HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

『ショパンバラード全曲演奏』仲道郁代のバラード

  昨日土曜日(2020.1.4.)仲道さんの演奏するショパンのバラードを聴いて来ました(13:30~@ミューザ川崎)この演奏会に行ったのは、昨日(1/4)の記事『全曲演奏会の魅力』に書いた一般論的動機の他に確固とした動機が別にありました。それは昨年5月に、日本を代表する様な演奏家群、例えば堀正文、諏訪内晶子、沢和樹、篠崎史紀、玉井菜採、川本嘉子、上村昇、藤原真理、吉野直子、清水和音、仲道郁代など総勢80名を超える著名な演奏家の皆さんが一堂に集まって、演奏会を催したことがあったのです(2019.5.19.15h~『堀正文70th Anniversary Concert』@サントリーホール)。その時九番目の演目として、仲道さんがショパンのバラードを弾いたのでした。仲道さんは見事に弾き終えたのですが、聴いていて若干心に引っかかっていたことがあったのでその辺りを確認したい気持ちが残っていました。 それで是非バラード仲道演奏を機会あれば再び聴いてみたいと思ったのでした。その時書いた記録があるので、参考まで本文末に再掲して置きます(下線部が仲道さんに関する記述)。
 今回の演奏会はバラード全曲(1~4番)を休憩後の後半に演奏し、前半はベートーヴェンのソナタ演奏でした。前半の曲目は①Pfソナタ5番ハ短調Op.10-1 続いて ②Pfソナタ8番「悲愴」Op.13 最後に③Pfソナタ14番嬰ハ短調「月光」です。仲道さんは演奏の合間にトークを挟みながら“ベートーヴェン生誕250年の今年は、ベートーヴェンにかなり力を入れて演奏会を開いていく”と言った話も静かな語り口でされていましたが、気のせいかな?若干元気が無い様にお見受けしました。(仲道さんのトークは昨年7月に『仲道郁代ピアノ・フェスティバルVol2』の演奏会でも聞きましたが、その時は話しぶりも見かけも身のこなしもソフトで柔和な雰囲気は昨日と変わりませんが、一緒に出演したピアニスト達に、いろいろ質問したり、横山幸雄さんと笑いを誘うやり取りなどを話して、元気なご様子でした)
 さてベートーヴェン(1770年12月~1827年3月)は、ご存知の様に、ハイドンの弟子として22歳でウィーン入り、ピアノの即興演奏者としても名を馳せて、ソナタ作曲は、23歳でソナタ1番と3番を、24歳で2番、25歳で5番、26歳で4番と6番、27歳で7番と8番「悲愴」を作曲しています。14番「月光」は31歳の時の曲(同年に15番[「田園」も作曲)。
 最初の演奏曲5番は演奏前のトークによれば、この曲からこれまでのソナタの4楽章構成を3楽章構成に切り替えた注目すべき曲だそうです(5番の翌年作曲された4番Op.7も翌々年作曲された7番Op.10-3も4楽章構成ですが)。比較的分かり易い単純な速いメロディーでスタート、まだ初期ソナタ群特有の初々しい響きを残している感じがします。それを繰り返し、そのあとの主題の変奏の部分も演奏者は正確かつ明快に弾いていましたが、まだ手がほぐれていないのかやや硬い感じがしました。ベートーヴェンのソナタはアラウの全集を持っていてよく聴くのですが、この楽章は、力をかなり抜くというか抑制して柔らかにアラウは弾いています。第2楽章は、アダージョのゆったりしたメロディー、アラウは全般的にゆっくり過ぎるのでしょうか?眠くなってしまう位のスローテンポ。でも調べを聴くと音楽とはこういう物だという共感が湧いて来ます。仲道さんはおそらく楽譜に忠実にきちっと弾いておられたのでしょう。 第3楽章は速いテンポンの軽快なテンポで始まり、最後は速いテンポでスーと立ち消えの様に終了してしまう。仲道さんの演奏を聴いてもやはりスーと終了、何か唐突な曲の終焉といった感じの曲です。これは私の妄想ですが、想像たくましくすると、ベートーヴェンは3楽章のあとに第4楽章を作曲しようとした迷いがあったのではないでしょうか?エヴィデンスは何も無いですが。今まで挑戦していた革新的4楽章構成にしようかと迷ったのでは?いや既に4楽章も作曲し終えていたかも知れない。でもベルリン他を演奏旅行して戻ったばかりの彼は、聴衆の影響やら何やらで、当時主流だった3楽章に戻そうと決心したのでしょう。
