪とするという警告を無視する。眠りの中にあるイオランタを目にした彼は、それが誰かもわからぬままたちまち恋に落ちる。ロベルトは友の行動に驚きつつも、彼女が彼を魅惑する魔女であると確信する。ロベルトは立ち去るよう促すが、ヴォーデモンは恍惚としてままならない。ロベルトは友人を救うべく、連隊を引き連れるために出ていく。イオランタが目覚め、ヴォーデモンは記念として赤いバラを授けてくれるよう彼女に頼むが、2度にわたって彼女が白いバラを渡したことからイオランタが盲目であることを知る。彼女には光や見える、見えないといった概念がない。ヴォーデモンが彼女に光と色について教え聞かせ、2人は惹かれ合う。

 

【出 演】

【ルネ】妻屋秀和
【ロベルト】井上大聞
【ヴォデモン伯爵】内山信吾
【エブン=ハキア】ヴィタリ・ユシュマノフ
【アルメリック】村上公太
【ベルトラン】大塚博章
【イオランタ】大隅智佳子
【マルタ】山下牧子
【ブリギッタ】日比野幸
【ラウラ】富岡明子.

 

演奏会に先立ちネットによる特別配信が u-tubeでありました。

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大野和士 コッコス 関高健

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舞台イメージスケッチ図(合成、コッコス作)

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スケッチ図(要素)

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三浦演出補

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振付師補

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練習風景

今回は、演出を担当するヤニス・コッコスが来日出来ないため、リモートによる指導となって、ネット画面を通してNNTT(新国立劇場)にいる三浦演出補(仏語が堪能とのこと)がパリのコッコスとやりして、関係者を指導しているとのことでした。振付も同様で、日本人の振付師補が、パリの振付師とやりとりしてその意向を汲んでいるとのことでした。練習1週間目だそうです。

 

【舞台の模様】

 会場にぎりぎりに着くと、ホールは満員に近い状態でした。ざっと見渡すと三階の左翼に10~20位の空席が見え、一階の後ろにちらほら空いた席が見える他は良く入っている様に見えます。先月のワルキューレの時より入っていました。

 

A.夜鳴きうぐいす

 「夜鳴きうぐいす」とは、日本でいう鶯とは別物なんですね。知らなかった、認識不足でした。あれは、3月のいつだったでしょうか?彼岸前だったと思います。朝方まだ日は登らないけれど、暗やみが少し緩んで来た頃トイレに立ったら、遠くから、はっきりと「ホーホケキョ」という声が聞こえたのです。寝室に戻っても又聞こえます。今年初鳴き。近所に住宅に混じって林が残っていて、冬を除いて様々な鳥の声が聞こえます。でも鶯としては、随分早い時期でしかもまだ夜とも言える時間なので、家内に「夜鳴きうぐいすが鳴いている」と言いました。今日のオペラのことが頭に浮かんだのでした。そしたら「うぐいすは夜鳴きうぐいすとは別よ」と言われた。調べて見ると確かに、夜鳴きうぐいすは、「サヨナキドリ」 ともいい、スズメ目ヒタキ科に属する鳥類の一種なのだそうです。西洋のウグイスとも言われるほど鳴き声の美しい鳥で、ナイチンゲールの名でも知られます。また別名ヨナキウグイスや、墓場鳥と呼ばれることもあると書いてありました。

 それはさておき、オペラの方は、川べりとも、河口の入江ともつかぬ水辺を、舟形の輪郭を豆💡で表現した光る小舟が、左から右へゆっくりと進み、漁師が現れ歌います。

漁師は長い竿を持ち笠をかぶり長い黒い上着に黒ポイパンツのいで立ち。舞台をゆっくりと変わった旋律の歌を歌いながら歩きます。そこに現れるのは、料理人など、長いブランコに乗った夜鳴きうぐいす役の三宅さんは、甲高い声でコロコロと夜鳴きうぐいす の歌を歌います。最初から最後までいい声で歌いまくりました。歌う力が落ちない

尻上がりに益々 力を発揮し最後の方でも声を張り上げていました。コロラテューラの様な変化に富んだ歌声を綺麗に響かせていました。

 

《40分の休憩》

 

Bイオランタ(80分)

 このチャイコフスキーのオペラはさすが晩年の秀作ですね。あらゆる経験からこれを作曲している。耳当たりの良い曲ばかりです。聴かせ処、見せ処、泣かせ処を心得ています。兎に角イオランタ役の大隅さんが大活躍でした。最もこのオペラではイオランタ役が一番出番が多く、歌う時間も長いですね。主役です。前半を通して今日のグランプリかな。高音も中音域もこなせるソプラノと見ました。目が見えないことが分からないから見えるということも分からない。イオランタに一目ぼれしたヴォデモンがそれに気づき、死をも恐れないでイオランタに真の世界とは何かを伝え教えます。それを聞いて分かるイオランタも優れていますね。聞いただけでは普通は中々理解できないでしょう。さすが一国を収める王の子孫です。好きになった人を死なせまいとする、目を見える様にしようと決断する強い意思、多くの侍女達にかしずかれて虚構の中で育った人とは思えない程の思考力があります。この愛し合うようになった二人のデュエットは一番の聞かせ処でした。大きな拍手が長く続きました。相手の内山さんも力の限り声を出し切っていました(最後はやや疲れ気味でしたが)。その他妻屋さん、井上さんも人気がありましたよ。

 尚、このオペラで注目すべきは、合唱の有り方ですね。15人のイオランタの侍女達が、舞台左側でソーシャルディスタンスを保って歌い、演技し、また斉唱ばかりでなくデュエット、ソロ等組み合わせて感染症対策(飛沫拡散と吸入防止)に気を使っている様に見えました。今回のコロナ禍では音楽関係では、合唱部門が一番の被害を被むり、全国のコーラスの響きは途絶え、最初から最後まで一番演奏が出来ない分野でした。今後、もっともっと知恵を出し合い、さらにベターな演奏スタイル、新しい合唱生活スタイルを編み出して行けば、これまで以上に満足感のある演奏がきっと出来る様になるのではないでしょうか。

 今日のオペラは二つとも ❝病は、音楽の力で、愛の力で癒され回復する❞というテーゼを見事証明した事例でした。