HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

ウィーンフィル来日演奏会

(Ⅰ)ラフマニノフ作曲『ピアノ協奏曲第3番』ブロンフマン演奏

 

  先週11月6日(水)ミューザ川崎でウィーンフィルの演奏を聴いて来ました(19:00~)。ウィーンフィルの演奏会は、その前日11/5(火)のサントリーホールが最初の公演で、ミューザ川崎はその翌日でした。指揮はアンドレス・オロスコ⁼エストラーダ、南米コロンビア生まれの人です。南米からは時折途轍もない大音楽家が輩出しますね。ちょっと思い出しただけでも、バレンボイム、アルゲリッチ(アルゼンチン)ドュダメル(ベネズエラ)アラウ(チリ)etc.
 演奏曲目は、①ラフマニノフ作曲『ピアノ協奏曲第3番』②ストラビンスキー作曲『春の祭典』二曲のみですが、いずれも長い曲です(①50分弱②40分弱)。ピアノ演奏者はイェフィム・ナウモヴィチ・ブロンフマン、聴くのは初めての人です。経歴を見てみると、旧ソ連(タシケント)生まれで15歳の時にイスラエルに移住、米国を主活動の基盤とし、欧州でも演奏活動を盛んに行っている様です。還暦も過ぎたし積み重ねた演奏経験に期待されます。
 ウィーンフィルの構成は(見た目の限りでは)3~4管編成、弦楽5部は20型の変形と見られ、総勢100名を超える大編成でした。①の時はピアノの音の大きさに配慮してか、若干各楽器を減らした様です。第1、2ヴァイオリン10人程度、チェロ8人(椅子が二つ空いていました)ビオラが10人程度、コントラバス6人(奏者がいない椅子が二つ)、金管構成はフルート2人、オーボエ5人(数え違えか?良く見えない)クラリネット2人、ファゴット2人、トロンボーン3人、ホルン5人、チューバ1人、バスーン2人、(トランペットがはっきり見えない?)打楽器は、ティンパニー2人(3太鼓1名及び2太鼓1名)大太鼓1人、その他のパーカッションなど。
 さて登場した指揮者エストラーダは40歳位でしょうか、いや指揮台に上がると少し年少に感じました。一方ピアニストは、太ったガッシリした体格で、エネルギーを蓄えている感じの人です。ブロンフマンはたびたび、①の曲をウィーンフィルと共演している様です。この曲はホロビッツがかなり得意とした曲の様でして、録音を聞くとppのパセ-ジも緩急強弱を繊細に表現、ffの部分はピアノを叩きつける様な強さですが。音一つ一つに切れがあり流石と言う他無い演奏です。さてブロンフマンはどんな演奏を聴かせてくれるのでしょう?
 今回の座席は鍵盤が良く見える位置でした。ブロンフマンの指の動きとそこから出される音の関係は、今年5月、有楽町のラフォルジュルネで聴いたピアニスト、ベレゾフスキー(ロシア)の場合に似ていました。あの時はショパンでしたが、ベレゾフスキーが太い手で繊細な音を紡ぎ出していたので、非常に感心した記憶があります。その時書いた文に“ベレゾフスキーの太い指間から迸しり出て、ゆったりとしたメロディを奏で始めました。伴奏的な役割の分散和音に散りばめられた主旋律(右手の第1音)をベレゾフスキーの多分小指で奏でている。その太い指々が大げさな動きをせず僅かに動くだけで、どうしてあのような綺麗な音が出るのかと不思議に思われる程でした。”と感想を書きましたが、ブロンフマンも同じタイプか? 今日のラフマニノフの3番は冒頭のメロディからして有名な曲で、エストラーダもピアニストも、互いに相手をちょくちょく見ながら合わせて演奏していました。スタート頭初の第一主題は低い弱い音の部分なのですが、今回は何かもやもやと聞こえ切れが良くないと感じたので、これではどうか?とやや心配したのでした。しかしカディンツアの箇所になると、体躯一杯の重みを鍵盤にかけて力演していました。かなりの迫力。オケも負けずと総出で音を出しましたが、ピアノはさらに負けず音を出し、はっきりと聴き取るれました。前記した様に、白腱が隠れる位のブロンフマンの太い指から紡ぎ出されるpp音は、驚く程繊細な音で、また首を振り腰を浮かせて打つffの音は、教会の鐘を乱打するが如し。Ft→Ob→Cl→Hr の後のピアノの綺麗な緩やかな旋律は、次第にスピードを上げ第1テーマ曲に戻り、静かにポツンとした感で1楽章が終わりです。ウィーンフィルの協奏は総じて控え目で、かなりの大所帯の音とは思えない程ピアノ演奏を引き立てていました。ブロンフマンは力演にもかかわらず汗もかかないのか瞬時次を待ちます。
 2楽章はObの壮麗な調べを悠々とオケにつなぎます。アンサンブルの何と美しい調べであることか!そこにピアノが、オケどけオケどけ(そこのけそこのけ)とばかり、かなりの強さで割り込んで来て、ピアノの大活躍ぶりを見せました。ブロンフマンは相変わらず力一杯弾いている。ショパンの子犬のワルツ的なコロコロと玉を転がすようなメロディから引き続くオーボエ→ホルンの演奏が、弦の流れる様なメロディに引き継ぎ、さらに例えがピッタリではないですが、ショパンの英雄ポロネーズ的、謂わば冒頭の事大主義的ピアノ導入部を、ブロンフマンは力を振り絞って演奏、楽章を弾き終わったのでした。間髪を入れずアッタカにより第3楽章に移行。ジャーンジャジャンジャジャンジャンジャーンという強い調子のパッセージの後、競りあがるパッセージからタッタララタッタラと速いテンポで軽妙に演奏、この楽章は全体的にピアノの速いリズムの中に時として現れるラフマン的メロディを挟み、最後はピアノを破壊するが如く首を振り体一杯にあらゆる精力を鍵盤に集中してブロンフマンは時折腰を浮かすほど力を込めて
最後の強くも哀愁を帯びた美しいンメロディーをオケと共に演奏し終わたのでした。
 会場からは万雷の拍手、歓声が響き何回か退場しては現われたあとで、アンコールを弾き始めました。ショパンのノックターンOp27-2。これがまたしんみりと聴いて心に滲みる演奏。どんな若い女人ピアニストにも負けない様な繊細かつ女性的な響き。素晴らしい夜の贈り物でした。≪続く≫