 続いては有名過ぎる②ソナタ第8番『悲愴』。この曲はオーケストラ演奏会でも時々ピアニスト演奏で聴くことがありますし、録音ソフトはアラウの他にバックハウスのCD録音を持っており、しょっちゅう聴いています(親の月命日には必ずこの曲と第12番『葬送』とモーツアルトの『レクイエム』をかけています)。
第1楽章は、速いテンポのつい口遊みたくなるメロディーで、奏者の正確無比ともいえる演奏があたかも作曲者の心の鼓動が聞こえるかの様な力強さで進行しました。大変素晴らしかったのですが、1点気になったのは、前半1/3くらい進行した箇所で右手の演奏が左手とクロスして弾くところがあり(鍵盤が良く見える座席でした)、その低い四つ程の音のテンポが右手のその前後の曲の流れのテンポから、やや違和感を持って聴こえたのです(頭に入っているいつも聴いている流れと比較して)。気のせいかも知れません。
 続く第2楽章は、「アダージョ・カンタービレ」と記されている様に、ゆったりとした心地良い調べで、あたかもベートーヴェンはピアノに歌を歌わせているが如き感がする楽章です。もっともっとピアノを謳わせて欲しかった気もします。(突飛な発想ですが、多くの超一流の歌手にこのメロディーを歌って貰い、新たにピアノにメロディーを歌わせる演奏を開発すれば、これはもうすごい発明ですね。)
第3楽章はとても素晴らしい演奏でこの曲の醍醐味を十分味わわせて頂きました。館内から大きな拍手が起こりましたが、歓声は飛びませんでした。私は声を出そうと終わるのを待ち構えていたのですが、他に歓声が聞こえないので気後れして声を発することが出来ませんでした(歓声、ブラボーの声には批判的、否定的に考える聴衆もいる様です)。
 前半最終曲、これはさらに多くの人の知っている③ソナタ第14番『月光』。これはもう文句のない完璧な演奏でした。
 いずれにせよベートーヴェンのこの三つを聴いただけでも、その天才的音楽性、特に各々の第2楽章の素敵なメロディーに改めて感嘆するばかりでした。
 休憩後は、ショパンのバラードです。衣替えして登壇した仲道さんは、チャコールグレイぽいレースのドレスに身を包み演奏前のトークで『バラード』の物語性を説明、あたかも『バラード3番』の物語の「水の精」の如き雰囲気。バラードは各曲とも10分弱の短い曲ですが,ショパンのエッセンスがギュット詰まっています。
 演奏の最初の④『バラード第1番』は、バラードの中では1番好きな曲です。今回の仲道さんの演奏は、ほとんど完璧で、冒頭に述べた喉に引っかかっていたものは完全に消え去りました。それにしても曲の終了部はショパンにしては、かなり粘性の高いフィーナレですね。
 次曲⑤『バラード第2番』は冒頭から静かな綺麗な調べの曲で始まりところが突然激しい速いテンポの曲に変わり再び元に戻ります。その変化が繰り返され最後静かに幕を閉じます。仲道さんの説明だと“現在と過去が混在している様だ”と言った趣旨のトークがありました。この様な[穏やか⇒激しい]曲への変化はショパンでは結構見られることで、例えば『24の前奏曲』中、「前奏曲第7曲」から「前奏曲第8曲」へ展開する際が類似のケースでしょうか、これは別な曲として扱われていますが。バラードも幾つかの曲の集合と考えれば似た様なものです。同じ前奏曲中「雨だれ」から次曲「前奏曲第16曲」に移る場合もそうかな? ⑥『バラード3番』は、音楽愛好家の間では、1番に次ぐ人気曲の様です。仲道さんの説明では“水辺で若者に水の精が「こちら、水の中においで。水の国の王様になって一緒に幸せに暮らそうよ」と言ったが若者は誘いに乗らず去って行った”という物語だそうです。確かに、‘妖精’‘水辺’‘水の国’‘若者’‘愛の誘い’‘永遠の命’などが想起されるメロディーを仲道さんは綺麗に表現、最後決然と誘いを断る若者の決断を強い演奏で表現して、この日で一番魅力を感じた演奏でした。
 最終曲⑦『バラード4番』は、相当難しい曲という評判ですが、‘ショパンの(割と幸せな生活から)かわいそうな境遇に変化(恋人ジョルジュサンドに捨てられ、バンドーム広場近辺で死の床に就く)そうした人生を表現しているかの様な曲’といった説明の通り、そうした物語性を感じる仲道さんの演奏でした。曲が終了すると会場からは大きな拍手と歓声が飛び、鳴りやまぬ拍手に答えて、アンコールとして有名なコマーシャル曲とエルガーを演奏しました。しっかりとコマーシャル商品の宣伝もしていたところが微笑ましい。

