HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

『National Gallery of London 展(at上野・西洋美術館)』鑑賞(Ⅲ)

 次のテーマゾーンはⅢヴァン・ダイクとイギリス肖像画(8作品)です。

英国では17世紀中葉に宮廷画家となったヴァン・ダイクの時代から、肖像画が高く評価される様になり、多くの画家により肖像画が描かれた。ヴァン・ダイクに影響を受けた画家たちが、現代の写真に代わる役割の人物像を生き生きと描いたのです。

 『21レディ・コーバーンと3人の息子(1773年作)』はサー・ジョシュア・レイノルズによる傑出した作品で、ヴァン・ダイクの影響が見られます。

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レイノルズ作『レディ・コーバーンと3人の息子』

この母と3人の幼子のテーマは、これより遡る事150年弱前、ヴァ・ダイクが描いた『慈愛』(展示無し)の構成を模していることは明らかです。

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ヴァン・ダイク作『慈愛』

 1歳、2歳、3歳位の幼児が母に纏わり付く位置関係もそっくりです。また母親のドレス、背景のカーテンと少し開かれた間から外の風景が垣間見られるのも似ている。150年経っても肖像画作成において、それ程ヴァン・ダイクの影響が大きかったのかと感心しました。

 今回展示された肖像画は、一つ(トマス・ローレンス作『55歳頃のジョン・ジュリアス・アンガースタイン』)を除き、主たる人物が向かって左を向き左顔を見せるポーズをとっているのも、展示作品を選んだ何等かの意図があったのかも知れません。