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綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

『東京交響楽団+Pf』演奏会

 東京交響楽団の第688回定期演奏会をサントリーホールにて聴いてきました。

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ショスタコーヴィチの交響曲6番とベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番です。指揮は井上義道、ピアノ独奏は当初ゲルナー(アルゼンチン人)の予定になっていましたが、来日不可と言うことで、日本人ピアニストの北村朋幹に変更となりました。

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北村朋幹

 ゲルナーが第4番のコンチェルトをどう弾くのか、聴いてみたかったのですが残念です。代役の北村さんの名は初めて聞きます。様々な賞をとり東京音楽コンクールで優勝の経験もあるようです。若手の売り出し始めたピアニストと言って良いでしょうか。経歴のネット情報は、次の通りです。 

 1991年愛知県生まれ。愛知県立明和高等学校音楽科を経て東京芸術大学に入学。2011年よりベルリン芸術大学にて研鑽を積む。ライナー・ベッカー、伊藤恵、エヴァ・ポブウォツカにピアノを、ミッツィ・メイヤーソンにチェンバロおよびフォルテピアノを師事。現在、フランクフルト音楽・舞台芸術大学にてイェスパー・クリステンセンに師事。
05年第10回浜松国際ピアノアカデミーに参加、同コンクールにて第4位。同年第3回東京音楽コンクール第1位ならびに審査員大賞(全部門共通)を受賞。06年第6回浜松国際ピアノコンクール第3位。08年第9回シドニー国際ピアノコンクール第5位。15年リーズ国際ピアノコンクール入賞。17年ボン・テレコム・ベートーヴェン国際ピアノコンクール第2位。
これまでに東京交響楽団、読売日本交響楽団、名古屋フィルハーモニー交響楽団、シドニー交響楽団など国内外のオーケストラと多数共演している。11年、ソロ・デビュー盤となる「遙かなる恋人に寄す―シューマン『幻想曲』からの展望―」、14年「夜の肖像」、16年「黄昏に ブラームス、リスト、ベルク作品集」、19年「Bagatellen」(いずれもフォンテック)をリリース。

ショスタコーヴィッチのシンフォニーは以前に7番を聴いた時、思っていたよりも随分洗練された先進的響きを感じ、かなり衝撃を受けた記憶があります。今回は東京楽団がショスタコ6番を演奏するというので、上記のコンチェルトと合わせ二つの魅力を同時に聴けるいい機会と思いチケットを買っていたのでした。しかし緊急事態宣言が解除されたとは言え、東京の感染者数が増加に転じてしまった今日この頃なので、どうしようかなと迷ってしまいました。でも主催者に電話で訊いたら、自分の席の隣は空いている状態ということが分かり、不安は残ったのですが、結局聴きに行くことにしたのです。

 

【日 時】 2021.3.27.(土)18:00~

 【会 場】 サントリーホール

 【演 奏】 東京交響楽団

【指 揮】 井上道義

【ソリスト】北村 朋幹

【曲 目】

  ①ベートーヴェン『ピアノ協奏曲第4番ト長調Op58』

  ②ショスタコーヴィッチ『交響曲第6番ロ短調Op54』

 

【演奏の模様】

 今日の東京交響楽団は、ショスタコーヴィッチもやるということで、器楽編成は基本二管編成ですが、②では管楽器を増強し、打楽器は多種の楽器を使用し、一方弦楽五部は①では10型、②は12型と使い分けていました。①では打楽器はティンパニーのみでした。

 座席に座ってホール全体を見渡すと、観客が密に座っている処と結構ガラガラに空いているブロック等粗密な状態でしたが、凡そ半分の座席は空いていたと推定されます。自分の席の列は丁度飛び飛びの状態、後ろの席はびっしり入っていました。

 さて①のこのベートーヴェンの曲は何回も聴くうちに、ベートーヴェンのピアノコンチェルトの中でも最初に挙げたいお気に入りの曲になってしまいました。以前は世の常の様に5番が最高と思っていたのでしたが。最近もケンプの録音で聴き比べたのですが、やはり4番は冒頭のチラつかせの技法や、キラキラと音を煌めかす調べや、5番程ではないですがダイナミックな動きなど、全体的に非常にあか抜けした、お洒落なコンチェルトだと思いました。

    このコンチェルトは、三楽章構成です。

①ー1、Allegro moderato

 冒頭にピアノが主題のメロディをチラッと思わせぶりに流し、引き継いだオケが堂々とアンサンブルを奏で始めます。この最初の部分が少し落ち着きないピアノの音に感じられました。綺麗な音なのですが線が細いのでしょうか?音が小さい。アルベジョ部も何かもやもやと聞こえ ベートーヴェンの曲という感じが、あの迫力が伝わって来ません。例えれば、ベルカントオペラをリート歌手が、リサイタルホールで歌っているが如し。弾いている北村さんの様子は、首をやや右にかしげながら淡々と弾いていて、あまり体から手にエネルギーを伝達している様子は見られません。カデンツァ部になると音は大きく聴こえましたが、指揮者の井上さんは、ピアニストの方を心配そうにじっと見ていました。

①ー2、Andante con moto

 オケのアンサンブルの導入に続き、ピアニストはゆっくりと弾き始めました。かなりスローなテンポだと思いました。でも曲想は良く掴んで表現していました。この様な表現(cantabile、molt espressivo)が出来る箇所になると、北村さんは力を発揮するピアニストなのでしょうか?前章と同様にカデンツァでは、しっかりと音を出していました。