≪参考≫
今週の日曜日(2019.5.19.)『堀正文70th Anniversary Concert』(5/19 15h~@サントリーホール)に行って来ました。このコンサートは4月初めの朝日夕刊に大々的に宣伝広告が掲載され、現下の日本の主力演奏家のかなりの人数が演奏予定であることを知って、これは纏めて聴けるいいチャンスと思い、すぐにチケットをゲットしました。この大々的な演奏会は祝祭的な色合いが強く、N響コンサートマスターを経て、桐朋音大で指導に携わってきた堀さんの古希を祝い、大学(東京藝大などからも参加している模様)、N響等の一門総力を挙げての記念コンサートの開催となったようです。会場に入ると、ステージの中央前面には花々が飾られ、クラシック関係の案内を得意とし、語り口も上品なフリーアナウンサー(キャスター)の山田美也子さんが司会をするという、華やかな雰囲気の中でコンサートは始まりました。三部構成で、第一部は弦楽中心の演奏、第二部は有数のキャリアと名声を誇る演奏家の登場、第三部でコンチェルトと管弦楽曲の演奏といった、舞台上の楽器構成・楽器交代、音楽会の盛り上がりも考慮した良く練られたプログラムだと思いました。最初の曲は、参加弦楽演奏者全員による①グリーグ「ホルベルグ組曲(第1楽章)」です。今回は全曲でなく曲の一部が演奏されました。何故なら、山田アナの説明にもありましたが、3時から始めても、多くの演奏とインタビューがあるので、一部演奏でさえ終わるのは9時近くなるかも知れないという理由からです。グリーグの曲は先月(4/20)ニコライ・ルガンスキーの演奏でかの有名な「ピアノ協奏曲op16」を聴きましたが、グリーグは「北欧のショパン」と呼ばれた位ですから、ピアノ曲は得意で自らも演奏しました。(4/21付記事「アメリカという国」に投稿した4/21付hukkatsコメント参照)このホルベルグ組曲は元はというとピアノ曲として作曲されたのですが、翌年弦楽合奏用に自ら編曲したものです。グリーグの同郷の先人を偲ぶ祝典用でした。その意味で、冒頭演奏するのに大変相応しい曲です。60人を超える、しかもメンバーの個々のレベルが高い弦の集団が奏でる大アンサンブルは、非常に重厚なものでした。ズシリお腹に響く様だった。続いて②J.S.バッハ「2つのヴァイオリン(以下字数の関係でVnと略記)」のための協奏曲BWV1043(第2楽章)」は、バッハの三つのコンチェルトのうちの一つで、昔、オイストラフ親子の演奏を録音したソフトをもっていたので、よく聴いたものでした。何回か引っ越しや何やらしているうちに紛失してしまったものの、第1楽章のフーガ的な軽快な速いリズムのメロディーは頭に滲み込み残っていました。が、今回の第2楽章ははてどんなものだったかなと思っているうちに演奏が始まり、あーこれこれ、穏やかに流れる様な調べ、とすぐ思い出しました。Vl.7名+通奏低音楽器をバックに伊藤さんという方と宮川さんという方(女性)が弾かれましたが、全体的に美しいバッハ曲の側面を十分出されていたと思うのです。欲を言えば、やや弱い感じがした(①で重厚な強力な音を聴いた直後だったせいかも?)ので独奏力を少し強くしても良いのでは?続いて、③テレマン「4つのVnのための協奏曲ニ長調」初めて聴いた感じがした。無伴奏なのですね。緩(adagio)-急(allegro)-緩(grave)-急(allegro)の小さな4楽章構成、2楽章のカノンの掛け合いが面白かった。小フーガを聴いた余韻が残る。堀さんが若い時収録したC-MAJORの協奏曲のレコードがあるらしいですね?次曲も④「4つのVnのための協奏曲」、ただしヴィヴァルディ作曲のロ短調です。N響の4人のSolo(うち1名は女性)+弦4部+Cembalo。で演奏。急-緩-急の三章構成で如何にもヴィヴァルディらしいメロディーなので聴いてすぐヴィヴァルディと分かります。この曲にはバッハが変曲したチェンバロ協奏曲が有りますが、バッハの曲を聴いても元がヴィヴァルディとは分からない位バッハ化している。この曲は、「4つのVnとCelloのための協奏曲」としても演奏される場合もある様です。N響コンビの息の合った演奏でした。第一部最後の曲は再び⑤ヴィヴァルディ「Vnとのための協奏曲変ロ長調」。④と同じ急-緩-急構成Solo Vnの玉井さんの演奏が良かった。特に3楽章の高い音域の速いパッセージが綺麗に聞こえました。CelloのSoloの活躍は短い第2楽章のみで地味。もっとCelloのSoloが華やかに演奏出来る様に作曲して呉れれば良かったのに!ヴィヴァルディと言えば、今秋、イ・ムジチ合奏団が来日しますね。聴きに行きたいと思います。 ここで15分間の休憩です。 トイレとドリンク、軽食コーナーはいつもながら大混雑。開演時より第一部終了時の方が観客数は増えたように思われました。
