HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

『KING&QUEEN展(from National Portrait Gallery of London)』鑑賞詳報 Ⅰ の1

 先月10/18に、上野の森美術館で今年10/10~来年1/11までの会期で開催されている『KING&QUEEN展』を鑑賞した際の詳報第1報です(概要については10/21付hukkats記録『自分勝手な文化満喫の日、第二弾』参照)。  

 本展覧会はNational Portrate Gallery of London所蔵の90点程の肖像画(絵画、写真等)を、古い年代ごとに、しかも王朝ごとの展示ブロックに分けて展示されており、全体を通してみれば、イングランドの王朝の主役、即ちKINGやQUEENやそれを取り巻く主要人物の肖像を観ることが出来、それらに関わる展示掲載文を読めば、大雑把な英国王朝史を買いま見ることが出来る仕組みになっています。

 

【Ⅰ.テューダー朝①】

 このテーマゾーンには 10の肖像画などが展示されています。その中で先ず一番注目されるのはヘンリー8世でしょう。

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ヘンリー8世

 ヘンリー8世はテューダー家を創設したヘンリー7世と正妻(えりざべす)との子で、四人兄弟の次男坊でした。長男が皇太子(プリンス・オブ・ウェールズ)の時夭折したので、跡を継いで皇太子になりました。

 ここで若干テューダー王朝の設立に関して記しますと、王朝創始者ヘンリー・チューダー(即位後ヘンリー7世)は、かのシェクスピアの戯曲で有名な、ヨーク家(白ばら)とランカスター家(赤ばら)の争い=“ばら戦争”において、敵のリチャード3世をボズワースの戦いで下して勝者となり、ヘンリー7世として戦場で即位したと言われます。ヘンリー7世の父ヘンリー6世は、幼くして父王のあとを継ぎ、フランス領も保持するイギリス両国の王となりました。でも彼をとりまく多くのものが政権を争い、結果としてフランスを失い、その争う火種がイギリス国内で燃え盛り、30年に及ぶ紅白戦さながらに闘い、多くの血が流されたのでした(ばら戦争)。このヘンリー6世に関しては、シェクスピアが史劇『ヘンリー6世三部作』を著しており、この戯曲は2009年に新国立劇場で9時間の長帳場で公演された時観ました。ほとんど忘れかけていましたけれど、『KING&QUEEN展』を契機に思い出しつつあります。その頃の記録の抜粋を文末に掲載します。

 今回の展覧会の上野の森美術館は、東京文化会館から線路に平行して公園内を南方向(西郷さんの銅像方向)に少し歩くと左に見えてきます。夏頃だったでしょうか「ゴッホ展」を暫くやっていましたが、音楽会の帰りに通ると、いつも遅くまで入場者の行列が並んでいたので結局見ませんでした。今回は開催されて一週間位なのですが、少し並んだだけで当日券が買えたので観ました(コロナ対策の日時指定券の他に、若干の当日券もある様です)。

 展示の最初が、前述の『ヘンリー7世』の顔(恐らくデスマスクからの製造された鋳造)

でした。

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ヘンリー7世

 赤薔薇のランカスター家とつながるテューダー家出身でヨーク家のリチャード3世を戦いで倒し、イングランドに平和をもたらしました。強い意思を感じます。 

次に第三番目の肖像はヘンリー7世の次男『ヘンリー8世』の恐らく若い頃、20代後半の肖像です。

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ヘンリー8世

 先の40歳中頃のヘンリー8世の肖像画と比べるとかなりハンサムだったと言えるでしょう。

 なかなか女性にもてたのか女好きだったのか、その後いろいろ女性醜聞が国家的大問題に発展するのでした。それについては次回詳説します。

 

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《2009年hukkats記録より抜粋》

 Shakespeareは「言葉遣い」「言葉の綾」を見事に駆使して、一語一語の駆け引きに状況の反映を表現するので、確かに読むだけでも面白いですね。若干古い英単語(フランス語他の影響あり)が出て来ますが、例えば、「KING HENRY VI」中で


London .The Temple-gardenでの白バラ派と赤バラ派の言い争い、

Plantagenet:Meantime your cheeks do counterfeit our roses; For pale they look with fear, as witnessing The truth on our side.
Somerset: No, Plantagenet,’ Tis not for fear but anger-that thy cheeks Blush for  pureshame to counterfeit our roses, And yet thy tongue will not confess thy error.

Plantagenet:Hath not thy rose a canker, Somerset?
Somerset: Hath not thy rose a thorn , Plantagenet?
Plantagenet:Ay, sharp and piercing, to maintain his truth; Whiles thy consum-ing canker eats his falsehood.

(CAMBRIDGE UNIVERSITY PRESS「THE WORKS OF SHAKESPEARE」より)


 さらに役者の手にかかると 身振り手振り、口調、場合によっては歌唱(例、Opheliaの歌)でも微妙な表現がされるのだから舞台の魅力は何百年経っても消えないのでしょうね。
先々月Stratford-upon-Avonに寄った時には時間が無く観劇は出来ず修復工事中のRoyal Shakespeare Theatreの前で記念写真を撮るだけでした。新国劇の「ヘンリー6世」三部一挙上演には是非行こうと思っています。