①ー3、Rondo Vivace

 速いテンポでリズミカルな調べが迸り始めます。北村さんは、慣れて来たのか、弾き始めの一楽章よりは音が出ていましたが、まだまだオケに負けている感じ。もっと音の一つ一つをしっかり出して欲しい気がしました。北村さんは体格がそれ程がっしりしているとは見えないので、腕と指の他に体も使ってキーに力を込めてはどうなのでしょうか?人それぞれ弾くスタイルが有りますから、一概にうまくいくものではないでしょうけれど。 

 尚ピアノのアンコール演奏がありました。曲目は、シューマン作曲『子供のためのアルバム曲集』から第15曲「春の歌」です。初めて聴きました。演奏が始まると北村さんは、ゆっくりとしっとりとしたメロディを奏で始めました。まるで、心の中で歌をうたっているが如く。後で調べたらシューマンのこの曲集第15番の曲には、「心を込めて演奏するように」との指示が記されている様です。将に北村さんは、心を込めて弾いているのが伝わって来ました。彼は、大ホールでオーケストラに対峙して、バンバンピアノを叩くソリストと言うより、リサイタルホールで、心静かにビアノを謳わせるピアニストの感が強かった。少なくとも現在は、そうした演奏スタイルでしょう。今後の発展と活躍を期待します。

 

②のショスタコーヴィッチのシンフォニーは、三楽章構成です。②では弦が二名づつ増強され12型、管楽器はトランペット1、ホルン2,チューバ1,イングリッシュホルン1、クラリネット1,ファゴット1、コントラファゴット1ピッコロ1などが追加され、その他打楽器群、トライアングル、大太鼓、小太鼓、シロフォン、タムタム、シンバル、タンブリン、(ハープ)、チェレスタなど多くの楽器が参加しました。本格的なオーケストラの構成です。

②ー1、Largo

 透明なVaとVcの弦楽アンサンブルにVnが加わった調べが、ゆったりしたリズムで流れ出し、続く金管の流れに弦アンサンブルが続きます。Ftは単独やFgとの重奏など大活躍。弦の小さな音のトレモロでの伴奏の中、Ft、Ob、Fgなどの管のソロ旋律やTimpの響き等、他の通常弦の活躍が主流の曲とは一味違った用法を、指揮者は例えばタクトを右横から腕を真直ぐに伸ばして体をひねる様にして左横にタクトを一気に振りティンパニーに指示を出すなど、時々大きな、大げさな身振りで指揮しましたが、これがまた効果的な音の発出に繋がっていたと思います。

 

②ー2、Allegro

 管が随分速いテンポで鳴り始めると弦が続いてスタートし、シロフォンやピッコロの高い音が神経質に鳴り響きました。ピッコロは相当速いテンポです。あたかも競争馬に乗って広い草原を駆け巡る様な面白い音の連なり、井上さんは相変わらず時折大げさな仕草で指揮している。例えば、あたかも相撲の土俵入り様な仕草で、両足を大きく広げ、両腕は斜め上に大きく伸ばしたりして。様々な楽器の音が混ざり合って伸びたり小刻みになったり、あたかもピアニストが鍵盤上を左から右に縦横無尽に音を立てる様なと言っても十分な例えではない位、説明が難しい程の音の多重多相乱舞でした。

 

②ー3Presto

 弦アンサンブルの軽快なリズムでスタート、軽快さが弦から管へと引き継がれました。その軽快さとメロディの響きが実に良い感じです。ここでもシロフォンが活躍、タンブリンまで自己主張している。シンバル、ティンパニーと大音響打楽器が一斉に鳴り出すと管弦のアンサンブルと相まって大轟音のうねりとなり、ここでもフルートのソロが目立ちました。最初から最後までこの速いテンポは続きましたが、意外と同じ調子が突然外れて終わってしまう感じ、やや唐突でしょうか?あと二三章節音を続けて自然な感じで曲を終えることがあれば良いのにとかってに思ったのでした。

 それにしてもショスタコーヴィッチの管弦アンサンブルの響きは、個性的ながら透明感があり、他の20世紀の現代音楽には見られない響きを有していて、一層惹きつけられる結果となりました。

 演奏を終わって、聴衆の大きな拍手に井上さんは、時折おどけた仕草も交えながら何回もそでから壇上に現れては消え、繰り返し繰返し頭を下げて歓声に答えていました。でも結局聴衆の拍手喝采に応えるアンコールは有りませんでした。恐らく、時間の関係だと思います。演奏が8時過ぎても終わらなくなる恐れがあり、コロナ感染拡大が危惧されている時期なので、その辺りを考慮して聴衆を早く帰したのではなかろうかと思われます。

 時間差退場のあと、外に出ると結構夜風が日中とは違って頬を冷やします。急ぎ足で地下鉄で渋谷に出て、東横特急に乗り換えるため地上に出たら、例のスクランブル交差点が見えます。昨日はテレビで夜の12時になっても多くの人が通っていると放送していたので、今日はどうかなと思って近づいて見たら、随分と群衆とも言える程の人の山でした。

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土曜日夜9時の渋谷スクランブル交差点

しかもほとんどが20歳前後と思われる人達。これでは感染拡大も当然、感染経路不明者が増えるのも当然と思い、逃げる様に現場を離れました。