つかぬ間の息抜きの後、第二部がスタート、14曲が演奏される長丁場の舞台です。
先ず堀さんと白いドレスの可愛い少女が登場し⑥ヴィエニャフスキー「エチュードカプリス(4番)」をデュエット、女の子は懸命に堀さんに合わせ、堀さんも丁寧にフォローされていた。演奏後少女は山田アナに紹介され、堀さんのお孫さんとのこと、‘おじいちゃまに練習してもらうのですか?どんなおじいちゃまですか?’という質問に「はい。とても細かいです」といった答えに、会場から暖かな笑いと拍手が沸き起こりました。続いて⑦R.ジーツインスキー「ウィーンわが夢の街」、Vl.をマロこと篠崎さん、Pfを仲道さんが演奏。演奏を聴いてあまりウィーンの雰囲気は感じなかったが、もとはと言えば、この曲を歌として聴く場合が多いからでしょうか?『本当にウィーンを知るものなら、この美しい場所からたとえ去らねばならなくなっても、あこがれは永遠に残るだろう…ウィーンウィーン 君だけが いつまでも私の夢なのです。』と1番の歌詞で歌われるウィーン賛歌です。歌詞の2番に 『…Mus ich einmal fort von der Welt Geschieden mus sein Von liebe und Wein, Weil alles, wie’s kommt auch vergeht.』(I must someday leave this world. I must quit romance and drinking the wine. Because everyone who comes must disappear.<hukkats 英訳>)とあって、これは堀さんへの気持ちを曲演奏で表したのかな?とも思えました。 それにしても不思議なのは、今回の演奏会は声楽部門や管ソロ演奏は抜きなのですね。弦を極めた堀さんが主役だからなのか?業績を讃えるに相応しい曲はこれらの分野に山とあると思うのですが。引き続いての演奏は⑧イザイ「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ6番」、新井里桜さん。ヴァイオリニストの作曲した曲はさすがいいですね。奏者の技量を十分引き出す曲です。技巧的にも音楽性も素晴らしいメリハリのついた演奏でした。彼女は確か昨年の日本音楽コンクールで優勝し、今年3月の東京オペラシィティで開かれた「受賞者発表演奏会」で演奏したのを聴きましたが(3/10付記事「京鹿子娘道成寺」に投稿した3/10付hukkatsコメント参照)、確実に上達していると思います。まだ藝大3年在学中ということですから、今後が楽しみです。⑨ショパン「バラード1番」仲道郁代さんの演奏。仲道さんのピアノはテレビやラジヲで聴いて一目置いていたので、生演奏を1度聴いてみたいと考えても、なかなかスケジュールが都合つかなくて聴けず、今回が初めてでした。ショパンのバラードはいい、中でも1番は好きな曲です。演奏は期待に違わず素晴らしいものでしたが、気になったのは、曲の後半、2/3程進行した箇所の強い音で速いリズムで弾いた部分と最後近く当初の主題が再登場した後の速く強い音のパッセージの部分で、左手音が少しもやもやと聴こえましたが、耳のせいでしょうか?それにしてもこの曲の終わり方は、マーラーの様な潔ぎ良いというか非常に短く単発で終了するのとは異なり、もう終わりかなと思うともう一回最後に鳴らし、さらにもう一回とショパンは曲の終了を惜しんで作曲のペンをなかなか置かない、そんな感じがします。3番もいい曲なので、そのうちバラード全曲演奏とか或いはスケルツオ全曲演奏等が入った演奏会があれば(都合がつけば)また聴きに行きたいと思います。⑩シマノフスキー「神話よりナルキッソス」Vn沢和樹さん(東京藝大学長)、Pf 沼恵美子さんのご夫婦コンビで演奏。この様なメロディーは苦手ですね。自分から聞きたいとは思いません。