HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

『漆原朝子&今峰由香デュオ・リサイタル』

   昨日、ヴァイオリンとピアノの演奏を聴いてきました(2019.12/19 19:00~@東京文化会館小ホール)演奏者は、ヴァイオリン漆原朝子、ピアノ今峰由香。演奏曲目は、前半が①ラヴェル作曲『ヴァイオリン・ソナタ遺作』②ドビュッシー作曲『ヴァイオリン・ソナタト短調』③ヤナーチェク作曲『ヴァイオリン・ソナタ変イ短調』です。
休憩を挟んで後半が、④ドヴォルザーク作曲『4つのロマンティックな小品Op.75』
⑤ブラームス作曲『ヴァイオリン・ソナタ第3番ニ短調Op.108』でした。即ちフランスの作曲家の曲が二つ、チェコが二つ、そしてドイツ(ウィーン)が一つです。いずれもロマン派か後期ロマン派の曲です。タイトルでは、「デュオ・リサイタル」になっていますが、プログラムを見てみると、事実上のヴァイオリン・リサイタルですね。それとも、各作曲家がタイトルでは、掲げなかったピアノを多用し、事実上のデュオの曲にしているのでしょうか? 最終曲のブラームスのソナタトがデュオに近いことは、知っていました。今月初めに、マロこと篠崎さんの3番の演奏を聴いたからです。その時、やはりブラームスはピアノを重視しているなと感じました。その他の曲は、今回が初めてなので、聴いてみないと分かりません。
 さて、演奏会場にはいると、ステージにグランピアノが1台置いてありましたが、よく見ると、ピアノには、いつものスタンウエイでなく「Bösendorfer」と書いてありました。わざわざこのピアノを選んだのは何故?
 先ず①の演奏は、平易な感じがしました。ベーゼンドルファーは確かに柔らかい音ですが、ややもやもやとした感じ。綺麗な透明感が少ない気がしました。Vn の音も然り、持っている最適技量一杯にまだtuningされてない感じ。立ち上がりでまだエンジンがかからないからか?それとも曲がそういう風に弾く曲だからなのか?この感じは②の第1楽章(以下②の1と略、他も同様)まで続きました。②の1は、何かもの悲しい調べですね。②の3になると相当Vnの音は研ぎ澄まされてきて、VnもPfもアンサンブルが良く纏まりが出てきた感じがしました。それにしても②も③もいい曲ですね。ベートーベンやモーツアルト、等の古典の名曲よりもかなり複雑で演奏も技術的にかなり難しいと思いますが、良い曲にまとまっている。③も2のBalladaの調べは流麗で、旋律は歌にもなりそうな気がしました。②も③もVnが弦を軽く押さえて高音を出すところが結構見られた。ピアノは自己主張しないでVnの音に溶け込んでいましたが、もう少し自己主張すればデュオの曲と言えたかも知れない。④の小品は誠に綺麗な旋律、特に④の1でこんなにいい曲を作れるとはやはドヴォルザークは天才だと感心しました。もちろんそれを堂々と弾いた漆原さんの技量があってこそですが。ドヴォルザーク④の曲に触れてその素晴らしさを発見出来たのは私にとって大きな収穫でした。
 それにしても最後のブラームスは圧巻でした。Pfの音に力強さが有りVnも円熟した奏者の技量のお披露目の様な見事な演奏で、この日一番の歓声と拍手が起こりました。
ブラームスのソナタは、篠崎さんが1~3番を弾いたのを、今月初めに聴きました。また10月初めに、竹沢恭子さんが1番を弾いたのを聴きました。そして今回漆原さんの3番の演奏。今日の演奏で、この奏者のまじめで純粋で一途な、お人柄が窺えられる様な気がしました。心を込めて弾いておられました。さすが我が国のVn界を牽引する指導者たる演奏だと思いました。
一方ベーゼンドルファーについては、曲によって、或いは曲の部分によって、合う、合わないがあるのではないでしょうか。やはり切れの良いスタンウエイの透明感の強い音が欲しいと感じた個所もありました。
 さて観衆の声援に答えて、お二方は舞台に戻られ、アンコールを二曲演奏しました。
⑥フォーレ作曲『ロマンス』⑦ドヴォルザーク作曲の歌曲をクライスラが編曲『我が母の教え給いし歌』。何れも素敵な曲を最高の演奏で聴かせて頂きました。Merci Beacoup!