HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

映画『蜜蜂と遠雷』鑑賞

    日本アカデミー賞作品賞受賞映画「蜜蜂と遠雷」を観てきました。かなり以前からあちこちで上映されていたことは、知っていたのですが、忙しくてなかなか見に行けませんでした。今回「日本アカデミー賞受賞」を機にやはり見ておかなくてはなるまいと思ったものの、確か昨年秋頃には上映していたから、もうやっていないかも知れない。どこか首都圏の映画館で、まだやっている処は無いかな?と思って、調べてみると、TOHOシネマズ日比谷シャンテにて上映中でした。18:15からの最終回が有るとのこと。‘鉄は熱いうちに打て’で、その日のうちに観ることにしました。地下鉄日比谷駅に18時に着き、地下道を急ぎ足でホームの案内板に書いてあった地下道出口を目指して行ったのですが、そこから地上に出たら、何と日比谷公園のそばでした。案内板を見間違ったかな?いやそんなことは無いなどと自問しながら(実際は出口A4をA14だと感違い)、兎に角地上に出て少し戻らなくちゃ。

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横断歩道、道路を小走りで駈けぬけ、日生劇場の前を通って、宝塚劇場の角を左に曲がったら、多くの女性ファンがたむろしていました。入り待ち?出待ち?

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 恥ずかしかったのですが、人垣が両側に出来ている道路を走って(みっともないったら有りゃしない)映画館の方に急行しました。何とか上映3分前に着き、チケットを買い、エレベーターで上階に行ったらもう会場は真っ暗、転ばない様に慎重に座席まで進み、着席してやっと一息ついたのでした。平日だったので館内は半分程度の入りで、見易い割りといい席です。予告編が終わるとすぐに開始。以前、本は読んでいたので(申すまでもなくこの映画は、本屋大賞、直木賞を取った恩田陸さんという女流作家の作品を映画化したものです)、あの分厚い大作を①2時間弱の映画にどのように押し込むのか、が一番の関心事でした。さらに②俳優たちが、ピアノ演奏を果たしてどこまでピアニストの様に演技出来るかということ、も、また今でも腑に落ちない③タイトル「蜜蜂と遠雷」の象徴性についての疑問。分厚い本の何処からも小説の本質がタイトルを導き出す様な因果関係は感じられなかったからでした。
 前後しますが、先ず③について。映画を目を凝らしてみていましたが、どこにも蜜蜂の飛ぶ姿は映らなかった。ましてその意味合い等どこの場面にも認められない。わずかに遠雷については最終場面で、風間塵が海辺に出て歩く時に、遠雷の音がするだけ。何らストーリーとは関連付けられていません。それもその筈、元の小説にも何らストーリーと関係付けられる内容は記載が無いのです。小説の冒頭と、最後の場面から取って付けた様なタイトル、耳障りのいい無意味な軽々しいタイトルといった感じがしました。小説では、冒頭の「テーマ」の節(章?)に“しかし、それを見つける前に新たな音が頭上から降ってきて、たちまちそちらに関心を奪われた。そう、まさに驟雨のように、空から。明るく力強い音色が、世界を震わせていた。”という箇所でわずかに雷を示唆しているが。一方、蜜蜂の記載は同じ節で“明るい野山を群れ飛ぶ無数の蜜蜂は、世界を祝福する音符であると。”いう箇所、それから最後「ミュージック」の節の最後の方の文に“少年は両手をいっぱいに広げ、深呼吸する。どこからか蜜蜂の羽音が聞こえて来た”という処にあるが、実際は浜辺の波打際には蜜蜂はほとんどいないと思われるので、これは幼いころからの養蜂業で育った雰囲気を思い出した箇所に過ぎません。「テーマ」の記述は、幼い風間塵の天性に大きく影響したかもしれない場面だが、それが後日のピアノの天分形成の元になったとはとても思えない。従って映画の中で大胆に蜜蜂と遠雷をストーリー化は出来る筈もなく、映画鑑賞後も③は謎(?のまま)です。
① は四人の日本人コンクール挑戦者の描写に限ることにより、またその他の場面の短縮などによりコンパクト化に成功。小説では、別のコンクール出演者、本選の韓国人二名、フランス人一名のコンチェルト演奏についての記述も長々と記載があるのです。
② 日本人出演者のオーケストラをバックにした本選の演奏は三人の俳優(松岡茉優、鈴鹿央士、森崎ウィン、松崎桃李、)とも完璧に近いんピアノ演奏の演技でした。何回も取り直したり、映像の切り貼りはしているのでしょうけれど。

 内容その他については、良く知られている作品だと思いますので、割愛します。尚、小説では風間塵が3位をとったことの記載はありますが、映画では一歩踏み込んで1位から4位まで発表していました。また栄伝亜矢が本選の自分の番(実際はその前に一人棄権者が出たので順番が一つ繰り上がった順番)が来ても控室に姿はなく、その時亜矢は、昔、コンクールに登壇する直前にドタキャンして音楽生命が終わったも同然になった時の事などを思い出して、又同じ道を歩もうかと悩んでいたのでしたが、最後に奮い立って(塵の影響が効いたか?)登壇して見事コンチェルトを弾き切った場面、これが非常に良かったと思いました(小説には有りません)。