HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

『オペラ歌手の不都合な真実』

 12月14日(土)に聴きに行ったフローレスのコンサート主催者の一つである(株)アーチ・エンタテインメントのホームページに、来年7月にグリゴーロが来日し、コンサートを開くことが案内されていて、12/15(日)からチケット発売になりました(友の会会員は11月に先行発売した模様、会員登録していませんでした)。グリゴーロは9月に「ファウスト」を聴いたばかりですし、その前にも芸術劇場でのコンサートを聴いているので、どうしようかな?と少し躊躇したのですが、結局聴きに行くことにしました。

    躊躇したのにはもう一つ理由があって、9月22日(日)の神奈川県民ホールでの「ファウスト」が直前にドタキャンされたからです。私は9月12日の初日を聴いたのですけれど、22日にはうちの上さんが行くことになっていて、随分がっかりした様子でした。その時発表された降板理由が「急な体調不良」ということだったので“さも有りなん。芸術劇場のコンサートを聴いた際、プログラム記載のインタヴユー発言等から考え合わせると、この歌手はスタミナに問題があるのではなかろうか?”といった趣旨の感想を、あるブログに投稿したことが、まだ鮮明に記憶に残っていたからです。でもその後の報道によると「体調不良」でなく別な理由、本当かどうか分かりませんがスキャンダラスな理由で、降板させられたとの説が有りました。キャンセルが多いとチケットを買う側にとってはリスクの高い歌手になってしまいます。

 来年1月来日公演予定のドミンゴにも、スキャンダル問題が持ち上がり、公演キャンセルか?といった報道が一時なされましたね。予定通りやるようですが、かなり前にその公演の抽選が当たり、チケットを買っていたので気になりました。購入後いつだったかな?招聘主催者からメールが入ったのです。“アメリカを除いた諸外国では予定通りオペラ、音楽祭、コンサートを実施いたしております。主催者一同慎重に検討を重ねてまいりましたが、プラシド・ドミンゴの比類なき歌声をお待ちくださるお客様がいらっしゃる限り、公演を実施させていただく結論に至りました。公演は予定通り行いますが、残念ながら、共演者ルネ・フレミングが都合により降板し、2018年、ミラノ・スカラ座のシーズン開幕『アッティラ』公演で鮮烈なデビューを飾ったサイオア・エルナンデスが出演いたします。”といったことが書いてあり、さらに“上記変更に伴い、入場料金を下記のように改定いたします。すでにご購入いただいているお客様には、公演当日差額をご返金いたします。またキャンセルをご希望されるお客様には入場券代金を払い戻しいたします”とありました。

 ドミンゴはもう90歳近くなっていて、力の衰えはあるでしょうからキャンセルしてもいいかな?とも思ったのですが、急遽出演となるエルナンデスは、来年9月のミラノ・スカラ座の来日公演のタイトルロール出演の予定である有望ソプラノだそうですから、その力量を聴いて確かめる楽しみが出来たので、結局聴きに行くことにしました。

 クラシック公演では、予定主力歌手の降板は珍しいことではありませんし、それにより代役が新たなヒーロの道への第一歩を踏み出すこともまた珍しくない。ネトレプコはまさにそのようにして今日の地位を築きましたが、ドタキャンが多いのも事実です。でもその理由が聴衆を納得させるものであればいいのですが。その納得は聴衆の価値観で判断するのですから。素晴らしい演奏家であれば是が非でも聴きたい、演奏以外の条件はどうでもいい、例え犯罪を犯したとしたっていい、という価値観の人もいるかと思います。が、想像するに少数派でしょうね。大多数は、何も問題なく(キャンセルもなく)、素晴らしい芸術の雰囲気に浸って満足したいという気持ちが強いと思います。美味しいご馳走を食べに料理屋に行く気分ですね。何か懸念材料を感じれば、受ける味も違ってくるでしょう。

 十数年前にアメリカのゴア元副大統領が出演した「不都合な真実」という映画がありましたが、何も地球温暖化のみならず、政治、経済、社会の多岐にわたって「不都合な真実」が蔓延しているのではないでしょうか?音楽愛好家としては、少なくとも「オペラ歌手の不都合な真実」だけはあって欲しくないですね。