《ヴィクトリア朝①》
1837年にウィリアム4世の逝去に伴って即位したヴィクトリア女王はまだ18歳の若さでした。
彼女はウィリアム4世の姪に当たる訳ですから、「ハノーヴァー朝の一員」と位置付けても良いはずですが、今回の絵画展では、『ヴィクトリア女王の時代』として、一つの王朝扱いにしています。これはヴィクトリア女王の在位期間が63年とこれまでに無い長期にわたり、産業も海外進出(植民地経営)も大発展し、英国が世界の大国にのし上がった時期であることもあって、特別に王朝扱いをしたのでしょう。即位の翌々年、同い年の従兄弟であるドイツのケント公アルバートに再会した彼女は、アルバートに恋をしてしまうのです。
そして1840年に、在位女王としてはメアリ1世以降初と謂われる、現役女王としての結婚式を、アルバートと執り行ったのでした。これまでの前例に拘らない二人の愛の絆は強く、後世までも理想の夫婦と讃えられました。子供は都合9人も授かりました。仲の睦まじさは、次の絵(クロモリトグラフィーと呼びます)を見れば、如何に楽しい家庭を築いていたかが分かります。
こうした三原色の色刷りはエンゲルマン(1788-1839)が1836年頃発明したもので、ポスターの様に沢山刷られ、ロイヤルファミリーの生活が可視化出来るものとして巷間に汎がり、王家に対する国民の好感度を向上させる役割を果たしました。
その後のロイヤルブロマイドの普及につながって行きます。
10年ほど前に『ヴィクトリア女王世紀の愛』という映画がありました。『プラダを着た悪魔』でメリル・ストリープの助手役を演じたエミリー・ブラントが主演しました。
この映画も、ウェディングドレスやファッションが注目されました。