HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

『ハプスブルグ展』鑑賞

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      懸案だった上野の『ハプスブルク展』をやっと見てきました。かなり前から開催されていることは知っていましたが、なかなか時間が取れなく見られませんでした。昨年12月15日に丸の内でジャズ鑑賞会を聴きに行った時、終了後上野の西洋美術館まで足をのばしたものの、閉館まで1時間位しかなく、100点もの展示を早足で廻れば廻れたのですが、じっくり見られないし常設展まで見るのは無理と判断し、別の日に来ようと考え直して結局見ませんでした。その後東京文化会館には度々行く機会はあったのですが、音楽会と美術館を梯子するのは、時間的に無理だと云うこと悟り、また、1月26日で展覧会が終わってしまうということもあり、都合をつけて見てきたのです。平日の午後なのに相当の人が見に来ていて混雑していました。
 「ハプスブルク家」関係の遺物は、以前ウィーンに行った時に、シェーンブルン宮殿を始めウィーン美術史美術館などで鑑賞し堪能したのですが、今回の美術展は、ウィーンだけでなく、親戚系統のスペイン王室やフランス王家等の美術品も見られそうなので期待して行きました。結論的には、期待半ばでしょうか。殆どが「①ウィーン美術史美術館」の所蔵のもので、次に多いのは、「②ブタペスト国立西洋美術館」の所蔵品でした。当時のハンガリーはハプスブルグ家の支配下にあったのです。前後しますが、以前、ブダペストに行った時のことを思い出します。リスト・フェレンツ音楽大学(当時はリスト音楽院)でリストの使ったピアノ等の展示を見た後、アンドラーシュ大通りを北東に進むと突き当りに広場、公園があり、その左手にこの西洋美術館がありました。その時は時間が少なくて駆け足で展示物を見たので、あまり記憶に残っていないのですが、今回展示されているベラスケスの『宿屋のふたりの男と少女』は見た記憶があります。ベラスケスの数少ないセビリア時代の代表作だそうです。特徴のあるエル・グレコの絵もあったような気がします。又今回の展示で不気味な「ホロフェルネスの首を持つユディト(ヴェロネーゼ作)」の絵(①所蔵)が展示されていますが、似たような首を持った絵(多分サロメだったかな?)を見て気持ち悪い絵と思ったことがありました。
 さて、美術史美術館に行った時、一番カルチャーショックを受けたのは、何と言っても駄々広い展示室にルーベンスの馬鹿でかい(縦横4~5mはあったと思う)宗教画(確かフランシスコ・ザビエルの絵でした)その他が飾られていた事。その前にソファーが置いてあり、座りながら何十分も呆然と見とれていた記憶が蘇りました。
またブリューゲルの展示室があって、バベルの塔、や農民の婚礼の宴会模様を描いている絵があった記憶があります。その他印象派の絵を集めたコーナーもあった様な気がする。 今回、ルーベンスの大作(巨大絵画は輸送出来ないだろうし、第一貸出ししないでしょう)が全然無くて、小ぶりのルーベンス絵画1枚(『ユピテルとメルクリウスを歓待するフィレモンとパウキス』)のみでは、どうしても、現地で見た時の迫力を思い出し物足りない気がしました。
 ブリューゲルも少ないですね。一点でしたか?『バベルの塔』を又見てみたかった。全体的に肖像画が多く、これは『ハプスブルグ展』と称している位ですから、ハプスブルグ家に関わる人の肖像が、展示の中心となるのは仕方ないことですけれど。
 一方『村の縁日(テニールス作)』が、飲み食べ踊る人々を生き生きと描いていて、歌声まで聞こえる様な気がして、音楽に興味のある自分としては面白かった。音楽と言えば。宮中晩さん会の絵が2点ありましたが、その内の一つ『…レオポルド1世と皇紀マルガリータ・テレサの宮中晩餐会』の絵で左隅に、楽器演奏している楽団が描かれていますね。どんな曲だったのでしょうか?日本の宮中晩餐会では何か音楽が演奏されるのでしょうか? 昨年11月に横浜美術館で、展示されたルノワール他の画家の作品に絡む関係有りそうなパリ縁りの作曲家の曲を、レクチャー(解説)付きで鑑賞するという音楽会を聴いた事がありますが(2019.11.4付記事「横浜美術館で音楽会」参照)、美術と音楽の関係は結構面白いですね。美術史美術館に行った時カラヴァッチョの影響を受けたというイタリアの画家が描いた、ヴァイオリンやチェロ、リュート、ギター等の静物画を見た事があります。また宮殿の中で楽器を演奏している貴族たちの絵もあったと思います。(ついでにルーブル美術館には、古い大きなイタリア劇場でオペラを聴く聴衆の絵がありますね。何のオペラだろうと思ってしまう。)
 その他クレオパトラが毒蛇に噛まれて死ぬ最後の場面の絵(チェーザレ・ダンディーニ作)もありましたが、クレオパトラの絶望に満ちた表情は美女の面影もなく、美術史美術館で見た別のクレオパトラの最後の(既に蛇に腕を噛まれ目を閉じてぐったりしている)絵より、迫真に迫っていると思いました。
 でも今回の展覧会の目玉は、やはりベラスケスでしょうか。ウィーンハプスブルグ家とは切っても切れない深い縁のあるスペイン王家。ポスターにもなっている『王女マルガリータ・テレサの肖像』は、色違い(青と緑)のドレスを着た2点の絵が今回同時に展示されています。青のドレスの絵(①所蔵)の方が緑のドレスの絵(②所蔵)より緻密で出来が良いかな?
 その他最初の展示室に金銀細工の工芸品と王族が実際に身に付けたという甲冑が展示されていました。これらは②の美術工芸館や武具庫にある様なのですが、今回初めて見ました。角で出来た杯、ほら貝の水差しや各種彫刻など、特に金糸で織り上げたという「金線細工の小篭」には、その細密な技術に関心させられました。
 尚展示室は、「Ⅰハプスブルグ家のコレクションの始まり」⇒「Ⅱルドルフ2世とプラハの宮廷」⇒「Ⅲコレクションの黄金時代」⇒「Ⅳ18世紀におけるハプスブルク家と帝室ギャラリー」⇒「Ⅴフランツ・ヨーゼフ1世の長き治世とオーストリア・ハンガリー二重帝国の終焉」という風に、古い時代から歴史をさかのぼる順に区分けされており、歴史的な変遷もわかる様になっていました。工夫した展示ですね。
 それにしてもシシィの何と美しいことでしょう!