シマノフスキーは初めてですが、所謂現代音楽家の範疇ですか?今回のプログラムを見るとバロックから古典、ロマン派の曲が9割方占め、現代音楽は非常に少ない。世にある膨大な数多くのVn曲の中からこの曲を選んだのは不思議ですね。まさかギリシャ神話のナルシスの自己陶酔の物語を意識して選定したのではないでしょうけれど。次は⑪サンサーンス「白鳥」チェロの藤原真理さんと伴奏の清水和音さんという豪華な組合せで心に滲みる演奏でした。⑫シューベルト「Vnと弦楽のためのロンドイ長調D.438」。Vn Soloは四方恭子さん。この曲は少数の弦楽のバックでなくオーケストラを背景にソロが弾く場合もある様です。全体的に少しテンポが速いような気がしましたが?Soloはアンサンブルによく合っていましたが、やや地味な感じを受けました。コンチェルト的に華やかに弾いてはいけないのでしょうか?バックのVn豊嶋泰嗣さん、Va 川本嘉子さん、Vc 上村昇さんは確かアルティ弦楽四重奏団を結成され一緒に活動されていたと思います(もう一人のVnのメンバー、桐朋出身の矢部達哉さんは今回は参加されていない様です)。直かに演奏を聴きに行ったことは無いのですが、家に、昔(十年以上前)、リリアホールでの演奏会録音があったことを思い出し、帰ってから聴いてみました。ハイドン、ベートーベンの曲他、アンサンブルが大変いいですね。最近は関東で演奏会を開く予定は無いですか?あれば聴きに行きたいですね。第二部前半終了の時点で、山田アナのInterview間にトイレタイム、大ホール外で一息入れるためソファーに座ったら、脇に相当な年配の男性が2,3人に囲まれて「そろそろ中に戻りますか?先生、堀さんがこれから弾きますから、三つやります。」と気遣われていた。こうした演奏会では「先生」と呼ばれるご老人を時々見かけますね。二部後半も7曲あったのですが、字数も長くなり過ぎなので印象的な曲だけ書きますと、⑬松田里奈さんのクライスラーは、若々しい力のある演奏だと思いました。⑮上村昇さんの無伴奏チェロ組曲は、バッハらしい魂に触れる様な深い調べでした。上村さんの実演を聴くのは実は2回目です。かなり昔「黒沼俊夫先生追悼演奏会」というチケットを知り合いから頂いた時、あれは確か文化会館小ホールだったでしょうか?家内と聴きに行った記憶があります。Vcが壇上に七、八台ずらりと並び中央に上村さんで演奏された記憶があります。演奏途中、一人のVcの弦が切れてしまったハプニングがあったことを覚えています。⑯堀さんの愛の三部作は最後の「愛の喜び」が一番力が入っていて良かった。⑰ドヴォルザークはピアノの音がとても綺麗。いい曲ですね。知らなかった。⑲清水和音さんの英雄ポロネーズは力強い迫真の演奏でしたが、出だしがチョット、後半歯切れがチョットの箇所があった様な気がします。
15分の休憩の後、第三部です。⑳のマスネも㉑のモーツアルトも堀さんのSoloでしたが、前半の演奏より良いと感じました。特に㉑「Vnと管弦楽のためのロンドハ長調」は
音に伸びがあり1番良かった。㉒は60人に及ぶ堀門下生によるモーツアルトのディヴェルトメント、まさに「弦の桐朋ここにあり」といった面目躍如の最高の出来の演奏でした。斎藤記念オケの弦に引けを取らないのでは?オケも作れるのでは?とも思った。
㉓は諏訪内さんのメンデルスゾーン、コンチェルト。管等はN響メンバーが補充。生演奏を聴くのは、昔チャイコフスキーコンクールで優勝した後、演奏会が確か池袋(?)であってその時以来でした。それから何十年も経っているのでその後どうかな?と期待と不安で臨んだのですが、結論的には素晴らしい!!の一言。完璧だー!ストバリは素晴らしく鳴るし、表現も音楽性も言う事無しでした。今月初めには、神尾さんの素晴らしいチャイコフスキーを聴き、今回は諏訪内さんのメンデレスゾーンと、二度もこんなにいい思いして良いのか!と自分の頭をポンと叩きたい位でした。最後の㉔ジュピター(指揮山下一史)の演奏の後、アンコール曲はハイドンの交響曲でした。そういえば今回のプログラムでハイドンが入っていないのがチョット気になっていました。ハイドンの弦楽曲はいいものが沢山ありますから。兎に角、チケットを買ってよかったなー、と大満足。演奏者の皆さん他に感謝致します。昨年12月の小澤さんの時よりすごい演奏会だったなーと少々くたびれながら帰路に着きました。