HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

映画『ハッピー・バースデイ家族のいる時』観賞

 表記の映画に、あのカトリーヌ・ドヌーブが久し振りに主演しているということを知り、急ぎ上映映画館を探し観てきました。概要は以下の通りです。

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仏映画ハピー・バースデイ

【映画情報】

フランスの名優カトリーヌ・ドヌーブが主演を務めた家族ドラマ。フランス南西部の邸宅で夫や孫と優雅な暮らしを送るアンドレア。彼女の70歳の誕生日を祝うため、しっかり者の長男バンサンと妻と2人の息子、そして映画監督を目指す次男ロマンが恋人を連れてやって来る。楽しい宴が始まる中、3年前に姿を消した長女クレールが帰って来る。アンドレアは娘を温かく迎え入れるが、他の家族は戸惑いを隠しきれない。情緒不安定なクレールは家族の秘密や問題をさらけ出し、彼らの間に大きな火種を生んでしまう。家族を優しく見守るアンドレアをドヌーブが存在感たっぷりに演じ、長女クレールを「モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由」のエマニュエル・ベルコ、次男ロマンを「冬時間のパリ」のバンサン・マケーニュが演じた。「よりよき人生」のセドリック・カーンが監督・脚本を手がけ、長男バンサン役で出演。

2019年製作/101分/PG12/フランス

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【出演】

〇カトリーヌ・ドヌーヴ

CATHERINE DENEUVE


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1943年10月22日、フランス・パリ生まれ。63年『悪徳の栄え』(ロジェ・ヴァディム監督)で主演デビュー。第17回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作『シェルブールの雨傘』(ジャック・ドゥミ監督)で一躍国際的スターの座に。代表作の『反撥』は第15回ベルリン国際映画祭で銀熊・審査員特別賞、『昼顔』はヴェネチア国際映画祭でサン・マルコ金獅子賞を受賞。ほか『終電車』でセザール主演女優賞、『ヴァンドーム広場』でヴェネチア映画祭最優秀女優賞を受賞するなど、数々の賞に輝く。これまでの出演作は100本以上に及び、名実ともに世界的大女優として君臨する。

〇エマニュエル・ベルコ

EMMANUELLE BERCOT

1967年11月6日、フランス・パリ生まれ。監督
&主演作『なぜ彼女は愛しすぎたのか』が第54
回カンヌ国際映画祭ある視点部門に、『ミス・
ブルターニュの恋』が第63回ベルリン国際映
画祭コンペティション部門に正式出品される。
第68回カンヌ国際映画祭で監督作『太陽のめざ
め』がオープニング上映、主演作『モン・ロワ
愛を巡るそれぞれの理由』で女優賞を受賞。
 
〇ヴァンサン・マケーニュ
VINCENT MACAIGNE
1978年10月19日、フランス・パリ生まれ。フランス国立高等演劇学校を卒業し、俳優、そして映画監督・舞台演出家としても活動。2013年ギヨーム・ブラックの初長編監督映画『やさしい人』で主演を務める。同年開催の第66回カンヌ国際映画祭では『ソルフェリーノの戦い』『7月14日の娘』『メニルモンタン 2つの秋と3つの冬』の出演作3本が上映。
監督・脚本:セドリック・カーン
      CÉDRIC KAHN

1966年6月17日生まれ。フランス出身の映画監督・脚本家・俳優。パリ高等映画学院で学び、92年に映画監督デビュー。長編初監督作である『鉄道バー』をヴェネチア国際映画祭に出品、2作目の『幸せ過ぎて』でジャン・ヴィゴ賞およびカンヌ国際映画祭ジュネス賞を受賞。また『ロベルト・スッコ』が第54回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に、『The Prayer』は第69回ベルリン国際映画祭コンペティション部門に正式出品されている。

【日    時】2021.3/14.(日)13:05~

【上映館】横浜ジャック&ベティ

この映画館は、けっして環境の良い箇所に立地しているとは言えませんが、昔から所謂「名画」や話題作で評価が固まったものを上映して来ました。その昔は、「松竹名画座」といっていたらしい。「Jack」と「Betty」の2スクリーン(それぞれ客席140弱110強の計約250席)を有する小さな映画館です。この日は日曜日の昼すぎということもあって、1/3は、入っていたと思います。(コロナ対策でチケットは座席の半分売り出しです)

 

【感想】

 事前情報なしの段階で、題名から想像したのは、過去に家族がいる頃の誕生祝いの日々を追憶し、それを鏡にして現在の生活を映し出す物語かな?と考えましたが、真逆でした。
 宣伝チラシを見ると、「ハッピー・バースデー」は、主人公のアンドレア(カトリーヌ・ドヌーヴ)の、古稀を祝う誕生会であり、今は別居している息子や娘達及びその孫達が、実家に集合したのでした。ところが各人の様々な現在生活の葛藤が、意図すると意図しないに関わらさず、表面化してしまい、激しく兄弟、姉妹、親子が、ぶつかり合いを演じるという設定の映画でした。その中で一番のストーリーメーカー、トラブルメーカーは、やはりエマニュエル・ベルコが演じた長女のクレールです。誕生会に突然現われるのですが(米国の夫から、身一つで逃げて来たそうなのです)、先ず実家に到着するまでが人騒がせで、雨にずぶ濡れになって無一文なので、電話して兄弟に車で迎えに来て貰う始末。家に帰ってからも自分の母アンドレアと義父(彼は、クレールの父親が早くに死んだあとの後夫)とアンドレアに預けた実の娘の三人が住む実家を売りに出してこれまで自分が負担した30万ユーロを返して欲しいなどと要求するのです。この辺りが、一体どうなっているの?と言う感じ。その言い分は、父親が亡くなった時、遺言で実家の家、土地は自分(クレール)の物とするということだったのだけれど、その際、それらの不動産が、人手に渡り、クレールが30万ユーロを出して買い戻したのだから、と主張するのです。ここで疑問点、何故長女に家、土地を与える遺言をしたのか?日本だったら確か、遺留分という制度があって、妻やクレールの兄弟、姉妹にも、一部相続される筈なのに。第一、妻のアンドレアに何故やらなかったか?はっきり聞き取れなかったのですが、その父親は自死したと聞こえたのです。ということは、妻に相続させたくない理由があったのかな?自死した原因の一つは妻にあったのかな?ひょっとして、後夫とアンドレアは、夫に公然と浮気をしていたかも知れないなどと、疑問、妄想が次々と拡がりますが、その辺りは、最後まで謎のままでした。
 物語りの最初から最後まで、クレールが誕生会をぶち壊しにし、同時に芸術家肌の次男ロマンも、付き合っている女の子を同伴して実家のドキュメンタリー撮影をするといって誕生会にカメラを持ち込み、皆を困惑させたり、車をぶつけたり、麻薬タバコを彼女と吸ったり、この二人が、一番のトラブルメーカーでした。しかし、母親のアンドレアは、そうした子供達を広い心で包み込み安心させ、中座した誕生会がまた動き出すのです。これが、今日の映画の唯一の救いかな?いや、もう一つあります。孫達の人形劇、後夫が黙々と誕生会の下準備をして、料理も揃える姿、また最後に孫達が手作りのバースデーケーキを用意し、祖母のアンドレアを喜ばす場面等

が、ささくれ立った雰囲気を和ませて、誕生会を推進する原動力になっていたことも救いでした。「それ禍福の転じるは、あざなえる縄のごとし」 最後に笑うものが一番良く笑うのですよ。ドヌーヴの演じるアンドレアは、将にそうした人でした。

 昼顔や人生暮れて夕顔か?